約束は誰かのためでなく、自分のためにするものなのかもしれません ──
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Moi!フィンランドをもっと好きになる144回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。
鹿児島睦 まいにち展 @ PLAY! MUSEUM
今年最後の配信はミホコさんの報告から。立川のPLAY! MUSEUMで開催中の「鹿児島睦 まいにち展」へ行きました。会場に展示されているのは、鹿児島さんの陶芸作品やスウェーデンやイギリスのメーカーと製作した陶器など。それらを見て「陶器でこんなことができるんだ」と思ったというミホコさん。
また鹿児島さんが影響を受けたものなども展示されているとのことで、その中にはフィンランドのデザイナー、ビルゲル・カイピアイネンの作品もふたつありました。鹿児島さんによる説明書きにデザインにおける空間の使い方や緻密だけれどおおらかであるということが書かれていて、へぇと納得したとミホコさん。
イ:そういわれるとなるほどと思いますね。
ミ:ここでもフィンランドを見つけました。
イ:前から言っているけれど、カイピアイネン、そしてタピオ・ヴィルッカラの展覧会が開催されるといいですね。
ミ:言い続けると叶うかもしれませんね。
▶︎ 鹿児島睦 まいにち展
初めてのArtek Tokyo Store
続いてミホコさん、初めて表参道のアルテックへ行きました。「アルテック以外のアーティストのものもあって楽しかったです。地下フロアにある椅子にも座ったりしてみました」とミホコさん。
イ:めずらしくないですか?笑
ミ:めずらしいです。『アイノとアルヴァ アアルト書簡集』を扱っていると出版社の方から聞いていたので。
イ:お店の方に翻訳者ですって声をかけました?
ミ:いえいえそんな、恥ずかしいのでかけられませんよ、笑
ベリーのケーキでふりかえる
次は自分の報告です。今週は今年書いた記事をふりかえってみました。
■ 築地場外市場でフィンランド料理を味わおう!
■ ムーミンバレーパークで春の訪れをお祝い
■ リュイユが映す世界〜フィンランドの変わり続ける織物
■ Keittoでワクワクの種を見つけよう
■ Kalevala〜夏至の夜の魔法
■ フィンランド・デザインに宿るアートグラスの光
■ アールト建築と映画『AALTO』をめぐる旅
■ JUHLA FESTIVAL 2023 〜 出会いを繋ぐ場所
■ TAUKO – Into the Forest 〜 自然が生み出すフィンランドのアート
いろいろな機会をもらって、いろいろな場所へお邪魔することができました。とても濃い一年であれもこれも今年のことだったのかと自分でも驚くほどです。そんな中 JUHLA FESTIVAL の記事を読み返していて、ある約束を思い出しました。それはベリーのケーキをつくること。
いつもclubhouseを聴いてくれているMさんと会場で初めてお会いしました。そのときMさんがバルトの森のブースで購入した『バルト三国のキッチンから 別冊レシピ版1』(佐々木敬子著/urica)を見せてくれました。そこで「このケーキつくってみたらどうですか?」とおすすめされ、「はい、つくります!」と約束していたのでした。
ハ:とても素朴なケーキでなかなかおいしくできました。エストニアのレシピですが。
イ:そもそもどうして作ろうとしたんですか?
ハ:つくってみたらとすすめられて、つくりますとそれだけなんですが、笑
ミ:ベリーはどんな種類の?
ハ:いろいろ入った冷凍のミックスベリーです。フィンランドにもこういうケーキありますか?
ミ:きっと同じようなケーキもあると思いますよ。
本から眺める2023年
最後は岩間さんからの報告です。北欧語書籍翻訳者の会のnoteでミホコさんが担当された記事を紹介しました。記事の内容は、北欧語書籍翻訳者の会のメンバーの皆さんが今年翻訳された本を月ごとにピックアップしたもの。「これだけ北欧の本が日本で出版されるというのもすごいですね」と岩間さん。「メンバー以外の翻訳書もたくさんありますからね」とミホコさん。
記事を読んで岩間さんが挙げたのが、ふたつのキーワード。ひとつは【サウナ】。「本になるということは社会的に認知されているということですよね。紹介されているのはスウェーデン発のサウナ本。『サウナをつくる スウェーデン式小屋づくりのすべて』(リーサ・イェルホルム・ルハンコ 著/中村 冬美・安達 七佳訳/グラフィック社)を本屋でチェックしたんですが、実践的なセルフビルドの本でした。これまではサウナ発祥の地フィンランドへ行ってみようというところから、今後は自分だけのサウナを手作りしてみようというフェーズに進化していくかも」と。
もうひとつのキーワードが【脳科学】。「北欧では以前から研究されていたのでしょうか?」という岩間さんの質問に「最近ではないでしょうか、社会に警鐘を鳴らすような」とミホコさん。「トレンドや時代の空気を反映したものが本を通して読み取れますよね。このラインナップの中では『アアルト書簡集』は異色ともいえるかもしれませんね」
エンドロールは続く
そしてもうひとつ岩間さんから、映画のエンドロールやコンサートのカーテンコールについて。フィンランド在住のetsuroさんのInstagram投稿を読んで驚いたという岩間さん。映画のエンドロールの最中にほとんどの観客が席を立っていたということがあったそうです。
クラシックのコンサートでもカーテンコール中に席を立つ人たちを見かけると、そんなに急いで帰ることもないのにと思うと岩間さん。日本ではそういうところがあると承知していたけれど、フィンランドもだったのかと驚いたそうです。
イ:ミホコさんは最後まで見ますか?
ミ:見ますね、エンドロールの曲が気になったりもしますし。
イ:鍵を閉めて出られなくしちゃえばいいのに。
ミ:帰りの電車が気になって急ぐ気持ちもわかりますけれど、笑
イ:『オリ・マキの人生で最も幸せな日』みたいにエンドロールで伏線を回収する映画もあるし、映画の作り手はエンドロール込みで考えてますよね。『枯れ葉』でもエンドロールでなるほどと思ったことが‥‥
ちなみに自分はいつもエンドロールをぼんやり眺めながら映画の余韻を味わっています。
── 自分の好き嫌いとか興味とか関係なくなにかに挑戦してみることは、自分ひとりでは見つけることのできない新しい扉や可能性を開くことなのだと実感する一年でした。苦手なことでも誰かと約束することで勇気がわきます。あまりに無鉄砲で心配をおかけしたところもあると思いますが見守ってくれてありがとうございました。それでは今年はこの辺で、来年もお楽しみに。
text : harada
#144|Promises I’ve Made – Emitt Rhodes