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2005.2

3月のれんらく帳
2005.3.1|column

3月になりました。とはいえ、まだまだ寒いっですね。moiでは、きょうから柏木江里子さんによる「パターンは踊る展」がはじまりました(~4/3まで)。とても繊細な空間になっています。ぜひおたのしみに。

さて、3月のお休みは、都合によりやや不定休となります。ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願い致します。

◎ 3月の「お休み」 ◎
3/7[月]、14[月]・15[火]、22[火]・23[水]、28[月]

3/14[月]&15[火]、22[火]&23[水]は連休となります。なお、21[月祝]は営業します。

では、今月もmoiでみなさまのご来店をお待ちしております!

雑誌『Tokyo Walker』3/2→15号
2005.3.2|publicity

発売中の雑誌『Tokyo Walker 3/2→15号』にmoiが登場しています。

「荻窪」を特集した「地域密着型連載~寄ってく?この街」というコーナーにて「コンセプト喫茶」部門〈フィンランド〉代表(笑)としてとりあげられています。ほかに登場しているのは、仲通りの「茶のイ」さん〈日本〉、ルミネの「マウカメドウズ」さん〈ハワイ〉、駅前のコーヒー豆屋「ブラウンチップ」さん〈ブラジル〉(←やや無理がありますね)です。

この春、引っ越しや新生活のスタートをかんがえてらっしゃるかたは、これを参考にぶらぶら散策しつつ「荻窪」も「候補」にくわえてみてはいかがでしょう?もちろん「歩きつかれたらmoiで一服」といきましょう!

そして、
2005.3.3|column

またひとつ、年をとってしまいました。

cafe sweets vol.49
2005.3.4|publicity

ある日のこと、柴田書店からでている雑誌『cafe sweets』の編集長から電話がありました。いわく、特集記事のためのアンケートに協力してほしいとのこと。送られてきたアンケート用紙をみると、「カフェ営業の理想と現実」というなかなかにシビアな内容。とりあえずまじめに、そしてかなり身につまされつつすべての設問に回答して送りかえしたのですが・・・

その結果が、現在発売中の『cafe sweets vol.49』に掲載されています。題して、「全国カフェ50店にアンケート~自分のカフェに満足していますか?」。たとえば、「自分がカフェで表現したいことは?それは実現した?」あるいは「カフェをやめたいと思ったことはありますか?」といった設問に、北海道から九州までの全国の個人オーナーのカフェが回答しています。オーナー同士のヨコのつながりはあまりないので、ふだんこうした問題について赤裸々に(?)語り合うということもないのですが、こうしてみると意外にみんなおなじようなコトで悩んでいるんだなぁと、やけに安心してしまったりするのでした(安心してちゃいかんワケですが・・・)。いつか「カフェ」をやりたいとかんがえているかたには、プランを固めてゆくうえできっと参考になるのではないでしょうか?

ちなみにmoiの回答は、「もう1店つくるとしたら、どんな店にしたい?」という最後の設問のいちばん最後にピックアップされています。ちょっとはしょられてしまっているので補足させていただくと、アンケートではたしか「また、どんなカフェに登場してもらいたいですか?」という質問が後ろについていたと思います。ぼく自身はいまのちいさなお店を耕すことだけで精一杯なので、正直なところ「もう1店つくる」という考えは現時点ではまったく思い浮かばないのですが、じぶんがつくるかわり「"世界中にそこにしかない"カフェ」がどんどん増えてほしいと思っています。「ちいさな店」が「おおきな店」と互角に勝負できるとしたら、まさにその一点につきるとかんがえるからです。

美しき結婚
2005.3.5|cinema

ごぞんじシネクラブ「Kino Iglu」より、ヌーヴェルヴァーグの巨匠エリック・ロメール監督作品『美しき結婚』の上映会のあんないが届きました。

エリック・ロメールの映画は、学生のころ、いまはなき「シネヴィヴァン六本木」という劇場でよく観ていたような記憶があります。なんとなく奥歯に物がはさまったような書き方なのは、断言できるほどはっきりとは憶えていないからにほかなりません。いや、観たのはたしかなのですが、はたしてどんな作品を観たのかが漠然として思い出せないのです。

そしてそれこそが、じつはぼくにとってのエリック・ロメールについての印象でもあります。タイトルやストーリーはぜんぜん憶えていないのに、あるひとつの「シーン」だけがとても鮮明なイメージとして刻みこまれている。そして、ふだんは忘れているそのイメージが、しばしばなにかの拍子に不意に、匂い立つかのように鮮やかに思い出されてくるのです。きっと、ことエリック・ロメールの映画にかんしていえば、ぼくはそのストーリーよりも、一瞬一瞬の映像のうつくしさに魅了されていたのかもしれません。ぼくにとってのロメールは、だから、「映画」というよりはむしろ《映像のポエジー》と呼んだほうがしっくりくるような気がします。今回上映される「美しき結婚」もまた、未見ながらきっとロメールならではの「余韻」をともなったうつくしい作品にちがいありません。もし、まだロメールの映画を観たことがないというかたがいらしゃったら、ぜひこの機会にごらんになられることをおすすめします。

さらに今回は、パリを中心に活躍されている写真家のMIKA POSAさんの手による短編映画2本もあわせて上映されるとのこと。これも見逃せませんね。会場はIID世田谷ものづくり学校(三軒茶屋)、3/19[土]・20[日]の二日間です。おそらくかなり早い時期にSOLD OUTになることが予想されますので、お申し込みはお早めにKino Igluのサイトからどうぞ!

ウエスト 目黒店
2005.3.6|cafe

たまには、好きな喫茶店の話でも。

ぼくの知るかぎり、東京でいちばん落ち着ける喫茶店はウエスト目黒店である。おなじみ、洋菓子舗ウエストの喫茶室は銀座や青山にもあるけれど、なんといっても断然いいのは「目黒店」だ。ひとことでいうなら、「ちょっとスノッブなイノダ」といった感じだろうか。

明るく開放的な店内に真っ白いクロスのかかった円卓、そして和製モダンデザインの椅子。BGMはもちろんクラシックだ。店員のちょっとかしこまったユニフォームも、この空間にとって欠くことのできないアクセントになっている。コーヒーは、とりたてて言うほどうまくはない。その点は残念だけれども、おかわりが無料なのでのんびりくつろぐことができるし、おかわりを頼むと銀のポットでうやうやしくサーブしてくれるのも雰囲気だ。そういえば学生のころ、年をとったら、この店で「ドライケーキ一個とコーヒー二杯」を「日課」としてたのしむような粋なじいさん(ここのドライケーキの生地は粒子がとても細かいので、たとえ「入れ歯」になっていたとしてもノープロブレムなはず・・・)になりたいものだ、なんてかんがえたりしたものだが、理想のじいさんへの道のりはまだまだ遠い。

目黒というまちには、庭園美術館や地味ながらよい企画のおおい目黒区美術館(イームズがブームになるずっと以前に、イームズの制作したフィルム連続上映会に接したのもここだった)といったスポットがあるし、山の手と下町が混じりあう独特の趣きがある。でも、かりにそうした魅力がこのまちになかったとしても、ぼくは「ウエスト」ですごす特別な時間のためだけに、それでも目黒へと出かけることだろう。

白夜の「青」
2005.3.7|book

東山魁夷が、じつは「北欧」の風景画をたくさんのこしているということを知ったのは、そう古い話ではない。それまで《日本画の大家》くらいにしかかんがえていなかった魁夷とその作品に、親しみを抱くようになったのはそのことがあったためである。

「北欧の風景が、その森や湖が、私を呼んでいるように感じ」た魁夷は、1962年54歳のとき、はじめての北欧をめぐる旅にでる。その旅は決定的なものだった。かれは、こうしるす。「心の故郷に巡り会った」。北の国々で、魁夷の琴線に触れたのはたんなる見事な景観ではなく、そこにつよく息づく「寒さの中での暖かさ」「暗さの中での明るさ」「生に対して過酷な条件の中での、生の輝き」であった。

ふたたび、東山魁夷が描いた北欧の絵をながめてみる。そして気づくのは、「青」のこと。東山魁夷の幽玄な世界に不可欠な、あの「青」。それは白夜の「青」にほかならない。北欧の夏に「黒」はない。そこでは「青」は、夏のつよい光を孕んで刻々とその階調を変えながら移り変わってゆくのである。そして魁夷の「青」には、たしかに「光の兆し」がみとめられる。

心のなかに「北方を指す磁針」をもつすべてのひとは、ぜひもういちど、あらためて東山魁夷の世界にふれてみてほしいとおもう。

◎ 参考図書/東山魁夷全集4『北欧の旅』(昭和54年 講談社)

※なお、現在moiにてこの本を販売中。31×26cmの大判の画集(函つき)です。新古本ですが、経年変化に伴う若干の汚れ、キズはあります。2,000(税込み)。もちろん一点限りですので、売り切れの際にはご容赦ください。←おかげさまで売り切れました。

体質改善中。
2005.3.8|column

いま手元に『ターザン』という雑誌が、ある。『ターザン』なんて雑誌は『プレジデント』や『JUNON』とならんで、もっとも自分には縁遠い存在だとおもっていた。では、なぜそんなものがぼくの手元にあるのかというと、フルマラソンに出場してしまったりするN本クンが置いていったからである。

「アレルギー攻略BOOK」と表紙に大きく書かれたその号には、「花粉症」をはじめとするさまざまなアレルギーにかんする、いわば「傾向と対策」が特集されている。そのなかでふと目にとまったのは、「ヨーグルト」がもたらすすばらしい効能の数々について解説されているページ。そこには、ある大学教授の聞き捨てならない「談話」が紹介されているのだった。それによると、長年「花粉症」に悩まされてきたその教授が、毎日500gのヨーグルトを欠かさず食べたところ、そのあくる年から「花粉症」の症状がまったくでなくなったというのだ。どうやら、ヨーグルトの摂取により腸内のなんちゃらとかいうグッドな菌がふえ、アレルギーにつよい体質がつくられたということらしい。

もともと胃腸は丈夫なほうでもないし、これは一石二鳥かもしれないというわけでここ一ヶ月ばかり、毎日400gのヨーグルトを食べている。まあ、たかだか一ヶ月ばかりで体質ががらっと変わるなんてことはないだろうから、ことしの春はやむをえないとしても、来年にはなんらかの「目を見はる成果」を期待せずにはいられない。だってそうだろう?そうでなきゃ、たんなるヨーグルトが好きなひとに終わってしまうではないか。

がんばれ!バイオ洗剤
2005.3.9|column

ひょんなことから、「バイオ洗剤」なるものを手にしたのだった。

説明によると、「微生物が汚れを落とす」のだという。界面活性剤をはじめ、ふつうの洗剤でよくみかける化学物質を一切つかっていないので手荒れの心配もないし、河川を汚すおそれもない。そればかりか、使用後の水は配水管や下水、河川までも浄化してしまうというのだから驚きだ。なにやら、すごい働きものの微生物たちである。それにしても、ぼくの場合うまれつき「左脳」がまひしているせいで、この「微生物が汚れを落とす」というのがうまく理解できない。どうしても、思い浮かぶのは「ホウキを手にしたたくさんの小人たちがいっしょうけんめい掃除している」姿である。いや、どうかんがえたってそれはちがうだろうとは思うのだが・・・。

いろいろな用途に使用できるというので、さっきからシュッシュ、シュッシュとあちらこちらで試している。スプレーしたらしばらく時間をおくようにとの話なのだが、思わず「がんばれ!」と声をかけたくなるのは、どうにも「ホウキを手にしたたくさんの小人たち」のイメージが拭い去れないせいである。もちろん、拭きとった後には「ごくろうさん」とねぎらいの言葉をかけることも忘れてはならない。なにせ「生きもの」なのだ。ヘソをまげて怠惰になられては困るのである。いまひとつ心配なのは、かれらは時間がたつとボトルの中で死んでしまったりはしないのだろうか。地上の汚れを落とすため、ホウキを手にうまれてきた勇猛な戦士たちを犬死にさせるわけにはいかないではないか。思う存分、汚れと闘うがよい!それ行けっ!シュッシュッ!などと、気づけばたかが「洗剤」の話が、いつのまにやら「ロード・オブ・ザ・リング」のようなことになっているのだった。

どうも「正しい『バイオ洗剤』の世界」からはどんどん脱線していってしまっているような気がするので、正しい情報をゲットしたい方は「ジオライフ」さんのサイトでどうぞ。

ナイト・オン・ザ・プラネット
2005.3.10|cinema

スクリーンのなかで「フィンランド」と出会ったのは、アキ・カウリスマキではなくジム・ジャームッシュがさいしょだった。

それは、おなじ日のおなじ時刻に、世界の5つの都市で起きるタクシーの車中での出来事を描いたオムニバス・フィルム『ナイト・オン・ザ・プラネット(原題 Night On Earth)』(1991)でのこと。この映画の、ぼくの記憶にまちがいがなければ、たしか最後のエピソードが《ヘルシンキ編》だったはずである。舞台は、真冬の早朝のヘルシンキ。ひと気のない大聖堂前の広場(元老院広場)を流す一台のタクシー、その氷に封じこまれたかのような光景に、まずは衝撃をうける。寡黙で無表情なタクシードライバーを演じるのは、アキの映画ではおなじみの故マッティ・ペロンパー(没後10年、なのですね)。そして乗客となる泥酔した三人の男たちもまた、アキ映画にはちょくちょく顔をだすおなじみのメンツ。そしてやがて、両者の間に悲惨な《不幸じまん》(?!)が繰り広げられるのだが・・・。

いまにして思えばこの作品、そのキャストもシナリオも、いわばジャームッシュによるアキ・カウリスマキへのトリビュートという性格をもっていたのですね。この映画をはじめて観た当時はそんなことはぜんぜん知りもせず、ただただその呆れかえるほどに陰うつな世界に「引いた」記憶しかない。いっしょに劇場でこの映画をみた女の子は、映画館をでた後、「絶対行きたくない」とつぶやいた。その意見にはまったく同感、のはずだったのだが、いまはこんなことしているのだから人生なんてわからんもんですよ。

アキ景色
2005.3.11|cinema

フィンランドへ行くことがきまって、アキ・カウリスマキの映画をみた。予習のつもりで、『マッチ工場の少女』と『浮き雲』の二本をみたはずだ。当然のことだが、「予習」になどなりやしなかった。仕方がないので、ほかの作品もみてみることにした。そしてようやく、これらの映画を「たのしいフィンランド旅行」のまえにみてしまったじぶんの「過ち」に気づいたのだった。

寒々しい景色、いつもつまらなさそうな顔をしている登場人物たち、不意にあらわれる暴漢、無表情のまま突飛のない行動にでるひとびと、酔っぱらい・・・おもいっきり不安な気持ちを抱えたまま、ぼくは生まれてはじめてフィンランドの地に降り立った。アブナイひとびとがうごめいているという「フィンランド」に対するぼくのイメージは、すぐさま誤りであることに気づいた。そこは、ごくフツーのひとびとが、ごくフツーに暮らしている、ごくごくフツーの国であった。

では、アキの映画に描かれている「フィンランド」がまったくのデタラメなのかといえば、そんなことはない。多少のデフォルメはほどこされているにせよ、街を歩けば、しばしばあたかもアキの映画のワンシーンであるかのような光景と出くわしたりもするのだ。たとえば、去年トゥルクという街をたずねたときには、白昼、街路でうつぶせになって倒れている大男を目撃した。そして、その大男のかたわらを何事もなかったのようにファミリーが歩き去ってゆくのだから、またなんともシュールな光景である。

こうして、フィンランドでそんなアキ・カウリスマキの映画を彷佛とさせる光景やひとびとを発見するのは、いまやぼくの密かな愉しみでさえある。美しい建築や洗練されたデザインばかりでないイケてないフィンランドが、またどうにも愛おしかったりするのだ。

For Nordic Music Lovers
2005.3.12|music

春にふさわしい、北欧関連の音楽イベントをふたつご紹介。

まずは、フィンランドの大作曲家ジャン・シベリウスを愛好するアマチュア演奏家たちによって結成されたアイノラ交響楽団の第2回定期演奏会から。

メインは、素朴で力強い「交響曲第1番」。そして、これに先立つ10年間に完成されたふたつの作品、「序曲ホ長調」、そして「劇音楽《クリスティアン2世》(全曲版)」が演奏されます。どちらもめったに演奏されることのない初期の作品だけに、今回はナマで聴くことのできる貴重なチャンスといえそうです。

ところで、これらの作品が完成された19世紀末のフィンランドといえば、「カレワラ」を題材にたくさんの作品をのこした画家 ガレン=カッレラやヘルシンキ駅を設計した建築家エリエル・サーリネンらが、じぶんたちの民族的ルーツを「芸術」を通じてアピールしようという熱い意気にみちた時代でした。若きシベリウスの音楽に、そんな「時代の空気」を感じとってみるのもよいでしょう。

タクトをとるのは、指揮者の新田ユリさん。初来日公演が、いまでも音楽好きのあいだで語りぐさになっているラハティ交響楽団を率いるオスモ・ヴァンスカのもとで研鑽を積んだ本格派です。シベリウスの音楽はやっぱりフィンランドの「空気」を知っている人間が演奏してこそ、というわけで、とてもたのしみです。コンサートは大田区民ホール アプリコ大ホール(JR蒲田駅徒歩3分)にて、3/20[日]14時開演です。全席自由1,500円。

つづいては、スウェーデンの清新なトラッド=フォーク・トリオFRIFOT(フリーフォート)のライブ情報。

ヨーロッパのトラッド音楽というと、まずまっさきに思い出されるのはアイルランド、ケルトの音楽だったりするのですが、じつはいまいちばん目が離せないのはスカンジナヴィアのトラッド=フォークなのだとか。実際、スウェーデンやフィンランドをはじめとする北欧の国々ではトラッド音楽の研究、教育、演奏がとても熱心になされていて、CDもたくさんリリースされています。またフィンランドのVARTTINA(ヴァルッティナ)などもそうですが、伝統的な音楽に対しても既成の枠組みにとらわれず、モダンな解釈をどん欲に試みてゆく果敢さに北欧のトラッド音楽の担い手たちに共通の姿勢をみてとることができるようにおもいます。

いま、フリーフォートの音源をききながらこの文章を書いているのですが、ひとことでいうなら心洗われるようなヒューマンな音楽という印象。「古臭い」とか「難しい」、「窮屈」といったイメージはまるでありませんね。なお今回の公演では、以前からフリーフォートの音楽に心惹かれていたというジャズピアニスト佐藤允彦がゲスト出演してのセッションも予定されているとのこと。ドイツのフリー系ジャズの名門レーベル「ECM」からもアルバムをリリースしている彼らだけに、ジャンルを超えたスリリングな音のやりとりが期待できそうです。ライブは、キリスト品川教会 グローリア・チャペルにて4/6[水]19時開演。全席自由、前売4,500円/当日5,000円。

連休します。
2005.3.13|column

ひと仕事終え、隠れメニュー(?!)「黒みつコーヒーフロート」で「ひとりおつかれ会」(たんなる「残飯処理」とのウワサも・・・)。

ところで、あす14[月]、15[火]は「連休」させていただきます。全身全霊をこめて「確定申告」にいそしみたいとおもいます。ちなみにそれを「夏休みの宿題」にたとえるなら、さしずめきょうは8/29の気分です(泣)。言うまでもなく、かなーりブルー、です。

よいこのみんなは絶対にマネしないでください。

ホワイトデー
2005.3.14|column

「今日、会えますか?」という件名のメールが届きました。差出人は、じぶんのメールアドレスでした・・・。なんでホワイトデーに、自分で自分に会わなきゃいけないんだよぉ~。

まったく、ふざけるな!!!と言いたいです。

なんとかかんとか...
2005.3.15|column

かけこみで、確定申告を済ませてきました。あらためて言うまでもないことですけど、やはり一年分を二日足らずで片づけるというのは並大抵のことではないですね・・・つかれました。

おなじように、きょうあたり税務署を訪れるひとたちの顔をながめてみると、きっと子供のころは泣きながら8/31の夜に宿題をやっていたのだろうなといった、みんななんだかのんきな顔をしているのがやけにおかしかったです。もちろんじぶんを含めて、ですけどね。

春の陽気に誘われて...
2005.3.16|cafe

春の陽気に誘われてか、きょうのmoiには平日だというのにずいぶんとたくさんのお客さまがお茶しにいらしてくださいました。

moiの場合、断然「週末」のほうがお客さまがおおく、「平日」とくらべるとざっと倍くらいちがったりするのですが、きょうはなんとその週末をもしのぐ勢いで、「いったいどうなっちゃってるのー?!」と目をマルくしながら仕事していました。

いっぽう国立のWILL cafeさんも、「ダイアリー」によるとふだんよりもお客さまがおおかったとのこと。そうなると、原因はやはり陽気のせいということになりそうです。

桜の開花をまつまでもなく、客商売の身にとって「春の到来」は、意外にもそんな身近なところに感じられるものなのかもしれません。

the smallest cafe in the world
2005.3.18|cafe

いかにmoiがちいさいか、それはいちどでもmoiを訪れたことのあるひとなら承知済み。そんなmoiの広さはといえば、およそ6坪弱、わかりやすくいえばざっと12畳ほどの広さということになる。カウンターオンリーの店ならいざしらず、テーブル席のみのカフェとしてはたぶん極小の部類にはいるのではないだろうか。これだけちいさいと、いまひとつ落ち着かないなぁという感想を抱くひともいるかもしれない。作業スペースや収納スペースがほとんどないぶん、オペレーションする側にとっても苦労はつきない。

それでも、店内を仕切る白木のフレームや皿を立てかけて収納するディスプレイ棚、入り口の引き戸など、いまとなってはmoiならではの空間を構成する、いわば「顔」のような要素の数々がことごとく、この狭小スペースをいかにして有効に活用するかという苦心から生まれた賜物であることを思えば、それはそれでわるくなかったのかもしれない。必然的な理由から生まれたものはつねに美しい、のである。

けれども、この世の中には上には上(下には下?)がいるものだ。大阪は難波にある喫茶店、その名もずばり「コーヒースモール」は、なんと4畳(!)ほどという立派なまでの狭小ぶり。つまり、moiのおよそ1/3ってこと?!なんでもマダムは、かの京都の喫茶店「六曜社」(あ、もちろん「1階」のほうですね)の「第一号ウェイトレス」だったそうで、なかなか由緒正しきスモーレストカフェである。しかも、イスもテーブルも小柄なマダムに合わせてぜんぶ「スモールサイズ」と徹底している。

興味のあるかたは、関西エリアの情報誌『Meets Regional(ミーツ)』4月号の特集《ザ・純喫茶》でぜひご確認を!

オレ流
2005.3.19|cafe

きのうに続き、関西の情報誌『Meets Regional(ミーツ)』4月号からの「喫茶店ネタ」を。

関西には、東京とはくらべものにならないほど数々の「老舗喫茶店」が存在している。そしてまたこうした「老舗喫茶店」は、たいていひどく個性的なやりかたでコーヒーを抽出する。おたまで熱湯をじゃぶじゃぶ投入する京都のイノダコーヒ、企業秘密の特製ドリッパー(画像 ヴェトナムコーヒーで使うそれにちょっと似ている)で濃厚なコーヒーを抽出する大阪の丸福珈琲店、それにコーヒーの粉をナベでぐつぐつ煮出してつくる平岡珈琲店など、よそでは見たことも聞いたこともないようなまさに「オレ流」こそがかれらの流儀だ。

よく「おいしいコーヒーを淹れるには」といったたぐいの本をみると、「正しい抽出の方法」が図解入りでていねいに説明されていて、それはそれでたしかに理にかなったひとつのメソッドであるにはちがいないのだけれど、そのいっぽうで自分だけのおいしいコーヒーをもとめてあれこれ試行錯誤をくりかえすこともまた、ほかならぬ《コーヒーのたのしみ》ではないだろうか。そして堂々と「オレ流」を貫徹する関西の「老舗喫茶店」からは、「理屈はさておき、まぁ飲んでみなよ」という豪放な「珈琲道楽たち」の声が聞こえてくるかのようだ。

つくづくコーヒーとは、懐の深い飲み物である。

ムムッ・・・予兆だったのか?
2005.3.20|nature

じつはいま、すっごく悔やんでます・・・。

CDプレーヤーが壊れてしまった・・・という話は、以前このこのブログで書いたので憶えているかたもきっといらっしゃることでしょう。ところが不思議なことに、故障はその数時間だけで、その後はまるで何ごともなかったかのように直ってしまったのでした。そして、茨城県で震度5弱を記録した「地震」が発生したのは、ちょうどそのCDプレーヤーのナゾの故障から一週間後のこと。そんなことがあって、もしやあの「故障」は「地震の前ぶれ」だったのかも・・・なんて、べつの日のブログであらためて書いたりしました。もちろんそのときは半信半疑でしたけれど。

ふたたびCDプレーヤーが壊れたのはこのまえの木曜日のこと。症状は前回とおなじ。もちろん原因は不明。今回はほぼまる一日ダメでした。しかたがないので、その日はなんとかアナログレコードで乗り切りました(ひまだったのがせめてもの救い・・・混んでいたらレコードをひっくり返している余裕なんてありませんから)。それにしても、それまではなにひとつ問題なく作動していたし、その後もおなじように作動しているのだから、おかしな話です。となると・・・もしや近々また大きめな「地震」がおこるのでは?というわけでさっそくブログのネタにしようと思ったのですが、忙しさにかまけてすこしばかりサボっているうちに、なんと本当に起きちゃいましたよ!地震が!福岡、佐賀で震度6弱を記録するマグニチュード推定7.0の大きな地震でした。

じつは、前回のときは故障からちょうど一週間後の発生だったため、今回も起こるとしたら「Xデー」は23~25日あたりかななどと漠然とかんがえていました。失敗。すぐさまアップするべきでしたね~。というわけで、万が一また原因不明の故障が発生した場合には、とにもかくにもいのいちばんに記事をアップしようと、バリバリ作動中のCDを聴きつつ心に誓う店主であります。もちろん、何ごとも起こらなかったのならばそれはそれでよし、たんなる故障、とっとと買い替えろよ!って話ですよね。了解!

念には念を
2005.3.21|nature

おなじみ(?!)N本クンから「写メール」(画像参考)が届いた。ぼくがよく、このブログに「地震ネタ」を書いているのを知っていてのことである。

メールによると、「☆21日の5時頃、多摩川(府中:是政橋)から見た西の空に、渦巻き型の地震雲かなぁ…それらしきものが。」とのこと。この画像だけでは判然とはしないのだけれど、たしかに典型的な「地震雲」に見えなくもない(阪神淡路大震災の前兆証言をまとめた本の表紙写真の「雲」とくらべてほしい)。

きのうのブログでは、(ぜんぜん確証はないものの)17日の「CDプレーヤー」の原因不明の故障を20日の福岡での地震の「もしや前兆だったのかも・・・」などと結論づけてみたりしたのだが、もしかしたらじつは「該当する地震はまだ起こっていない」という可能性もある。おどかすつもりは毛頭ないし、そもそも「いつ/どこで/どのくらいの規模の」地震が起こるかが明言できない以上予知とすらいえないのだが、念には念をいれて高い所にある安定のわるいものは下ろすとか、非常食や飲料水の準備をするといった心構えを徹底するにはよい機会かもしれない。起こるとしても「大震災」ではないと思うけれど、とりあえず気になったので書いておくことにした。なにも起こらないことを祈るばかり。

それにしてもこのブログ、「カフェ」からはずいぶんと脱線してしまった・・・(苦笑)。

セルゲイ・ハチャトゥリャン
2005.3.22|music

偶然テレビで目にした若いヴァイオリニストの演奏に、すっかり心奪われてしまった。

ヴァイオリニストの名前はセルゲイ・ハチャトゥリャン。アルメニア出身で、今年20歳になる。テレビでみかけたときには、バイオグラフィーはおろか彼の名前すらも知らなかった。それでも、彼がたぐいまれな音楽性の持ち主であることは一瞬にして理解できる。音色のうつくしさ(彼は18世紀につくられた名器「ガダニーニ」を弾いている)もさることながら、神経のゆきとどいた微妙な強弱や粘り気のある独特の歌い回しなど、その演奏はとても個性的であると同時に、その年齢にはみあわない悠然とした足取りには、すでに熟成された「風格」のようなものすら漂っているのだった。「天才」だ、と直感した。

というわけで、さっそく彼、セルゲイ・ハチャトゥリャンのCDを手にいれた。2003年にフランスの「naive」というレーベルからリリースされたもので、シベリウスと母国の同姓の作曲家ハチャトゥリャンの「ヴァイオリン協奏曲」とがカップリングされている。ライナーによると、なんと彼は2000年、15歳のときにすでに、フィンランドでおこなわれた「シベリウス国際音楽コンクール」で史上最年少での優勝を果たしているとのこと。じっさい、ここできかれるシベリウスはほんとうに心を打つ。

ハチャトゥリャンにとって「フィンランド」という国は、じぶんのキャリアにとって重要な意味をもつ「栄冠」を手にした場所という以上に、もっと特別な場所であるらしい。「フィンランドという国の《空気》にとても強く感じるものがあった」と言う彼は、また、シベリウスの作品を演奏するにあたって「フィンランドの景観がもたらす深遠な感覚にどっぷりとつかった」とものべている(意訳で失礼!)。彼の弾くシベリウスに「匂い」があるのは、こうした一歩踏みこんだ解釈あってこそにちがいない。

と、まぁなんだかベタぼめなわけだが、このCDはじっさいもっととくさんのひとたちに聴かれてしかるべきだと確信しているので、ここでこうして紹介している。

余談だが、いま手元にある輸入盤は「デジパック仕様」、しかもクラシックらしからぬきれいなデザインでおすすめ。

店主、大いに語る?!
2005.3.23|event

杉並区の児童青少年センターというところからの依頼で、「カフェオーナーの仕事を知ろう」をテーマに参加を希望した中高生たちにお話しをする機会がありました。

あいにくの土砂降り雨の中、参加してくれたのは15~18才までの女の子。じっさいにmoiに足をはこんでもらい、「カフェができるまで」「日々のしごと」といったことがらを中心に、およそ2時間あまりお話しをしました。相手が中高生ということもあり、あらかじめ中身をきめることはせずに、彼女たちの興味や関心にあわせて話をすすめてゆくことに。すこし話をしたところで、想像以上にみんなじぶんの将来や仕事に対する意識が高いことに気づきました。じぶんが中高生だったころとくらべると、みんなずっとしっかりしているし「おとな」かも・・・。

当初の予定より参加者がすくなかったので、後半は急きょ、カウンターにはいりアドバイスをうけながらコーヒーを淹れる「実習タイム」を敢行。じぶんでドリップしたコーヒーを、「おいしい、おいしい」と目を輝かせながら口にはこぶ彼女たちのすがたは、なんともいえずほほえましい光景でした。

「目標にむかってまっすぐ進め!」なんてかっこいいセリフは口が裂けても言えやしませんが、そのときどきの「心持ち」にしたがって日々たのしく仕事している(ラクに仕事しているという意味じゃありませんよ。念のため。)ということがほんのちょっとでも伝わったなら、たぶんそれで十分なんじゃないかと思います。

池ノ上~下北沢
2005.3.24|food & drink

ひさしぶりに晩メシでも、という友人からの誘いで、ゆうべは池ノ上にあるワインバー「the apprtment」に行ってきた。その名のとおり、外観はごくフツーのアパートの趣き、というよりはアパートそのまんまで扉をあけるのにほんのすこし勇気が必要だが、一歩はいってしまえばこじんまりとしてカジュアルなワインバーである。料理はイタリアンベースの創作料理で、ワインとの相性をかんがえてか、素材や味つけにはちょっとだけクセがあってなかなかおいしかった。ぼくはほとんど飲めないので、イタリア産の軽めの白ワインをグラスで一杯だけ。

その後はぶらぶらとあるいて下北沢へ移動、「トロワシャンブル」で酔いざましのコーヒーブレイク。ジャワ・ロブスタのストレートがあるのがめずらしく、苦味の強いコーヒーできりっとさせたかったのもあってそれにする。煤けたカベ、薄暗い店内、そしてコーヒーの香り。せわしなかった一日のしめくくりは、すこしだけ大きめの音量でかかるニーナ・シモン、まさにパーフェクト。

太鼓判!葉山でアキ!
2005.3.25|cinema

アキ・カウリスマキによる《都会のちいさなおとぎ話》といえば、そう、「浮き雲」ですよね。その映画「浮き雲」の「とにかくスペシャル」な上映会のおしらせが、おなじみキノ・イグルー[Kino Iglu]からとどきました。

日にちは、4/16[土]・17[日]の二日間、昼、夕方、夜と各日3回の開催です。会場になるのは、葉山のとてもすてきなかわいいギャラリー「haco(ハコ)」。ぜいたくなことに、このイベント、なんと一回の定員はたったの8名(!) 、しかも昼、夕方、夜とそれぞれ異なる「テイスト」をかんがえているというから、それもたのしみです。

じつは、この上映会を企画した「キノ・イグルー」がアキ・カウリスマキの作品をとりあげるのは今回が初めてのこと。まえにもふれましたが、かれら「Kino Iglu」の名づけ親はアキ・カウリスマキそのひとということもあり、まさに満を持しての登場といえそうです。「キノ・イグルー」のおふたりにとっても特別な夕べになるのでは?

ところで、このブログを読んでくださっているひとならきっと、いちどはこの「浮き雲」という作品をごらんになっていることとおもいます。かく言うぼくも、けっして派手ではないけれど、じわっとしあわせな余韻がひろがるこの映画を、ビデオやDVDでいちどならず観ています。でもこういう作品こそ、ほんとうはだれかといっしょに観て、余韻をわかちあいたい、そんなふうにもかんがえるのです。そしてこの上映会はまさに、そうした欲求をかなえてくれるものになるでしょう。

春の宵、映画の余韻にひたりつつ、海風に吹かれて家路につく、そんな最高の「お膳立て」まで用意された今回のイベント、ぜったい参加して損はないですよ。

お問い合わせ、お申し込みは「キノ・イグルー」へ、急いでどうぞ。

ichさん、ご指摘ありがとうございました。

All About
2005.3.26|publicity

ある程度インターネットを使いこなしているひとなら、きっといちどは目にしているであろうサイト、「All About」。「その道のプロが、あなたをガイド」をコンセプトに、ファッションから財テクまで幅広いカテゴリーをカヴァーしたテーマ別リンク集である。

その「All About」にちかごろ登場したのが、「All About [カフェごはん]」。ガイドをつとめるのはサイト「東京カフェマニア」を主宰するサマンサさんこと、川口葉子さん。

いわゆる「カフェごはん」のレシピや「お取り寄せ」情報、ちまたのカフェでよくみかける雑貨やキッチンツールを購入できるショップ情報などなど、ありがちな「カフェ案内」とは一線を劃した「プロ」の視点から「カフェ」の多様なたのしみ方が提案されています。

そしてなんといっても圧巻なのは、エリア別に網羅された「カフェ」のリンク集。「東京」のみならず、「関東」「関西」「日本全国」というカテゴリーから、さらに細かくエリア別に「カフェ」を検索することができます。おそらく、ここまでトータルに押さえられた「カフェガイド」は、いままでどこにも存在していなかったのではないでしょうか?よく、旅行や所用であたらしい街、見知らぬ街にでかける際には、あらかじめその街のカフェの場所を調べておいたりします。ぼくの場合はふつう、Googleなどの検索エンジンをたよりに「荻窪 カフェ」といった具合に検索していました。けれどもこのリンク集を活用すれば、かなり効率よく好みのカフェを見つけだすことができそうです。ちなみにmoiも、「東京のカフェ」→「杉並・世田谷・中野区のカフェ」でリンクを貼っていただいています。

とても便利なこの「All About [カフェごはん]」、さっそくブックマークされることをおすすめします。

禁断のTV出演
2005.3.27|cafe

ついに(?!)というべきか、禁断の「テレビ取材」をひきうけてしまった。

これまでもテレビ取材の依頼はなかったわけではないが、すべて理由をつけてお断りしてきた。べつに、もったいぶっているわけではなく、ただ、テレビで紹介される「moi」の姿がイメージできなかったからにほかならない。moiのよいところは、じっさいに足を運んでいただかないことにはちゃんと伝わらないような気がしている。ところが映像というのは「わかった気にさせてしまう」メディアである。「編集」というフィルターが介在していることをわすれて、ひとはつい映像として目にしたものを事実として受け入れてしまいがちだ。でもそれはちがう。moiとはたぶん、その空気であり、そこにながれる時間である。映像がそれをとらえるのは容易なことではない。かといって、短いコメントでその「空気」なり「時間」なりを的確に伝えるだけの「ことば」をぼくは持ちあわせていない。とても残念なことだけれど。

今回、依頼をひきうけるにあたっても、当然「不安」がなかったわけではない。いや、じっさい、この話が川口さんからの紹介でなかったなら、おそらくはひきうけていなかったにちがいない。川口さんとは、前回のブログでもとりあげた「東京カフェマニア」を主宰する川口葉子さんのこと、である。この超有名サイトが、一個人の力によって運営されているという事実をはたしてどれだけのひとが知っているだろう。その作業量ときたら、おそらく「趣味」の範囲をはるかに超えているはずである。他人にはいえない悩みや苦労も少なくないだろう。川口さんの、カフェという「場」にたいする並々ならぬ愛着あってこそ、このサイトもまたいきているのである。そんな川口さんの「この番組はコーヒーとそれを大事に思う人々の姿を描こうというもので、真面目な取り組みに共感し、協力させていただくことにしました」という言葉に、微力ながら協力できることがあればという気にさせられたのだった。

この日、閉店後にその番組の収録はおこなわれた。結論からいえば、今回この取材をひきうけてよかった、とおもった。ディレクターの斎藤さんは、自宅ではご自分でコーヒーを淹れるような「こだわり」のある方(三才になるお子さんは、なんとすでにブラックでコーヒーをのむらしい)で、「コーヒー」にたいしてひとかたならぬ「思い入れ」をお持ちの方とお見受けした。収録は、まず川口さんへのインタビュー、そしてそれを受けてぼくがインタビューに答えるという順序で進行したのだが、そのときmoiのちいさな空間には、たしかに、「一杯のコーヒーのある場所とそこにながれる時間」を愛するひとたちから生まれるある親密な空気が充満しているのをかんじた。そしてまた、もしかしたらその空気がカメラをつうじて観るひとに伝わるかもしれない、ともおもったし、すくなくとも、その番組はしっかり手応えのあるものに仕上がるだろうことを確信した。

この先も、moiがブラウン管に登場することはあまりないかもしれない。けれども、こんな真摯な「つくり手」からの誘いなら甘んじてのってみるのも悪くないな、いまはそんなふうにかんじている。

※番組は、日本におけるコーヒーショップとその周辺を歴史的に検証するドキュメンタリーで、オンエアは「ヒストリーチャンネル」です。番組では、泣く子も黙る(?!)銀座「カフェ・ド・ランブル」の重鎮・関口一郎氏、南千住「カフェ・バッハ」の田口護氏らもインタビューで登場されるそうですよ。ちなみに、幸か不幸か(笑)ケーブル未加入のわが家ではオンエアをみることはできません。

おでかけ
2005.3.28|column

6歳になる姪っ子と連れだって、お散歩にでかけた。

あいにくの(「花粉症」に悩まされる身としては「恵みの雨」だけれど)雨模様ということもあって、北の丸公園にある「科学技術館」へとむかった。ここはその名のとおり、《巨大な理科教室》のような場所で、ただ「見る」だけでなく、じっさいにからだを使ってたのしめる数々のアトラクションが用意されている。したがって、来月からようやく小学生になる姪っ子にとってもそれなりにたのしい場所かもしれない、そうかんがえたわけだ。ぼくもまた、こどものころはよく親に連れられ、あるいはともだちとともに訪れては遊びまくった記憶がある(にもかかわらず、「科学」にたいする理解はいっこうに深まりはしなかったけれど)。

春休み、しかも当日は「無料開放日」だったこともあり、雨の月曜日にもかかわらず館内はこどもたちの歓声がひびきわたる相当な賑やかさだった。とりわけこどもたちに人気があったのは、5階の常設展示『FOREST:遊び・創造・発見の森』。ここは、アーティストのタナカノリユキ氏と心理学者でカリフォルニア工科大学教授の下條信輔氏とのコラボレーションにより誕生した空間で、「遊び」を通してこどもたちの好奇心を刺戟するようなアイデアが各所にちりばめられている。姪っ子は、おおきく傾いた壁と天井のおかげで「平衡感覚」を失ってしまう「座標の部屋」というアトラクションがお気に召した様子で、なんども出入りしては歓声をあげていた。

さんざんあそんであそび疲れたと思いきや、姪っ子はまだまだあそび足りないといった様子でキョロキョロと館内を見回していたが、いいかげんこちらの体力がもたないのでなんとか言いくるめて帰途についたのだった。

それにしても、今週は中高生相手に「先生まがい」のことをしたり、TVカメラの前でしゃべったり、「こども連れでおでかけ」したりと、ふだんやりつけないことを一気にこなしてすこし疲れたけれど、なかなか得難い経験をさせてもらった愉快な一週間だった。

またしてもCDプレーヤーが
2005.3.29|nature

けさのニュース報道によると、スマトラ半島沖でふたたび地震が発生したらしい。M8.7という、これまでで最大規模の余震とされている。そんななか、みたびCDプレーヤーが故障した。

日曜日の閉店後、それまでまったく問題なく作動していたCDプレーヤーが、またしても突然うんともすんともいわなくなってしまったのだ。その日はそのままダメ、月曜日はお休みだったので状況はわからないが、きょうは朝からいつも通りふつうに作動しているのだから、まったくもってワケがわからない。

先週の中ごろからなんとなく不穏な気配を感じているのだけれど、いまだに該当するような地震は発生していない。地震雲(らしきもの)の報告などさかんになされているものの、低気圧がひんぱんにやってくるここのところの気象状況ではなんともいえない。けっきょくのところ確証はまったくないのだけれど、30[水]から4/4[月]くらいまでが要注意日とみて、わが家ではきのう買ってきた飲料水と非常食を枕元において寝ている。いまのところ、CDプレーヤー様の「お告げ」はわが家ではそれ相応の説得力をキープしているのだ。

いざというときに役に立つかどうかはともかく、最小限の備えは多少の安心感にはつながっているようにおもう。

フィンランドカフェ
2005.3.30|cafe

フィンランドカフェと呼ばれることのおおい、ちかごろのmoiである。

面白いのは、いまだかつてただの一度だってみずから「フィンランドカフェ」と名乗ったことはないという事実だ。そもそも、「フィンランドカフェ」ということばじたい不思議だ。おそらく、moiがオープンしたのとおなじ2002年からスタートしたフィンランド政府観光局主催のイベント名からきているのだと想像する。

ところで、moiの正式名称は「moi(モイ)」である。雑誌の紹介記事などで、お店の性格をはっきり示さなければならないというときには、やむなく「カフェ moi」と名乗ることもある。原則として、ただの「moi」で押し通している理由はふたつ。ひとつは、「カフェ」という業態にとらわれず、そのときどきで自由にスタイルをえらびたかったから。もうひとつは、そこがどのような場所であるかはお客さまが決めることと思っていたから、である。だから、moiはあるひとにとっては「カフェ」であるかもしれないが、あるひとにとっては「喫茶店」、あるいはたんなる「寄り合い所」、またべつのあるひとにとっては「ギャラリー」であるかもしれない。そうしてそれはたぶん、すべて正しい。「フィンランドカフェ」と呼ばれれば、「なるほど、そうかウチは『フィンランドカフェ』なんだな」とあらためて思うし、ときには「もうちょっと『フィンランドカフェ』らしいこともしなきゃな」などと反省(?)したりもする。

個人的なことをいえば、とりたてて「フィンランド限定」にしているわけではなく、ぼくの関心はいつも北欧全般に、ある。じっさい、フィン・ユールの椅子もすきだし、スウェディッシュポップスやジャズも聴く。フィヨルドだって、この目でいちどはみてみたい。そういうわけなので、スカンジナヴィアンなあなたもぜひ、北欧カフェだとおもって気兼ねせずお越しになってください。べつに怒ったり、喧嘩を売ったりしませんから(笑)。

moiの旅講座、開講です
2005.3.31|event

早耳のあなたに?! 新着情報をひとつ。

フィンランドを旅するひと、旅したいひとを対象に、このほどmoiではフィンランドの旅をめいっぱい楽しむための「ヒント」を満載した講座を開講することとなりました。名づけて、

『moiの旅講座*フィンランド』

「北欧ブーム」などといわれ、ちかごろでは雑誌の特集などにも登場する機会のふえた「フィンランド」ですが、「いざ旅に!」と思うとまだまだ情報がすくないのが現実です。ガイドブックに登場するショップや観光スポットもおなじところばかり・・・。そこでこの「moiの旅講座*フィンランド」では、観光情報のみならず、さまざまな角度からフィンランドの旅を満喫するためのヒントを伝授します!

講座は全2回(各1時間30分/隔週)完結。ガイドは、フィンランド留学経験をもち、現在フィンランド語教師、翻訳業など多岐にわたってフィンランドと関係した仕事に携わっている日本人講師がつとめます。内容は、三本だて。

* きほん情報
定番の観光スポットや季節ごとのみどころはもちろん、ガイドブックに載っていない「穴場」までこっそり教えちゃいます。

* お役立ち情報
言語や気候、服装のこと。トラムやメトロの乗り方、スーパーマーケットでの買い物の仕方など、知っていると便利な小ワザ(Tips)の数々を伝授。

* 旅のフィンランド語
トイレのドアの「M」と「N」、どっちが「男」でどっちが「女」?!「KASSA」?!「avoinna」?!・・・街でほとんど「英語」の表記を見かけないフィンランドだからこそ、ちょっとしたフィンランド語の知識が役立ちます。もちろん、ちょっとした「あいさつ」など、現地で使えるかんたんなフィンランド語会話もさわりだけ。

ほかにも、カフェオーナーの「目」でみたおすすめカフェやショップなどmoiならではの情報もご紹介する予定。お楽しみに!

この夏、旅行の計画を立てているひとも、いつか行きたいとおもっているひとも、次回はもっとじっくり歩いてみたいとかんがえているひとも、ぜひぜひ「moiの旅講座*フィンランド」でばっちり予習してください!

◎ moiの旅講座*フィンランド(全2回)

 日 時 お問い合わせください 
 会 場 moi(荻窪)
 受講料 5,600円(2回分/税込み)
 人 数 10名(定員になり次第〆切)

なお、ご興味のある方には詳細が確定次第いち早くメールにてご案内を差し上げます。「旅講座案内希望」と明記の上、メールをお送りください。

2005.4
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