「個性あるカフェの器」という特集記事のための雑誌取材がありました。雑誌「料理王国」の6月号(5/6発売)に掲載の予定(カラー 1/2ページ)です。書店などでみかけたら、ぜひごらんになってみてください。
「うつわ」の特集ということで、今回の「主役」はもちろん梅田弘樹さんデザインによるオリジナルのコーヒー&ティーカップセット「eclipse(エクリプス)」。みなさんからの購入希望のリクエストも多いこの「うつわ」ですが、今秋ごろの発売をめざして梅田さんをまじえ現在調整中です。販売にあたってはさまざまな問題も多く、プライスはやや高めの設定になってしまうかもしれませんが、できるだけみなさんの手元に等しく届けられることを優先したいとかんがえています。おたのしみに!(なお、この件については発売が正式に確定した時点であらためてご報告させていただきます。事前のお問い合わせにはお答えできませんのでご了承ください)。
ちなみに梅田さんは、先日7年間にわたるフィンランドでの生活にピリオドをうち帰国されました。いま日本でいちばん熱い街(?!)・仙台の東北工業大学で後進の指導にあたるかたわら、デザイナーとしての仕事にもいっそう意欲的に取り組んでゆくとのことなので、今後の梅田弘樹さんとSTUDIO UMEの活動にますます注目してゆきましょう!
春の企画展として約一ヶ月にわたり開催した作家・柏木江里子さんの展示「パターンは踊る」展は、本日をもちまして終了いたしました。会期中、足を運んでくださったみなさまどうもありがとうございます。
会期中、日々ふれていた柏木さんの「パターン」は、はなれて見ている分にはとても柔らかな印象があるのですが、ちかくで見るとその「柔らかさ」を引き立てるためにつよい「線」が繊細かつ緻密な心遣いのもと効果的に配されている奥行きを感じさせるものでした。作家の柏木さんもまたその作品のイメージ同様とてもすてきな方で、ぼくの中では作品の印象と作家さんの印象とが見事に重なりあう感じでした。
moiの空間にふわりとやさしい春の風を呼びこんでくれた今回の展示の終わりを待っていたかのように、まちには桜の花が咲きはじめました。春本番です。
深夜の東京、ぐらりときましたね。震源は福島県沖で、マグニチュードは5.4。福島、茨城で震度4、東京は体感的には震度2くらいかな、という感じでした。
むりやりこじつけるなら、先日のCDプレーヤー様の「お告げ」はこれだったのでしょうか。勝手に、マグニチュード6クラスを想定していたので思ったよりはちいさかったのですが、「30[水]から4/4[月]くらいまでが要注意日」という「お告げ」通りで、偶然にしては相変わらずタイミングよくくるよなぁという印象です。もうしばらくは「CDプレーヤー様」の「お告げ」に耳をかたむけておこうかな。ただ、営業的にも、しょっちゅう壊れるのだけは勘弁してもらいたいものですね。とくに「週末」は。
先日こちらでご案内させていただいた「moiの旅講座*フィンランド」ですが、現在みなさまからの「案内希望メール」を受付中です。
すでにメールをいただいたみなさま、どうもありがとうございます。また、あたたかいメッセージを添えて下さったみなさまには、本来ならおひとりおひとりに返信を差し上げたいところなのですが、この場を借りてお礼申し上げます。どうもありがとうございます!
この「moiの旅講座*フィンランド」の詳細および申し込み開始のご案内は、来週早々にあらかじめメールをいただいたみなさんに優先的に一斉にお送りする予定です。お申し込みは、先着順・メールのみでの受け付けとさせていただきますので、この講座に関心をおもちのかたはぜひあらかじめ「案内希望メール」をお送りいただけますようお願い致します(万が一、早々に定員に達した場合には当店サイト、およびこちらのブログ等での「告知/募集」は行いません)。
なお、今回は「夏バージョン」ということで、お話の内容も「夏の旅」にスポットをあてたものになりますのでご了承ください。なお、「はじめてフィンランドを訪れる」という方にも理解しやすいよう、「入門」的な基本情報を多く含んだ内容となる予定です。
では、みなさまからの「案内希望メール」お待ちしております!お早めにどうぞ!
のどが痛い。のどがあまりに痛くて、夜中に目がさめた。たぶん「花粉症」のせいだろうが、「かぜ」という線も捨て切れない。おかげで朝から「のどあめ」が手放せない。と、まあ、そんなこんなはあるわけだが、せっかく春になったので、こんなCDを引っ張りだしてきた。THE 3 SOUNDSの「Out Of This World」。
真冬のブ厚い上着がいらなくなって、身も心も軽くなるこの季節にはいつも彼らの音楽が恋しくなるのだ。こうして、このCDを合図に《耳の衣がえ》がはじまる。なんといってもTHE 3 SOUNDSの魅力は、この季節にふさわしいココロ浮き立つようなカジュアルさを運んでくれるところにある。カジュアルだけれども、けっしてラフではない。ジャケットははおっているがネクタイは締めない、そんな絶妙な肩のチカラの抜け具合がその気持ちよさのツボである。
ライナーノーツによると、このアルバムは彼らが「BLUE NOTE」にのこした最後の作品のアウト・テイク集なのだそうだ。あるいは、このアルバムのくつろいだ空気はそんなエピソードから生まれてきたものといえるかもしれない。
薄い布のような春の夜風をふわりと身にまとったら、「Girl Of My Dreams」のテンポで足どりも軽く、さあ歩こう。
moiであつかっている「雑貨」のなかから、きょうは「HUOPA[フオパ]」をご紹介します。
フィンランド語で「フェルト」という意味をもつこの「HUOPA」は、その名前のとおり、フェルトでつくられた「携帯用ジュエリーケース」です。GWや夏休みにむけ、これからの季節、旅行にでかけるという女性のみなさんもたくさんいらっしゃることでしょう。旅の服装というとどうしてもカジュアルなものになりがちですが、夕食くらいはせめて贅沢に、なんてかんがえている方は、フォーマルに着こなせる洋服とともにこの「HUOPA」もどうぞお忘れなく!くわしい説明はこちらをご覧いただくとして、徹底して《機能美》にこだわったこの「HUOPA」なら、洋服やその日の気分、TPOに合わせて手軽にアクセサリーを持ち運ぶことができるので「おしゃれ」の幅にもグンとひろがりが出そうです。
ところで、この「HUOPA」をデザインしたのは、moiのインテリアデザインを手がけた建築家・関本竜太さん。フィンランドでよく目にしたという厚手のフェルト生地をつかい、シンプルかつモダン、でもどこかあたたかみのあるいかにも関本さんらしい(笑)作品になっていると思います。
カラーは「白」「赤」「濃紺」の3種類、各1,600円(税込み)で販売中です。
フィンランド語を勉強しようというひとは、いまなら何冊かのテキストからじぶんに適したものをえらぶことができる。ところが数年前まではそうはいかなかった。日本語で「フィンランド語」を学ぼうという初心者にとって唯一のテキストは、『エクスプレス~フィンランド語』(松村一登著/白水社)だった。いまとなっては表現にやや古めかしさが目立ったりはするものの、あいかわらずぼくの中でのこの本の「王座」はゆらぐことはない。なぜなら、例文がめちゃくちゃシュールでおもしろいからである。
第一章のタイトルは「あなたはだれですか?」とあり、フィンランド人の女性「レーナ」と日本人の男性「徹」との会話からなっている。
レーナ:こんにちは、徹さん!
徹:こんにちは!あなたはだれですか?
いきなりじゃないか。「こんにちは、あんただれ?」って、そんな返答の仕方があるだろうか。しかしレーナはレーナでどこかズレているのだった。「わたしはレーナです」と冷静に自己紹介をしたあと、徹にこう問いかける:
レーナ:あたなは「日本人」ですよね?
見ず知らずのフィンランド人がじぶんの名前を知っている上に、「日本人か?」と訊ねてきているのである。これはかなり怪しむべきシチュエーションではないだろうか?しかしながら、徹にはまったく動じている様子がない。
徹:はい。そしてあなたは「フィンランド人」です。
って、いったいこのひとたちときたらなにを確認しあっているのだろうか?にもかかわらず、「その通り(Aivan.)」と悠然と返すレーナには「クイズ$ミリオネア」の「みのもんた」のような貫禄すら感じられる。その後、レーナから「フィンランド語」をほめられた徹はよほどうれしかったのか、すさまじい暴走ぶりを発揮する:
徹:ありがとう。あなたは美しい。
「イタリア人」のような徹である。しかしレーナの顔色を窺うでもなく、徹はこう続ける:
徹:あ、バスがくる!ごきげんよう。
レーナ:ごきげんよう。
ここからわかるのは、「徹はかなり身勝手な男である」ということである。しかし、それはそれとしてレーナはいったいなにが「目的」で徹に声をかけたのだろう。この会話の中でレーナがえた情報は、「やはり徹は日本人だった」ということだけである。まったくもってよくわからない。それでもあんまりおもしろいので、気づいたらこの会話をまるごと暗唱できるようになってしまった。
ほかにも、フィンランドっぽいユーモアを感じさせる第14章「彼女は水ばかり飲んでいました」、それに「美晴」と「パイヴィ」の会話から、「レーナ」と「徹」の暴走カップルがつきあっていることが判明する第9章「わたしはテープレコーダーをもっていません」もいい。
とにかく、この『エクスプレス』からぼくは確信する。著者の松村一登先生はかなりおもしろいひとにちがいない。
よくジャズをあつかっているレコードショップ(CDショップではない)にゆくのは、「ジャズがすきだから」というよりも、むしろジャズのレコードジャケットを眺めるのがすきだからかもしれない。
泣く子も黙るブルーノート、西海岸のパシフィックに東海岸のアトランティック、敏腕プロデューサー、クリード・テイラー率いるCTI、そしてドイツのSABA/MPSやECMなどジャズ系レーベルのレコードは、どれもすぐれて個性的で、かつ秀逸なアートワークを誇るジャケットデザインのものがおおい。いわゆるジャケ買いの宝庫である。画集や、ましてやオリジナルのアート作品を手に入れるにはそれなりの出費を覚悟しなければならないけれど、中古のジャズレコードならほんの千円もあれば十分だ。気がむけば質の高い音楽まで聴けるのだから、なんとも効率のいいインテリアである。じっさい、高名なアーティストや新進気鋭のフォトグラファーが手がけた作品もすくなくない。
ジャズのレコードショップでは、まるで気のきいた雑誌のページを繰っているような気分で想像力を刺激されて時をすごすことができる。だから、白状すれば、あまりそこではレコードは買わない。そもそもレコードを買うことが目的ではないからだ。ジャズを愛でる、あえていえばそんな感じだろうか。けっして「いい客」でないにもかかわらず、それでもレコードショップはつねにぼくらに開かれている。ありがたい話だ。
※現在発売中の雑誌『Pen』No.150の特集は、ずばり「ジャズのデザイン」。心ときめきます。
本日より24日[日]まで、moiではカクタミチコさんの作品展「a message from another cosmos 2005」を開催中です。
カクタさんは岩手県花巻市の出身、大学の被服学科を卒業後、ダネラ(Danella=デンマークの織物)教室を主宰するなどされていましたが、30代のときに「絵」と出会い、専念するようになったというプロフィールの持ち主です。現在は画家として都内のギャラリーで個展など開催するかたわら、イラストレーターとして雑誌などにも作品を提供されています。
── シンプルな要素による半抽象表現を追求している
というカクタさんの作品は、ヴィヴィッドな色彩感覚と立体的な構成から、ふとユーモアがこぼれおちるような独特の世界観を垣間みせてくれます。こうした雰囲気の作品の展示はmoiとしても初めてなので、きっと新鮮な印象をもたれることと思います。
みなさまのご来店、お待ちしております。
パティシェのちえさんと話しをしていて、ショートケーキはエラいということになった。
ちえさんによれば、毎シーズンごとにこの世に送りだされる新作ケーキのうち、つぎのシーズンまで生き残れるものはごくわずかなのだという。そのことを思えば、すくなくとも数十年ものあいだ「定番」として生きながらえている「ショートケーキ」はまさに偉大というしかない。
生クリーム×スポンジケーキ×イチゴという組み合わせからなる「ショートケーキ」は、そのシンプルさゆえごまかしのきかない、パティシェさんにとってはなかなかに手ごわい存在だったりするのではないだろうか。極めようと思えばどこまでも極められる、それでいて、それなりでもそれはそれで許せてしまうようなフトコロの深さが「ショートケーキ」には、ある。ところが、ヘンな「色気」を出してなにか余分な素材でもつけくわえようものなら、とたんにそれは「ショートケーキ」とは異なるなにかべつのものに変身してしまうのだ。
さらにまた、「ショートケーキ」はそのデザインがすばらしい。生クリームの純白に、イチゴの赤。技巧を凝らした芸術的な細工とまたちがう、てらいのない美しさこそが「ショートケーキ」のよさじゃないだろうか。そしてなんといっても、ナイフを入れたあとの断層である。礼儀を心得た人のような、なんとも控えめで、かつ律儀な印象をそれはあたえる。よくわからないけれど。
とまあ、こうして「ショートケーキ」をほめたたえながら気づいたのだが、「ショートケーキと北欧のプロダクトデザインの美質はきわめて近いものがある」。つまり、三段論法的に述べるなら「北欧デザインとはショートケーキである」。
となると、同様にこんな結論も導きだされる。「ショートケーキはエラい」→「ショートケーキと北欧デザインは似ている」→ゆえに、北欧デザインはエラい!
まわりくどい書き方をしてしまったが、けっきょくぼくは「ショートケーキ」も「北欧デザイン」もすきだと言いたかっただけなのだ。
春だぁ~と思ったら、またいきなり冷え込んだりしてどうにもタイミングがはかりづらいのですが、四月もなかばをすぎたことだし、ことしもそろそろ「ウス茶ミルク」をはじめようかと思います。
「ウス茶ミルク」って、おそらくあまり聞きなじみのない名前ではないでしょうか?じっさい、よその店ではあまりというか、たぶんほとんど見かけないメニューだと思います。でも、これ、じつは静岡県ではけっこうメジャーな飲み物なのです。ウソだと思ったら、ぜひ身近にいる「静岡県民」にたずねてみてください。いまmoiでこれを出しているのも、ひとえに、子供のころ二年半ほど静岡で暮らしていたことのあるぼくの個人的なノスタルジー以外のなにものでもありません。
ところで「ウス茶ミルク」の正体は?というと、「ウス茶糖」を低温殺菌乳で割ったものです。「ウス茶糖」というのは、最高級の抹茶に上質のグラニュー糖や天然香料のシナモンをくわえてつくった粉末で、静岡県の老舗茶店が昭和8年(ということは72年前)に発売して以来の人気商品です。静岡にいたころには、よく夏になるとこれを水や牛乳で割って飲んでいました。「ウス茶ミルク」の味をひとことで説明するなら、抹茶のような舌に残る苦味がない、とてもやさしい味わいのドリンクといったところでしょうか。インパクトよりは、ふわりと薫る若草のような匂いをぜひたのしんでいただきたいと思います(お茶うけつき 650円)。
とにかく呆れかえるほど、子供のころなんども読みかえしたのが平凡社の『児童百科事典』。文字どおりボロボロになるまで、毎日あきもせずながめていた。どのページをひらいても、まっさきにきれいなイラストが目に飛びこんでくるような本だった。
そのいっぽうで、いったいこれはどうしたものかというようなやけにシュールな「むかしばなし」も、子供心によくおぼえている。とりわけお気に入りだったのが、「まのいいりょうし」というお話。ひとりの猟師がいつものように狩りにでかけるのだが、どうしたわけかその日にかぎってつぎつぎと思いがけないハプニングに見舞われる。ところが、そのハプニングがことごとく猟師にとって「プラス」にはたらき(なんたって「まのいいりょうし」なのだ)、山ほどのごちそうをかかえて家に帰る、といったお話である。このお話のいいところは、そこにいっさいの教訓も戒めも見あたらないところにある。
「まのいいりょうし」がいったいどれほどまでに「まがいい」のかというと、たとえば、切り株につまづいてコケたら、そのコケた目の前にたくさんのキノコがはえていたり、転んだひょうしに銃身が折れ曲がってしまった鉄砲でうったら、なぜかその弾の飛んでいったさきにカモの群れがいたりと、まあずっとそんな調子なのである。まさに結果オーライ、たんなる運のいいオトコのお話にしか思えないわけだが、まだろくすぽ物心もついていないようなコドモにこんな話をきかせていったいどうするつもりだったのかと編集者に問いただしたい気分ではある。
じっさい、子供だったぼくはこの「まのいいりょうし」のお話を読んでこう感じた。うん、これはいい!「まのいいりょうし」のようになりたいものだ。こうして、「まのいいりょうし」はぼくのこころのヒーローとなった。それから三十年あまりの歳月をへて、いまのぼくの心境はこうだ。「まのいいりょうし」にはなれなかった・・.。
まったく、苦々しいったらありゃしない。
moiが贈るイベント「旅講座*フィンランド」。
おかげさまで、先だってお知らせしたぶんにつきましてはお申し込みが定員に達しましたため受付を終了いたしました。早々とお申し込みいただきましたみなさま、どうもありがとうございました。お申し込みいただきましたお客様には、こちらから確認のためメールにて受付完了のお知らせをさせていただいております。もし、申し込んだにもかかわらず確認のメールが届いていないという方がいらっしゃいましたら、お手数ですが至急ご一報ください。
なお、ご好評におこたえして下記の要領で新たに追加開講させていただくことが決定しました。すでに残席が少なくなっておりますので、ご興味をお持ちのかたはぜひお早めにmoiまでお問い合わせください。
──
◎ moiの旅講座*フィンランド[夏バージョン]
開催日:2005年6月7日[火][前編]・21日[火][後編] (全2回完結)
時 間:19時30分~21時(両日とも)
料 金:5,600円(税込み 2回分 コーヒーつき)
定 員:約10名
内 容:フィンランドへこれから行く、行ってみたいという方を対象に、はじめてのステイ、みじかいステイでも存分にフィンランドの旅を楽しんでいただけるよう、さまざまな基本情報やショップ、スポット情報、また現地でつかえるちょっとした「フィンランド語」などを伝授するレクチャーです。あわせて、moi店主からも「おすすめカフェ情報」などをご披露。北欧旅行のプランニングにぜひお役立てください。
なお、お問い合わせはメールにてどうぞ。折り返し、ご案内メールをお送りします。
三鷹の古書上々堂で、いま山本忠敬さんの原画展「ちいさいサンパン」がひらかれている(~30日)。
『しょうぼうじどうしゃ じぷた』や『はたらくじどうしゃ』などなど、すこやかにそだった「男子」ならばだれでも、きっといちどは山本さんのえがいた絵を目にしているにちがいない。そんな山本さんが、1961年に月刊絵本『ひかりのくに』に発表したのがこの、今回原画が展示されている「ちいさいサンパン」である。
ぼくじしん、山本忠敬さんの絵本には親しんできたこともあって、こうした展示が実現したことに心踊るものがあるのだけれど、それ以前に、今回はちょっとした「縁」のようなものを感じている。山本さんは二年ほどまえ、86歳でこの世を去られている。そしてその最期の日々をすごされたのが、じつはmoiの目と鼻の先にある某病院であり、よく山本さんの奥様が看病の合間をぬってはmoiに来てくださり、偶然にもいろいろなお話をうかがう機会にめぐまれたからである(フライヤーを届けてくださった「上々堂」の方のお話では、奥様も「moi」のことをおぼえていてくださったとのこと)。
さらにいえば、このあいだこのブログでもふれた『平凡児童百科事典』は、後から知ったのだが、山本さんの絵本作家としての「初仕事」であったらしい。それに、今回の企画がmoiのお客様の口からよくその名前があがる「上々堂」さんによるものであることもまた、ぼくにとってはすこしばかりうれしい偶然だったりする。
むかしもいまも、そしてこれからも、きっとこどもたちの心をワクワクさせつづけるであろう山本忠敬さんの作品たち。機会があればぜひ、みなさんも三鷹の「古書上々堂」まで足をはこんでみてもらいたいとおもう。
→ちなみに銀座の教文館書店でも、いま山本忠敬絵本原画展「はたらくじどうしゃ」が開催中(~5/15)とのこと。あわせてどうぞ。
カレリア地方の街ヨエンスーから、「クピルカ [kupilka]」が再入荷しました。
「森の民」フィンランド人が愛しつづけてきた伝統的なマグカップ「ククサ」。白樺の「こぶ」から彫り出されるそれはまた、《しあわせを呼ぶカップ》として「おみやげ」にも大人気です。そしてそんなククサの「未来型」といえるのが、この「クピルカ」なのです。
「クピルカ」は、樹脂とプラスティックを50%ずつ配合してつくられています。丈夫で軽く(80g)、しかも衛生的というだけでなく、リサイクルという視点からも考えぬかれているところが、まさに北欧的(!)。容量は、ふつうのコーヒーカップよりもひとまわり大きく使いやすい200ml。もちろん耐熱仕様で、マイナス30度からプラス100度まで使用可能です。つまり、冷たいものから熱いものまでなんでもござれ、ということですね。
オフィスでマイカップになんていうのもしゃれてますが、とにかく軽いしルックスもかわいいので、これからの季節バッグにぶらさげてアクセサリーっぽく見せてしまう、なんていうのも北欧的オススメです。
フィンランドでもカレリア地方を中心にごく限られた地域でしか販売されていないこの「クピルカ」、もちろん日本ではmoiだけ(たぶん)でのお取り扱いとなります。ぜひ手にとってごらんになってみてください。
2008.9.15追記 現在は取り扱っておりません。今後も予定はありません。
セロニアス・モンクについてぼくが知っていることは、おどろくほどすくない。家を探すとモンクのCDが二枚でてきたが、これはぼくではなく奥さんの趣味。
映画「真夏の夜のジャズ」はぼくにとって《心のベストテン》にはいる作品だが、そこにもモンクは登場する。ずんぐりとした指が奏でるのは、気のぬけたサイダーのような音楽。ツルの部分が竹(?)でできているサングラスが格好いい。
そういえば、吉祥寺の井の頭公園のちかくには「モンクス・フーズ」というオーガニックレストランがある。割り箸ではなく、ふつうの塗り箸がびっしり入った茶筒のようなものが各テーブルに置かれているのが、当時まだ中央線沿線の住人でなかったぼくにはいかにも中央線っぽくて新鮮だったことを記憶している。ところで店名だが、セロニアス・モンクにちなんでそうしたのか、「修道僧」、あるいはまさかとは思うけれど「トリカブト」という意味からとったのか、それともそのぜんぶにひっかけたのか、そのあたりは不明。ただ、むかしレコードジャケットを飾っているのをみたことがあるので、やっぱりセロニアス・モンクなのだろうとにらんでいる。
不意にリズムがギクシャクしたり、突拍子のない和音がひょっこり顔をだしたりするモンクの音楽は、なんだかやけに中央線っぽい。唐突ではあるが。もしもセロニアス・モンクが東京で暮らすことになったら、かれはきっと中央線沿線をえらぶにちがいない。昼下がり、西荻あたりのひっそりとした一戸建て(しかも築四十年以上の純和風平屋)からあの独特のピアノがもれきこえてくるなんて、いかにもハマるシチュエーションではないだろうか?「ゆうべ戎(えびす)で見かけたよ」なんてね。
「いいですねぇ~、ゴールデンウィーク」と言ったら、「いや、けっこう微妙なんですよぉ」と返されてしまった。
マスコミは9連休だ10連休だ、さぁ山だ!海だ!海外だ!とあおりたてるけれど、じっさいのところはそんなに甘くないのだという。つまり、一ヶ月間でしなければならない仕事量というのはだいたい決まっていて、大型連休があるからといってそのぶん仕事量が減るわけではない。よって、連休があるおかげでいつもより少ない日数で同じ分量の仕事を片づげなければならない。当然、その前後がめちゃくちゃ忙しくなってしまうのだ、と。「たぶん、連休中も何日かは会社にいかなきゃダメかも」、そのひとはあきらめ顔でそう言った。ご苦労さまです。
むかしもいまも「ゴールデンウィーク」とは無縁な仕事についているおかげであまりよくかんがえたことはなかったけれど、言われてみればなるほど、そういうことなのかもしれない。なにごとにもウラとオモテ、光と闇が存在するという話ですね、これは。とはいえせっかくの大型連休、みなさんにはなんとかやりくりをつけてぜひ満喫していただきたいもの・・・。もし、これといって予定がない方はぜひmoiへ。話し相手くらいにはなれるか、と。
というわけで、moiはゴールデンウィークも営業します。
◎ 5/2[月]は定休日。なお、土日祝日は12時openです。
カクタミチコさんの作品展「a message from anoher cosmos 2005」は、本日をもちまして無事終了いたしました。会期中ご来店くださったみなさま、どうもありがとうございました。
抽象なのだけれど、けっして無機的ではなくてどこか体温のぬくもりを感じさせるようなカクタさんの作品・・・まさに、そのお人柄が作品ににじみでているような印象を受けました。なお、カクタさんの作品はArt Addiction Medial Museumのサイトでもごらんいただくことができます。ぜひそちらもチェックしてみてください。
あるフリーライターが書いた本にmoiの話がでてきたよとおしえてくれたのは、先週まで展示でお世話になった作家のカクタさん。
それは、31歳という若さで肺がんにおかされ余命2年の宣告をうけた著者が、自身の闘病の日々を赤裸々につづった一冊の本である。日記によると、このあたりに暮らしていたかれが偶然ネットでこの店を知り、たずねてくださったということらしい。去年の6月の話だ。そのときのことは、残念ながらよくおぼえてはいないのだが、文章をよんだ限り、moiのことを気に入ってくださったようである。その後、ふたたび足を運んでくださることがあったかどうか、それはわからない。入退院をくりかえしながらも、残されたエネルギーのすべてを執筆に捧げる日々だったようだ。そしてきのう、その方が17日の日曜日にお亡くなりになられたとのことを耳にした。33歳だった。
カフェをやっていていちばんよかったことは?とたずねられれば、月並みだが「たくさんのいろいろなひとたちと出会えること」と答える。ことばをかわす、かわさないにかかわらず、この小さなカフェですこしでも時間と場所とを共有したひとはみな、すべてぼくにとっては等しく「出会い」なのだと感じている。「出会い」が多いということは、しかしまた同時にそれだけ「別れ」も多いということである。そしてそれは、カフェをやっていていちばん悲しいこと、でもある。
心よりご冥福をお祈りいたします。
おそらくは、世界でいちばんイノセントな音楽。
ジョージ・シバンダ。ローデシア(現ジンバブウェ出身。陽気で楽天的、突きぬける青空のように開放的な声、そしてギター。カントリー、ジャグ、ラグタイム...あらゆる音楽が、かれにかかればシバンダというひとの「色」に染まってしまう奇蹟。でも、声はバカボンのパパ。
活躍したのは、1950年前後のわずか10年あまり。イギリスの音楽学者ヒュー・トレイシーに見い出されたのをきっかけにラジオを通じ曲がヒット、アフリカ各地で人気をよぶもギャラはすべて「飲み代」に消え、けっきょくアルコールがもとでこの世を去ってしまったという、まさに正調「ボヘミアン」。写真一枚すら残っていない。
でも、声はバカボンのパパ。なのだ。
「旅講座*フィンランド」ですが、おかげさまをもちまして満席につき受付を終了いたしました。どうもありがとうございました。
なお、今後参加をご希望の方には日程等が決まり次第ご連絡させていただきます。連絡を希望される方は、メールにてその旨お知らせください。
よろしくお願いいたします。
いよいよGWということで、地味な街「荻窪」をしみじみ歩く(笑)「お散歩ガイド」をさせていただこうかと思います。
さて、中央線における荻窪の最大の特徴(?)はというと、駅が高架じゃないという点にあります。それはイコール南北の移動がめんどうということでして、結果的にそのことが駅の南と北とでぜんぜん雰囲気がちがう「荻窪」という街の個性を生みだすことにつながっています。わかりやすく言うと、南は「山の手」、北は「下町」といった感じでしょうか。そこで今回は、ここmoiのある駅の北側エリアをご紹介します。
まず、荻窪の駅でホームに降り立ったあなたを最初に歓迎してくれるのは焼き鳥の匂いとけむりです。ホーム新宿寄りの階段から改札を出て左、地上に出るとすぐ右手にその原因「鳥もと」があります。いつもにぎわっていますが、なぜか地元の人からは行ったという話をあまり聞かない不思議なお店でもあります。その「鳥もと」をふくめ、ロータリーの右側一帯は戦後の面影がそのまま残るエアポケットのようなエリアです。
金物屋、履物屋、中古レコードの月光社など昔ながらの商店にまざって、ちいさな居酒屋や風俗店がひしめいています。隣接して「HP」の本社ビルがあるところが好対照でおもしろいですね。行列のできる中華そば「春木屋」、地元のひとに人気があるラーメン「十八番」、それに昔ながらの喫茶店「邪宗門」もこのエリアです。ちなみに青梅街道をはさんで向いがわ「寿通り」は商店街というよりも、ほとんど昭和の町並みを再現した映画セットのようだったりします。
駅を背に、ロータリーのむこうを走るのが青梅街道。青梅街道を渡る信号の左手には、「むらさき×黄色」という狂人的カラーセンス(笑)が冴える交番があります。道を渡ると「ブックオフ」。広い。くまなく見ると「掘り出し物」が見つかったりと案外あなどれない。ただし、かなり疲れますけど。「ブックオフ」を正面にみて左手、最初の角をはいるとそこが「教会通り」商店街。moiに行くつもりが迷ってしまった...というひとのほとんどはまず間違いなくここに迷い込んでしまったひとです(笑)。
乗用車がやっと一台通れるか通れないかといった細い道がうねうねと続きます。入ってすぐの右手には、若いコに人気のショップ「PX」の支店があります(本店はmoiからほど近いところに)。さらに進んで右手の路地の奥には、「バブ」のCMでもおなじみ(?)「さとうコロッケ店」があります。あげたてをぜひ。さらにうねうね歩くと、人気の「ラーメン二葉」、となりはカレー屋さん「フェリスフー」です。沼田元気なアナタが泣いてよろこびそうなレトロなクリ-ニング屋さんもこのあたり。
そしてやはりなんといっても、ハチミツ専門店「ラベイユ本店」ですね。ちなみに、昨年リニューアルした「ラベイユ」さんのサイトを手がけたのは、moiとおなじくデザイナーの遠藤悦郎さん。ぜひ、みくらべてみて下さい。アンティークなたたずまいのヘアサロン「荻窪美粧」をすぎ、ぐいっとカーブを切るとそこが終点、道なりに進むと右手に東京衛生病院があらわれます。
なにをかくそう、ぼくがうまれた病院です。moiの照明プランをお願いした梅田かおりさんがうまれた病院でもあります。病院食がベジタリアンフードであることもよく知られています。1Fの売店では、「黒ごまペースト」や「ピーナッツクリーム」など、系列の三育フーズがつくる食料品が売られていて人気です。それにしても、荻窪の駅北エリアはまさに「昭和のテーマパーク化」していますね。
衛生病院をすぎると、すぐ「若杉小学校」につきあたります。いまや杉並区でいちばん生徒数の少ない小学校だそうで、廃校になるとのウワサも...。その若杉小につきあたったら左へ、ちょっと歩けば、ハイ、いらっしゃいませ!moiへ到着。一服しましょう。
せっかくですので、駅までのジモティ御用達のルートもお教えしましょう。moiを出たら、そのまままっすぐ青梅街道を渡りましょう。渡ったら左折、最初の角(酒屋さんのところ)を右折です。そして左手に「路地」がみえたら、左折。ちいさなスナックや居酒屋がひしめく細い「路地」です。ずんずん歩くと、荻窪駅の「西口」に到着。たぶん駅からの、これが「最短ルート」です(駅からくるときは、西口改札を出て右、階段を降りて正面の「セガミ薬局」左横の「路地」を入ります)。
というわけで、いずれ駅の南側エリアもご紹介させていただきます。
四月ですよ、まだヒノキの花粉だって飛んでますよ、なのにそこかしこで「真夏日」。どうなっているんでしょうか、いったい。
そんな真夏日には、こんな音楽をききます。マリオ・アヂネー(Mario Adnet)の「リオカリオカ+ジョビン」。海の「青」、空の「青」、そんなジャケットそのままに、耳に涼やかな風をよびこんでくれる一枚です。
BAR BOSSAのはやしさんが書いた『ボサノヴァ』(アノニマスタジオ)によると、マリオ・アヂネーは「現在のリオのボサノヴァ界を支える」人物。そしてこのアルバムは、カリオカ(リオっ子)でもある彼がリオデジャネイロに捧げた一篇のオマージュとなっています。じっさい、アルバムではマリオの自作曲のほか、ノエル・ホーザ、アントニオ・カルロス・ジョビン、それにオス・カリオカスのオリジナルメンバー、イズマエル・ネトらリオにゆかりの深いミュージシャンたちによる楽曲がとりあげられているほか、その「水」がカリオカたちの音楽的才能の源とされる「『カリオカ川』にこの作品を捧げる」というメッセージも寄せられています。
ただ、ここにきかれる「リオデジャネイロ」がけっしてリアルな「リオデジャネイロ」ではないということくらいは、実際にそこを訪れたことのないぼくでもおおよそ見当はつきます。それは、長い年月をかけて美しく結晶化した《リオのポートレイト》にほかなりません。そしてそのことが、ちょっとだけぼくのこころを「切なく」させます。マリオ・アヂネーはきっと、かつてノエル・ホーザやジョビンがいた「リオデジャネイロ」という都市の記憶をこうしてカタチに残しておきたかったのではないでしょうか?
青いフィルムのなか閉じこめられた都市が、真夏の白い光をうけてその残像を映します。
いけすかないのは、ちかごろよく深夜に足がつることである。別名こむら返り。だいたい「こむら」ってなんなんだ。「ミムラ」ならしっているが。
むかしもときどき、寝ていて足がつることはあった。けれども、ほとんど一日の大半を立ちつづけている仕事のせいか、ちかごろではそれが一ヶ月に一、二回の頻度でおこるようになってしまった。どうでもいいが、ウチの父親はかつて帰宅した玄関先でこれに見舞われ、おみやげに買ったケーキの箱を高々と放り投げて家族から大ひんしゅくを買ったことがある。教訓、「こむら返り」はときに「家族の絆」をもひきつらせる。
それにしたって熟睡中の「こむら返り」は衝撃的である。「やばっ」と思うまもなく襲いかかる激痛、コンマ3秒後には飛び起き、苦悶の表情を浮かべて暗闇の中「アキレス腱」を伸ばすポーズでつった筋を伸ばそうと格闘する自分。ゆうべなんか、コーヒーをのもうとコーヒーカップを口にはこんだとたん、これだ。あ、もちろん「夢の中で」の話ですけど。
どなたか「こむら返り」の有効な防止策をご存じの方、あるいはそれを「おもいっきりテレビ」で観たよという方、ぜひおしえてください。