今日を生きる。というけれど、明日がないと ──
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Moi!フィンランドをもっと好きになる151回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。
- 高齢化社会とスマートシティ:Nordic Talks Japan
- 信濃毎日新聞と映画『枯れ葉』
- 和田誠のカウリスマキ
- サンタクロースはいる?いない?:オウル大学の場合
- フランク・ロイド・ライトとアルヴァ・アールト
- 山の上ホテルのトーベ・ヤンソン
- フーさんから日本の子どもたちへ
高齢化社会とスマートシティ:Nordic Talks Japan
最初は自分の報告から。前々回に引き続き、Nordic Talks Japanのオンラインセミナーを視聴しました。今回のテーマは「高齢化社会とスマートシティ」。スマートシティとは、少子高齢化による社会基盤の弱体化への対策のひとつとして、AIやVRなどのデジタル技術を利用して、人間中心の住環境(都市インフラ等)を整備し、持続可能な社会を目指すというもの。
登壇されたのは、以下の4名(敬称略)
・スヴェン・ホーコン・クリステンセン(レールダルメディカルジャパン代表)
・キルシ・コティライネン(VTT|フィンランド国立技術研究センター)
・檜山敦(一橋大学教授)
・中谷桃子(東京工業大学准教授)
個人情報などのデータを収集・活用するスマートシティを実現する上で鍵となってくるのが、政府や企業などに対する「信頼性」。プライバシーの保護、透明性の担保、メリット/デメリットの周知など、システムのデザインをさらに改善していかなければなりません。
国家や政府を信頼できるということは「幸福度」といったものにも繋がっていくように思いました。信頼とは明日を信じられること。安心・安全で自由な暮らしが続いていくと思えるからこそ、幸せを感じられるのではないでしょうか。
▶︎ 高齢化社会とスマートシティ|Nordic Talks Japan
ハ:北欧諸国は小さな社会なので比較的変化しやすいと話していました。
イ:日本では、暮らしている土地に愛着のある人が多く、村社会(コミュニティ)といったものもあるから、その人たちの気持ちに寄り添いながら、インフラなどを整備する必要がありますね。
ハ:あと、登壇されていたみなさんが楽観的な意見を持っていたこともよかったですね。いずれにせよ明るくないと進むものも進められないですから。
信濃毎日新聞と映画『枯れ葉』
次は、休暇で長野に出かけていたというミホコさんからの報告です。現地の信濃毎日新聞にフィンランドの大統領選の記事を見かけ、さらにそこにはアキ・カウリスマキ監督の最新作『枯れ葉』の映画評がありました。
その映画評は、映画監督/脚本家の鶴岡慧子さんによるもので、これまで読んでいた記事と異なり、新しい切り口を感じてよかったとミホコさん。ちなみに長野では、長野相生座・ロキシーで2/23から、上田映劇で3/22から、上映される予定です。
ハ:映画監督ならではの記事といった感じなのでしょうか?
ミ:ウクライナのラジオについても触れていますが、それよりむしろアンサがどんなふうにホラッパと出会ったかとか、映画の場面場面をフラッシュで思い返させるような記事でした。
イ:信濃毎日新聞の記事のようですね。デジタル版もあるみたいです。
▶︎ シネマ魅どころ「枯れ葉」あらゆる一瞬が美しい|信濃毎日新聞デジタル
和田誠のカウリスマキ
ふと「和田誠さんだったらカウリスマキ映画のどんなシーンをイラストにするか」を考えてみたというミホコさん。「日活名画座のポスターなど映画関連の仕事もされていましたね。映画のイラストは同じ写真から描いているのか同じアングルのものが多いので、和田さんならではイラストがいい」
ハ:どの作品を描くと思いますか?
ミ:カウリスマキの作品すべてを観ているわけではないですが、『過去のない男』とか、最新作かな。
イ:いま国立映画アーカイブで展示(【和田誠 映画の仕事】)をしていますね。
ミ:観に行かれたんですか?
イ:はい。とてもよかったですよ。
ミ:あと、今夜9時からBS朝日で『よき人生のヒント ~フィンランド 世界でいちばん幸せな冬へ~』という番組があります。ナビゲーターが上野樹里さん。これも和田誠さん繋がりですね、笑。
ちょっと調べてみたところ、『和田誠 日活名画座ポスター集』(888ブックス)という書籍が2021年10月に出版されていました。ブックデザインは、映画『枯れ葉』のパンフレットを担当した大島依提亜さん(と勝部浩代さん)でした。
サンタクロースはいる?いない?:オウル大学の場合
最後の報告は岩間さん。前回の配信で紹介したTV番組『ニュー試』を観た感想を報告しました。番組は、世界の大学入試の問題から、その国の特徴や文化を知ろうという趣旨。今回はフィンランドのオウル大学が取り上げられました。
オウル大学の教員養成学科から紹介された問題は、
小学2年生の理科の授業中、科学にくわしい子どもがサンタクロースを信じるクラスメートの前で、物理学的な証拠に基づいてサンタクロースの存在を否定します。少し攻撃的なやり方です。どう対応しますか?(NHK Eテレ『ニュー試』より)
「理科の授業だけれど、どちらの意見も全否定してしまわないように、対話の糸口をつかむのが目的ですね。最近よく耳にする《哲学対話》のような。もし番組をみたら感想を教えてください」と岩間さん。(*《哲学対話》とは、お互いに問いを通して、考えを深めていく対話のこと)
▶︎ ニュー試「フィンランド・オウル大学」2024年2月10日初回放送
フランク・ロイド・ライトとアルヴァ・アールト
そしてもうひとつ岩間さんから、出会いがしらのフィンランド。パナソニック汐留美術館で開催中の【フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築】を観に行きました。
フランク・ロイド・ライト自身が《プレーリースタイル|草原様式》と呼んだ設計手法は、景観になじむように低層で広がりを感じさせる建築とのこと。「アールトにもその影響がありますよね」と岩間さん。また親交のあった人々のコーナーにも、フランク・ロイド・ライトの元を家族と一緒に訪れたというアルヴァ・アールトの記述や手紙などがあったそうです。
▶︎ フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築|パナソニック汐留美術館
イ:交流については『アアルト書簡集』にも書かれているかもしれませんが、まだ途中なので。
ミ:ええ、書かれていますね、笑。
ハ:(レポート#146にもあります)
イ:あまり大きくない美術館ということもあり、とても混んでいました。
ミ:やはり知名度でしょうか。
イ:驚いたのが展示構成を担当していたのがカフェモイのお客さんだったこと。当時は高校生でした。
山の上ホテルのトーベ・ヤンソン
「最後にちょっと気になっていることがありまして。山の上ホテルが休館してしまいましたね」とミホコさん。御茶ノ水にある山の上ホテルの開業は1954年、今年70周年を迎えたばかりでした。建物の老朽化への対応を検討する間、休館されるそうです。
トーベ・ヤンソンも宿泊したという山の上ホテル。ミホコさんも一度は宿泊してみたいと言っていました。以前、ミホコさんがウェブサイトで見つけた「トーベ・ヤンソン」のサイン。そこで1年半ほど前、スタッフの方にお聞きしたことがありました。70周年記念に一般公開される可能性があるかもしれませんとおっしゃっていたので、楽しみにしていたのでした(参考:レポート#76, #78)。
▶︎ 山の上ホテル
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さらに自分も最後に話そうと思っていたことがありました。2月14日、友だちの日にミホコさんから手紙が届きました。どうもありがとうございます! 次の機会にはかならずカードを贈りたいと思っています。
フーさんから日本の子どもたちへ
そしてミホコさんからのお知らせです。3月30日土曜日にイベント「フーさんから日本の子どもたちへ」を都内某所で開催します。
東日本大震災で被災した方々への寄付金集めを目的として、ミホコさんが立ち上げられたプロジェクトで、過去4回行われてきました。年初には能登半島地震がありました。今回も子どもたちのために役立ててほしいという思いから『あしなが育英会』へ寄付する予定。
現時点での内容につきましては下記リンクをご覧ください。イベントの詳細は後日お知らせします。ミホコさんのトークと岩間さんのコーヒーをどうぞお楽しみに!
── 明日を笑顔で迎えるために、今日を感謝して見送る。楽しい一日だったなら、うれしいなって。悲しい一日だったなら、がんばったなって。今日という日を明るく照らすことで、明日という日がやってくるんだよ。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。
text : harada
#151|So Long, Frank Lloyd Wright – Ren Takada