#148 空の青さをみつめていると

芝生の上に寝転んで、じっと見つめていると、まるで空に吸い込まれていくような気分になる ──

Moi!フィンランドをもっと好きになる148回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。


Ai Ono Exhibition – ja niin edelleen

今週、最初の報告は自分から。LAPUAN KANKURIT 表参道で開催中(2月4日まで)の陶芸家、大野藍さんの作品展【Ai Ono Exhibition – ja niin edelleen】へ行ってきました。

大野さんはイギリスで陶芸を学んだあと、フィンランドのアールト大学へ。現在は京都で作陶されているそうです。大野さんのホームページを読んで驚いたのが、ジュエリー・デザイナーのインニ・パルナネン(Inni Pärnänen)さんの元で研修されていたこと(インニさんとは昨年、展示会でお会いすることができました。くわしくはこちらの記事をご覧ください)。

お皿やお椀、お香立て、歯ブラシスタンドや爪楊枝入れ(!)など、落ち着いた色味の釉薬にミニマルなかたち、手ざわりもやわらかくあたたかい印象を持ちました。それらのなかで気になったのが、糸巻きのような円錐形の一輪挿し。内側だけに釉薬がかかっていて、糸を巻いたような線が残っているもの。「手しごと」を連想させるようなところに魅力を感じました。


表参道周辺フィンランドMAP

せっかく表参道までやって来たということで、いつものように周辺のフィンランド関連のお店を巡ってみました。

まずはフィンツアーの運営する北欧カルチャースペース Hyvää Matkaa!へ。たまたま空席だったサウナ小屋(HONKA製)で「きのこパイ|Sienipiirakka」をいただきました。元フィンランド大使館シェフのアルト・ウーシタロさんのレシピによる水曜日限定のメニュー。きのこの旨味をじっくりと味わえるパイでした。おすすめです。

ハ:31日からのポップアップでは、北欧各国のチョコレートが集まるそうです。
ミ:それはたのしみですね。

次に向かったのが、ARTEK TOKYO STORE。ちょうど1月25日がアイノ・アールトの誕生日(130周年!)ということで、アイノのデザインしたテキスタイルなども店頭にいくつか並んでいました。2月2日にはフィンランドの建築事務所JKMMアーキテクツのメンバーを招いたオンライントークイベントが開催されます。

フィンランドの建築事務所 JKMM online talk “Recipes for Happiness”

日時:2024年2月2日(金) 19:00〜20:00
会場:オンライン/ARTEK TOKYO STOREより配信

▶︎ 視聴申込み|Peatix

つづいて、イッタラ表参道ストア。クラウス・ハーパニエミ・デザインの《TAIKA SATO》(サトはフィンランド語で「収穫/実り」の意)や、2024年のアニュアルカラー、「カルーナ」(ヒースの花の色)と「パイングリーン」(緑松色)のガラス製品などの新しいアイテムが並んでいました。

ミ:《TAIKA》は以前からありましたよね。
ハ:はい。《TAIKA》シリーズの新しいデザインのようです。

そして【Mari Paikkari Exhibition 2024】を観るため、北青山のdoinelへ向かいましたが、途中で店休日であることに気づきました‥‥。マリ・パイッカリさんはヘルシンキを拠点とする彫刻家で、今回はセラミックのプレート作品を展示しています。会期は1月30日まで。

▶︎ Mari Paikkari Exhibition 2024|doinel

気を取り直して、Johanna Gullichsenの正規取扱店でもあるhaus&terrasseへ。幾何学模様の織りが特徴的なヨハンナ・グリクセンですが、経糸と緯糸の組み合わせで、その色や濃さに変化を加えているところが本当におもしろいと思います。また、お店の方が「10年ほど使っていますけれど、とても丈夫です」というように、しっかりとした作りであるところも。

ミ:お店では他のブランドの商品も取り扱っているんですね。
ハ:はい、そうです(神戸には同系列のTöölöというお店があります)。

そして、北欧ヴィンテージショップのELEPHANTへ。ちょうどフィンランドへ行かれているため、お休み。そこで近くのUPI表参道に行きました。フィンランドのメーカーSAVOTTAやSASTAなども取り扱うアウトドアショップです。今回はスタッフの方にロープワークについて教えてもらいました。

ミ:ワークショップとかではなく?
ハ:お店ではいろいろなワークショップも開催されているのですが、お話ししているうちに「やってみましょうか?」という感じで。ナイフのことや焚き火のことなど、お店へ行くたびに教わっています。スタッフのみなさん、とても気さくなので楽しいです。

最後は、marimekko。辰年の限定アイテムやウニッコ60周年の商品が並んでいました。お店の方によると、「マリメッコ・キオスキのラインナップは、通常よりもゆったりめに作られているので、本国では男性にも人気がありますよ」とのこと。

ハ:がんばって行ってみました。
ミ:がんばりましたね、笑。表参道を渡ったところにあるお店ですよね。

おまけに、Hyvää Matkaa!でVR体験を。スマートフォンを挿してスコープ《VOOR koivu》を覗くと、サイマー湖周辺の映像を360度見渡すことができます。東京にいながらにしてフィンランドの雰囲気を体験できるこの機械/機会(提供はSaimaaLife)。どうぞこの記事もご参考に表参道周辺のフィンランドへぜひ!

以前から、それぞれのお店に声がけして《表参道周辺フィンランド(北欧)MAP》を作ったら良いのになあと、ずっと思っているのですがいかがでしょうか? お手伝いします!


歌うピアニストとシベリウス

次はミホコさんからの報告です。1月23日にサントリーホールで開催された東京フィルハーモニー交響楽団の定期公演へ行きました。ミホコさんのお目当ては、2021年のショパン国際ピアノコンクールで3位に入賞した、スペイン出身のマルティン・ガルシア・ガルシア。

CDやYouTubeで彼のとても楽しそうに弾くピアノに親しんできたというミホコさん。感情があふれてくるとフレーズを口ずさむ彼の演奏会へ一度は行ってみたいと思っていたそうです。演奏曲目は、グリーグの「ピアノ協奏曲」。

「ホールの一番前の席で観ることができたため、ヴァイオリンのすぐそばにコントラバス、足の隙間からチェリストの姿が見え、それぞれの楽器の音色がとても聞き取りやすかったです。シベリウスの『カレリア組曲』では、東フィンランドの夏の景色が目に浮かぶようでした」とミホコさん。

「ロシア出身のミハイル・プレトニョフによる指揮もとても新鮮で、一緒に行ったフィンランドの友人も『よかった〜!』と言ってくれて、よかった。今日(1/28)も、オーチャードホールで演奏会があるのでもし行ける方がいたら」。ミホコさんのブログもぜひご覧ください!

▶︎ 演奏会鑑賞記|北極星を真上に見上げて

©︎mihoko-san
©︎mihoko-san

また来月は、レポート#146でも紹介した【佐藤まどか&安田正昭 デュオ・リサイタル】が開催されます。こちらも楽しみにしていますとミホコさん。


フィンランド語必須単語持久走1000@マトカトリ

そしてミホコさんから《フィンランド語必須単語持久走1000》のお知らせ。フィンランド語の頻出度が高い1000の単語を、辞書を使いながら覚えていくもの。派生語などを知ることもできるので、とても参考になる講座だと思います。4月27日に特別クラスとして対面授業で行われます。

講座については、下の記事も読んでもらえるとうれしいです。

フィンランド語必須単語持久走1000
「単語だけ集中講座 持久走シリーズ 第2シーズン」

日時:4月27日(土) 10:30〜12:30 
場所:マトカトリ 東京都中央区東日本橋3-9-11-5F

▶︎ フィンランド語講座|matkatori

ミ:ハラダさんにも前に一度体験してもらったことがあります。
ハ:はい。単語を学ぶ講座なので、途中からの参加でも楽しめます。


フィンランド流の健康の秘訣は?

前回の配信で聞いてくれていた方から「健康のためにしていることは?」という質問がありました。「フィンランドの人たちはよく歩きに行っていますね、通勤手段を自転車にしたり。そしてスキーのストックのような道具をつかって行うノルディック・ウォーキング。歩幅が広くなったり肩甲骨を大きく動かすので、いい運動になるのではないでしょうか」とミホコさん。

©︎mihoko-san

フィンランド流かどうかは全くわかりませんが、その通り、自分の健康の秘訣は自転車と歩くこと。近所の森の中を歩くようにしています(ベリーもキノコも採れませんが、笑)。「歩くと空がよく見えますよね」とミホコさん。なるほど、空を見つめるというのは、ゆっくりと歩いているときなのかもしれません。

ハ:あの、棒を使った運動もありましたよね。
ミ:スティック・エクササイズですね、スティックがなくても大丈夫です。本当は毎日やるといいんですけどね。あとはストレッチや足裏マッサージもしますね。
ハ:フィンランドには「ラジオ体操」みたいなものはあるんですか?
ミ:ないようですね。日本ではあの音楽が鳴ったら誰でも体が動くというと、フィンランドの人たちは驚きます、笑。


海外クルーを呼んでみた。

最後にミホコさんが紹介してくれたのが、「海外クルーを呼んでみた。」というTV番組。海外の映像制作クルーを招いて、日本の魅力をPRする動画を撮影してもらうという趣旨。

今回は、フィンランドとインドのクルーが愛媛をPR。「それぞれおもしろがるものや気になるものが異なるところが楽しい」とミホコさん。フィンランドのクルーは普段、サスペンスドラマを制作しているそうで、番組終盤に流れた動画もミステリー仕立てになっていたとか。

▶︎ 海外クルーを呼んでみた。|RNB 南海放送

ハ:TVerで観れますとコメントをいただきました。
ミ:ありがとうございます。ぜひ観てみてください。

今回は岩間さんがお休みでした。次週はたっぷり話してもらいたいと思っています!


── なくしたものもいなくなったひとも、よろこびもかなしみも、世界から消えてしまったものはみんなどこへ行くのだろう。空にあるのなら、それでいいなとおもう。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text : harada

#148|Blue – The Jayhawks