#087 陽のあたる場所

陽のあたる場所にいる人よりも陽のあたらない場所にいる人こそ尊敬しています。そんな人たちに支えられていることに感謝しています。自分もそのうちの一人でありたいと思います──

Moi!フィンランドをもっと好きになる87回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。

  • フィンランド映画祭2022
  • カレリア語映画上映会
  • ヨーロッパ文芸フェスティバル2022
  • フィンランド浸透度調査に新たなアイテム登場!
  • 銀座三越「イロトリドリ」

フィンランド映画祭2022

今週はみんなが同じような活動内容でした。そこでランダムに話を聞いていくことにしました。まずは渋谷のユーロスペースで開催されていた「フィンランド映画祭2022」の話題から。映画祭で上映された全5作品すべて観たというユカさんによると、今年は良作揃いだったそうです。

まずユカさんが紹介してくれたのが『タイタニックを見たくなかった盲目の男』。主人公を演じる役者も実際に同じ境遇にある方で、「見えないということを知識では知っているがこんなに怖いものなのだということを実感できた」とユカさん。

『カラオケパラダイス』は以前、Eテレで放映されたドキュメンタリーの完全版。映画のポスターにもなっている自動車修理工場のおじさんのその後が気になると岩間さん。

ミホコさんが観たのは『シーヒャー反抗的な妖精』と『ウッドカッター・ストーリー』の2本。「シーヒャは妖精なので飛んだり宙返りしたりするのだけれど、その飛ばせ方がアメリカだったらもう少しちゃんとしていたかも、笑」と。

『ウッドカッター・ストーリー』に関しては先に観た知り合いの方から「訳がわからなかったのでどういうことだったのか教えてほしい」と言われていたそうです。

フライヤーにも「シュールで奇妙な物語」と書かれていた通り、こちらもファンタジーがかっている映画だったそうです。本当に映画の好きな方が好きな映画でしょう、とミホコさん。主役のヤルコ・ラハティは『オリ・マキの生涯で最も幸せな日』のオリ・マキ役の俳優でしたね、とユカさん。

ユ:『タイタニックを見たくなかった盲目の男』は全人類に観てほしい映画です。
ハ:『ガールピクチャー』は来年上映が決まったそうですけど、この映画もそうなるといいですよね。
イ:SNSなどで上映希望の声を上げると実現するかもしれないね。


カレリア語映画上映会

神楽坂にある古い民家を改修したギャラリーで開催されたカレリア語映画上映会。前半の部を終えたユカさんと入れ違いで会いました。

カレリアの文化を伝えるために作られた全3部作の映画で、3作目の資金調達も目的の一つとして、カレリア人の婚礼の儀式を描いた第1作『VENEH|小舟』と死や葬儀を描いた第2作『LINDU|小鳥』が上映されました。

セリフはほとんどなく、美しい映像と音楽そしてカレリア語のナレーション(主に『カレワラ』より引用)で物語が進んでいきます。フィンランド人のアイデンティティを支えてきたカレリアの地。そこでずっと暮らしてきたカレリア人たち。その思いはさまざまであることを感じました。

こちらの上映会は来年3月に大阪でも行われる予定です。ちなみに第1作『VENEH|小舟』はWebサイトで公開されていますので、ご興味のある方はどうぞ。

▶︎ カレリア映画プロジェクト

イ:ユカさん、カレリア語を聞いてみて、フィンランド語とは違いますか?
ユ:そうですね。似ている言葉もあるんですが、わかりませんでした。
イ:ミホコさんからみて、どうですか?
ミ:こわくて発言できません、笑。エストニア語も同様に似ているようで違いますよね。


ヨーロッパ文芸フェスティバル2022

ヨーロッパ文学の100年をテーマにした今年のヨーロッパ文芸フェスティバル。フィンランドから翻訳・通訳のセルボ貴子さんが登壇されるということで、ミホコさん、ユカさん、そして自分も行ってきました。

セルボさんは、2日目のトークイベントと4日目のトークセッションに参加。順番が逆になってしまいましたが、まずトークセッションについて、ユカさんと自分から。

ハ:旅する文学という翻訳文学についてのお話でおもしろかったですよね。
ユ:ええ、おもしろかったです!
ミ:どこがおもしろかったのか教えてくれないと、笑。
ユ:職業柄(ユカさんは校正・校閲の仕事をされている)、翻訳者や編集者の方のお話を聞けておもしろかったです。

▶︎ 世界の窓と時空の旅〜ミカ・ワルタリ『エジプト人』の翻訳について

ヨーロッパ文芸フェスティバル2022の2日目、ミカ・ワルタリによるフィンランド文学の名作『エジプト人』を翻訳中のセルボ貴子さんのトークイベントを聴講してきました。セルボさんが現在翻訳に取り組まれているミカ・ワルタリ『エジプト人』出版社みずいろブックス、翻訳の難しさについてなど、イベントの模様をくわしくお届けします。

ハ:多くの本が翻訳者の方の売り込みで出版されていて、実際の翻訳だけでなく本を紹介することも翻訳者の役割なのだと改めて知りました。

2日目のセルボさんお一人でのトークイベントについてはレポートを書きました。そこで配信ではミホコさんの感想を聞きました。

ミ:通常、翻訳中の作品について発表することはありません。出版されたばかりのものでも、翻訳者の手を離れて半年以上経っていたりします。今この作品を手がけていると言えることは、翻訳の大変さや伝えたいことなど、自分の心の動きをそのまま話せるとてもいい機会だと思います。こうして会場で話を聞かせていただくことで本に対する期待度も上がります。本を待っていてくれる人がいるということも、スポーツ選手の応援のように(翻訳を)がんばれる原動力になりますね。


フィンランド浸透度調査に新たなアイテム登場!

ペース配分が下手な司会(自分)。時間が余ったのでミホコさんに報告してもらいました。ひとつがフィンランド浸透度調査に新たなアイテム「リフレクター」が加わったことが発表されました!

©︎mihoko-san

暗い時間が長く続くフィンランドなどではリフレクターが必須です。フィンランドでは「いちばん安い「損害保険」といわれているそうです。

日本でも普及してほしいと思っているとミホコさん。実際にバッグにもつけています(ルーネベリタルトのリフレクター、とてもニッチ!)。

今週はリフレクターをつけていた人が2名。どちらの方もマリメッコのリュックだったそうです。


銀座三越「イロトリドリ」

そしてもうひとつ。銀座三越で29日まで開催中の作品展「イロトリドリ」を紹介してくれました。参加されている3名の作家は、織物の佐藤千織さん、フェルトの佐藤千香子さん、装身具のhArchさん。

©︎mihoko-san

佐藤千織さんと佐藤千香子さんによる二人展については以前にもご紹介したことがありますが、おふたりともフィンランドにゆかりのある作家さんです。

佐藤千織さんの織物について、色が美しすぎるとミホコさん。今回はリュイユ織の技法を使ったブローチを製作されているそうです。

イロトリドリ

会期:2022年11月23日~11月29日
会場:銀座三越7階エムケイ・クラフト


── 空の下で、縁側に座って、これからもずっと日向ぼっこができたら。ただそれだけが自分にとっての陽のあたる場所なんですけれど。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text:harada

#87|A Place In The Sun – Nick DeCaro