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ムンキまつり
2019.7.1|event

7月7日はムンキまつり。

ムンキとは、カルダモン入りのフィンランドのドーナツのこと。当日は、揚げたてのムンキとドリンクのみの特別メニューで皆様をおもてなしいたします。 テイクアウト中心ですがイートインも可。

また、pieni kirjakaappiさんによるフィンランドのかわいい絵本の大放出市も同時開催です。 揚げたてのフィンランドドーナツを味わえる貴重な機会です。お楽しみに!

※ 正午より18時まで。また当日は上記以外のカフェ営業はお休みです。

男のけじめ
2019.7.2|finland

探しているものがあまりにピンポイントすぎるため、古本まつりにはよく出かけるが掘り出し物に遭遇することはめったにない。そういうわけだから、今回もたいした期待はせず、とりあえず目についた本を棚から引っ張り出したり、指を黒くしながら古い絵はがきの束を箱からつかみ出したりしていたのだった。

そうしているうち、本棚の下に古い絵はがきが無造作に投げ込まれた箱をみつけた。探しもののひとつはとある人物のブロマイドなのだが、とりあえず確認しないわけにはいかない。パッと見たところ数百枚はありそうだ。時代もカテゴリーもまったく手つかず、なんの分類もされていない様子である。こういうときは、とりあえず何枚かをつまみ上げて、おおよその見当をつける。時は金なり。どう見ても探しものが混じっていなさそうならば全部を見るような手間はかけない。ためしに、一枚引き抜いてみた。なんだ外国の風景か。戻そうと思って手が止まった。

ん?これは、ええと、もしかして?ヘルシンキじゃん!

まさしくそれは、フィンランドの首都ヘルシンキの写真に彩色を施した、おそらく観光用につくられたとおぼしき絵はがきだった。

絵はがきはやや上から見下ろす構図で、ヘルシンキの中心地に建つマンネルヘイム将軍の銅像越しに荘重な構えの国会議事堂が見える。撮影ポイントは中央郵便局の上階だろうか。

ちなみにマンネルヘイム将軍とは、第一次世界大戦そして第二次世界大戦と大国のはざまで厳しい立場に置かれたフィンランドの軍隊を率いた英雄である。ヘルシンキの南北を貫く目抜き通りは、いまもその将軍の名前から「マンネルヘイム通り」と呼ばれている。絵はがきの中央、トラムが走っているのがその「マンネルヘイム通り」である。

ところで、絵はがきの裏面には、「Fred Runeberg」というカメラマンの名前と思われるクレジットが記載されていた。もしそれが観光客相手の絵はがきだとすれば、そこにわざわざ名前のクレジットが入るということはフィンランドではそれなりに知名度のあるカメラマンだということにはならないか。そう考えると、この「フレッド・ルーネベリ」という名前には確かになんとなく聞きおぼえがあるような気がする。

その記憶が正しいことはすぐに証明された。1950年代から1960年代にかけてフィンランドでつくられた観光用ポスターの多くを手がけたのが、まさしくこのフレッド・ルーネベリなのである。それらのポスターのいくつかは現在も「COME TO FINLAND」というブランドから復刻されており、ぼくはそれを見て彼の名前をうっすら記憶していたのだ。

1909年ヘルシンキに生まれたフレッド・ルーネベリは、最初ポートレイトを中心に写真家としてのキャリアを始めたものの、次第にコマーシャルフォトに対する関心を高めてゆき「フィンランド初の広告写真家」という地位を築くことになる。とりわけ、ルーネベリは1937年のパリ万博のパビリオンのための写真を担当し、そのパビリオンが「金賞」を獲得したことで自身の名声も確立することにつながった。この絵はがきも、そんなキャリアを通して彼が膨大に残した作品の中の一枚であろう。

トラムの型や自動車、道を歩く人びとのファッションを見るかぎり、おそらくこの絵はがきは1950年代の後半あたりのものではないだろうか。正直、ぼくの探しものとはまったく関係ないのだが、とはいえ、よりによっていきなり引いてしまった以上買わないわけにもいかない。百円なり。男のけじめです。

ジョアン・ジルベルトが死んでも、ジョアン・ジルベルトをこれからも聴き続けてゆけるというしあわせ
2019.7.9|music

ジョアン・ジルベルトが死んだ。

ボサノヴァの神様。ボサノヴァの法王。パジャマを着た神様。これは、ボサノヴァの歴史をあつかった本のタイトル。その長い隠遁生活を想起させる、なかなか巧みなキャッチフレーズだ。

幸運なことに、ぼくはジョアン・ジルベルトのステージを2003年の初来日時に3回、そして翌年の再来日時に1回の計4回観ている。生きてゆくということは、その道すがらどれだけたくさんの「宝物」を見つけられるかということでもある。とすれば、ボサノヴァと出会い、もっとも熱心に聴いていた時期にジョアンの生演奏を体験できたことは、ぼくの人生にとってまちがいなくかけがえのない「宝物」であった。

しかし、そこまで敬愛するアーティストであるにもかかわらず、ジョアン・ジルベルトの訃報を聞いて悲しみだとか、寂しさを強く感じているかというとそうでもない。自分でも、それはちょっと意外なほどに。

ジョアン・ジルベルトという存在を、ぼくはおそらくはじめから別格というか、別次元というか、うまく言えないけれど大気とか宇宙といったような、そういう「空虚を満たしてくれるなにか」としてとらえていたように思う。すくなくとも、その死に打ちのめされたり寂しさを募らせるほど、ぼくにとってジョアン・ジルベルトというひとは近しい存在ではなかった。彼の死は、あらためてぼくにそのことを確かめさせてくれた。

そんなぼくが、いま抱いているのは「感謝」の念である。英語には、ひとの死にあたって「celebrate」という表現を使うことがあるとツイッターでフォロワーの方から教えていただいた。その人の功績を讃え、生涯を祝福するのだという。音楽を通してのみジョアンに触れてきた自分には、まさにそれがもっとも自然でしっくりくる。

ある日突然パソコンのハードディスクが壊れ中身のデータがすべて飛んでしまうように、死によってひとの身体がこの世界から消えてしまうことでそのひとの創造物もまた失われてしまうとしたら・・・。それはつまり、ジョアン・ジルベルトの死とともにボサノヴァの大部分も消失してしまうということだ。しかし幸福なことに、宇宙はそのようにはできていない。たとえそのひとの身体がこの地上から消えてなくなってしまったとしても、ひとがその生涯を通じてつくりあげた作品はかならずなんらかのかたちで残る(戦争のような愚かな行いさえしなければ)。

仮に、エジソンの死によってこの世界から電球が失われたり、ベンツやダイムラーの死によって自動車が消えたとしても、遅かれ早かれべつの誰かが似たようなものをつくりあげるにちがいない。科学は、自然の観察と注意深い洞察によって導き出された結果だからである。だが、ベートーヴェンやピカソの死によって失われてしまった「第九」や「ゲルニカ」は、もう二度とつくられることはないだろう。そこに、芸術の気高さがある。

神様によって選ばれたひとの手によって生み出された芸術は、確かに、この世界に生き続ける。本当にありがたいことだ。なぜなら、そのことによってぼくらはわずかな手札だけでなく、多様で豊富な切り札をポケットにしのばせて人生を歩んでゆくことができるのだから。

ジョアン・ジルベルトは死んでしまったけれど、ぼくらはこれからもジョアンの優しい歌声と柔らかなギターの音色をずっと聴き続けることだろう。

ムイト オブリガード また会いましょう。

ムンキまつり
2019.7.10|finland

7月7日日曜日は、イベント「ムンキまつり」を開催しました。

ムンキとはフィンランド語でドーナツのこと。生地には、フィンランドの菓子パンではおなじみカルダモンが練り込んであるためほんのりスパイシーな香りが特徴です。

じつは、スタッフとはすいぶん前から一日中ひたすらドーナツを揚げてむしゃむしゃと頬張ってもらうような、いってみれば文化祭の屋台みたいなイベントをやりたいねと話してはいたのですが、それがとうとう今回このようなかたちで実現した次第。

七夕にしてはあんまりな空模様ではありましたが、常連のお客様、匂いにつられてふらりと立ち寄ってくださった方、元スタッフなど予想以上にたくさんのお客様(なかにはフィンランドから旅行中のご家族も!)にご来店いただきワイワイとにぎやかなイベントになりました。ご来店いただきました皆様、心よりありがとうございます。

当日は、早朝よりスタッフのお子さんも装飾係として参加してくれ、イメージ通り甘酸っぱい文化祭らしさが完成。黒板担当は、スタッフのみぽりん画伯。

また、店内にはPieni Kirjakaappiさんによるフィンランドの小さなえほん屋さんも登場。トーヴェ・ヤンソンやマウリ・クンナスはじめ、日本ではなかなか手に入らないフィンランドの絵本もたくさん並び展示販売されました(こちらは7月いっぱいくらいまで引き続き展開中)。ちなみに、Pieni Kirjakaappiさんの正体はmoiのスタッフのひとりです。

今回ご用意したムンキは「プレーン」「シナモンシュガー」、それに自家製のあんずジャムを入れた「ジャム入り」の3種類をご用意しました。

ムンキ部隊には、頼りになるキッチンスタッフのほか、フィンランド家庭料理の研究家である西尾ひろ子さん、さらに創作和菓子ユニットSavotta?のみっちゃんも参戦してmoi史上最強の陣容となりました。随時揚げたてを提供できたのは、まさにこのメンツが揃ったからこそ。しかも、西尾さんもみっちゃんもみずから名乗りを上げて参加してくださったのが本当にうれしかったです。

イベント終了後、ぼくもようやくひとつ食べることができたのですが、これは本当に掛け値なしにおいしいムンキでした。お客様が、その場でおかわりしたり、また追加でお土産も買ってくださったりしていたのも納得。

お客様、そして当日参加してくださったメンバーふくめ、これまでの時間から生まれたサークル(輪っか)のような、その意味でまさにドーナツのようなドーナツのイベントとなりました。よい思い出ができてしあわせです。

Photo/T.Harada、E.Yokota、Y.Iwama

桃のあんみつを食べる会
2019.7.12|event

ご好評いただいた「ムンキまつり」に続くイベント第2弾のご案内です。

7月20日土曜日、創作和菓子ユニット「Savotta?」さんによる「桃のあんみつを食べる会」を開催します。桃のコンポート、桃のピューレ、そして桃の水羊羹と、これでもかとばかり贅沢に桃を使ったあんみつです。

さらに、今回はテーブルに季節の草花を上山美保子さんがアレンジメントしてくださるとのことですので、ふだんとはひと味ちがう「甘味処モイ」をお楽しみいただけます。
なお、当日はオペレーションの都合上、完全予約制とさせて頂きます。

下記をよくお読みいただいた上、メールもしくは店頭にて直接お申し込みください。各時間帯とも定員に達し次第受付を終了させて頂きます。

また、当日は通常のカフェ営業はお休みとなります(物販は通常どおり)。

【イベント概要】
◎ 日程:7月20日[土] moi(カフェモイ)
◎ メニュー:桃のあんみつ(あんみつに合わせて厳選したほうじ茶つき)
 メニューは上記のみですが、コーヒー等ドリンクのおかわり(別料金)は可能です
◎ 料金:1,500円(税込)
◎ ご予約時間帯:
 第1回 11時30分〜13時  ×受付終了
 第2回 13時〜14時30分    ×受付終了
 第3回 14時30分〜16時 ×受付終了
 第4回 16時〜17時30分 ×受付終了
 第5回 17時30分〜19時  ×受付終了

上記の予約時間帯の中であれば、いつ来ていつ帰ってもOKです。ただし各終了時間帯の30分前まで(たとえば第1回の場合12時30分)にはご入店お願いします。

【ご予約方法】
メールもしくは直接店頭にてお申し込みください。受付は先着順です。
◎ 満席になりましたためご予約は締め切らせて頂きました。(7/18)

第1回から第5回までの時間帯は、すべて定員に達し次第受付を締め切らせていただきます。満席の場合はご容赦ください。

皆様のご参加心よりお待ち申し上げております。

お知らせ詰め合わせ&戯言フォー・ユー
2019.7.17|info

このあいだ、なにかの拍子にアップル・ミュージックの無料おためしキャンペーン的なものに登録してしまい、まあ登録してしまったものは仕方ないと一ヶ月ほど使っているわけですが、最近になって自分専用のプレイリストなるものがふだん自分が好んで聴いている音楽を元に生成されていることに気づきました。

そのプレイリストが、自分の嗜好を分析してできているので当然といえば当然なのですが、ジャンルがめちゃくちゃで、それでいてちゃんと自分の好みの感じに統一されていることに感心してしまいました。でも、どういうわけか全体に物悲しい。どうやら、AIから孤独な人という認識をされているみたいです。

けさも、そんなプレイリストを聴きながら歩いていたのですが、途中の植え込みに艶やかなピンク色の花をいくつもつけたタチアオイが、一本だけまっすぐ伸びているのに気づきました。毎日通る道なのにどうしていままで気づかなかったのだろう。ふしぎに思いながらも、きっと雨に濡れて鮮やかさを増した緑色やピンク色のせいかもしれないなどと考えていたところ、不意に耳に挿したイヤホンからジョアン・ドナートの懐かしい「Lugar Comum(いつもの場所)」という曲が流れてきて、なんだかわけもわからず泣きたい気分になってしまいました。

どんなに大切なものも、いつもそこにあるとそれが当たり前になって気づかなくなってしまう。それで幾度となく苦い気分を味わってきたはずなのに、気づくとまた同じことを繰り返している。

なにも、そんなことを瞬時に思って泣きたくなったわけではないのですが、なんだか朝からAIにしてやれた、そんな感じでした。

いや、そんなことを書くよりもお知らせをしなければ……


今週土曜日のSavotta?さんプロデユースによる「桃のあんみつ」の会ですが、残席が5名ほどになりました。時間帯別の完全予約制ですので、ご検討中の方がいらっしゃいましたらお早めにお申し込み下さい。桃は、今回甲州産の「みさか白鳳」を使用いたします。なお、ブログにて予約状況等ご確認の上お申し込みくださいませ。

さて、上記イベント開催の関係で20日[土]のカフェの営業はお休みとなります。物販およびシナモンロールのテイクアウトにつきましては通常どおりとさせて頂きます。

また、22日[月]は「フィンランドごはん」はお休み、代わりにサーモンの北欧風タルタルサンドをご用意させていただく予定です。

8月は、過去にも開催しご好評いただきました前田恵理子さんによる靴下展を開催致しますのでお楽しみに。


おまけ。おとなのプチ遠足的なものをやります。

23日[火]の午後、いま新宿のLIVING DESIGN CENTER「OZONE」で開催中の『北欧の灯り』展を観て、その後どこかでお茶をしながら北欧の話で盛り上がって解散! という毒にも薬にもならないゆるい内容ですが、OZONE遠いので一人だと面倒くさくなって行かなそうというひどく安易な理由で思いつきました。

14時現地集合17時半解散くらいなイメージですので、もし興味のある方いらしゃいましたらお気軽にご連絡ください。

プレイリスト
2019.7.17|facebook

このあいだ、なにかの拍子にアップル・ミュージックの無料おためしキャンペーン的なものに登録してしまい、まあ登録してしまったものは仕方ないと一ヶ月ほど使っているわけですが、最近になって自分専用のプレイリストなるものがふだん自分が好んで聴いている音楽を元に生成されていることに気づきました。

そのプレイリストが、自分の嗜好を分析してできているので当然といえば当然なのですが、ジャンルがめちゃくちゃで、それでいてちゃんと自分の好みの感じに統一されていることに感心してしまいました。でも、どういうわけか全体に物悲しい。どうやら、AIから孤独な人という認識をされているみたいです。

けさも、そんなプレイリストを聴きながら歩いていたのですが、途中の植え込みに艶やかなピンク色の花をいくつもつけたタチアオイが、一本だけまっすぐ伸びているのに気づきました。毎日通る道なのにどうしていままで気づかなかったのだろう。ふしぎに思いながらも、きっと雨に濡れて鮮やかさを増した緑色やピンク色のせいかもしれないなどと考えていたところ、不意に耳に挿したイヤホンからジョアン・ドナートの懐かしい「Lugar Comum(いつもの場所)」という曲が流れてきて、なんだかわけもわからず泣きたい気分になってしまいました。

どんなに大切なものも、いつもそこにあるとそれが当たり前になって気づかなくなってしまう。それで幾度となく苦い気分を味わってきたはずなのに、気づくとまた同じことを繰り返している……

なにも、そんなことを瞬時に思って泣きたくなったわけではないのですが、なんだか朝からAIにしてやれた、そんな感じでした。

いや、そんなことを書くよりもお知らせをしなければ……

今週土曜日のSavotta?さんプロデュースによる「桃のあんみつ」の会ですが、残席が5名ほどになりました。時間帯別の完全予約制ですので、ご検討中の方がいらっしゃいましたらお早めにお申し込み下さい。桃は、今回甲州産の「みさか白鳳」を使用いたします。なお、ブログにて予約状況等ご確認の上お申し込みくださいませ。

http://moicafe.hatenablog.com/entry/2019/07/12/120008

さて、上記イベント開催の関係で20日(土)のカフェの営業はお休みとなります。物販およびシナモンロールのテイクアウトにつきましては通常どおりとさせて頂きます。

また、22日(月)は「フィンランドごはん」はお休み、代わりにサーモンの北欧風タルタルサンドをご用意させていただく予定です。

8月は、過去にも開催しご好評いただきました前田恵理子さんによる靴下展を開催致しますのでお楽しみに。

おまけ。おとなのプチ遠足的なものをやります。

23日(火)の午後、いま新宿のLIVING DESIGN CENTER「OZONE」で開催中の『北欧の灯り』展を観て、その後どこかでお茶をしながら北欧の話で盛り上がって解散! という毒にも薬にもならないゆるい内容ですが、OZONE遠いので一人だと面倒くさくなって行かなそうというひどく安易な理由で思いつきました。

https://www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/804

14時現地集合17時半解散くらいなイメージですので、もし興味のある方いらしゃいましたらお気軽にご連絡ください。

北欧の灯りは、ごちそう。
2019.7.24|art & design

北欧の建築家やデザイナーが手がけたうつくしい照明作品の数々を紹介した「北欧の灯り」展が、いま新宿パークタワーのギャラリー1にて開催されています(主催:九州産業大学 小泉隆研究室・日本フィンランドデザイン協会・リンビングデザインセンターOZONE)。

今回紹介されているのは、ポール・ヘニングセン、コーア・クリント、ヴィルヘルム・ラウリッツン、アルネ・ヤコブセン、フィン・ユール、ヨーン・ウッソン、ハンス・J・ウェグナー(デンマーク)、グンナール・アスプルンド、エリック・ブリュッグマン(スウェーデン)、そしてアルヴァ・アアルト、ユハ・レイヴィスカ(フィンランド)の計11人の作品。

各作家の紹介のほか、現地で実際に使用されている様子を撮影した写真パネル、そして代表作のいくつかは実物も併せて展示されているので、その器具が実際に光を放ち、「生きている」様子を感じることができるのはありがたいところ。また、ダイニングや書斎、教会など、写真を通じてその器具がどのような目的をもってつくられたのか理解することもできます。

そして、とりわけ面白いのは、代表的な照明器具の断面がどのようになっているのか、それを実物大であらわした模型が展示されている点です。いわば、北欧デザインの照明の解剖図。

北欧デザインの照明器具には、光源(電球)が直接目に入らないよう配慮されたものが少なくありません。ポール・ヘニングセンの有名な「PH5」や「アーティチョーク」などはまさにその典型と言えます。

北欧でそのようなかたちが好まれることについて、東京タワーや東京駅のライトアップでも知られ、1960年代に単身でフィンランドに渡り照明デザインを学んだ経験をもつ石井幹子さんは、冬の長い北欧に生きる人たちは日本人ほどには「強い」光に慣れておらず、極度の明るさには疲れてしまうのではないかと説明します。実際、断面図の模型をつうじてヘニングセンの「PH5」や「アーティチョーク」を見ると、いかに彼が光源からの光をコントロールするのに腐心しているか、まさにあの作品はあのかたちでなければならないのだということが手に取るように分かります。ぜひ、これは実際に会場で見ていただきたいと思います。

さらに、北欧の人たちが蛍光灯を嫌い、間接照明を好む理由について、石井幹子さんはこのように言います。フィンランドのひとは一人で過ごす時間をとても大切にするため、ひとつの部屋の中にも新聞が読めるような十分な明るさをもつ場所と同様、ぼんやり物思いに耽ったりゆったり心を落ち着かせるのにふさわしい程度の明るさをもつ場所を必要とするのだ、と。

北欧の人たちにとって、「光」とは実用一辺倒の昼間の明るさを確保するためのものである以上に、キャンドルやたき火の炎のような心のぜいたく、ごちそうなのではないかとあらためて考えました。

いつか、北欧のさまざまな「光」を訪ね、ただただ愛でるというツアーを企画してみたいですね。夢は広がります。

──

ところで、今回は初めての試みとして「遠足」と称しFBページとTwitterを通じて一緒に行ってくださる方を募集、あつまった総勢5人でわいわいと展示を見学し、カフェでお茶を飲みおしゃべりして過ごしました。

初対面にもかかわらず話題が尽きることはなく、話はなぜか北欧から岐阜、そして沖縄へ。結果、それぞれがおすすめする「おいしい沖縄みやげ」というお役立ち情報をゲットしましたので、ここでみなさんにシェアしたいと思います。

1. ちんすこうショコラ・・・ちんすこう×ビターなチョコレートの相性が◎
2. 天使のはね・・・軽い食感の塩せんべい。定番のおみやげに飽きた人にオススメ。
3. ROYCE'石垣島の黒糖チョコレート・・・北海道みやげのイメージが強いが意外な刺客。

また機会があれば、こういう「遠足」企画も楽しいですね。ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。

石井幹子『フィンランド 白夜の国に光の夢』。ぼくのバイブルのひとつです。フィンランドはもちろん、北欧デザイン、とくに照明について知りたい方は必読。

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