JJazz.Net内の人気コーナーにて、bar bossaの林さんから音楽についてインタビューしていただきました。自分が過去に聴いてきた音楽とあらためて向き合うことは、なかなかスリリングな体験でした。インタビューでは音楽のことだけでなく、お店をつくるにあたっての経緯などにも触れています。また、人生の曲がり角で出会った10曲もセレクトさせていただきました(リンク先にて視聴可)。
こうして並べてみると、なんだかやたらと節操がない感じを受けますが、それはきっとぼくが音楽を「趣味」として掘り下げるよりも、その時々の自分の姿を映す「鏡」のようにしてつきあってきたせいかもしれません。熱心に聴いていたのに、あるときを境にぷいっと離れてしまったり、そうかと思うと、またやたらと情熱的に聴き始めたり、そんなふうにしてこれからも付かず離れずといった具合にひとりの「聴き手」として音楽とともに人生を歩んでゆくのだと思います。
人気コーナーにお呼ばれして舞い上がっちゃってる感じあり(笑)、またJJazz.Netと知りながらジャズを一曲もセレクトしていないという手抜かりもあったりするわけですが(笑)、お時間のあるときにお読みいただければ幸いです。また、もし聴いたことのない音楽がありましたらほんのさわりだけでも聴いてみていただければと思います。
https://www.jjazz.net/jjazznet_blog/2014/11/bar-bossa-vol39.php
「水面はさ、いっつもきれいだけどなんにも遺さず移り変わっちまうでしょう。でも水底で砂粒はねェ、しっかり跡を刻んでるんだねェ」
明治維新から十年、刷毛で塗り替えるように新たな慣習や思想が過去を覆ってゆくなか、その急激な変化についてゆけないまま谷底の遊郭で砂粒のようにうごめいている人びとの姿を彼らの焦燥や哀感とともに描いている。その中で、「駕篭の鳥」という身分ながら決然と時代に立ち向かう花魁「小野菊」、ある種の諦観をもって飄々と生きる狂言まわし役の「ポン太」が印象的。
まさに漂砂のような速度で物語が進行するなか、後半、現実が三遊亭圓朝の噺とリンクしてゆく部分がスリリング。はたして、その後の言文一致運動に小野菊は一役買ったのだろうか……。
昭和47年にスタートした地域寄席の老舗「かまくら落語会」。その代表世話人を引き継ぎ、26年間あまり運営に携わってきた人物による貴重な記録。
著者の岡崎氏は本職が物理学者ということもあり、過去の資料を引きながらの叙述は読み物としてのおもしろおかしさには欠ける反面、出演した噺家とのやりとりや失敗談も含め感傷を排し事実のみを綴る「実直さ」に世話人としての人柄や落語会の会員に対する思いが感じ取られる。
地域寄席の貴重なドキュメントであるとともに、世話人とお客様、そして演者の三位一体によってつくられてきた歴史の重みに敬意を表したくなる。
旅の途中、飛行機でみる映画はたのしい。どういうからくりかは知らないが、日本ではまだ公開されていない作品が上映されたりもする。とはいえ、そんなたのしい機内上映のひとときが、ときに〝拷問〟になったりもするのだから侮れない。
機内で、『イエスマン〝YES〟は人生のパスワード』という映画を2回みたことがある。正確に言うと、1.8回。冴えない主人公が胡散臭い自己啓発セミナーに翻弄される話なのだが、繰り返しみるほど気に入ったのかというとまったくそんなことはない。俳優にしたって、主演のジム・キャリーはともかく、相手役のズーイー・デシャネルなどはできれば自身の出演作リストから抹消したいのではないか。本人に訊いたわけではないから断言はできないけれど。
それはともかく、眠くなかったし、持参した本もあらかた読んでしまったのでぼくはなんとなく、この『イエスマン』をみはじめたのである。さして面白くもない(好きな方がいらっしゃったらゴメンナサイ)。それでも、最後の15分あたりになると俄然ふたりの恋の行方が気になりだした。ところが、である。ようやく面白くなりはじめたそのとき、「これより着陸態勢に入ります」とかなんとかいって突然モニターが真っ暗になってしまったのである。気になる。結末が、気になるじゃないか!!!おかげで、旅のあいだアタマの中はずっと「人生のパスワード〝YES〟」でいっぱいだった。
そんなわけで、帰りの飛行機では機内上映がはじまるのを待ちかまえて『イエスマン』をみた。しかしながら、機内のモニターというのは早送りができない。けっきょく、最後の15分のために退屈な90分を繰り返すはめに。そして期待した後半15分の展開はといえば…… ほぼ想像通りであった。
フィンランド航空が、座席ごとにモニターのついた機体を導入したのはかなり遅かったのではないか。少なくとも10年ほど前までは、映画は客席内に設置された大型のスクリーンでみるほかなかったし、当然好みの作品を選ぶといったこともできなかった。
ある年、ヘルシンキへと向かう機内で上映されていたのは『解夏(げげ)』だった。さだまさし原作による小説の映画化で、ざっくり言うと、大沢たかおが視力を失う話である。夏の北欧をめざすのんきな観光客がみる映画としては、それはあまりに重く、暗かった。
またべつのある年、ヘルシンキへと向かう機中で上映されていたのは『スクール☆ウォーズ』であった。かつてテレビで大ヒットした『スクール☆ウォーズ〜泣き虫先生の7年戦争〜』を映画化したものである。直情型の若い教師が、ラグビーを介して不良少年や落ちこぼれたちと心を通わせてゆく。教師役は照英。さすがにみる気になれずイヤフォンは使わなかったが、それでも目を開けていれば嫌でもスクリーンに映し出される映像は目にはいってくる。困ったものだ。1列前に座ったビジネスマンとおぼしきフィンランド人男性の目に、いったい「泣き虫先生」の姿はどのように映っているのだろう? 荒廃した校内でバイクを乗り回すリーゼント姿の若者をみて、うっかりレニングラードカウボーイズの日本版と勘違いしたりしないだろうか? 余計なことを考えていると、ついうっかりスクリーンを見入ってしまう。いかんいかん。そうして目を離しても、試合シーンのたび、イヤフォンから漏れたピィーーーーッという甲高いホイッスルの音が機内に響きわたるのだった……。
以下、持論。機内で上映する映画についていえば、あまり「新作」であることにこだわらず、もはや定番と化した「名作」のほうがかえって安心感があるのではないか。
ザ・様式美!?
このシリーズも第5弾、ついに最終作になってしまった。本人は、命あるかぎり書き続けると高らかに宣言していただけに名残惜しい。
ルービンの不機嫌に始まり、ゴンザロが出すきっかけに応じてヘンリーが鮮やかに、だが控えめに謎解きをするという黄金のワンパターンがここにきて完全に定着した印象。形式が決まった分、読み手も(ブラックウィドワーズのメンバーになった気分で)いっそう集中して謎解きに「参加」できるようになった。
なお、毎回密かに楽しみにしていた訳者あとがきが、この巻にかぎって有栖川有栖氏による解説に変わってしまったことだけが唯一、個人的には残念。
◎ 11月15[土]15時45分〜17時 吉祥寺産経学園/トーク
【コーヒーカップの中にフィンランドが見えた】
吉祥寺産経学園フィンランド語サロンにてフィンランドについてお話しをさせていただきます。トークは前半40分ほど、後半は永井涼子先生によるフィンランド語講座となります。
◎ 11月20日[木]〜11月24日(祝) moi/展示
【粘土作家ポヲ個展「てのひらからひとしずく」】
フィンランドをテーマにした粘土作家ポヲさんによる「ちっちゃな粘土の展覧会」
http://s.maho.jp/homepage/5c363ci03046664e/
◎ 11月27日[木]〜12月8日[月] moi/展示
【マッティ・ピックヤムサ イラスト原画展】
いまフィンランドでもっとも人気のあるイラストレーターのひとり、マッティ・ピックヤムサが「ヘルシンギンサノマット」紙のために書き下ろした作品の原画を展示いたします。会期を前半/後半に分け、各5作品程度を展示する予定です。展示はカフェ内となりますため、1オーダーお願い致します。その他、マッティ・ピックヤムサのイラストをあしらった雑貨等もあわせて販売いたします。
http://markka.sub.jp/mattipikkujamsa/
◎ 12月11日[木]〜12月15日[月] moi/展示
【粘土作家ポヲ個展「もうひとしずく」】
ポヲさんの手から生まれたちっちゃな粘土の小宇宙。第2弾です。
http://s.maho.jp/homepage/5c363ci03046664e/
◎ 12月2日[火] 17時〜 根津ギャラリーTEN/トーク
【フィンランド“な”カフェができるまで】
「あたたかいクリスマス」をテーマに、フィンランド大好きな作家たちが楽しく繰り広げる恒例の展示のオープニングにお邪魔し、「フィンランド“な”カフェができるまで」というお題でお話しさせていただきます。フィンランドのこと、吉祥寺のことなど絡めつつ「フィンランドカフェ」が出来るまでの「ちょっとイイ話」(?)をご披露いたします。入場無料&事前のお申し込み不要。お飲物と軽食も楽しめます。(おそらくトークは18時すぎくらいからになると思われます)。
http://blog.livedoor.jp/lamminjoulu/
◎ 11月22日[土]〜12月29日[月] 渋谷ユーロスペース/映画
【映画『白夜のタンゴ』】
タンゴのルーツはフィンランド!? アルゼンチンの音楽家たちがタンゴの原点を確かめるためフィンランドに乗り込んだ……。上記期間中にmoiで飲食されたお客様は、なんと劇場でレシートを提示すると映画料金が200円割引に!!また、映画の半券持参でmoiでの御飲食代が10%OFFとなります。
http://whitenights-tango.com
年末の慌ただしいひとときを北欧の味と雰囲気で楽しく乗り切りましょう。
ミルクティーの似合う英国産ミステリ。マージェリー・アリンガムの短編集が文庫本で愉しめるようになったのが、まずうれしい。表紙の酷さはともかく。
古今東西の探偵のなかで、ここまで腰がひけ、覇気の感じられないキャラクターというのも珍しいのではないか。そんなキャンピオン氏とは対照的に、ギラギラしたスコットランドヤードのオーツ警視。掛け合い漫才のような面白さが、そこに生まれる。
あれ?
という感じに一気に「答え」があぶり出されるのもいつものパターンで、ご都合主義な部分もなくはないのだが、そういった部分もふくめて休日の午後にうってつけのコージーミステリとして気楽につきあいたい。
むかし働いていた職場にあったカフェで、ギャルソンたちが山ほどのピンバッジをエプロンにつけているのを見て「カッコいいなァ」と思っていた。
真似をして、この仕事を始めてからじぶんもエプロンにピンバッジをつけるようにした。すると、カンバセーションピースとでも言うのだろうか、それをきっかけにお客様から声をかけていただける機会が増えた。もしかしたらギャルソンたちもまた、そんな目的をもってたくさんのピンバッジをつけていたのかもしれないな、といまは思っている。
フィンランドの「徽章店」で買った国旗のピンバッジ。手芸作家の石川奈々さんからいただいたフェルト製のmoiのロゴ。イラストレーターの日置由香さんが描いたイラストを元にmoiでつくったコーヒー豆ピンバッジ。これは、大坊珈琲店の大坊さんにも気に入っていただいているようだ。そして、韓国の友人ユンジョンからもらった髭バッヂ。さらにきょう、新たに加わったのは北海道に移住した咲子さんがつくった白樺の靴バッヂ。
どれにもひとつひとつ、かけがえのない思い出がある。
フィンランドの〝あたたかいクリスマス〟をテーマにした展示『ランミンヨウル』が、今年も谷中のギャラリーTENにて開催されます(12/2火〜12/7日)。
メンバーはみなフィンランドと深い関わりをもちつつ、日々モノづくりに励んでいるみなさん。じつは、メンバーのほとんどはオープン当初からの「moi」の常連さんでもあります。会期中は展示だけでなく、フェルトやカード織り、フィンランドのお菓子の包装紙をつかった豆本のワークショップなども開催されます。フィンランドが好き、フィンランドのモノづくりについて話を聞いてみたい、そんなみなさんにぜひ足を運んでいただきたい心がポッと暖かくなるようなイベントです。また、この時期、クリスマスプレゼントを探しているという方々にもおすすめです。
さて、この「ランミンヨウル」にお邪魔してワタクシ岩間がトークイベントをさせていただくことになりました(「紅白」的に表現すると2年ぶり3回目の出場)。
テーマは「フィンランド〝な〟カフェができるまで」。
2002年夏、まだ世間では「フィンランドって北極にあるんでしたっけ?」的な空気がはびこっていた時代(?)、どうしてフィンランド〝な〟カフェをここ東京につくろうと思ったのか、そして実際にはどんな出来事や出会いを経て実現したのか、を蔵出し写真やココだけのエピソードなどまじえつつご紹介させていただきます。フィンランドに興味がある方はもちろん、カフェ好きのみなさんにもぜひ聞いていただければと思っています。
そしてなんとこのトークイベント、「ランミンヨウル」のみなさんのご厚意によりなんと「無料」です!平日の夕方ではありますが(実際のスタートは18時くらい……?)、お時間にご都合のつくみなさまぜひぜひご来場ください。
◎トークイベント「フィンランド〝な〟カフェができるまで」
日時 12月2日(火)17時〜
*実際には18時前後スタート?約1時間弱
場所 谷中・ギャラリーTEN
出演 岩間洋介(「moi」店主)
費用 無料
当日はオープニングパーティーを兼ねているためお飲物等のご用意もあるそうです。
では、当日会場にてお目にかかりましょう!
http://galleryten.org/ten/?p=8144