みなさんアイスバケツチャレンジって、おもしろいですか? 先日行った寄席での、ある落語家の発言である。それをきっかけにALSという難病について広く知ってもらおうという本来の意図はひとまずおいておくとして、「氷水をかぶる」という行為そのものに「おもしろさ」を感じるかどうか、そこにアメリカ人と日本人のユーモア感覚のちがいがあるのではないか、そう落語家は言いたいのである。
そういえば、子供のころよくパイをぶつけられたアメリカ人が顔じゅうクリームだらけにしてキャアキャア言っている姿をテレビなどで見たりしたが、あれにしても、まあ、おもしろくないとは言わないまでも「そこまでかよ」という感じはあった。たしかに、あのときの感じに似ていなくもない。
そう思ってしまうのはなんだろう、日本には日本の、アイスバケツを超えるユーモアとインパクトを兼ね備えた《お家芸》的パフォーマンスがあるからだろうか。
たとえば、教室で牛乳を一気飲みする(この場合、手を軽く腰にあてるのがルール)、天井からかなだらいが降ってくる(ぶつかった後のリアクションまでで一連の流れ)、熱湯コマーシャル(アイスバケツはあくまでもオプション)などなど……。オフィスで、口といわず鼻の穴といわず牛乳を逆噴射するビル・ゲイツ…… 落ちてきたかなだらいで眼鏡がずり落ちたビル・ゲイツ…… ウィンドウズの起動よりもスピーディーに浴槽から飛び出してくる、ビル・ゲイツ。見たい、ものすごく見たい。そして次は石破官房長官を指名だ。
まあ、それはともかく、ここのところ有名人のみなさんは氷水をかぶるかぶらないでほめられたりけなされたりと大変だ。今回についていえば、知名度という点ではこれ以上申し分のないビル・ゲイツが参加したことで第一の「目的」はほぼ達成したといえるのではないか。すくなくとも、パフォーマンスで盛り上がるレベルはすでに終了している。今回「拒否」した有名人の方々は、またなにかべつの機会にでも率先して牛乳を一気飲みするなり、頭上でかなだらいをキャッチするなり、熱湯コマーシャルに挑戦するなりすればよいと思う。
ところで、今年も昨晩「24時間テレビ〜愛は地球を救う」が終わった。番組内の「目玉企画」ともいえる100kmチャリティーマラソンもすっかり恒例である。今年のランナーはTOKIOのリーダーだったらしい(テレビを観る習慣がないので未確認)。話題性があったり人気があったりするひとが困難に挑むことでチャリティーじたいに関心をもってもらおうというのがこの企画の意図であり、その意味ではこれも「アイスバケツ」と同じである。あえて言えば、ユーモアのかわりに〝汗と涙と感動〟によって関心を引き寄せようというところがいかにも日本的という気がする。うーん、あまり好みじゃない。むしろ、牛乳の一気飲みとかかなだらいとか……。
あす9/7(日)のシナモンロールは、いつもにくらべてより「フィンラン度」がUP!!!
先日、フィンランド帰りのAさんより、シナモンロール用に調合されたフィンランドの「シナモンシュガー」をおみやげにいただきました。日本ではもちろん入手できないものなので、モイではいつも本国の味に近づくよう独自に調合しています。
というわけで、あす9/7(日)はフィンランドのシナモンシュガーを使って焼いてみようと思います。いつもよりすこし味がちがうかもしれませんが、そのあたりもお楽しみいただければと思います。テイクアウト、イートインともたっぷりご用意の上お待ちしておりますので、吉祥寺でさらに一歩本場に近づいた「北欧の味」を堪能してください。
なお、ご予約もメール、FBのメッセージから受け付けております。ご利用ください。
中秋の名月。日ごろせかせか動き回っている日本人でも、この日ばかりはとっくりお月様を眺めたい気分になります。
とはいえ、予報によると今夜は雨。どうやら「お月見」は難しそうな気配です。それならいっそ、moiで「月見コーヒー」なんていかがでしょう。カップを上げると…… ほら、ね。ぽっかりお月様が浮かび上がります。満月ではないけれど。
その名も「eclipse(月蝕)」というのがこのコーヒーカップの名前。2002年、荻窪にmoiをつくった際、当時フィンランドで活動していたデザイナー梅田弘樹さんにつくっていただいたオリジナル。フィンランドの工場で、長年ARABIA社で石膏職人をしてきたエーロ・コスケラ氏の協力の下、誕生しました。柔らかみのある白色も、ちょっと丸みを帯びたフォルムも、いかにもフィンランドならではという気がします。ちなみに、以下のリンクから「eclipse」製作中のコスケラ氏の様子を梅田さんがレポートした記事を読むことができます↓
http://www.japandesign.ne.jp/HTM/REPORT/Helsinki/03/
とてもちいさかった(いまでもちいさいけれど)荻窪時代のmoiのテーブルにあわせて、できるだけ食器が少なくて済むようにと考えられた「eclipse」のデザイン。器を横にずらすことでできたスペースに、シナモンロールなどちょっとしたお菓子をのせることができます。「用の美」という、日本と北欧に共通のデザイン思想を凝縮した傑作だと、ずっとぼくは思っています。
以前、友だちから貰った『THE STORY OF A MUG』というちいさな本を、ときどき見返しては楽しんでいる。タイトル通り、一冊まるごとマグカップの本である。
帯によると、この本は「イーッタラの〝ローカル・マグ・イニシアティブ〟という活動の一環として、2008年にスウェーデンで出版された」とのこと。編集は、2人組のグラフィックデザインユニット〝Byggstudio〟。ポップで、いい感じに肩の力の抜けたつくりは、マグカップという日常的なアイテムに似合っている。コーヒーを飲みつつ、けさもパラパラとページを繰っているとフィンランドのイラストレーター、マッティ・ピックヤムサがお気に入りのマグカップについて語っているページをみつけた。いわく、
《厳密にいえば、マグカップというよりソーサーなしのティーカップなんだけど、ビルゲル・カイピアイネンが1968年にデザインしたアラビアの〝ブラックパラティーシ〟がお気に入りです》。
そして、カイピアイネンというデザイナーから刺激をもらっていると語るマッティは、こんなふうにしめくくっている。《こんなふうに良質で、しかも想像力にあふれたマグカップさえあれば、退屈な一日もずっと気楽にスタートできるんじゃないかな?》
みなさん、お気に入りのマグカップはお持ちですか?
〝まるごと食べられるオレンジのシロップ煮入り紅茶〟。今年もはじめます。
よいオレンジが手に入る時期を選んでフィンランド家庭料理研究家・西尾ひろ子さんがコトコト煮込んでこしらえたものを、毎年ようやく涼しくなってきたこの時期を見計らってメニューに載せています。
おかげさまで毎年楽しみにしていただいているお客様も少なくなく、ひと月ほどでシロップ煮のストックが底をついてしまいます。追加でつくることができないので、なくなったらそれでおしまい。ごくごく限られた期間しか提供することのできないメニューです。
濃い目にいれたディンブラの底には、柔らかくて甘くて香り豊かなオレンジの輪切りが……。もちろん皮までお召し上がりいただくことができます。機会がありましたらぜひお楽しみください。