遅ればせながら、「moi」のFacebookページをopenいたしました。
そんなにコワくはないよという、いまにして思えばやや含みのあるお客様からの勧めにうっかりノセられ作ってはみたものの、正直なところはたして何をやっていいのやら、また何ができるのやらまったく理解しておりません……。これから少しずつ勉強していきたいと思いますが、こんな使い方もあるよ、あんなふうに活用しているお店があるよ、といった情報がありましたらぜひお教えください。ちょっと長めの文章やイベント告知などは、おそらくこちらが中心になってゆくことと思います。
また、避暑地のペンションにありがちな「思い出ノート♡」よろしく、ちょっとしたコメントなどもお気軽に残していただければ幸いです。よろしくお付き合いの程お願いいたします。
15年前。はじめて訪れたフィンランド。
「とても静か」という首都ヘルシンキでの感激は、内陸の都市ユヴァスキュラに移動したとたん「とにかく寂しい」に変わった。あのアルヴァー・アールトが青年期をすごし、いまも街には数々の建築作品が残っている。しかも、「アルヴァー・アールト美術館」もあるといういわば「聖地」である。にもかかわらず、よく言えば「鄙びた」、わるく言えば「寂びれた」その街には、地方都市の駅前にありがちな「アールトのまちへようこそ」といった類いの看板ひとつ立っていないのである。こんなことでよいのですか! と若干いらだちながらちいさな街をぐるぐる徘徊したのをおぼえている。
ところが、ヘルシンキとはちがい、いまにして思えばユヴァスキュラで出会った人たちはやけにみな素朴で人なつこく、たっぷりとした愛嬌をもっていた。やたらと話しかけてきて、話が通じないとわかるとめっちゃ怒りながら去っていったちいさな女の子。極めつけは、いきなり街頭で「マサヒコハラダ〜」と大声で手をふってきた赤ら顔のおじさん。「マサヒコハラダ」って…… いくら長野オリンピックの翌年とはいえ渋すぎるセレクト。だいたい、声がデカいよ、おっさん。誰もいない街頭に「マサヒコハラダ」がこだましているじゃないか。
寂しいけれど、やけに愛嬌がある。なんだかふしぎと心に残る場所、それがぼくとってのユヴァスキュラだ。
毎週水曜日は、13時より夕方まで店頭にてフィンランド風シナモンロールを販売しております。カフェはお休みです。
moiのシナモンロールは、フィンランドの友人Viiviさんちのレシピをもとに作っています。15年前、はじめて口にした〝フィンランドのシナモンロール〟。小振りで、やさしい甘さのそれを「おいしい、おいしい」と頬張っていると、帰り際、Viiviさんは残りをぜんぶ袋に入れて渡してくれたのでした。その後は、シナモンロールがいっぱいに詰まった袋を小脇にかかえての旅となりました(笑)。
そんな、思い出のつまったフィンランドの味をぜひご賞味いただければと思います。すぐお召し上がりになりたいという方には「あたためサービス」もしておりますのでお気軽にお申し付け下さい。ご来店お待ちしております。
きのうは、所用で日比谷の帝国ホテルへ。
なにを隠そうこのわたくし、帝国ホテルは子供のころからの行きつけの場所である。いや、正しくは、帝国ホテルの中にとある行きつけの場所がある、と言うべきか。
週末、父親に連れられて映画館に出かけ、上映後、用を足してから帰ろうとすると「まだ行くな」と父は厳しい口調で命令を下すのであった。トイレに行きたくて前屈みになっているぼくを尻目に、父はずかずかと道を隔てた高級ホテルへと突進してゆく。そして馴れた様子で重厚な扉をあけ、くるぶしくらいまで埋まりそうな深紅のフカフカの絨毯を踏みしめて脇目もふらず歩いてゆく。その堂々たる背中。思わず「たのもしい」と尊敬のまなざしでみつめるぼく……。
やがてトイレの前までくると父は足を止め、「行ってこい」そうぼくに目で促す。ようやく用を足してすっきりしたぼくに、父は満面の笑顔でこう言うのだった。「な、キレイで気持ちいいだろ?」。そして、そのままホテルを後に家路につく。え? 帰っちゃうの? それだけのために来たのかよ!!!
こうしたことがたびたびあったせいか、いまではすっかり帝国ホテルの建物を外から見ただけで尿意を催すようになってしまった。あ、ちなみに、きのうはちゃんと帝国ホテルにお金を落としてきたのでお許しくださいね、帝国ホテルさん。まあ、もちろんトイレにも行ったけど。
得意先のお屋敷で酒をご馳走になり、すっかり上機嫌の植木屋さん。隠し言葉を使った隠居夫婦の優雅なやりとりにいたく感激し、無謀にも、さっそく自宅でおかみさん相手に真似ようと試みるのだが……。
友人を巻き込んでの、植木屋さん夫婦のドタバタが可笑しいおなじみの落語「青菜」。兼好師の「青菜」は、聞きなれた先代の小さん師バージョンとはちがい、おかみさんもまたことのほかノリノリなところが面白い。そして、肝心な「菜のおひたし」を友人から断られたときに見せる植木屋さんの一瞬の表情、そこからの暴走ぶりは、まさに兼好師の独壇場といったところ。
ゲスト=今回の「この人」は、好楽一門より弟弟子にあたる二つ目、好の助さんが登場。お父さんはナポレオンズの〝メガネのほう〟ことボナ植木氏。噺に入って、これはもしや一之輔タイプの逸材?! と思いきや、肝心の「鮑のし」の由来の言い立てでつっかえてすっかりグダグダになってしまうあたり、惜しい!! ビシッとキメてくれていたら……。それでもまた「聴いてみたい」と思わせる、たしかに妙なおかしみをもった人ではある。
開口一番は、兼好師の弟子けん玉さんが、圓生一門で最初に教わる噺だという「八九升」を口演。天然? 高座返しで出てくるたびに会場がどっとウケるという、なんともいえないフラがある前座さん。
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開口一番 けん玉「八九升」
◎三遊亭兼好「祇園祭」
◎三遊亭好の助「鮑のし」
仲入り
◎三遊亭好の助「贋金」
◎三遊亭兼好 「青菜」
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2014年6月4日 於なかの芸能小劇場
雨の朝。「雨かぁ、嫌だなぁ」とブツブツ言っていたのはその昔、サラリーマンをやっていたころの話。商売を始めてからは、それが「雨かぁ、参ったなぁ」に変わった。
店を始めて10年あまり、日々いろいろなことが起こるけれど、雨の日、とりわけ雨の週末を心穏やかに過ごす術だけはいまだ体得できない。もっとも、以前お客様から伺った話では、駅ビルはそういう天気のときほど混雑して儲かるらしいが……。
いちど6月のヘルシンキで、まさに梅雨のように一週間、毎日雨に降られっぱなしだったことがある(もちろんフィンランドに「梅雨」はありません)。画像はそのとき、カフェめぐりをしていたムンキニエミでのひとコマ。
ぼくはカフェでコーヒーをすすりながら、おそらく「定位置」であるだろう店の片隅でのんびり新聞を読んでいる常連のおじさんを眺めたり、窓の外の濡れた舗道と雨に洗われて鮮やかさをました白樺の緑とのコントラストに心奪われたりしつつ、それなりに〝雨の日のカフェ〟の風情を楽しんでいたのだけれど、いまにして思えば、きっとお店のひとは「参ったなぁ」という心境だったにちがいない。
サイトーさんから〝上物の〟ディルをいただいた。サイトーさんとは、フィンランド語クラスのメンバーとしてオープン当初からお世話になっている「斉藤さん」のことなのだが、ときおりそのサイトーさんから、おそらく末端価格にして2,300円くらいはするであろう〝上物〟のディルがこっそり届けられる。
じつは、サイトーさんのご実家は長野県でリンゴ農家を営んでいらっしゃる。気候といい、土壌といい、まさにディルの栽培にはうってつけの環境である。そこでサイトーさん、帰省するたび、頬っかむりをして夜陰に乗じてタネをまき(想像です)、しばしば雑草と勘違いしたお母さんに情け容赦なく刈り取られながらも(実話です)、丹精込めてディルを育ててきた。残念なことに、「最近、畑の隅っこにやたらおかしな雑草が生い茂るようになった」というお母様の認識だけは変わらない様子だが。
そんなサイトーさんちのディルからは、野趣に富んだすばらしく瑞々しい香りが感じられる。それは、北欧のマーケットでドサッと無造作に売られているディルの姿を思い起こさせる。サイトーさんちのディルとくらべたら、街で売られているビニールハウス育ちのディルなんぞは、まるで都会育ちのもやしっ子のようにひ弱である。だから、ときおりなんの前触れもなく届けられるこの〝上物〟を、いつも心密かに待ちわびている。
というわけで、この〝サイトーさんちのディル〟でいまならもれなく〝トリップ〟できます、北欧へ。
口下手にもかかわらず、かれこれ10年あまり接客業に携わっている。接客とはいえ対面販売ではないのも幸いしているし、それにもうひとつ、自分がどちらかといえば「しゃべる」よりも「聞く」ほうが好きなのも、いまの仕事には好都合なのかもしれない。
かつて荻窪に店を構えていたころは、店内が狭く密な分、いまよりずっとお客様と会話する時間も長かった。そして、ときどき茶々を入れながら聞くお客様の話はなかなか面白く、楽しいひとときであった。いまは、そうした時間をあまり持てないのが残念である。
『1万人インタビューで学んだ「聞き上手」さんの習慣』(飛鳥新社)は、先日、常連のサトコさんと一緒にご来店いただいた佐藤智子さんの著書である。いただいたチラシの見出しが興味深かったので、ふだんあまりこの手のハウツー本は手にしないのだが、さっそく購入、読んでみた。
著者の佐藤さんは女性誌の編集者として十数年活躍した後、独立。1万人を超える著名人、スペシャリストら(そのなかにはクルム伊達公子や矢沢永吉の名前も!!)へのインタビュー実績を生かして、現在は編集者としての仕事以外にもタレント養成や各種セミナーでの講師としても活躍されている。ひと呼んで「カリスマインタビュアー」。
「質問する」という行為は、ちょっとしたコツ次第で、「知りたいことがら」への近道にもなれば、反対に遠回りにもなる。それゆえ、この「コツ」を知っているか知らないかは大きい。そしてそうした「コツ」を会得しているひとを、佐藤さんは「聞き上手」と呼ぶ。
口下手だから接客や営業には向かないとかんがえているひと、話し上手なのになぜか周囲とのコミュニュケーションがうまくゆかないと悶々としているひと、その両方のタイプに佐藤さんが教える「聞き上手のコツ」は役立ちそうだ。読んですぐ、近くのひとをつかまえて「実践」できるのもいい。
それにしても、ぼくを見るなり「色白いですね〜北欧っぽいわぁ」と言った佐藤智子さん、面白すぎです!!
先日スウェーデンのミステリを読んでいたら、頑固で人間臭いベテラン刑事がブラックコーヒーにシナモンロールを浸して食べるシーンがでてきたのですが、あれは「Doppa」というスウェーデン北部ではポピュラーな食べ方だったのですね(昨日シェアした「フィンツアー」さんの記事より)。ちなみにぼくは、いたいけな少年時代、トーストを紅茶に浸してクタクタにして食べるのが好きで親から薄気味悪がられていました…… Doppaも一度チャレンジしてみようかな。
本日水曜日は、【フィンランド風シナモンロールのテイクアウトの日】です。13時より店頭にて販売いたしますので、ご家庭で人目を気にせずお好きな食べ方でお楽しみください! ご来店お待ちしております。
https://www.facebook.com/finntour/photos/a.223158657752402/658150224253241/
家賃のカタに取り上げられた与太郎の道具箱をめぐって、大家と江戸っ子気質の棟梁とが派手な喧嘩をくりひろげるおなじみの落語「大工調べ」。棟梁のキレのいい啖呵が最大の聞かせどころとされるこの噺を、あまり滑舌のよろしくない萬橘師匠は、まったくべつのアプローチから組み立て直しあたらしい風を呼び込んでいた。
いいオトナが意地を張り合ったあげく、引くに引けなくなっている。ふつう、なんとなく棟梁の側に肩入れして聴いてしまいがちな「大工調べ」だが、萬橘バージョンでふたりの関係はどっちもどっち、同じである。頭は固いが、かといってまったく話が通じないというわけでもない大家と、侠気ある人物である反面、ときに職人らしいぞんざいさが目立つ棟梁。
それに対して、意地やプライドとはまったくちがう地平をふわふわ生きている落語界きっての「ゆるキャラ」与太郎。でも、そんな与太郎にも、この萬橘バージョンではちゃんとした取り柄があたえられている。棟梁いわく「釘を抜かせたら右に出る者がいない」。そして見事、与太郎はふたりの心に刺さった「意固地」という釘も抜いてしまうのである。
聴き終わったとき、なんだかほっこりした気分になる「大工調べ」というのも珍しい。さすがは萬橘師! 鳥人間コンテストばりにハラハラさせる啖呵も、こうなってくるとむしろチャーミング。
ゲストの一之輔師は、「子は鎹」。梅雨も人情噺もあまり得意ではない自分にとって、ちょうどいい加減の湿り気。子供の名前が「金坊」だったような気がしたのは、子供の様子が、一之輔師がよくかける「初天神」の「金坊」のその後を思わせるものだったからかもしれない。
馬るこさんは、「野ざらし」をサゲまでしっかりと。ゴチャゴチャ言わず、おかしな幇間(たいこ)が来てしまい「あれれ?さっき釣ったのは馬の骨だったのかぁ?」とふつうにサゲればふつうに腑に落ちるよね、と再確認。それにしても、馬るこさんにかかるとなぜも「先生」や「ご隠居」がああも胡散臭くなるのだろう。やっぱりドクター中松好きだから!?
開口一番は、三遊亭こうもりさん。9月に二ツ目に昇進、名前も「こうもり」から本名の「とむ」に変わるとのこと。しかし、末高斗夢って本名だったんですね……。
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オープニングトーク 出演者全員+広瀬和生
開口一番 こうもり「都々逸親子」
◎鈴々舎馬るこ「野ざらし」
◎春風亭一之輔「子は鎹」
仲入り
◎三遊亭萬橘「大工調べ」
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2014年6月10日 於下北沢タウンホール
北欧でおなじみ(らしい……)スウェーデン風エッグコーヒーのレシピ。卵かけご飯ブームがあったくらいなので、いつか「卵コーヒー」ブームだってやってくるかも!?
衝撃の映像は39秒あたり…あれ?殻も…
http://youtu.be/x5Csyf9x19Y
来週は「夏至」。東京もずいぶんと日がのびた。日没直後、19時前後の数分間、いわゆる「ブルーモーメント」を目にすると白夜の北欧が恋しくなる。
初めて白夜の北欧を訪れたとき、じつはちょっとばかり肩すかしを食った気分だった。いったいなにが起こるのだろうとワクワクして待ちかまえていたら、たんに「昼間が長い」だけだったからである。とにかくいつまでも昼が長く、午前零時を回ったくらいからしばらく夕方が続き、その後ブルーモーメントがやってきて、と思ったら、朝になっている。そんな感じ。
むしろ興味深かったのは、夜の10時くらいに街を散歩するとふつうの昼間と変わらない明るさにもかかわらずたいがいの店は閉まっていて、人影もまばらなことである。〝昼間なのに〟街はすっかり寝静まっている。まるでゴーストタウンに取り残されたみたいで、それはなんとも奇妙な感覚であった。
あたまの中を整理するのにしばらく時間を要したが、その後ようやく自分なりの答えをえた。
まず、「昼間が長い」というのはまちがっている。「昼」と「夜」とは、いつもと同じバランスで存在している。ただ、「日がのびた」だけの話である。ところが日本に暮らしている自分は、昼は明るいもの、夜は暗いものという「通念」に囚われてしまっているおかげで、「なんで昼間なのに寝静まっているのだろう?」なんて感じてしまったのではないか。
「白夜」というのは、まさに明るい夜のこと。つくづく、Midnight Sunという単語に「白夜」という漢字をあてたひとはエラいと感心する。
というわけで、本日もお店でお待ちしております。
※写真は6月半ば、ホテルの窓から撮った午前零時すぎのヘルシンキの様子。
FIFAワールドカップがはじまった。2014年の開催地は、ブラジル。先ほど終了したコロンビアーギリシャ戦がおこなわれたベロオリゾンチは、ミナス・ジェライス州の州都。そのベロオリゾンチで活動するシンガーソングライター、LG ロペスがなかなかいい感じである。
プロフィールは不明。おそらく本人名義のCDも出ていないようだが、YouTubeにたくさんの自撮りMVを公開している。〝自撮りMV〟といえば、先日「あらいぐま父さん」ことH田さんに教えていただいた女性シンガーソングライター、クラリッシ・ファルカォンを思い出すが、こちらは後ほど日本ーコートジボワール戦がおこなわれるヘシーフェの出身。
LG ロペスが活動するミナスといえば、古くは(といってもまだ現役だが)ミルトン・ナシメントにはじまり、トニーニョ・オルタ、ロー・ボルジェス、アフォンシーニョやセルジオ・サントス、最近ではアントニオ・ロウレイロまで、そこには枯れることのない音楽の泉があるのでは? と思わせるほど数多くの秀でた才能を輩出してきた地。このLG ロペスもまた、おそらくそんな「泉」から湧き出てきたひとりなのだろう。
自宅やその周辺で、ひとりで、ときに友人たちと撮影されたMVは、いかにもブラジルのアーティストらしいざっくりとしたそのくつろいだ空気感が魅力的だ。スタジオで作り込んだサウンドよりも、さまざまな「ノイズ」すらも自分のサウンドに昇華してしまう包容力こそが、このひとの「武器」といえそうだ。
サッカー観戦のインターバルに、思わず声をだして笑ってしまうラストふくめ、そんな彼の魅力あふれるMV「Musica da Vila」をお楽しみ下さい。そしてサッカーが終わったら、ぜひ吉祥寺へ。
http://youtu.be/ftMXWLWWUko
水曜日はシナモンロールの日。13時〜夕方まで、店頭にて焼きたてのシナモンロールを販売いたします。テイクアウトは週3日のみなので、ぜひこの機会をご利用ください。
ところで、もはやフィンランド好きにとって《バイブル》と言っても過言ではない映画『かもめ食堂』(万が一、フィンランドに興味があるのにまだ観ていないというひとがいたら、今月中に全員観ておくように! 宿題です! 笑)。もう公開されてから8年も経つんですねぇ……しみじみ。ひさびさにDVDで観てみましたが、とりわけシナモンロールを焼くシーンはこちらにまで匂いが伝わってきそうで毎度ワクワクしてしまいます。
そういえば、先日旅行中とおぼしきフィンランド人のご夫妻が来店されたのですが、シナモンロールを食べながらふたりで顔を見合わせては何度も頷きあっていたのが印象的でした。こちらは、キッチンの陰で小さくガッツポーズ笑。
明日、みなさまのご来店をお待ちしております。
今週の土曜日は、フィンランドの人びとが心待ちにしている年中行事ユハンヌス(夏至祭)。
フィンランドはじめ北欧には、この夏至祭のときにおこなう独特の《花占い》があるそうです。
夏至祭の前夜、野原で摘んだ7種類(もしくは9種類)の花を枕の下に入れて眠ると、夢に将来のパートナーが現れるのだとか。画像は、そんな「夏至祭の花占い」を描いたタルリーサ・ヴァルスタのシルクスクリーン。たくさんの型紙を用いて和紙に刷ったものに、さらに手で彩色をほどこすという手の込んだ技法でつくられています。
実物は、日曜日まで銀座「北欧の匠」で開催中の「北欧の作家たち」展で観ることができますので、ぜひ夏の北欧を感じにご来場下さい。夏至祭の前夜、部屋にこの絵を飾ると、もしかしたら夢に将来の伴侶が現れる……かも!?
21日、22日は〝夏至祭〟の週末。白夜とは縁のないここ日本でも、いつまでも明るい空を見上げてちょっと得した気分になったりします。ふだんは「昼」と「夜」との橋渡し役でしかない「夕方」が、この季節ばかりはまるで「主役」のように振る舞うのです。
そんな夏至祭の週末だから、長い夕刻を「特別に」に楽しむのもいいのではないでしょうか? 本を読んだり、音楽を聴いたり、あるいは誰かとおしゃべりをしたり。
ももちろん部屋の電気はつけずに、ゆっくりと暮れてゆく夏の光を味わいたいものです。できれば夏の花を飾り、夏至祭のシンボルである「かがり火」のかわりにキャンドルを灯すのもおすすめです。
そして、美味しく淹れたコーヒーや紅茶のお供には、ぜひカルダモンたっぷりの北欧風シナモンロールをお楽しみください。
というわけで、宣伝です(笑)。
土曜日、日曜日はお持ち帰り用の「フィンランド風シナモンロール」をご用意しております。正午開店ですが、11時過ぎくらいには焼き上がりますのでスタッフにお声掛けいただければお求めいただけます。メール(info@moicafe.com)によるご予約も承っております。
最近ピックアップしていただいた「リビングむさしの」さんによる当店のシナモンロールの紹介記事↓
http://mrs.living.jp/musashino/shopping/reporter/1540123
画像は、おそらく80年代前後のものと思われるイーッタラのキャンドルホルダーです。
Hauskaa Juhannustaa!! 楽しい夏至祭を!!
以下、お得な情報なのでよろしければ「シェア」して下さいね。
スウェーデン映画『なまいきチョルベンと水夫さん』(1964年)が7/19よりいよいよ日本初劇場公開されます。原作は、『長くつしたのピッピ』などで知られるアストリッド・リンドグレーン。白夜の北欧を舞台に、子どもたちが繰り広げるひと夏の大作戦。ロッタちゃんシリーズや『やかまし村の子供たち』など、スウェーデンの児童文学から生まれた映画には良質な作品が多いので楽しみです。そして、オーレ・エクセルのキュートなポスター(画像)にも注目!
「moi」ではタイアップ企画として7/19〜8/末まで、この『なまいきチョルベンと水夫さん』の半券を持参のお客様に限り、お会計時カフェでのご飲食代を「10%OFF」させていただきます。ぜひご利用下さい。
ご来店お待ちしております!!
なお、映画の詳細につきましては『なまいきチョルベンと水夫さん』オフィシャルサイトをご覧ください↓
http://www.suifusan.com/index.html
ようやく行けた。「のんき夜行」という名の落語会。ずいぶんと前から気にはなっていたのだけれど、なかなかスケジュールが合わなくて……。
どこが気になるのかというと、まず登場する噺家の顔ぶれが、前座さんをふくめて「ツボ」なところ。毎回会場が変わるという趣向もおもしろい。そしてなにより、ほかの落語会と決定的にちがうのは、チラシのデザインが洒落ている点(笑)。
じつはぼくもその昔、友人たちと「トラベリンワード」というイベントをやっていた時期がある。
毎回ひとつのことば(word)を、数人のアーティストたちによってそれぞれ映像、音楽、そしてスポークンワードによって表現してもらうという内容で、旅するように、毎回場所をちがえるというのを「決まり事」としていた。そんなわけだから、勝手にこの「のんき夜行」に対してシンパシーを感じていたというのもある。
この日ぼくがでかけたのは、「のんき夜行」第14夜。出演は三遊亭兼好師(開口一番には、注目している前座さんのひとり、三遊亭わん丈さん)。会場は、廃校になった小学校の校舎をアートスペースとしてリノベーションした「3331 Arts Chiyoda」のB104教室。
ようやく参加してみての感想は…… 場所を除けば、まぁ、まぁ、ふつうの落語会といった印象。それはそうである。落語の場合、当日の天候や客の顔ぶれなどをみて、その日のネタを直前に噺家自身が決めるのが一般的である。なので、主催者サイドの意向を反映させるのはたやすいことではないし、あまりやるべきでないという気もする。なので、とりたてて不満があるわけではない。
ただ、もし可能なら、毎回ペラ1枚でもいいので席亭の顔が見えたり、思いが感じられたりするようなセンスのいい「配りもの」があればもっと親しみ深い会になるのではないだろうか。「のんき夜行」の、のんきな「乗客」のひとりとして。
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のんき夜行 第14夜
開口一番 三遊亭わん丈「桃太郎」
◎三遊亭兼好 「たがや」
〜仲入り〜
◎三遊亭兼好 「お化け長屋」
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2014年6月18日 於3331 Arts Chiyoda B104教室
「たがや」という地噺で、聴く者を緩急自在にグイグイ引っ張ってゆく兼好師の手綱捌き、お見事でした。「お化け長屋」は、昨年に続いて二回目。落語の「笑い」って、基本、ディスコミュニケーションから生まれる「おかしさ」という気がする。引っ越してくる身勝手な職人ばかりでなく、じつは長屋の住人同士も意思疎通ができているようでその実チグハグだったり……兼好師は、そのチグハグを言葉としぐさで浮き上がらせるのがすこぶる巧い。
おそらく6、7年くらいまでは、店の周辺でバッグなり洋服なりなにか「マリメッコ」のものを身につけているひとをみかけたら、たいがいそのひとたちは「ウチのお客様」であった。じっさい、それより以前、荻窪で店をやっていたころには、いらっしゃる数組のお客様におけるマリメッコ着用率が100%というおそろしい(?)出来事も体験している。当時はまだ「ルック」が取り扱いをする前で、日本での販売は限られていたことを思えば「異様」といっていい事態である(じつは、70年代から80年代にかけて「西川ふとん」が扱っていた時代には、ごくごくふつうにデパートでもみかけたものだったが)。 つまり6、7年くらい前までは、「マリメッコ」を身につけているひとというのは、多かれ少なかれ「フィンランド好き」もしくは「フィンランドに行ったことがある」ひとびとといえた。
その後、「ルック」という商社が「マリメッコ」を扱うようになったのが2006年のこと。奇しくも(?)映画『かもめ食堂』の公開とおなじ年である。表参道を皮切りに、全国にショップ展開するようになった「マリメッコ」は、折しも「北欧ブーム」の波に乗りあちらこちらでその商品を目にするようになる。ぼくの感覚では、「マリメッコ」のブランドイメージから「フィンランド」という〝属性〟が薄れてきたのは2010年あたりからではなかったろうか。おそらく、いまマリメッコを愛用しているひとたちのなかには、それがフィンランドの企業であるということを知らずに使っているひとが少なからずいるにちがいない。勝手な話だが、全身マリメッコできめたひとが、「moi」の前を素通りしてゆくのはなんともいえず切ない(笑)。
プラダがイタリアの、コーチがアメリカのメーカーであることを意識しつつ愛用しているひとがどの程度存在するものなのか、ぼくは知らない。けれども、おそらくそう多くはないだろう。なにかが普及するときに、こうした一般化、普遍化は避けられないし、それはまったく悪いことではない。
とはいえひとりのフィンランドおたく的には、あのフェミニンな花柄のうちに隠された、「セックス・国際主義・因習の打破などが活発に討論される時代」にあって「ファッションというよりもむしろ生活様式と受け止めることができる」(セーゲルスタード『現代フィンランドデザイン』1968より)というマリメッコの〝メッセージ性〟が忘られてしまうことにはつい一抹の寂しさを感じてもしまうのだった。
現在は京都在住で、東京に来るたび顔を出してくださるUさんより、ご自宅の畑で穫れたジャガイモ《インカのめざめ》のお裾分け。
鮮やかな濃い黄色と栗のようなホクホクした食感が特徴のこのジャガイモ、ここ東京では限られた時期にしか手に入らないうえ、手に入ってもあまりモノがよくない。ふつうのジャガイモにくらべて熟成が早く、切ってみたら中身がすべて真っ黒に空洞化していて買ったばかりの数キロが全滅などということも一度ならずあった。
いただいた《インカのめざめ》は、やや小振りながらも味が濃くて本当においしい。少し塩をふってやると、ぐんと甘みが増す。〝ごちそう〟というのはきっと、こういうことをさして言うのだろう。
北欧の人たちの〝スパイス好き〟は筋金入りで、さまざまな料理にふんだんにスパイスが使われる。なかでもカルダモンは、北欧の食卓になくてはならないスパイスの「王様」といえるだろう。たとえば、アラビア社製の保存ビンには「Kardemumma(カルダモン)」と書かれたものがふつうに見受けられるほど。
フィンランド風のシナモンロールにも、当然、このカルダモンがたっぷり使われている。「これはもしかしたらシナモンロールというよりもカルダモンロールなのではないか?」と不思議に思うひとも、なかにはいるかもしれない。でも、このカルダモンのピリッとした風味が、コーヒーや、また紅茶などに抜群に合うのである。「moi」ではシナモンロールをつくるとき、フィンランドの味に近づけるためこのカルダモンにはいろいろ気を配り、手をかけている。
個人的なことを言うと、じつは、かつてはあまりこのカルダモンの風味が得意ではなかったのだが、フィンランドに通っているあいだに気づけばすっかり大好きな香りになってしまっていた。だって、ありとあらゆる菓子パン(Pulla)にはほとんどすべて入っているんだもん。回避不能(笑)。
というわけで、あす水曜日は、ご自宅でそんなカルダモンをふんだんに使ったシナモンロールをお楽しみいただける日です。焼きたてを、13時より店頭にて販売いたします。カルダモンには胃腸の消化を促す作用もあるとのことなので、きっと食べ過ぎてもオーケー、なはず……。
ご来店お待ち申し上げております!!
このあいだ、フィンランド人のお客様がニヤニヤしながらこのポストカードを買われていった。
イラストレーター谷山彩子さんが描いた「コスケンコルヴァ」の瓶。
フィンランドに詳しいかたなら当然ご存知だろうが、「コルケンコルヴァ」とはフィンランドでもっともポピュラーなウォッカの銘柄である。さまざまなアルコール度数、フレーヴァーが用意されており、なかには「サルミアッキ入り」などという〝過激〟なものもある。空港の免税店でも入手可能なので、ちょっとした〝武勇伝〟を必要としているアナタにおすすめ。
ところで、こういうとき、ぼくはつねに物事を反転してかんがえるようにしている。
《ヘルシンキに行ったら、フィンランド人が経営する「Maido(まいど!)」という甘味処があり、そこで「菊正宗」の瓶を描いたポストカードを売られていた……》。
…… ニヤニヤじゃすまんね。爆笑モノだよ。
夏越しの祓(なごしのはらえ)。
6月晦日(30日)、神社へ御参りに行き上半期の厄を祓うと、悪い流れがリセットされて下半期にむけてよいスタートが切れるのだとか……。
そこで、けさはいつもより少し早く家を出て、近所の神社に御参りをしてから店にきました。大きな神社だと境内に茅(ちがや)で作られた大きな輪っかが設えられておりそれをくぐって本殿に向かうらしいのですが、近所の神社の参道には、その「茅の輪」の代わりに質素な門のようなものがあったので、くぐって御参りしてきました。
個人的には、特にどの宗教、宗派を信心しているというわけではないのですが、やはり日本に暮らしていると、日本の風土に根ざした年中行事がいちばんしっくりなじむような気がします。
先日、丸の内の三菱一号館美術館で観た『ヴァロットン展〜冷たい炎の画家』でもっとも衝撃を受けたのが、戦争と戦時下の人間の姿を木版画によって表現した一連の作品だった。これらの作品は、その後1917年に一冊にまとめられ『これが戦争だ』というタイトルで出版される。
爆撃を受けた無人の家、有刺鉄線につかまり逃げられなくなった傷ついた兵士、もはや敵か味方かすらわからない暗闇の中、ナイフを手に殺し合う人々といった凄惨な光景を、あえて黒と白だけで描写する。ヴァロットン自身は、あれほどまでに鮮やかな色彩の使い手にもかかわらず……。
彼は、ここではあくまでもひとりの「観察者」にすぎない。あえて感情を差し挟まず、自分が目にした「戦争という現実」をありのまま伝えようと徹しているのだろうか。黒と白だけの世界。あるいはそれが「戦争」なのかもしれない。そしてモノクロの作品集の表紙にあしらわれた、鮮やかな「赤」。
集団的自衛権について、さまざまな意見があるのは理解できる。ただ、「不謹慎」という言葉の下、ツイッターやフェイスブックから「おいしい食べもの」や「かわいい動物」の写真が消えるような日本にだけはなってはならない、そうかんがえるのである。