開店に合わせたかのように不穏な空模様。降るのかーと思いきや、一瞬さーっと降って終了。まどろっこしい天気の続く今年の夏である。そしてこういう空模様はお客様の出足を挫く。とはいえ、晴れれば晴れたでこの時期、暑すぎて出足が挫かれるのだから、まあ仕方ないよ、ってことなのだろう。
ところで、ゆうべスタッフのひとりが「あす持ってゆく」と張り切ってメールしてきた島根のロールケーキ。信じられないことに、けさ持ってくるのを忘れたらしい……(笑)。本人、意地をみせて、いちど仕事から上がって家に戻った後ヘトヘトになりながらふたたび持ってきた。賞味期限がきょうで、しかも「8周年」のお祝いの意味もこもっているとのことで、持ってこないワケにはゆかない、というのが本人の弁。ありがたくいただく。松江のチーズくるりん、でした。
フジロックやら隅田川花火大会やら立川の花火大会やら、この日あちらこちらでイベントが目白押し。しかもラジオからは、各方面にむかう道路の渋滞を伝えるニュースが。関係あるのかないのか、ツイッターでフォローしている吉祥寺のお店もふだんの週末ほどには賑わっていない様子。
しかしこの7月はしんどかった! 7月って毎年こんなだったかなぁ。これでうかつに消費税なんか上げられようものなら、まったくちいさなお店はひとたまりもない。とにかく、みんなここ数年でホントお金を使わなくなっているなというのが実感。消費税のアップが消費につながるなんて、とてもじゃないが信じられないような状況だ。選挙があるたび思うことだが、ぼくらに「希望」をもたせてくれる政党はいったいいつになったら現れるのだろうか。
気持ちを切り替えて、8月は「希望」にみちた夏になりますように。7月最後の土曜日は、そんな一日。
8月最初の日は、日曜日。月も変わって気分も一新…… といきたいところだが、外は相変わらず暑いし、昨日と今日とのあいだになにか決定的な出来事が起こったわけでもないので、まあ、じっさいのところは7月の続きといったところ。少しだけ明るい気持ちで、希望を胸に仕事してます、はい。
それにしても、ことしの夏はほんとうに暑いのでお客様の行動にも明らかにその影響がでている。そのひとつが、遅い時間までお昼ゴハンをオーダーするお客様が多いこと。厳密に言えば、ランチタイムが2~3時間遅れているといった感じ。あまりに暑いので昼過ぎまで家で過ごし遅めの時間になってようやく外に出る、そんな行動パターンなのだろうか?
夜、テレビで「情熱大陸」を観る。しかし、これほど感心しなかった「情熱大陸」もめずらしい(笑)。面白かったなぁ。
8月1日はそんな一日。
梅雨明けから2週間を過ぎ、ようやく暑さに少しからだもなれてきたのだろうか? ひところにくらべて、ようやく街にひとが出てきた感じ。
ふと、「Kesakahvila」というフィンランド語を思い出した。直訳すれば「夏カフェ」。夏の短い北欧には、思いっきり夏の太陽を堪能するためのカフェがあるのだ(たいていは夏の間しか営業していなかったりする)。さすがに日本の夏は北欧の夏とまったく質が異なるけれど、モイらしい切り口で夏季限定の「夏カフェ」ができたら楽しいなぁと妄想(笑)。
後半、面白いことに6組連続で韓国からのお客様が来店。まるで観光バスで到着したみたいだけど、それぞれ旅行中の方、留学中の方といろいろ。偶然にしては出来すぎ! それにしても、韓国の方はみなさん日本語堪能で助かってます。
8月2日はそんな一日。
7時起床。夏のいいところは、なんの苦もなく早起きできることだろうか。メールをチェックしたり、レコードを聴いたり、コーヒーを淹れたりしていたらやけにのんびりしてしまい、けっきょく大慌てて出かける。
11時過ぎに用事を済ませ、新宿へ。ベルクでかんたんなランチをとった後、ピカデリーで『インセプション』という映画を観る。「『インセプション』という映画」とか書いている時点ですでにダメな感じ丸出しだが(笑)、じっさいぼくはこういうハリウッドの「超大作」と呼ばれるような映画に疎いのだ。
スタッフから勧められて映画館まで足を運んだはいいが、「ディカプリオと渡辺謙が夢の中に入る映画」くらいの予備知識しかない。だいじょうぶか…… 。結果からいえば、まさしく最初の予備知識どおりの内容の映画だった。ストーリーそのものは単純だが、その構造がちょっとややこしいので誰かにその内容を的確に説明するなんて、とてもじゃないができそうにない。そもそも「答え」のない映画である。もっと言うと、「答え」を出させまいという作り手の意地、というか悪意(?)のようなものすら感じさせる作品。クリストファー・ノーランとかいう監督(笑)、相当の曲者だな。いや、でも、意外に好きです。
映画館を一歩出たら炎暑。しかも、映画の世界をなんとなく引きずっていて不思議な気分。あまりぶらぶらもせず、夕方すぎには家に戻る。
8月3日はそんな一日。
少しずつ街にひとが戻りはじめた。やっぱり街っていいですよね、新しい発見や楽しい出会いはすべて街の中にこそあるのだから。というのは、ペトゥラ・クラーク「恋のダウンタウン」の「Down town, Everything's waiting for you」という一節をほぼ言いかえただけの話だけど。
いまは、そう「部活動」をやりたい気分。イベントっていうよりは部活のほうが、よりモイには似合っているかも。などと考えつつ、ニヤニヤと。
8月4日はそんな一日。
暑いさ、もちろん、夏だもの。でも、朝の東京は雲ひとつない青空。点数をつければ、まさに「百点満点」の青空といったところ。
朝いちばんで取材が入ったため、いつもより一時間ちかく早めに出勤。真夏は無理せず早起きのクセがついているおかげで、こういうときでもあまり辛くない。取材の対応をして、仕込みを済ませて、買い出しにいって…… 午前中のうちに、すでにひと仕事終えた気分。
夕方、まだ会社勤めをしながらイベントなどやっていたころに出会った知り合いが、お友達であるVRANAの井上さんとともにご来店。知人はイシカワナナさんといって、出会ったころはスタイリストを生業とされていたのだが、いまはコサージュの作家をされている。じつは、会ったのは8年ぶりくらい(笑)。そしてなんと、モイの8周年のお祝いにコーヒーの香りのするブーケ(コサージュ?)をプレゼントしてくださった。
このブーケ、花びらはすべて使用済みのペーパーフィルター、雄しべや雌しべの部分はコーヒー豆(それも生豆だったり焙煎した豆であったり)でできている。顔を近づけると、ちゃんとコーヒーの香りが漂ってくるのだ。ナナさんは街の商店主たちに協力を仰ぎ、そのお店にちなんだものを材料として提供してもらいコサージュに仕立てている。たとえば、たばこ屋さんには実物のタバコでできたコサージュを、というわけである。その発想力もすばらしいが、なにより、アートでありながらもけっして独善的ではなく、ちゃんと日常生活につながっているところがユニーク。本人はいろいろ悩むところもあるようだが、ぼくはどんどんこの方向を突き詰めていってもらいたいと思う。小器用で、適度にしゃれている小物なんて、正直ぜんぜん面白くない。だれもやっていないこと、そのひとの感性からしか生まれえないものがもっと見たいのだ。ナナさんの密かな願いは、黒柳徹子に自分のコサージュをつけてもらうこと、なのだとか(笑)。「送っちゃえ、送っちゃえ」とハッパをかけておいたが、実現したら楽しいなぁ。
8月5日は、そんな一日。
ここ数週間のあいだ、もっともしたかったことを遂にした。スッキリだ。髪を切ったのだ。というわけで、昼間しばらく店を空けて原宿にいってきた。目的地には竹下通りを抜けないことには辿りつけないのだが、さすがにこの炎天下、しかも夏休みの竹下通りを歩くのは相当の覚悟が必要だ。ちょっとしたアトラクション、もしくはゲームのようなつもりで挑まなければならないが、とてもそんな気にもなれないので姑息に裏道から……。ちょっと負けた気分(笑)。
8月6日はそんな一日。
どうやら、今年はすでに帰省ラッシュが始まった模様。なんでも今週末、そして来週末は「過去最大の渋滞予想」だそうで…… 。吉祥寺の街もすでに静か。このあたりの静けさはほとんど平日並みだ。
しかし毎年この時期、「帰省」という言葉の響きにあこがれる。いいなあ、帰省したいな。もし、帰るべき郷里があったなら……。ぼくにとってフィンランドや島根は、帰るべき土地への強いあこがれ、執着が生んだ、いわば「バーチャル郷里」なのかもしれない。
夜、吉祥寺の駅前は平日よりも静かなくらい。中央線も、ひとつの車輌ごとにひとり、ふたりしか客が乗っていない。みんなどこかへ「帰って」いったのだな。
8月7日はそんな一日。
混雑を避けてお盆休みを前倒ししたひとが、どうやら今年はたくさんいる様子。きのうに引き続き、のらりくらりな週末。ツイッターを眺めると帰省中のひとたちのツイートが目につくので、これはもう仕方ないなという気分。つぎの週末、つまり本来のお盆休みにぶつかる週末はどうなるのだろう? 地方から東京に遊びにきているひとが、たくさん来店してくださるとうれしいな。あとは特にどこにも行くあてがなく、なんとなく悶々としているひととか(笑)。
8月8日(ゾロ目!!)はそんな一日。
急きょ決まった取材のため、いつもより30分ほど早く家を出発。電話では8/28発売の「カフェ本」とのことだったのでてっきり同じ出版社が編集している「CAFE-BON」というフリーペーパーの取材だとばかり思っていたら、なんとそれとはまったく違うムックとのこと。間に合うのか?(笑)。ハードワークでおなじみ(!?)の某出版社のことだから、きっとやるんだろうな…… とりあえず誤植がコワいので校正は念入りにチェックしようと心に誓う(笑)。
それにしても不思議だなあ。週末の感じからするとどうなることかと思っていたら、平日の、しかも月曜日にもかかわらずなんとなくいい感じの流れではないか。これぞ水商売の醍醐味!と言い放つには、まだまだ百年くらい修業が足りないようで。
ここ数週間、調子の悪かったモデムがいよいよおかしい。正常にネットにつながっている時間の方がはるかに少ないというか、ほとんどつながらなくなってしまった。困った。サポートに連絡。
8月9日はそんな一日。
なぜか休日の、しかも午前中とくに予定のない日にかぎって朝、早く目が覚めてしまう。どうしてだろう? 気が昂ぶってる? いずれにせよ、おかげで寝不足。
じつは横浜でぶらぶらするつもりが、ゆっくり朝ごはんを食べたり、本を読んだりレコードを聴いたりしていたらすっかり出かけるのが遅くなってしまう。しかも外は猛烈な湿度。台風が接近しているらしい。
せっかくツイッターでおすすめランチスポットをたくさん教えていただいたのに、出遅れたおかげでランチも微妙なタイミングに。けっきょく、横浜駅の西口から少しいったところにある「A Mascara D'o Pulecenella」というイタリアンでピザを食べる。教えていただいたものの今回行くことのできなかったお店は、別の記事にまとめて次回の横浜散歩のためにとっておこう。
その後、そごう美術館でひらかれている「没後25年 鴨居玲~終わらない旅」へ。いまだにカリスマ的人気の衰えない日本人洋画家の回顧展である。
背景のないポートレイト。人間はそもそも、背景(ときにそれは肩書きのような社会的なものであったりもする)の中に立つことではじめてその存在証明がなされるものである。背景を取り払われた人間の姿は、衣服を剥ぎ取られた人間のように無防備に映る。その存在の耐え難い「不安」のようなものを、鴨居は酔っぱらいや傷痍軍人、道化師といったキャラクターに託して描く。それらはみな、鴨居同様、つねに「不安」に怯えながら危なっかしい足取りで徘徊している者どもである。つまり、そこに描かれた者はすべて鴨居自身のポートレイトでもあるのだ。いまにもキャンバスに溶けてしまいそうな輪郭、どこに向けられているのかすらわからない視線、見られることを拒絶するかのように背けられた顔…… 鴨居もそんな風にみずからの存在を消すかのように、25年前この世から不意にいなくなってしまった。壮絶な作品群。
絵のせいではないだろうが、ちょっと疲れたので家に戻る。そして、ひたすら眠った。
8月10日はそんな一日。
ツイッターでおすすめしていただいたランチスポットをまとめてみた。涼しくなったら横浜をのんびり散歩したいなあ。
【ランチブッフェ】
カフェトスカ パンパシフィック横浜ベイホテル東急
食欲の秋にいいかも!
【洋食】
グリル・ラクレット | ポニー
【とんかつ】
勝烈庵馬車道総本店 相鉄ジョイナスB1にも支店あり
【天ぷら】
天吉
【オーガニック】
80*80カフェ 80km圏内でとれる食材にこだわったカフェ
【中華料理】
梅蘭 やきそばが独特らしい
台風接近中。とはいえ、関東地方には直接的には影響がないようで、ただ蒸し暑い日々が続いている。
夏休み中らしく、きょうあたり遠くからわざわざ来て下さった方も少なくなかったようだ。ありがたい話。きょうから家族は出張。そこで、晩ごはんのおかずに向かいの魚屋さんで秋刀魚を買う。すると閉店前だったこともあり、おまけにアジがついてくる。晩ごはんは炭火で焼いた秋刀魚、アジ、それに納豆ときんぴらごぼう。結果的には、23時近くに食べるものとしては重すぎたようだ。まあ、おいしければすべてよし、ということで。
8月11日はそんな一日。
夕食に、秋刀魚とアジを一尾ずつ食べたらさすがに苦しい。とてもすぐには眠れそうもないので、ひさしぶりにUSTREAMで「レコ部」。おかげで、翌朝はひさしぶりにやや睡眠不足。
日本海を通過中の台風の影響で、風が強いうえに雨も断続的にパラついて不安定なお天気。そのわりには、スタートはまずまず。とはいえ、時間を追うごとにお客様が少なくなっていき…… フェードアウト。そのかわりといっては何だが、いろいろ顔見知りのお客様にお越し頂いておしゃべりをしたりと楽しかった。そういうときにはそういう過ごし方もある。そしてそれが、案外お店にとって「養分」になったりもする。
きょうもじぶんで夕食を調達せねばならない。でも、きのうのうち三日分くらい食料を調達してあるので安心。ただ、家に帰ってからちゃんとしたものを作るというのはなかなか厄介だ。パスタをゆでることすら、正直面倒くさい。きょうは、野菜たっぷりの皿うどん、ナスの揚げびたし的なもの、それに冷や奴。ほぼ、肉はナシ。
それでも、うだうだしていたらもういい時間、読みさしの『1Q84』をぱらぱらめくって早めに寝る。
8月12日はそんな一日。
結果から言えば、「アデュー・フィリピーヌ」は観にゆくことができなかった。そう思うようにはコトは運ばない、というか、むしろお店的にはそちらのほうがいいに決まっているワケで……。
ところできょうは金曜日、暦の上では平日だが、さすがに全国的にお盆休みのようで週末に近い流れである。ここ最近の傾向からタカをくくって仕込みや納品を手加減していたら、予想外の人手にいろいろなものが足りなくなってあわてる。
それにしても、きょうはたくさんお客様から差し入れをいただく。松井さんからは焼きたての「PAUL」のクロワッサン、ひろ子さんからは手作りのアーモンドクリーム入りパン、それに和菓子職人(「見習い」はそろそろ取ってもいい!?)のみっちゃんからは、お店で手焼きしているどらやき。ありがたい。
ほぼ下高井戸に行く気だったので、帰り道、夕食のことをまったく考えていなかった自分に気づく。とりあえず、手元にはいただいたおいしいパンがある。というわけで、無印の出来合いのミネストローネに香草入りのソーセージ、目についた調味料で味を適当に整えておかずにする。なんとなく気分は「ヌーベルヴァーグ」ってこともあり(笑)、DVDで「パリところどころ」のゴダール編「モンパルナスとルヴァロワ」を観る。小悪魔とふたりの「石あたま」ならぬ「鉄あたま」(?)の物語。
8月13日はそんな一日。
奇跡! 21時10分~下高井戸シネマで上映中の「アデュー・フィリピーヌ」最終日に間に合った! ほとんどあきらめていたのだが……。ヌーヴェル・ヴァーグの神様、そして献身的な超高速作業で片づけにあたってくれたスタッフよ、ありがとう。
きょうも猛烈に蒸すが、そんななかご来店くださったみなさまに心から感謝。いつもいらしゃってくださる方、ひさしぶりに顔を出してくださった方、そしてもちろん初めてのお客様も。そうしたひとつひとつが積み重なって、この「moi」というお店はできているのです。
それにしても、ウワサには聞いていたが、ジャック・ロジエの「アデュー・フィリピーヌ」は想像以上にすばらしい作品。まさに「処女作」と呼ぶにふさわしい瑞々しさ。才気走った映像。覚え書きのつもりで、あらためて記しておいたほうがよさそうだ。こうなってくると「メーヌ・オセアン」もなんとしても観たいなぁ。
仕事後、映画を観て日付の変わるころ帰宅。飲みにゆくわけではないので、仕事後こんなふうに時々映画とか観れるといいのだが…… 基本、レイトショーにすら間に合わない仕事なので難しいかな。満足して帰宅。
8月14日はそんな一日。
きのうバタバタしていてまとめきれなかった8/15の日記を、いまごろ書こうとしている。しかし、どうにも思い出せない(笑)。思い出せるのは猛烈に暑かったこと、そして予想よりもヒマだったことくらい。特に夕方以降、あっという間にひとが街から消えてしまった。お盆休み、きょうまでのひとが多いのだろうか。どうもことしのお盆は、はじまりとおわりがあいまいでこういう商売をやっている身としては予測がつけずらいな。
そしてツイッターでのやりとりを通して一日を思い出そうと試みたのだが、ほとんど「ノンアルコールビール」の話しかしておらずまったく参考にならず……。
8/15はそんな一日。
きのう「お盆休み」は終わった、と確信したはずだったのだが、どうやらまだ終わっていなかった。欠品になりそうな食材(しかもお盆休みをはさんでいるため追加納品できず)が山ほどあってドキドキする。お店をやっていると、こういう「ちっちゃいスリル」は山ほど体験できる(笑)。
そんなわけで、夕方まではまずまずのひとの流れ。そして17時以降は、まるで水を打ったかのような静けさ。予想外のこともあり気が落ち着かず(?)、ちょっとした失敗をしでかして凹む。
8月16日は練馬で38.1℃を記録、そしてそんな一日。
なんでもこの夏3回目の「熱波」が襲来しているらしい。その上、今回がもっともハードな気がする。
定休日だが、取材対応のため午前中お店へゆく。9月上旬に発売のムック『吉祥寺ぴあ』の取材で、役者の佐野史郎さんのインタビュー。じつは、ここのところツイッターを介してたびたび佐野さんとやりとりをさせていただいていて、その流れで取材場所としてモイを指定していただいたのだ。すこしお話しさせていただいたところによると、佐野さん、もともとモイのことは島根県の応援サイト「リメンバーしまね」で知ったとのこと。ツイッターもそうだが、人とひと、どんなことがきっかけでつながるかまったく予測もつかない。ちなみに松江で思春期を過ごされた佐野さんは、「リメンバーしまね」の名誉団員である。吉祥寺のこのあたりが、松江藩ゆかりの地であることを教えていただいた。
しかし猛烈な暑さ。夕方の予定までぶらぶらしようと思うが、命の危険を感じてやめにする(ちょっと寄り道はしたけれど)。夕方からふたたび外出、用事を済ませてから新宿へ。レコード屋をはしごして、それからときどき寄る「大陸」へ。「大陸」と同じビルに「居酒屋かあさん」というお店があって、入口で「かあさん」たちが勧誘していてなかなか振り切るのに苦労するのだ(笑)。まあ、それはともかく、予定通りギョーザと冷やし中華。ここのギョーザはにんにくとか使っていないので食べやすい。それにしても、ツイッターをみたら知り合いにギョーザを食しているひとが多く笑える。
そして唐突に、メル・トーメのすばらしさを分かち合うべくツイッター上に「メル部」発足。メル・トーメの声には「希望」がある。自分に陶酔している感じはさらさらなく、精確だかといって機械のように冷たいワケでもない。聴くひとが、じぶんの気持ちを同期させやすいそういう周波数をもっているような気がするのだ。
8月17日はギョーザ日和、そしてそんな一日。
そうしてやはり、夏休みは終わっていたのだった。
まあ、店はともかく(笑)、ツイッターが音楽を心から楽しむひととひととをつないでくれる今日このごろである。メル・トーメを筆頭に、フレッド・アステア、ジョン・ピザレリ、ホーギー・カーマイケル、ダニー・ケイ・・・都会的で理知的な男性シンガーの《スモール・サークル・オブ・フレンズ》。なんて素晴らしい。
夕方前から雲行きが怪しくなり、遠雷とともに雨がポツポツと。とはいえ、夕立というほどでもなく暑さは解消されず、むしろ地獄のような湿度に辟易とさせられる。夕立が来そうになるが、けっきょく来ない。これが今年の夏のひとつの特徴である。猛烈に暑くなったら夕立でクールダウンという、古来からの「お天気の調節弁」ももはや壊れてしまったようだ。恐るべし地球温暖化。
8月18日は、そんな一日。
またもやブログのツイッターまとめ機能が動作しなかったらしく、8月19日分のツイートが反映されていない。じつは、8/19は空模様もあいまいでヒマな一日だったのでとりたてて書くべきことがらもないなあ… なんて密かに思っていたので、まるでそれを見透かされたかのようでもある。じっさい、いま思い出そうとしているのだが、いまひとつなにがあったのか定かではない。というわけで、
8月19日はそんな一日
ということでお茶を濁しておく。
相変わらずバカみたいに暑い。ただ、早朝と深夜、ほんの少しだけだが心地いい風が吹くのがせめてもの救いか? とはいえ、温度計を見ればバリバリ熱帯夜であることには変わりないのだが……。
タイムラインでは、今週いっぱいで閉店するHMV渋谷の話題で、厳密にいえば、閉店にあわせて連日おこなわれている豪華メンツによる無料インストアライブの話題で持ちきりである。なかには「いまさら騒ぐくらいなら、ふだんからCD買ってあげればいいのに」といった、ある意味もっともな意見もリツイートされてきたりもするが、そうはいってもそれが時代の趨勢というか、要請なのだから仕方ないんじゃないか、という気もする。
とはいえ、1993年から2001年までの8年間(つまり90年代のほとんど)、旧「HMV渋谷」から200メートルほどの距離のところで仕事をし、足しげく通っていた身としてはやはりいろいろ思うこともある。「渋谷系」の「聖地」とまでいわれたHMV渋谷店だが、それはお店J-POPコーナーの一角を仕切ってつくられた売場(いわゆる「太田コーナー」)の話であり、HMVというメガストアの中にあってそこだけは一種独特の、「太田商店」とでも呼んだほうがふさわしいような空気が流れていた。
そこには、国籍、ジャンル、インディーズ/メジャー、時代の新しい古いにかかわらず、太田氏の「ものさし」に基づいてセレクトされたCDがいつも陳列されていて、客も「ここでオススメしてるCDなら、まあ、騙されたつもりで買ってみるか」といった具合におカネを落としていたのだった。じつは、メガストアにもかかわらず、かつてHMV渋谷のその一角だけでは、こんな昔ながらの「個人商店」のような関係が保たれていた。
そもそも商いとは、そんな店と客との信頼関係の上ではじめて成立する取り引きだったはずだ。そしてその関係は、ときにちょっと面倒くさくもあった。「面倒くささ」を取り払って、お店が単純におカネとモノとを交換するためだけの場所になったとき、コンビニエンスストアが生まれ、セルフサービスのカフェが生まれ、音楽配信が生まれた。店がそれを望んだのであり、客がそれを望んだからだ。
そう思えば、厭な言い方になるが、HMVが街から消えるのは当たり前のことである。八百屋さんや魚屋さん、喫茶店が消えるのも当たり前である。お店は、おカネとモノを交換するためだけの場所なのか、それともおカネの代わりにモノ+αをを手に入れることのできる場所なのか、そのどちらを望むのか、ここいらでもう一度考えてもいいんじゃないか? 店も客も……
8月20日は、そんなことをふと考えてみた一日。
仕込みのときラジオから流れる交通情報、先週のお盆休みよりすでに各高速道路とも激しい渋滞。イヤな予感は的中、スタートからしばらくひまな時間が続く。
14時すぎからようやくいつものペースに戻り始め、やや挽回。ここのところ、レコードの音が悪い。考えてみればもうずいぶんと交換していないのだった。だいぶキケンな状況になりつつあるので、帰り道ヨドバシカメラに寄り、かなり思い切ってオルトフォンのコンコルドを購入。プチ贅沢。さすがにいい音(気のせいかもしれないけど)。
家に帰ってテレビをつけると、清家清の「わたしの家」をやっていた。大好きな「家」。ひとが快適に暮らすための空間とは? という「命題」に対して、自分なりの「仮説」をすべて投入してみせた究極の「実験住宅」。たまたま、昼間ご来店されたお客様が持っていた『フラットハウスライフ』という本が気になっていたので、まさにグッドタイミング♪ 平屋、いいなぁ。
8月21日はそんな一日。
八月も下旬に突入したが、相も変わらずうだるような暑さである。ここのところ、毎日「暑い」と書きたいがために「暑さ」にまつわる語彙ばかり異様に増えてしまった気がする(笑)。
三月に駅のそばにあった喫茶店「STONE」が閉店して以来、吉祥寺から寄り道できる喫茶店が消えてしまった。12時くらいまでやっていて、軽食メニューがあって、コーヒーのそこそこおいしい喫茶店が、どこか吉祥寺にあればと思うのだがまったく思いつかない。酒の呑めない人間でも、ときに「避難場所」が欲しいと痛切に願うきょうこのごろ……
夜は、忙しい合間を縫ってメル友(=Twitter上の「メル(・トーメ)部」の仲間)であるTさんが来て下さった。おなじように寸暇も惜しんでレコードやCDを買い漁り、寝る間も惜しんで音楽を聴いている日本じゅうの仲間とリアルタイムでつながることのできるツイッターって、やっぱり面白い。
8月21日はそんな一日。
凶悪な湿度と熱気です。「冷夏のせいでエアコンが売れない」なんて言っていた去年の夏が恋しい。こんな日はスタートがのんびりなのは言うまでもないこと。そんななか、大家さんがファミリーで食事をしにきてくださってありがたい限り。少しずつ少しずつお客様も増える。また、顔なじみのお客様もちょこちょこ来てくださってうれしい。おかげで月曜日だというのに(?)、店内に笑い声が絶えない。
夜は引けが早い。でもいいのだ。下高井戸シネマにジャック・ロジエの『短編集』を観にゆくのだ。短編が3本で上映時間は1時間弱。なので、スタートは22時すぎ。これなら、うまくゆけば比較的余裕をもって辿り着ける。
映画は…… 1958年の『ブルー・ジーンズ』、ブリジッド・バルドーが主演した「ゴダールの『軽蔑』」のロケに同行して編集(脱構築?)した2本『バルドー/ゴダール』『パパラッツィ』。やはり先日観た『アデュー・フィリピーヌ』と比較してしまうとアイデアが不消化気味というか、面白みがあともう一歩のところで伝わってこない歯痒さが残る。こうなってくると、『アデュー・フィリピーヌ』以降の長編『メーヌ・オセアン』『オルエットの方へ』を見逃したのがますます悔しくなってくる。もしも下高井戸シネマが吉祥寺にあったなら……(笑)。
8月23日はそんな一日。
本日は定休日なり。でも、仕事がいっぱい、の定休日。夕方、渋谷である打ち合わせの前にどれだけ仕事を片づけられるかが、渋谷でレコード屋に寄れるか、あわよくばBunkamuraで「ブリューゲル展」を観れるか、の分かれ道。ところが、そんなときに限って9時ちかくまで眠ってしまう。ふだんは8時には目が覚めるのに…… 1時間のタイムロスである。
なんとかいくつか仕事を片づけ(ただし、店に資料を忘れてきてしまったためできなかった仕事もあり)、昼食をつくり、出かける準備が整ったのが15時半すぎ。けっきょく、打ち合わせ前に30分だけレコ屋に寄る。
Twitter上の【メル部】(シンガー、メル・トーメの魅力について語り合う部活動)の流れでジャズの棚だけ、しかもヴォーカルと新入荷の箱のみ掘る。
Evening With George Shearing & Mel Torme
Vintage Year
I wished on the moon
その他、ジャンゴ・ラインハルトやカル・ジェイダー、レニ・トリスターノなど。願わくは、3時間くらい居たかったな(笑)。
その後、BAR BOSSAにて雑誌『カフェ&レストラン』連載の打ち合わせ。編集長、デザイナーさんとともに2回分のテーマを決める。二ヶ月ぶりに来たら、「BAR BOSSA」絶賛マイナーチェンジ中。驚いた。夕食は、家族の仕事の打ち上げをかねてご近所の中華料理店へ。ひさしぶりだったが、いつもながらに旨い。近々、またここでは友人と食事することになっているのだが。戻ってから、買ってきたレコードに次から次へと針を落としていたらあっというまに真夜中に……
8月24日はそんな一日。
満月です。やはり満月やその前後というのは、ひとの動きがおかしなことになっているような気がする。あくまでもお店のカウンターからの「定点観測」の結果だが。男性のお客様が、ついにひとりもおみえにならなかったというのもそのひとつ。たしかに、とりわけ平日は、女性の比率が高いお店にはちがいないが、だからといって、こんなことはそうあることではない。偶然といってしまえばそれまでだが、その「滅多にないこと」がたまたま「満月の日」にぶつかる確率というのははたしてどのくらいのものなのだろうか? そんなことを考えていたら、大学生のころ出版されて話題になったアーノルド・L・リーバーという学者による『月の魔力』という本が気になり、さっそくアマゾンで購入してしまった。
夜は、帰ってから残りの事務仕事を片づけ、ラジオで小西康陽「これからの人生。」を。和モノを中心に。そういえば、このあいだの「レコ部」も和モノ特集だったとか……。
8月25日はそんな一日。
十六夜である。
開店早々に音楽家の高橋ピエールくん来店。明るい時間に彼を見るのはひさびさだ。某一部上場企業(笑)のひとと、朝10時からミーティングがあったらしい。夏の強い太陽に照らされている高橋くんは、心なしか半分くらい溶けているように見えた(笑)。
ちょっと調べ物があって検索を繰り返していたら、いまから5年くらい前(?)荻窪に店があったときにイベントでお世話になったフリーアナウンサーの方のブログを発見! さらにツイッターもやられていたのでごあいさつ。こういう偶然の「再会」を演出してくれるのもまた、ツイッターのよさである。
忙しくはないけれど、ちょこちょこと知り合いや常連さんが顔を出してくださったおかげでなんとなく時間が過ぎてゆく(って、そんなことでよいのか?…笑)。
8月26日はそんな一日。
量か? それとも質か? お店にとっての「お客様」の話。もちろん、お店にとって「儲かる」ということを考えれば、迷うまでもなく「量」をとるべきなのだろう。とはいえ、ひたすら「量」をこなすだけの仕事にモチベーションの維持を期待するのはむずかしい。とりわけ個人店にとっては……「オレって、こんな店がやりたかったんだっけか?!」という話。個人店の場合、そう思うとやはり求めるべくは「質」である。あくまでも「質」を追求しながら、同時に「量」が少しでもそこについてくるよう日々努力する。それに尽きるのではないか?というわけで、お店にとって「質」を高めてゆく試みを秋にスタートしようと思う。企画倒れになる不安を抱えつつも、うまくゆけばかなり面白いことになりそうな予感。
8月27日はそんな一日。
夏バテ、この夏何回目かの……。全身がだるくて、いつも眠いです。
土曜日だけど、まあ、相変わらずのほどほどな感じである。それに引き換え、フィンランドは急激に気温が低下しているようだ。いまヘルシンキに滞在中のお客様に報告(ツイッター)によると、あまりに寒くて現地で上着を買ったらしい。調べてみたら、最高でも14℃。東京だったら3月の半ばの気温である。はたして東京はいつになったら涼しくなるのやら……。
どこかに寄り道して帰りたかったのだが、気づけばどこに行くにも間に合わないタイミングに。もやもやしながら帰宅。そのまま、もやもやと就寝。
8月28日はそんな一日。
完全に「夏バテ」である。朝、気持ちよく目が覚めないので、サマータイム的早起きもできずかつての慌ただしい朝に戻ってしまった。
開店早々にリアル【メル部】。関西支部長を含め、コアな部員が4名集結。ちなみに【メル部】というのは、ツイッター上で出会ったメル・トーメを愛する人間による「部活動」のこと。といっても、もともと「メル・トーメっていいよね」というノリで始まったものなので、みんな鋭意聴き込み中といったところ。「メル・トーメ」というキーワードの下に集結した、要はバカみたいにレコード買っては音楽を聴いているひとびとの集いである。しかし、いかにも部活動らしく笑いにあふれたひとときだった。【メル部】のみなさん、ありがとう!
その後も、ゆったり、まったり、の~んびり♪(ホテル三日月CMソング風に)といった具合に時間は過ぎてゆく。なんかいろいろあったような、なかったような、夏バテでもやもやしているうちに一日が終了。これはちょっと、なにか精のつくモノでも食べないと拙いな。
帰宅後DVDでも観ようと思ったら、なんと室温が34.5℃! 一気に戦意喪失。ふだんあまりテレビを観ないので、テレビのある部屋にはエアコンがないのだ。シャキっとしたいなと思いつつも、その意欲だけが空回りしたような、
8月29日はリアル【メル部】、そしてそんな一日。
一日じゅう眠い。東京の熱帯夜は観測史上タイの47日だそうで、おそらくこの先もガンガン記録が更新されてゆくにちがいない。しかも、おそらくもう2週間ちかくも猛暑日が続いている。夏バテに加え、クーラー病のような症状もありそうだ。
それにしても、きょうは不思議といつもより若いお客様が多い。大学生だろうか? そう思えば、夏休みも最後だからということでもなさそうだ。これといって賑わうわけでもないが、夜までゆるゆると。体調がいまひとつということもあるが、なんとなくもやもやとした一週間であった。
8月最後の営業日は、そんな一日。