klubi166

夏なんです – Sweet Summertime

いつのまにかすっかり陽が伸びてきました。夏至からもう一週間なので当然かもしれません。もうすこし季節の移り変わりや光の変化などに目をとめて過ごすようにしたいなとおもう今日この頃。近所の森をいつものように歩いていると、目の前をゆらゆらと見たこともない奇妙な生き物が飛んでいました ──

久しぶりのレポートです。前回お届けしてから3ヶ月も経ってしまいましたが、その間にも身の回りにあるフィンランドを探し歩いていました。とはいえ、フィンランドを別の視点から見てみるのもおもしろいものです。その中で個人的に気になったものをいくつか挙げていきたいとおもいます。

2026年4月4日土曜日

まず最初は、東京・下北沢で開催された「下北イストゥットリ」。その名からもわかるように、現在長野市の工房を拠点として活動されている istut のポップアップです。「今度新しい企画を準備中です」とお聞きしていたので楽しみにしていました。

シナモンロール、ムンッキ、カルダモンロール、レモンのカルダモンサブレ、ルバーブのジャム、そしてヴィンテージの食器やテキスタイル、雑貨など。午前中は雨にもかかわらず、お店の前に行列もできて大盛況だったそうです。自分が着いた頃には、食べ物のメニューはすべて完売。おふたりがほっとひと息ついているところでした。

下北イストゥットリ

今後も恒例のイベントにしていきたいとおっしゃっていたので、どうぞお楽しみに。これを書いている現在、長野市のRISETTEというお店でも2回目のポップアップを開催しているところ(6月27, 28日)。これからもいろいろな場所で会える機会がありそうです。

2026年4月11日土曜日

翌週は、スオミ・キリスト教会(東京・早稲田)のチャーチ・カフェ。今回のケーキはたっぷりのクリームチーズにスパイスが効いたキャロットケーキ。とても美味しかったのですが、ケーキの上にのっていた人参のマジパンの完成度に感心していたのを、遠くから見ていたキッチンのみなさんに「なにか渋い顔をしていたけれど、口に合わなかった?」と心配されてしまいました。岩間さんの淹れるコーヒーが飲みたい方にはチャーチカフェが狙い目です!

キャロットケーキ

またマルッティさんとパイヴィさんのご夫妻からは音楽演奏やスライドをつかったフィンランドについてのお話も聞かせていただきました。スオミ教会ではフィンランド語クラスや子ども料理教室なども開催しています。気軽にフィンランドに触れられる機会だとおもうので、ぜひ扉を叩いてみてください。

2026年4月18日土曜日

次はすこしフィンランドから離れます。東陽町のギャラリーA4で開催されていた「ノエミ・レーモンドの建築と意匠 ─和で紡ぐモダンライフ─」(3月19日〜6月18日)へ。ノエミ・レーモンドは建築家アントニン・レーモンドのパートナーで、家具やテキスタイルのデザインで知られていたといいます。

レーモンドの名を知ったのは銀座の教文館ビルが最初だったのですが、Moiをはじめるすこし前、岩間さんと吉祥寺にある旧赤星鉄馬邸(レーモンドが設計した)を見学する機会がありました。でもこの展覧会が開催されるまで、ノエミ夫人のことはまったく知りませんでした。

ノエミ・レーモンド

展示を見ながら思い出していたのは、アルヴァ・アールトにとってのアイノの存在でした。レーモンド建築にもノエミのアイデアが生かされていることを知り、そうした部分でアールト建築と共通点があることに気づきました。建築のパネル展示だけでなく、家具や切り絵、スケッチなどノエミの作品を見ることができて、とても楽しめました。

2026年5月4日月曜日

5月最初のイベントは、東京ビッグサイトで開催された「文学フリマ東京42」。翻訳家であるセルボ貴子さんと上山美保子さんが参加されていた前回の会場で、みずいろブックスの岡村さんとお会いした時に、次回エントリーしていることをお聞きしていました。ブースでは完成したばかりの新刊『七人兄弟』(アレクシス・キヴィ著/尾崎義訳)が初お目見え。会場には岡村さんと解説の翻訳を担当された上山さんがいらっしゃいました。

七人兄弟

兄弟たちの掛け合いも楽しい『七人兄弟』は、1870年に刊行されたフィンランド語で初めて書かれた小説。そして、これまでみずいろブックスが出版してきた作品同様、題名は知っていたけれどこれまで読んだことのない物語でした。個性豊かな兄弟たちのなかで、自分が誰に共感するのか考えてみるのもおもしろいと思います(個人的には六男ラウリ)。また、かつてのフィンランドの暮らしや風景を想像しながら、たのしんで読むことができました(作中に出てきた「ABCの本」というのは、ミカエル・アグリコラの『ABC-Kirja』だろうか?)。

『七人兄弟』、『エジプト人 シヌヘ』(ミカ・ヴァルタリ)、『若く逝きしもの』(フランス・エーミル・シッランパー)と、そのフィンランド文学のスタンダードともいえる並びをみるだけで、みずいろブックスの存在の重要性が伝わってきます。6月8日に開催されたフィンランド文学情報センターと東海大学共催のオンラインイベント「フィンランド文学:古典と現代」でも、次に刊行予定の本が紹介されていました。今後もみずいろブックスに注目していきたいとおもいます。

2026年5月9日土曜日

今年3月30日に銀座から日本橋室町に移転オープンされた北欧の匠へ。場所は日本橋三越から歩いてすぐのところ。毎年恒例となっている「北欧の作家たち展」を観に行きました。今回はフィンランドやエストニアの作家の絵画作品に加えて、ラトビアの作家も紹介されていました。

北欧の匠

お店には北欧の工芸品やプロダクトが所狭しと並んでいるので、自分だけの宝物を見つけに出かけてみてはいかがでしょうか。自分は以前こちらで求めた白樺のククサを今でも愛用しています。

エストニア、ラトビアと来れば、次はもちろんリトアニア。その同日、画家であり音楽家でもあるチュルリョーニスの展覧会へ行きました。会場は上野の国立西洋美術館(3月28日〜6月14日)で、日本では34年ぶりとなる回顧展とのこと。フィンランドと同じようにロシアからの独立を果たしたバルト三国ですが、リトアニアにとってチュルリョーニスはとても重要な芸術家であったといいます。

チュルリョーニス

チュルリョーニスの経歴で気になったのが、妻ソフィヤからリトアニア語を習っていたということ(リトアニアはかつてポーランドと連合国家だったことがあり、チュルリョーニスの母語はポーランド語だった)。国家の独立を目指すことやアイデンティティを確立することには、言語の存在は欠かせない要素なのかもしれません。それはフィンランド語の復権に力を傾けたフィンランドにおいても同様だったのだろうと考えていました。

2026年5月31日日曜日

展示期間の最終日に滑り込んだのが、表参道のギャラリー・ドゥー・ディマンシュで開催されていたフィンランドのアーティスト/イラストレーター、アヌ・サーリさんの作品展「Jälki/痕跡 Traces of Finnish Forest Walks」。ご本人が在廊されていることを知らずにいたので、あたふたしながら前回の展示「Daydream – Unelmia」も拝見していたことを伝えました。

アヌ・サーリ

フィンランドの森をテーマとして、モノタイプ(版画の一種)、セリグラフ(シルクスクリーン)、インクドローイングという3種類の技法で描かれた作品たち。それぞれ技法の違いによって、湖面に映る森が波で揺れているように見えたり、歩いているうちに光と影が森の色を変えていく様子におもえたり、木漏れ日の瞬きで樹々が淡く滲んでいくように感じたりしました。「Jälki/痕跡」というのは、森の散歩から家へ戻ってきたときに、まだ心に残っている森の印象のようなものなのかもしれません。

2026年6月27日土曜日

最後は本日開催予定だったスライドトークのイベント「初めてのフィンランド旅」。まさか2つの台風が同時にやってくるなんて……というわけで、開催は延期となりました。会場の都合により比較的少人数の募集だったので、Instagramでしかお知らせしていませんでしたが、お話してくれるFさんはフィンランドに対する情熱がとっても深い方なので、絶対たのしいイベントになるに違いないと確信していました。岩間さんのコーヒーにMaijaさんのシナモンロールがあれば云うことはありません。

AALTO WORKS

今回とくに自分は準備することがなかったのですが、この7月にアールト建築が世界遺産に登録されるかもしれないということで、ちょっとした資料をつくりました。そのためにアールト関連の書籍をいくつか読み返していたところ、アールト自身の言葉で建築について語られている『アルヴァー・アールト エッセイとスケッチ』(ヨーラン・シルツ編/鹿島出版会)がとても参考になりました。おすすめです。

イベントの日程は現在調整中です。決まり次第お知らせします。

── うわぁ、こっちへ来ないで、と逃げまどっていると、すこし離れた柵の向こうにその生き物は降りていきました。おそるおそる近づいてみると、そこにいたのはカブトムシ。昼下がりのこんな明るい場所にいるとはおもいもしませんでした。しかもこちらにお腹を向けて飛ぶ姿を見たのも初めてのことです。フィンランドにもカブトムシはいるのでしょうか……夏ですね。

text + photo : harada

Sweet Summertime – Miss Abrams & The Strawberry Point 4th Grade Class