特技はいつでもどこでも眠れるところです。瞳を閉じてほんの数分。のび太か ──
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Moi!フィンランドをもっと好きになる 130回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。
イェンニ・トゥオミネンのTシャツ
最初の報告はミホコさんから。休日を利用して、イェンニ・トゥオミネン個展「渋谷区猿楽町、王様のいない森」へ行きました。会場は、渋谷と代官山のあいだの住宅街にあるギャラリーのこぎりです。たまたま会場にひとりきりですこし恥ずかしかったけれど、のんびりと滞在することができてよかったとミホコさん。
フクロウなどたくさんの陶の作品を前に、よくこれだけの数を作ったものだなあと思ったそうです。王様のいない森ということは、森をイメージするような作品が多かったんですかという岩間さんの質問に、森以外にもアザラシなどもいて、これは湖の場面かなといったものも。いろいろ想像力をかき立てられてお話を作りたくなるくらいでした、と。
また会場でイェンニさんのデザインしたTシャツを購入したというミホコさん。先日そのTシャツを職場へ着て行ってみたところ、すぐにイェンニさんのものだと気づいた方や、Tシャツだけでも欲しいという方もいたとか。ギャラリーを運営する「トンカチ」の直営店(ギャラリーのすぐそばにある)でもグッズを販売中とのことです。
【イェンニ・トゥオミネン 渋谷区猿楽町、王様のいない森】 会 期:2023年8月25日~10月15日 時 間:12:00~19:00 会 場:のこぎり 所在地:東京都渋谷区猿楽町5-17 第一西尾ビル2F 休廊日:月・火(祝祭日は開廊)
ミ:個展などにお邪魔して、たださよならというのもあれですし。作家さんを応援する意味もあって、いつもなにかを購入するんですが。
イ:同じです。作品だけの展示だと値段的に手が出ないこともあるけれど、ふらりと立ち寄るだけというのもね。アーティストからしてみたら、知ってもらうだけでもうれしいと思うのかもしれないけれど。
ミ:そうですよねぇ、ちょっとしたハードルが。
イ:スマートに振る舞える大人になりたい、笑。 原田くんはどう?
ハ:あー、自分は気にせずどんどん行きます! も、もちろんおふたりの言われることもわかるんですが、‥‥すみません(作家のみなさんへ)、笑。
フィンランドの小説を楽しむ
次はミホコさんのフィンランド語講座「フィンランドの小説を楽しむ」について。7月期の授業が終わり、ひと段落。これからはじまる10月期の講座でも引き続き、クリスマスの前後3日間を舞台とした推理小説を読んでいくそうです。フィンランド語の文章を読みながら、フィンランドの季節や情景が想像できるように状況の説明などをしていきますとミホコさん。
イ:ひとつ例を挙げるとするとどんな感じですか?
ミ:たとえば「昨日朝7時に電話をすると相手がすぐに出てくれた」という文章があったとします。朝7時に電話がかかってくるってどうですか? 早いですか?
イ:朝7時はちょっと早いかもしれませんね、特別な事情がないと。
ミ:ちなみにこれはクリスマスイヴの朝。
イ:日本でいうと三が日の朝にかかってくる感じですかね。
イ:この夏の暑さの中でフィンランドの冬の物語というのも修行のようだったかもしれませんね。
ミ:ようやく涼しくなってきました。
イ:もう3ヶ月後にはクリスマスイヴですけれど。
ミ:想像できません!!
ふたりの話を聞きながら、今年は秋が短いのかもしれないなあ、残念だなあと思っていました(なにより秋がいちばん好き)。
まもなく刊行『アイノとアルヴァ アアルト書簡集』
もうひとつミホコさんから。10月5日に草思社から刊行予定の『アイノとアルヴァ アアルト書簡集』の見本がど~んと届いたという報告がありました。
ど~んと、というのは重さが800gくらいあるそのヴォリューム感、ページ数も500ページ以上とのこと。新しい本を手にするとまず帯やカバーをすべて外して確認するというミホコさん。装丁にとても力が入っているそうで、見返しにもデザインされたエンボス加工の紙が使われていたり、ミホコさんの投稿している写真からも期待が高まります。
ここで岩間さんから翻訳に関する質問がありました。(書簡集ということで)日常的な内容が多いと思いますけど、建築などの専門的な内容についての翻訳は大変でしたか? ── 建築に詳しい編集者の方をはじめ専門家の協力を得ているのでしっかり専門用語なども統一されています。日常会話だけでなく、世界的に有名な人たちとの交流なども描かれていて、とくべつ建築の知識がなくても楽しめる一冊になっていると思います、とミホコさん。
▶︎ 『アイノとアルヴァ アアルト書簡集』ヘイッキ・アアルト=アラネン著/上山美保子訳(草思社)
ミ:それだけにちょっと値段はお高めなんですが。
イ:原田くんはいくらくらいすると思いますか?
ハ:あ、ずっとチェックしているので知っているんです(じつは数ヶ月前から『書簡集』貯金をしているので、笑)。
イ:アールトといえば『白い机』というバイブルみたいな本がありますけど、三分冊で、それぞれ1万円以上するような。
ミ:ありますね、絶版かな?(*まだ購入可能のようです)
イ:その3冊とこの『書簡集』が本棚にあったらいうことないですね。
ミ:アールトを愛しているという方は、笑。ぜひみなさんに読んでいただきたいです。
*『白い机』ヨーラン・シルツ著/田中雅美・田中智子/共訳(鹿島出版会) ① 若い時:アルヴァ・アアルトの青年時代と芸術思想 ② モダン・タイムス:アルヴァ・アアルトと機能主義の出会い ③ 円熟期:アルヴァ・アアルトの栄光と憂うつ
4年半ぶりのフィンランド
次は自分から報告というよりお知らせを。7月に長野市にある工房を見学させてもらったistutの記事を書いています。istutのおふたりはいまちょうどフィンランドへ買い付けに行かれていて、それが4年半ぶりになると聞きました。
4年半前ということで思い出すのが、2019年にフィンランド大使館で開催されたフィンランドと日本の外交関係樹立100周年を記念したイベント「Feel Finland」に参加したときのこと。当初、岩間さんの提案で、moi・istut・kielotieの3カフェで一緒にという計画があったのですが、ちょうどistutが買い付けに行かれていた時期で、moiとkielotieの2店舗で出店しました。
その時の様子は岩間さんのブログでどうぞ。
ハ:それがちょうど4年半前でして。
イ:ああ、そういえばそうでしたね。
ハ:istutのInstagramでフィンランドの旅の様子を公開されているので見てみると楽しいと思います。
大平高之作品展@喫茶トムネコゴ
さらにもうひとつお知らせ。Moiのロゴを描いてくれた画家の大平高之さんの作品展が、井の頭公園前の喫茶トムネコゴで開催中です。自分もこれから行こうと思っています。
【大平高之 作品展】 会 期:2023年9月13日~10月1日 会 場:喫茶 トムネコゴ 所在地:三鷹市井の頭3-32-16 セブンスターマンション102 定休日:火曜・第一月曜
ミ:以前にも聞いたかもしれないですけど、大平さんとはどういったつながりがあるんですか?
イ:元はmoiに来てくれていたお客さんでキッチンを手伝ってもらってたこともあるんです。なにか一緒にできることがあったらというところからロゴを描いてもらいました。
ミ:そうなんですね。
イ:本やCDジャケットなどの絵も描かれたりしています。
ハ:トムネコゴは、井の頭公園駅の目の前です。
イ:吉祥寺駅からだとちょうど公園の対岸だよね。
夏眠のすすめ
最後は岩間さんの報告です。
フィン活といっていますが、どこかに行ったり、なにかをしたりといったことだけではなくて、やっぱりフィンランドのライフスタイルを自分の暮らしに取り入れていくってところだと思うんですよね。今年の夏はすごく暑かったじゃないですか、そこで思いついたのが夏眠。冬眠に対する夏眠ね。夏眠が必要だと思うんです。フィンランドでは冬のあいだ家の中で心地よく暮らせるようにいろいろ工夫してますよね。インテリアだったり、編み物だったり、保存食としてカラクッコのパンを作ったり。ほら『ムーミン谷の冬』でもムーミンたちが冬眠するじゃないですか。冬眠中に起きてしまったムーミンがモランと遭遇したりとか、新しい出会いがあったり。というわけで、いっそのこと夏の間は日常的な社交を辞めるっていう、仕事だけは行かないといけないけど。そうした北欧の暮らしぶりが役に立つんじゃないかと(以上、抜粋)。
あやうく岩間さんに説得されそうになりましたが(笑)、今年みたいな暑さの中だとクーラー嫌いの自分としては夏眠できないかもしれないなぁと。せっかくなら、ひと月くらい避暑地に滞在するのがいいなと思いました。サマーハウス、すてきな響き(ちなみに自分は不便なところでも大丈夫なタイプです)。
── どうか安心して眠れますようにどんなときも夢は君やあなたの味方だから。眠りに落ちるその瞬間ふとそんなことを想っていたりして。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。
text : harada
#130|Sleeping In – The Postal Service