Moi!フィンランドをもっと好きになる123回目の配信レポートをお届けします。メニューはこちら。
フィンランド・グラスアート展と夕涼みの会
配信前日の土曜日、Moiのサークルnuotio|takibiで「フィンランド・グラスアート展と日本庭園の夕涼みの会」を開催しました。そこでまず岩間さんに「フィンランド・グラスアート展」の感想を聞きました。
まず展覧会を観るにあたって参加者のみなさんにお願いしたのは「どれかひとつ好きな作品をもらえるとしたらどの作品を持ち帰りますか?」というもの。作品を自分の興味や生活に引き寄せることで、より真剣に作品と向き合うことができるはずという岩間さんならではの提案です。
岩間さんが驚いたというのが、これまで実際に見たことのない作品が多かったということ。フィンランド・ガラスの黎明期に活躍したグンネル・ニューマンの作品はどれも宝石のようですばらしかったと。
その中で最も注目したデザイナーが、新館の最後に展示されていたヨーナス・ラークソ。ヌータヤルヴィの学校やリーヒマキの工房で学んだ彼は自らガラスも吹きます。「ワイルドで暴れん坊のイメージがあるけれど、作品をよく見ると繊細でナイーヴな性格をもっていると思う。フィンランド・ガラスの歴史を受け継ぎながらアップデートしている存在ですね」
ということで、岩間さんが選んだ作品は、ヨーナス・ラークソの「ココナッツ」でした。
その後の夕涼みの会でみなさん一人ひとりにうかがってみると、タピオ・ヴィルッカラ「東京・ヘラジカ」、カイ・フランク「プリズム・ユニークピース(魚)」、ティモ・サルパネヴァ「夢へのゲートウェイ・アーキペラゴ」などが挙がりました。それぞれ視点の違いがあっておもしろいですねと岩間さん。
イ:ミホコさんはどれを持ち帰りたいですか?笑
ミ:やはりカイ・フランクのピッチャー(「クレムリンの鐘」)ですね。「魚」もいいなと思いました。
ハ:自分は「夢へのゲートウェイ」です。透明でシンプルなかたちなのに見る角度によって色まで変化するところが。
ミ:美術館は混んでいませんでしたか?
イ:暑い日だったからかもしれませんが、混んで見づらいということはありませんでしたよ。
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そして目黒の庭園美術館から目白の日本庭園へと場所を変えて、夕涼みの会を行いました。自分ははりきりすぎて(笑)集合時間より1時間くらい早く着いてしまったので、ベンチに座ってぼんやり庭園を眺めていました。
周りの土地よりも一段低くなっている庭園は、緑に囲まれているため住宅街の中にあるとは思えないような場所でした。また大きな池には見たこともないくらい立派な鯉やくつろいで漂う鴨たち、そしてたくさんのとんぼが飛び交っていました。
夕涼みの会場は、赤鳥庵という数寄屋造りの茶室。畳敷の部屋、長く広い廊下、大きな窓。民宿かどこかへ訪れたかのような懐かしくてとてもぜいたくな気持ちがしました。
岩間さんには、istutの自家焙煎豆「コーヒータウコ」を淹れてもらいました。岩間さんのコーヒーを絶やさないことが自分にとってはとても大事なことなのです。そしておやつは、kb’s bakeのブルベリーマフィンとベーコンポテトマフィン。お忙しいなかご用意していただくことができました。みなさんにも好評ですごくうれしかったです。
ミ:お茶を点てたりもできるんですか?
イ:はい、茶室もあるので。
ミ:また(同じ会場で)開催されたりもできますね?
イ:10月にアールトの映画などもあるので、次回はミホコさんもぜひ。
ご興味のある方はぜひ nuotio|takibi サークルへ。ご参加をいつでもお待ちしています。
フィンランドで日本を紹介するお店 ~ COMMON
次は自分の報告です。andfikaのYouTube番組「フィーカの時間」を視聴しました。今回のゲストはヘルシンキで「common」というセレクトショップを営んでいる中村さんご夫妻。フィンランドへ移住して20年になるおふたりから、移住のきっかけやお店の開業、フィンランドでの暮らしのことなどを聞かせてもらうことができました。
また前回の配信はラプアンカンクリやマリメッコの店舗設計を手がけられた設計事務所imaの小林さんご夫妻の回でした。そちらもぜひご覧になってみてください。
ハ:お店はファイブコーナーズにあるそうです。
ミ:日本の製品を紹介されているんですね。
ハ:はい、日本の地方で製造されている醤油挿しや靴下なども。雑貨やアパレル製品も取り扱われています(スニーカーなど現地で知り合った方の製品も)。
maikaの暮らし展 -フィンランド買付市-
夕涼みの会当日のお昼、マフィンを受け取りに国立のmaika/kb’s bakeへうかがいました。お店ではちょうど「maikaの暮らし展 -フィンランド買付市-」が始まったばかりです。maikaは国内海外問わず店主の宮原さんが厳選した生活雑貨を取り扱うお店。ruskaという屋号でARABIAをはじめとする北欧ヴィンテージのオンラインストアもされています。
壁いちめんに貼られていた旅の写真を見ながら、夏のフィンランドに思い巡らせていました。ゆっくりお話を聞かせていただきたかったところなのですが、泣く泣く目白庭園へと向かいました。買付市の会期は2023年8月13日までとのことですので、お店へぜひお出かけください。
また、8月19日と20日の二日間、maika/kb’s bakeにてistutの出張イベント「生のワッサーをかじろう!」が開催されます。シナモンロールに荻窪時代のドリンクメニュー、二日間限定のスイーツなども。こちらも楽しみです。
ミ:どんなお店なんですか?
ハ:生活雑貨を取り扱うmaikaとお菓子を作っているkb’s bakeが一緒に入っているお店です。コーヒーなども店内でいただけますよ。
新しい記事と新しい本のお知らせ
最後はミホコさんの報告です。まずひとつめは、北欧語書籍翻訳者の会のnoteを8月9日に公開する予定とのこと。内容については聞きそびれてしまったのですが、公開された際にはTwitterなどでお知らせしたいと思っています。どうぞお楽しみに。
そしてふたつめは、ミホコさんが現在翻訳に取り組まれている新しい本について。その本とは、ヘイッキ・アールト=アラネン著『The Story of Aino and Alvar Aalto』。以前の配信 #60でも一度話題に上ったアイノ・アールトとアルヴァ・アールトの書簡集です。出版社はセルボ貴子さんが翻訳された『寄生生物の果てしなき進化』を出している草思社。映画『アアルト』が公開される前には書店に並ぶ予定とのことです。
ミホコさんからタイトルも教えてもらったのですが、今回は配信を聞いてくれた方たちへ特別?ということで、またの機会に、笑。
ミ:ふたりの作品づくりのスタンスや彼らが過ごした当時のフィンランド、その中でどうやって生きてきたのかなど、ふたりの手紙を通して知ってもらえると思います。ヘルシンキ工科大学(現在のアールト大学)を先に卒業したアイノの存在感についても。
イ:最近の展覧会などでもアイノの方がアルヴァよりも先進的だったように感じますよね。パイミオ・サナトリウムにもアイノの影響が見えるし。
ミ:手紙の内容で新たにわかったことなども。
イ:今だったら残らなかったかもしれませんね。
ミ:ええ、電話の普及などでさらに手紙を出すこと自体が減っていますから。
それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。
text : harada
#123|Will You Still Love Me Tomorrow – Carole King