#117 ワイルドサイドを歩け

近頃とにかく歩くようにしています。いつかきっとどこかにたどり着けるものですから ──

Moi!フィンランドをもっと好きになる117回目の配信レポートをお届けします。メニューはこちら。


Hyvää juhannusta!

ヒュヴァー ユハンヌスタ! という岩間さんの掛け声で始まった今回の配信、前日の6月24日が夏至祭当日でした。

Instagramを眺めていると、フィンランドのブランドや団体、その他どのアカウントでもこの言葉が踊っていました。まさにフィンランドではクリスマスと同じくらいの大切にされている行事なのだなとあらためて思いました。

イ:昨日がユハンヌス(夏至祭)でしたね。東京でも夜7時くらいまで日が延びて。
ミ:きのうは夕陽がとても綺麗でした。
イ:なにかユハンヌスらしいことはしましたか?
ミ:あえて何もしていません、笑。
イ:それもミホコさんらしいですね、笑。
ハ:はい、しました! ヴィヒタをいただいたので飾りました。
ミ:ヴィヒタを濡らして、身体を叩くといいかもしれない。


The Originalと美容室の椅子

まずは自分の報告から。東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTで6月25日まで開催されていた~企画展『The Original』~を観ました。厳密に「オリジナル」というのではなく、のちのデザイナーたちにインスピレーションを与えるような世界各国のデザインを集めた展示です。

フィンランドのデザインでいえば、エーロ・サーリネンのサイドテーブル、アルヴァ・アールトのベース、リサ・ヨハンソン=パッペのペンダントライト、アルミ・ラティアのテキスタイル、フィスカルスのハサミなどがありました。

デザインについてくわしくないので正確なことは言えませんが、やはりこうしていろいろな国のデザインと並べてみるとすっきりとしたシンプルさがあり、それゆえに古びないデザインなのかもしれないと思いました。

ハ:キュレーションは、デザインジャーナリストの土田貴宏さん。あと深澤直人さん、田代かおるさんの3人です。
イ:ああ、土田さんでしたか。北欧デザインの文章も書かれていますね。実は同じ美容師さんに髪を切ってもらってて、いまはわかりませんが、笑。
ハ:北欧好きの方が行くお店なんですか、笑。
イ:そうですね。美容室の椅子もタピオヴァーラです、笑。


フィンランド・グラスアートと庭園美術館

そしてもうひとつ。東京都庭園美術館ではじまった『フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン』の内覧会へ取材に行ってきました。

昨年11月に富山市ガラス美術館ではじまった展覧会の巡回展で、フィンランドの8名のデザイナーによるガラス作品約140点が展示されています。展覧会については、現在執筆中の記事をどうぞお楽しみに。

また、Moiのフィンランドサークル nuotio|takibi では8月に『フィンランド・グラスアート』展の鑑賞会+夕涼み会を行う予定です。サークルへのご参加ともどもお待ちしています。

イ:元々どこの作品が集められているんですか?
ハ:えーと、名前が難しいんですが、カッコネンさんの‥‥。
ミ:キュオスティ・カッコネン(Kyösti Kakkonen)さんですか?
ハ:はい、そうです。EMMA(エスポー近代美術館)でも~コレクション・カッコネンの展示~をしているみたいです。
イ:庭園美術館はアールデコ調の建物でルネ・ラリックのガラス作品なども展示されているから、今回の展覧会にもぴったりな会場かもしれないね。観るのが楽しみです。

「他に何かありますか?」と岩間さんに言われ、「えっと、思い出したら話します」と返事をしたのですが、重要な展示をうっかり忘れていました。それについてはレポートの最後に!


歩くとサウナの旅

続いてミホコさんの報告です。地下鉄の東京メトロで配布されている『Alku』というフリーペーパーを見かけたミホコさん。自分も先日見かけたのですが、日本語の「歩く」とフィンランド語の「alku|はじまり」の2つの意味があるとポスターに書いてありました。配信を聞いてくれていた方の中にも『Alku』を知らずに手に取ったという方がいました(~WEBサイト~もあります)。

©︎mihoko-san

そしてミホコさんは先日NHKで再放送された番組~『窪田正孝 フィンランド サウナ旅』~を観ました。俳優の窪田正孝さんがサウナを求めてフィンランドを旅する番組で、2月くらいのラップランドの冬景色がとてもきれいだったそうです。真夏に涼むため保存版にするとのこと。

番組の中で窪田さんが、日本のサウナブームもよいけれど「ととのう」ということではなく、ルールに縛られずに楽しむものだと感じたと言っていたことがうれしかったとミホコさん。


インターネットの敵とは誰か?

もうひとつミホコさんが紹介してくれたのが、ミッコ・ヒッポネン著『「インターネットの敵」とは誰か? サイバー犯罪の40年史と倫理なきウェブの未来』(双葉社)。

フィンランドのサイバーセキュリティ企業F-Secure(現在はWithSecure)で研究を続けてきた著者。スマート技術やAIがどこまで安全かなど、日常を取り巻くそうした技術や未来を知ることのできる一冊とのことです。

またF-Secureの創業者でNOKIA会長でもあったリスト・シラスマ著『NOKIA 復活の軌跡』(早川書房/2019年)もおすすめですとミホコさん(~レポート#9~でも紹介しました)。

ミ:名前の読みは「ヒッポネン|Hyppönen」より「ヒュッポネン」かと。
ハ:(「シラスマ|Sillasmaa」も「シッラスマー」?)


久しぶりのNokiaユーザー

最後の報告は、久しぶりにNokiaユーザーになったという岩間さん。その製品とはワイヤレスイヤホン。いつもは有線のイヤホンを愛用していましたが壊れてしまったため、ワイヤレスのものを探していたそうです。するとNokiaの商品があることを知り、購入しました。

岩間さんによると音質もなかなか良いそうなのですが、慣れないと操作が難しいところがあるとのこと。こちらもまた愛用していますという方々がいました(みなさん、フィンランド愛がすごいなぁと感じています)。

ミ:歩きながら音楽聴けないんですよね、音が聞こえないと怖くて。
イ:最近は外の音が聞こえるように設定できるイヤホンなどがありますよ。


きのこのなぐさめ

そして岩間さんが最近読んで気になったという本、ロン・リット・ウーン著『きのこのなぐさめ』(みすず書房/2019年)を紹介してくれました。翻訳は~北欧語書籍翻訳者の会~のメンバーでもある枇谷玲子さんと中村冬美さん。

著者のロン・リット・ウーンさんはマレーシア出身の文化人類学者。ノルウェーで最愛のパートナーを失った彼女が、ふと参加した「きのこ講座」できのこの奥深さを知り、時に悲しみが癒されていくというお話。「とても良い本です」と岩間さん。

ノルウェーできのこが食べられるようになったのが19世紀終わり、一般的には身近すぎて逆に危険だと考えられていたそうです。その後洗練された食文化として認知されるようになっていったきのこ。北欧の中でもきのこに対するスタンスが多少異なるとのこと。

たとえば「コルヴァシエニ|korvasieni」というきのこは、ノルウェーでは食べてはダメ、スウェーデンでは食堂などで食べる、フィンランドでは毒抜きして普通に食べるそう。きのこの食文化や歴史を知りたいきのこファンの方はぜひ!

ハ:フィンランドではやっぱり親からきのこのことを教えてもらうんですか?
ミ:家族で採りにいく方はそうでしょうね。そのエリアで採れるきのこがあると判断することもあるようですよ。


石本藤雄展「蕾 -つぼみ-」

なにかあったはず・・・・、あっ!と配信終了後に思い出したのが、南青山のスパイラルで開催されていた石本藤雄さんの展示『蕾 -つぼみ-』

フィンランドから帰国後、道後のアトリエで製作されている石本さん。会場に並んでいた蕾は、過去に制作したグラフィックからインスピレーションを受けて作られた陶製の作品たちです。

はちきれそうな丸く大きな蕾、いったいどんな花が咲くのでしょうか。まるで自分が蝶々や昆虫になったような気分になります。タイサンボクをイメージした白い蕾が好きでした。また一緒に訪れた友人は、石本さんがすっと引いた線のバランスがやっぱりすごいと言っていました。

スパイラルの展示は6月25日まででしたが、7月1日からはLAPUAN KANKURIT表参道で、MustakiviのPOP UPが開催されます。

テーマは「お茶の時間」。石本さんのデザインしたMustakiviの製品、そしてLAPUAN KANKURITのテキスタイルの共演となるそうです。詳細は下記リンクをご覧ください(いつか道後のお店にも行ってみたい)。

▶︎ Events|7/1-7/23 Mustakivi POP UP 開催


── 危険な道ではなく、自然の道を。土の上を、草原を、木陰の下を、川岸を。隣に並んでアオサギが歩いていて驚いたり。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text : harada

#117|Walk On The Wild Side – Lou Reed