6月に入りました。フィンランド南東部のラッペーンランタでは雪が降ったそう ──
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Moi!フィンランドをもっと好きになる114回目の配信レポートをお届けします。メニューはこちら。
- 森川すいめい:その島のひとたちは、ひとの話をきかない
- Kalevala:フィンランド発のジュエリーブランド
- Liike Nyt:新しい政治の動き
- Arttu Wiskari:ジャンルはフィンランド
- 「北欧デザイン」の考え方、ふたたび
森川すいめい:その島のひとたちは、ひとの話をきかない
最初の報告は岩間さん。オープンダイアローグのことを知りたいと思い、本を探しているうちに出会った一冊『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』(青土社)を紹介してくれました。著者はフィンランドでオープンダイアローグを学び、資格を取った精神科医の森川すいめいさん。
まずオープンダイアローグとはなにかというと、フィンランドの西ラップランド地方で開発されたメンタルケアのアプローチ手法のこと。本人や家族、関係者、そして医師や看護師、心理士などの専門家チームが対話を行うことで症状を緩和させていきます。正式名称は「Open Dialogue Approach To Acute Psychosis(急性精神病における開かれた対話によるアプローチ)」。
この本は自殺者数の少ない地域ではどのような暮らしをしているのか、インタビューなどを通して考察していくルポルタージュです、と岩間さん。森川さんがフィンランドを訪れた時、福祉の国といわれる北欧はもっとバリアフリーが進んでいるのかと思っていたら、想像していたのとは違っていました。段差があったり扉が重かったりと、岩間さんもフィンランドで同じように感じたそうです。石畳もありますしね、とミホコさん。
イ:たとえば車椅子の方がひとりで出て行っても、声をかけやすい環境があるんじゃないかな。
ミ:自然にできていますよね。
イ:日本ではお互い遠慮しているところがあるよね。
ミ:声を掛けるか、掛けないか、考えてしまうひともいるかもしれませんね。
配信後、ミホコさんからいただいたコメントを書いておきます。
── 日本で声をかけて断られることもありますが、ありがたがられることも多々あります。特にベビーカーで行動しているお母さんには声をかけると、まず、お手伝いさせていただけます。お子さんを抱っこするのは怖いので、荷物とか空のバギーを移動するのを手伝うとか…そんな感じにしています。
実際の介護経験や講座などで学んでいないと、どう声をかけたらよいのかわからないこともあるかもしれないと前置きした上で、
── 車いすの方の場合は、体勢がたいへんになっているときに声をかけます。白杖の方とか耳が聞こえない方なども、声をかけるタイミングはあるかもしれません。でも、みなさん、声をかける勇気を持ってほしい…ともおっしゃっていますので、断られても気になったら声をかける、これが大事なのかも。
きっと助けを呼んだり、何かをお願いする方が勇気が入りますよね。自分ももっと自然に声を掛けられるようになれればと思います。
Kalevala:フィンランド発のジュエリーブランド
フィンランドのジュエリーブランドKalevalaのポップアップショップについての記事を書きました。その記事を読んでくれたというミホコさん、いまはどんなラインナップになっているのかが気になり、ウェブショップを訪れてみたそうです。
その中でこれだったらいいかもというアイテムを見つけたので、機会があれば実際に見てみたいとミホコさん。前から持っていたKalevalaのピアスを久しぶりに取り出してみたとのこと。
ポップアップが行われたのは下北沢のreloadという商業施設。小規模な屋外アウトレットのような、おしゃれな横丁のような施設でした(表現力、笑)。1階のエントランスホールでポップアップを、その2階で新製品の発表イベントがありました。
取材当日、イベントについてどうしたらうまく伝えられるだろうと右往左往していたのですが、会場で流れていたフィンランドの映像にとても癒されていました。記事を読んでいただけたらうれしいです。
ミ:男性がつけられるものはありましたか?
ハ:すみません、自分自身まったく疎いので、笑。会場には男性の方もいらしていました。あと、以前のKalevalaは日本人にとっては大きめなデザインのものが多かったみたいですが、チャームなど小さめなアイテムは着けやすいっておっしゃっている方もいましたよ。
Liike Nyt:新しい政治の動き
つづいて、ミホコさん。3月末に選挙のあったフィンランド、そういえばまだ組閣の発表がないなと感じていました。そこで注目したのが、現在、国会議員が一人だけという政党「Liike Nyt(Movement Now)」。2018年に国民連合党を離党したハリー・ハルキモ議員によって設立されました。
ハルキモ議員は元スポーツ選手で、アイスホッケーチーム「Jokerit」、そのホーム競技場であるハートウォールアリーナのオーナーでした。またフィギュアスケートのキーラ・コルピ選手のマネジメントなども行っていたそうです。
フィンランドでも新しい政党が出てきたり、そうした新しい動きがあるんだなと思ったとミホコさん。
Arttu Wiskari:ジャンルはフィンランド
そしてミホコさんがよく聴くというお気に入りのミュージシャン、アルットゥ・ヴィスカリを紹介してくれました。
2010年にデビューしたヴィスカリは現在38歳(1984年生まれ)、5枚のアルバムをリリースしています。デビュー曲は「Mökkitie」、サマーコテージへの道?でしょうか、フィンランドらしいような気もします。ジャンルはどんな音楽ですか?と聞いたところ、「イスケルマ」でも「ヘヴィメタル」でもなく、あえていうなら「フィンランド」とのこと。
おすすめ曲は『Tuntematon potilas(無名の患者)』。ヴァイノ・リンナの小説『無名戦士|Tuntematon Sotilas』をもじったもの。
▶︎ Arttu Wiskari – Tuntematon potilas|YouTube
「北欧デザイン」の考え方、ふたたび
最後は自分の報告です。112回目の配信で岩間さんが紹介してくれた渡部千春著『「北欧デザイン」の考え方』(誠文堂新光社)を読みました。北欧デザインと呼ばれるものの歴史的背景やそれぞれの相互作用によって発展してきたこと、フィンランドだけを追っていたのでは見えてこない部分がよくわかる本でした。
北欧デザインの始まりについて、スウェーデン手工芸協会のグレゴール・ポールソンによる『Vackrare Vardagsvara|より美しい日用品』がよく取り上げられますが、ルニングプライズという北欧4カ国の優れたデザイナーを対象にした賞(1951年~1970年)で多くのデザイナーたちがアメリカを訪れたこと、またMoMAニューヨーク近代美術館の「グッドデザイン展」(1950年~1955年)で紹介されたことなどにより、北欧デザインが世界でも注目を浴びるようになったことなどを知りました。
ほかにも日本の民藝との関わり、おもちゃやアウトドア製品など様々なジャンルのデザインを取り扱っているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
── 春の雪ならぬ夏の雪。それはいったいどんな音がしたのでしょう。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。
text : harada
#114|Listen, The Snow Is Falling – Galaxie 500