#095 誰しも学ぶときが来る

とても寒い朝、しっかり服を着込んで公園へ。ベンチに座っていると向こうの垣根の中にトラ猫がいるのに気づきました ──

Moi!フィンランドをもっと好きになる95回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。


英語を学ぶには〜フィンランドの場合

1月22日は旧正月ということで「Hyvää uuttaa vuotaa!」という岩間さんのひと声から始まった今回の配信。前々回、ミホコさんが紹介してくれた古市憲寿+トゥーッカ・トイボネン共著『国家がよみがえるとき〜持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由』(マガジンハウス)の話題から。

2015年に出版された本ではあるけれど、いまフィンランドについて話題になっているトピックが早い段階で取り上げられていると岩間さん。教育やSDGs、幸福度や起業などについてフィンランドのスペシャリストたちの論文をもとに現地で見てきたことを二人の社会学者が解説していく一冊。

例えば、フィンランドの人たちはなぜ英語が達者なのかについて。教育方法は日本とあまり変わらないが、小さい国であるが故に外国との関係を重要視していること。また海外からエンターテインメントのコンテンツがたくさん入ってきており、無意識に英語に親しんでいることなどといった違いがある、と。

その一方でPISA(OECD生徒の学習到達度調査)の結果から成果が表れているのだからそのままでいいとされ、改善を求める現場の意見が通りにくくなっている弊害もある、など。

今週の”フィン活”本。コインに表裏があるように、フィンランドについて語られるイメージもまたどこに光を当てるかによってその印象はさまざま変わる。幸福度やLGBT、教育、若者、スタートアップ…各分野のスペシャリストによるエッセイを通して“現場”で何が起こっているのかを知ることができる一冊

イ:多くのメディアでは、良い部分だけを抜き出して語られることが多いけれど、いろいろな方向から光を当てていて、フィンランドを深く知りたいという人にはとてもいい本だと思います。
ミ:「おすすめラベル」をいただきました、笑。
イ:3.8点くらいかな。
ミ:フィンランドでも(アニメなどの影響で)日本語をわかる人が増えてきていますが、言葉は好きなものから学ぶといいですね。


フィンランド語を学ぶには〜DROPSの場合

次は自分の報告。ずっと前にご紹介したことのある「DROPS」という単語学習アプリでとりあえずフィンランド語の全ての項目を終えました。総単語数4,067。「まだやってたの?」と思われつつ、1年半以上ほぼ毎日5分間。

学習効果としては、映像などのフィンランド語会話の中で聞いたことのある言葉(意味は曖昧)だと気づけるようになったこと。単語のつづりの法則のようなものがおぼろげながら予測できるようになったこと。でしょうか、笑。

ミホコさんからどんなアプリなんですか?という質問がありましたが、あまりにも説明下手なため、みなさんに伝わったかどうかわかりません。とりあえず無料で使えるので、ぜひ一度お試しください。

ミ:それは、おめでとうございます!
ハ:ありがとうございます。でも、4,067のうち覚えているのはきっと100コくらいです、笑。
ミ:復習もできるんですよね、これからもがんばってください。

しっかりとフィンランド語の単語を学びたいという方は、ミホコさんが講師を担当されているマトカトリの「フィンランド語必須単語持久走1000」をおすすめします。単語の意味だけでなく、派生語やなぜそうなるのかといったところまで様々なエピソードを交えながら体系的に学ぶことができる講座です。


北欧建築・デザイン協会セミナー「フィンレイソン」

もうひとつ自分から。SADI北欧建築デザイン協会の主催するオンラインセミナー「フィンレイソン:フィンランド最古のテキスタイルブランド」を聴講しました。ゲスト講師はandfika代表の今泉幸子さん。

フィンレイソンの歴史がそのままトゥルクやタンペレ、フィンランドの歴史とリンクしていること、そしてフィンレイソンならではのテキスタイルの特徴などをより深く知ることができました。『創業200周年記念フィンレイソン展』を補完するようなセミナーだったと思います。

とくにデザイナーたちにとってフィンレイソンが有意義だった理由というのがとても納得のいくものでした。それは紡糸、染色、織りとテキスタイル制作にまつわるすべての工程を見届けることができたためとのことです。

フィンレイソンを代表するデザイナーのひとり、アイニ・ヴァーリも動画インタビューで「デザイナーの学ぶ気持ちをいくらでも後押ししてくれたので、フィンレイソンで受けた教育に満足しています」と語っていました。

▶︎ フィンレイソン展〜暮らしの中のフィンランドデザイン

ミ:新宿の京王百貨店で観た『フィンレイソン展』でも、パターンの比較などもあってよく分かりました。
ハ:フィンレイソンはマリメッコのようにデザイナーの名前を押し出していない印象があるんですけど、それはデザインスタジオのアドバイザーだったカイ・フランクの「デザインワークはチームワーク」という精神が受け継がれていたからかもしれません。
ミ:たしかにマリメッコはデザイナーの名前が前に出ていますね。そういったブランドは他にもあるかな?


寒中見舞いと冬のアイデア

そしてミホコさんの報告。Anna ja Liisaのカレンダーをリサイクルして、寒中見舞いを準備しました。

©︎mihoko-san

Anna ja Liisaは、フィンランド西部オストロボスニア地方のデザインブランド。明るく楽しい花のデザインが、寒い冬に気持ちだけでもあたたかくしてくれそうです。

ところで、厳しい寒さの続く毎日ですが、「こういった寒さは大丈夫なの?フィンランドで慣れてるの?」とアドバイスを求められたというミホコさん。フィンランド流の冬の服装のアイデアを教えてくれました。

初めて冬のフィンランドに行った時のこと、ミホコさんにとって『フィンランドの母』ともいえるという方が、「それでは死んでしまうよ」と服装を直してくれたそうです。

ポイントは首の部分をガッチリと締めること。マフラーはコートの外に出したほうが良いとのこと。

ミ:手首、足首と「首」のつく部分をあたためると寒さを感じにくいです。
イ:重ね着でも空気を中に入れて層を作るとね。
ミ:セーターもフリースの中に着るといいです。
イ:雪道や凍結した道のマンホールや横断歩道の上は歩き方に注意したほうがいいとかありますよね。
ミ:最初はすってんころりんで、笑。体が覚えます。


今週のお知らせ

最後にミホコさんから、佐藤千織さんの個展「Chiori Sato Textile Works」のお知らせがありました。

開催は、2月4日より東京・南青山Gallery Blue 3143にて。「千織さんの作品は色がとても鮮やかなんです」とミホコさん。リュイユの作品などもあるそうです。

▶︎ Gallery Blue 3134

そして『フィンレイソン展』最後の巡回展が長崎県美術館にて開催中です。3月26日まで。

▶︎ 長崎県美術館


── 配信が終わってメモをとっていたノートを閉じると、さっきのトラ猫がすぐ目の前にちょこんと座ってこちらを見ていました。うわっと驚くと、ニャッと逃げていくトラ猫。おまえも聞いていたのかい。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text:harada

#95|Everybody’s Gotta Learn Sometime – The Korgis