#085 お店で迷子になる大人

迷っているうちに大切なものを失ってしまうことがあるかもしれません。大切だと気づいているのにどうしたら良いのかわからないことも──

Moi!フィンランドをもっと好きになる85回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。

  • たき火とフィンランド
  • フィンランド初の女性建築家
  • カレリア語映画上映会
  • ヨーロッパ文芸フェスティバル
  • コンパートメントNo.6
  • 90年代以降のカフェについて

たき火とフィンランド

まず最初は自分の報告・・・というよりも、Moiのサークルnuotio_takibiの活動の報告です。

自分にしてはめずらしく天気のいい土曜日、多摩川上流の河原で「たき火」のイベントを行いました。

フィンランド好きのためのサークルなのに、どうして「たき火」という疑問があると思います。「たき火」は、サークル名にもあるようにフィンランド語で「nuotio」といいます。みんなでフィンランドという「たき火」を囲んであたたまるような、そんなサークルにしたいと考えたからです。

青空に色とりどりの紅葉

あるとき、Yさんが「それならサークルでたき火を囲むような企画を考えてみたら?」と提案してくれました。

そこで1回目はアウトドア施設で「たき火」の会を開催しました(その模様はこちらから)。「2回目となる今回は自分たちの手でたき火をしてみない?」

青く澄んだ水がキラキラと

Yさんと北欧などのアウトドアグッズを取り扱うUPIを訪れて話を聞いたり、ナイフの取り扱い方を教えてもらったり、たき火入門の本を読んだり。サークルメンバーYNさんと3人で現地に下調べに行き、実際に小さなストーブで火をおこしてみました。

「これって楽しくないですか?!」初心者3人の目が輝きます。あまり人と話すのが得意でないので、黙って炎を見つめながら誰かと一緒にいられる「たき火」は自分にピッタリのような気がしました。

後日、自分でもたき火台を用意して、たき火のできる広場で練習をしてみました(この時、知ったのは風が強いと危険であること)。

カヌーやロッククライミングを楽しむ人も

本番当日、早めに現地へ向かったものの紅葉シーズンということもあり、駐車場は満杯。予定していた場所にも先客がいました。YNさんとYさんとで別の場所を探してもらっている間に、自分は駐車場を探します。これで本当に開催できるのかと不安がよぎりました。

YNさんのソロストーブ

二人で手分けしてとてもいい場所を見つけてくれました。こちらもようやく駐車場を見つけることができました。たき火やコーヒーの準備を任せたまま、自分は荷物を運んだり、参加者のみなさんを待ち合わせ場所に迎えに行ったり(なかなか「たき火」が始まりませんね、すみません)。

張り切ってるわけじゃなく汗だくで半袖、笑

ようやく火をおこします。最初はなかなか火がつかなかったのですが、それもまた自分たちでやる醍醐味です。たくさんの薪はYNさんが用意してくれました。Yさんは着火剤がわりに松ぼっくりを事前に集めてくれていました。

フェザースティックに挑戦するKさん

また参加者のみなさんにもお菓子やマシュマロ、さつまいもなどを持ち寄っていただきました。そのお菓子というのがみんなムーミンのビスケットだったり、ファッツェルのチョコレートだったりとフィンランド好きならではのチョイスでおかしかったです。料理研究家のCさんはスウェーデンのお菓子を作ってきてくれました。

Cさん作ダムスーガレ(Dammsugare|掃除機ケーキ)

YNさんのストーブではコーヒーのお湯を沸かします。もう一つのたき火台では焼き芋づくり。一緒に参加してくれた小学生のKさんはマシュマロ大使として、みんなにマシュマロを焼いてくれました。また飛び入り参加でたき火マスターも登場するなど、楽しい展開も。

とても心強い、たき火マスターのHさん

たき火を囲んでお話ししたり、淹れたてのコーヒーを飲んだり、ほくほくの焼き芋を分けあったり、みなさん思い思いに楽しんでいただけたようでした。

なにも特別なことはない時間だったかもしれません。それでもこうして遠くから集まっていただいて、自然の中で陽が暮れるまで一緒に過ごすことができたことは、きっと忘れられない記憶になると思います。

フィンランドや北欧らしさというものを感じるとしたら、本当はそんなところにあるのかもしれません。

なんとか火がつきましたよ

ハ:たき火なんですが、何か聞きたいこととかあるでしょうか?自分はずっとうろちょろしていただけでよく覚えていないんです。
ユ・ミ:笑。
ミ:何人くらい来られたんですか?
ハ:10人くらいですね。ああ、そういえば実際に初めてお会いした方もいて、留学されていたこととか、建築からフィンランドに興味を持たれたこととかをお聞きしました。
ミ:今度は私がお世話係をしますよ、笑。
ハ:岩間さんもユカさんもぜひ。

午後7時頃、あたりは真っ暗に

たき火終了後、帰りの駅前で「またいつか機会がありましたらご参加ください」とみなさんへ挨拶すると、Yさんに「いつかの機会じゃなくて、次回もでしょう!」とたしなめられました。

迷走したまま最後まで頼りない主催者でしたが、みなさんの協力でなんとか楽しんでいただけたように思います。どうもありがとうございました!

炎を見つめているだけで落ち着きます

フィンランド初の女性建築家

そしてもうひとつの報告。フィンランドセンター主催のオンラインセミナーで、フィンランド初の女性建築家ヒルダホンゲル(HildaHongell,1867-1952)について学びました。

オーランド出身のヒルダホンゲルは、マリエハムンのスパリゾートが1889年に設立される頃から設計を手がけるようになりました。父の代わりに設計することもあったそうです。彼女が設計したのは、夏に観光客へ貸し出す民泊のような建物でいくつか現存しています。

登壇されたトゥルク・オーボアカデミーのミア・オケルフェルト氏によると、彼女自身ブルジョアで、結婚相手(夫も建築家)も自分で選ぶことができたそうです。そんな環境が整っていたからこそ、マリエハムンの建築を独占的に受け持つことができたのではないかと言っていました。

ハ:ヴィヴィ ロンが最初の女性建築家だと思っていました。
ユ:何年生まれの方なんですか?
ミ:ヒルダ ホンゲルは1867年生まれです。
ハ:アールトよりも先なんですね(注:アールトは1898年生)。


カレリア語映画上映会

いつも配信の前に「今週は何かありましたか?」とヒアリングする時間があるのですが、今回はみんな「特にないです」とのこと。困りました。。。

というわけで、これからの予定をユカさんから。

11月23日水曜日に神楽坂の光麟亭ギャラリーで開催される「カレリア語映画上映会」に参加するというユカさん。カレリアの言語や文化、カレリア人に目を向けるきっかけになってほしいという思いから製作された映画(全三部作のうち2本を公開)です。

現在もチケット販売中ですので、ご興味のある方はぜひどうぞ。

▶︎ カレリア語映画プロジェクト

投稿をすっかり忘れていたそうですが、ユカさん、マクヤマク料理教室でフィンランド版ミートローフを作っていました。美味しそうです!


ヨーロッパ文芸フェスティバル

次はミホコさん。担当するフィンランド語講座で、言葉を通してフィンランド人の思考回路などを知ることができるのではと話されたそうです。翻訳の場面でも言葉を並びかえるなどして、日本語でニュアンスを伝えられるようにと、いつも考えているとのこと。

翻訳というところでミホコさんが紹介してくれたのが、ヨーロッパ文芸フェスティバル2022。11月22日から27日まで開催されるこのイベントでは、様々な国の文学について知ることができます。

フィンランド関連では翻訳・通訳のセルボ貴子さんによるトークイベント「ミカ・ワルタリ『エジプト人』の翻訳について」(23日@イタリア文化会館)と同じくセルボさんがディスカッションに参加される「旅する文学:日本における翻訳文学のこれから」(25日@インスティトゥト・セルバンテス東京)。

▶︎ ヨーロッパ文芸フェスティバル2022

ミ:いろいろな場所で開催されますが、オンラインもありますので遠方の方も参加できますよ。
ハ:セルボさんの回はどちらも行く予定です。
ユ:25日の回に参加します。
ハ:児童文学の話でしたっけ?
ミ:それはスウェーデンですね(24日@チェコセンター東京)。

そしてもうひとつ。カンテレとコーラスのグループ、カルデミンミットの日本ツアーについてミホコさんから紹介がありました。

「とても可愛らしいグループなので、クリスマスの季節にとってもいいと思います」とミホコさん。岩間さんも「MUJIのコンピレーションにも参加していますよね」と。

▶︎ カルデミンミット北欧のクリスマス支度

また配信日13日は、フィンランドの父の日(isänpäivä)でした。ミホコさんもカードを。


コンパートメントNo.6

それでは最後に岩間さんお願いしますと無理矢理ふると「ないって言ってるのに、笑」といいつつ、来年2月に公開される『コンパートメントNo.6』について紹介してくれました。配信でも何度か話題に上がっていた映画です。

「公開を楽しみにしていた『コンパートメントNo.6』ですけど、その後も『マイヤ・イソラ』、『アールト』と、来年はフィンランド映画が続きますね」。

▶︎ 映画『コンパートメントNo.6』


90年代以降のカフェについて

そして岩間さんが最近受けたインタビューの話を。

建築の専門誌で、90年代以降のカフェの変遷を特集するため。その時代を知っている人として関西では店舗デザインの方へ、関東ではmoiで実際にカフェ営業してきた岩間さんに依頼があったそうです。当時あったことなど記憶をたどるいい機会になったそうです。

また、よくInstagramのハッシュタグにある「○○好きとつながりたい」というものを、かつてはカフェがその役割を担っていたのではないかと岩間さん。ネットの情報が乏しい時代には、お店に行けば何か知ることができる、誰かに会うことができる。そんなリアルな出会いがもう一回戻ってくるかもしれない、と。

もしかしたら「たき火」もそのひとつかもしれません。


── いつでもそばにいてくれる人はいますか? 迷子になった時に見つけてくれる人はいますか? 一緒にたき火にあたってくれる人はいますか?それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text:harada

#85|Lost In The Supermarket – The Clash