#058 糸と針

母の日ですね。今こうしてレポートを書いています。ノープランです。どうしましょう ──

Moi!フィンランドをもっと好きになる58回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。

+ 志村ふくみ『母なる色』
+ 森麗子『木立をすぎる時間』
+ 深井節子+聰男『北欧グラフィティ』
+ サーミのゲーム『Skábma-Snowfall』
+ ユッシ賞とエンマ賞
+ お知らせ:今後のイベントなど


志村ふくみ『母なる色』

最初にご紹介したのが、染織家である志村ふくみさんの『母なる色』(求龍堂)という本。偶然だったのですが、ヘレンシャルフベックついて書かれていたのを見つけました。

2016年にヘレンシャルフベックの展覧会が日本で開催されたとき、志村さんのトークショウが予定されていました。どんなつながりがあるのだろうと思っていたのですが、この本でシャルフベックを紹介していたことを知り、なるほどと思いました。

また岩間さんもシャルフベックのことを知るきっかけは、志村さんだったそうです。シャルフベックと志村さんのつながりについて調べようと、ネット検索すると上位に岩間さんのブログがヒット!10週遅れくらいで岩間さんを追いかけています、笑。

▶︎ ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし

またユカさんも言っていましたが、ヘレンシャルフベックの映画『魂のまなざし』が7月15日から全国で順次公開される予定です。

Twitterのアカウントも開設されているので、気になる方はフォローしてみてはいかがでしょうか。

► twitter.com/helene_movie


森麗子『木立をすぎる時間』

次の報告は岩間さん。志村ふくみさんの話題を受けて、同年代である森麗子さんの作品集について紹介してくれました。

森さんは「ファブリックピクチャー」の第一人者で、糸と針を使って絵を描きます。そこに描かれるのは、森や木々、自然の風景。ミナペルホネンが好きな方には、ど真ん中ではないかと岩間さん。

ユ:どんな詩集なんですか?
イ:糸と針の刺繍です、笑。
ユ:あ、そっちですか、笑。

以前、岩間さんに作品集を見せてもらったことがあるのですか、糸と針、文字通りぴんとはりつめたような、とても繊細で静かな印象を受けました。といっても冷たさや寒さを感じるというのではなく、あたたかい部屋から窓の外の冬の景色を眺めているような。


深井節子+聰男『北欧グラフィティ』

そしてさらにその森さんを受けて、ミホコさんが紹介してくれたのが、深井節子+聰男『北欧グラフィティ』(みずうみ書房)。ミホコさんがフィンランドを初めて意識した頃に出会った一冊だそうです。

深井せつ子さんの絵は、森麗子さんの作品にも通じるものがありますよとミホコさん。

スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー4カ国の旅の風景を描いた『森の贈り物』(大和出版)という本もおすすめとのこと。

► setsukofukai.com

ユ:ホームページの最初の絵は夏至祭の様子でしょうか。
ミ:どの絵もかわいらしくてとっても素敵なんですよ。勘違いされてしまいそうですが…笑。
イ:(笑)
ハ:(「北欧=かわいい」ということかな?)


サーミのゲーム『Skábma-Snowfall』

また『影のない四十日間』を読み終えたという岩間さん。ほぼ舞台はノルウェーだけれど、サーミの人たちは国境を越えて暮らしていたから。読んでいておもしろかったです。

イ:映像として思い浮かぶので映画化したらいいんじゃないかと。
ユ:読んでいるだけで寒くなりますよね、笑。
イ:「影のない」というだけあって、極夜の話ですから。マイナス30度、40度の世界。
ユ:夏に読むといいかも!明日から太陽が昇るといった日から始まるんですよね。
イ:サーミの人たちが太陽を見にいくシーンがあって、お正月の初日の出を想像するとよくわかる、笑。

そしてユカさんが紹介してくれたのは、サーミの少年を主人公にしたPCゲーム『SkábmaSnowfall』。

内容は、ラップランドを舞台にトナカイ放牧で暮らす人々の冒険物語。「ノアイデ」(サーミの人たちにとってのシャーマンね:岩間さん)なども出てきたりするそうです。映像もとても綺麗で、ゲームってこんなに進化してたのかと驚いたとユカさん。

ユ:北サーミ語なんですけどフィンランド語のように聞こえる部分もあっておもしろい。
イ:ミホコさん、フィンランド語がわかるとサーミ語もわかったりしますか?
ミ:いえ、サーミ語は全然違いますね、行き来があるので同じような単語を使うようになったりすることはあります。また方言(と云っていいか)によって言葉がそれぞれ違うので難しいです。

日本語字幕もあります。またプレイするにはコントローラーがあった方がいいそうです。ご興味のある方はぜひどうぞ。


ユッシ賞とエンマ賞

もうひとつユカさんから、5月7日同日に発表されたユッシ賞とエンマ賞について。

ユッシ賞(Jussigaala)は、フィンランドの映画賞。今年の話題をさらったのは、ミホコさんが以前紹介してくれた『コンパートメントno.6』。作品賞や監督賞をはじめ主要な賞を独占するかのような勢いでした。

一方エンマ賞(Emmagaala)は、音楽賞。以下のリンクから今年のパフォーマンスの様子を見ることができます。

► Emma Gaala 2022|YouTube


お知らせ:今後のイベントなど

ミホコさんから、イッタラ工場のInstagram Liveについてのお知らせがありました。5月11日(水)午後8時30分からlittala Villageのアカウントより配信。ガラス工場内の作業風景を案内してくれます。

そして岩間さんから、フィンランドセンター主催の朗読会「文学サロン」について。こちらは、5月16日(月)午後6時から。今回の課題図書は『マリメッコの救世主キルスティ・パーッカネンの物語』(祥伝社)です。お読みになった方も多いのではないでしょうか、ご都合のつく方はぜひ。

©︎mihoko-san

▶︎ 文学サロン|フィンランドセンター

そして表参道アルスギャラリーにて、マーリットクリスティーナヴェプサライネン写真展『Frozen Land』が開催。-30°Cにもなるという冬のフィンランド北東部や湖水地方で撮られた写真だそうです。会期は、5月17日(火)から5月29日(日)まで。

ミ:今日5月8日は母の日ですね。
イ:フィンランドの母の日にはどんなことをしますか?
ミ:野原で白いニリンソウを摘んできて贈ります。今年は寒さが続いていたので摘めるかどうか。
イ:住んでいる町の花が「ニリンソウ」なんですよ。
ユ:それでは摘んでフィンランドに送りましょうか?笑


── というわけで、今から考えます!みなさんも良い母の日をお過ごしください!!Hyvää äitienpäivää !!! それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text : harada

#58|Needles and Pins – Jackie DeShannon