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フィンランドで世界選手権大会に参加してみよう!







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テーブルの上のフィンランド

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 フィンランドのことを知るにつれ、とにかく今そこにあるもので楽しんでしまおうという、日々のくらしを豊かにするアイデアの宝庫のような場所だと思うようになりました。フィンランド各地で開催されている様々な、そしてユニークな世界選手権(!)もその一つ。

 そこで今回は、この夏フィンランド政府観光局がおすすめする5つの世界選手権大会をくわしくご紹介します。ラインナップはこちら。

 目次

 + 妻運び世界選手権
 + ヘビーメタル編み物選手権
 + ラップランド砂金掘り世界選手権
 + ツリーハグ世界選手権
 + エアギター世界選手権

 これらの大会で優勝すれば、世界チャンピオンになる夢を叶えられるかも?!


妻運び世界選手権|Wife Carrying World Championship

世界選手権大会
Visit Finland

 まず最初にご紹介するのは、2022年7月1日, 2日に開催された、第25回「妻運び世界選手権」。

 2年ぶりとなるこの大会の舞台は、ソンカヤルヴィ(Sonkajärvi)という人口4267人の村。オウルとクオピオの間にあるイーサルミという町の近くです。

 なぜこのような小さな村で世界選手権が行われるのかといえば、そこには19世紀後半に名をはせたヘルコ・ロスヴォ・ロンカイネンという盗賊の物語が関係しています。

 ロンカイネンが率いる盗賊団が、女性や他人の妻を背負って盗んだ、入団テストのために重いライ麦袋を担がせた、といった言い伝えが残されているのです。フィクションも多分にあるかもしれませんが、なかなか読ませる波瀾万丈の物語なので、ぜひご覧になってみては。

▶︎ Rosvo-Ronkaisen tarina

 さて、この「妻運び世界選手権」、妻を担いで全長235.5mのコースを走るタイムレースです。砂地で足を取られやすい上、水濠などの障害物もあります。とても単純ですが、しっかりとルールが決められています。

 まず、担ぐのは自分の妻でも、隣の奥さんでも、将来のパートナーでも構いません。ただし17歳以上、体重49kg以上(足りない場合はウェイトを追加)であること。

 また担ぎ手の装備はベルトのみが許されています。妻を紐やテープで固定したりしてはいけません。妻を落としてしまった場合は、背中に乗せるか、腕に抱えて持ち上げること。

 そして最後に、参加者全員が楽しくなければいけないと規定されています。なんとフィンランドらしいルール!

 今年2022年の大会には、デンマーク、スウェーデン、エストニア、リトアニア、ドイツ、イギリス、アメリカなどからの参加がありました。入賞者には、フィンランドデザインの景品が贈られます。

 次回の大会には、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか?

▶︎ eukonkanto.fi


ヘビーメタル編み物選手権|Heavy Metal Knitting World Championships

世界選手権大会
Lasse Simonen / Visit Finland

 次にご紹介するのは、Heavy Metal Knitting。「ヘビーメタル編み物選手権」です。

 2019年に始まったこの世界選手権が誕生したのは、2018年のヨエンスー(Joensuu)でのこと。あるラジオ番組でインタビュアーが、地元のニッターたちにこんな質問をしたそうです。

 「イングヴェイ・マルムスティーンのギターのように、目を閉じて、首の後ろで編み物をすることはできますか?」(※ イングヴェイ・マルムスティーンは、世界的に有名な早弾きギタリスト)
 それに対するニッターたちの答えは、
 「── もちろん、できますとも!」

 ヘビメタと編み物、まさかの出会いです。いえ、出会うべくして出会ったと言えるかもしれません。国民10万人あたり50以上のヘビメタバンドが存在するというフィンランド。編み物を趣味とする人は、数知れず。

 もしかしたら、世界中にメタル好きのニッターがいるかもしれないと考えた主催者は、2019年、第一回ヘビーメタル編み物世界選手権を開催しました。

 主催者の予想が的中したのか、その大会には世界13ヵ国から26組が出場。ヨエンスーの町で行われた決勝では、8ヵ国12組が初代世界チャンピオンの座を目指し、競い合いました。

 2021年の第二回大会は、オンラインでのバーチャル大会でしたが、先日7月8日に行われた大会では、ふたたび現地で編み針を手に、素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられました。

▶︎ Heavy Metal Knitting

 さっそく2022年大会のアーカイブが公開されています。編み物好きのみなさん、ぜひ新たな扉を開いてみませんか!


ラップランド砂金掘り世界選手権|World Gold Panning Championships

世界選手権大会
Harri Tarvainen / Visit Finland

 続いてご紹介するのが「ラップランド砂金掘り世界選手権」。

 今年2022年もラップランド金採掘者協会とタンカヴァーラ村(Tankavaara Gold Village)の協力のもと、7月28日から31日にかけて開催される大会です。

 タンカヴァーラは、ラップランド地方サーリセルカから南へ30kmほどの場所にある金鉱によって栄えた村です。

 ルールは、砂の入ったバケツの中から砂金をできるだけ早く見つけるというもの。
 あらかじめ審査員が一定数の砂金をバケツに隠しており、見つけられなかった個数分だけタイムペナルティーが課されます。

 男性、女性、ベテラン、子ども、団体戦など、初心者でも参加できるカテゴリーもありますが、多くはプロパンナー(プロの砂金掘り)たちが本気で争う選手権です。

 ラップランドでは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて小さなゴールドラッシュがあり、金の採掘が行われてきました。

 このタンカヴァーラ村で最初の金鉱が発見されたのは1934年のこと。近くのプルヌムッカ村に住むサーミ人が金を見つけると、多くの金採掘者たちが集まりました。金鉱の閉鎖により、ほぼ採掘施設は残っていませんが、現在はレストランやホテル、博物館などの観光地として利用されています。

 腕の太い砂金掘りたちの真剣な表情が、かつてのゴールドラッシュへの情熱を感じさせます。

▶︎ Tankavaara gold|World Gold Panning Championships


ツリーハグ世界選手権

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Harri Tarvainen ©︎ Visit Finland

 妻担ぎ、ヘビメタ編み物、砂金掘りとなんでもありになってきたような世界選手権。四番目にご紹介するのは、「ツリーハグ世界選手権」です。

 以前、ご紹介したフィンランドセンターの編み物クラブのイベントでも、アンナ=マリア・ウィルヤネン所長がツリーハグについて紹介してくれましたが、まさか世界選手権にまでなっているとは思いもよりませんでした。

 この大会が始まったのは、2020年。自由に外出できないなか、人々を元気づけるため、そして木や森がストレスを発散してくれることを思い出してもらいたい、との想いから発案されました。

 ▶︎ HaliPuu|Tree-hugging World Championships

 大会では、フィンランドの自然保護区シニアアドバイザー、森林の保有者、キュレーターからなる審査員たちが、ユニークなスタイルとテクニックによるツリーハグを審査します。この審査員の方々の講評にも注目したいところです。

 現地で参加したいという方は、ぜひ主催者の方へメールでお問い合わせを。またそれ以外にオンラインでも参加することができます。方法は、

  1. Treebuddyで、お気に入りの木をハグした写真を撮る。
  2. なぜその木が好きなのか、ツリーハグに対する思いなどを書く。
  3. その木のある座標が自動的に記録され、Treebuddyの世界地図に表示される。
  4. 2022年8月28日、日本時間18時までに投稿。

 ※ 前年はInstagramで参加できたようですが、今年からTreebuddyという機能を使用するそうです。
  後日ホームページでリンクが公開されます。

 今年のツリーハグ世界選手権は、8月20日にラップランドのレヴィ(Levi)にあるハリプーの森で開催されます。優勝賞品は、来年2023年大会にご招待。ヘルシンキ-ロヴァニエミ間の寝台列車のチケット+レヴィでの宿泊1週間分をペアで贈られます。これは見逃せません!!

 開催当日には、公式YouTubeチャンネルでもライブ配信されます。ぜひ視聴してみてください。

 ▶︎ HaliPuu|YouTube Channel


エアギター世界選手権

世界選手権大会
Hanna Jurvein / Visit Finland

 お待たせしました、最後にお届けするのは「エアギター世界選手権」です。

 1000k㎡あたり28以上のヘビメタバンドがあるというフィンランド(どこかで聞いたような? とにかく「メタル密度」が濃いのです)。まずは、ギターがなくては始まりません。

 ── いえいえ、ギターがなくても大丈夫。音楽をかけて鏡の前で構えてみれば、ギターがそこに見えてくるはず?

 今回で26回目を迎えるエアギター世界選手権は、フィンランド中部の都市オウル(Oulu)にて、8月24日から26日にかけて開催されます。

 大会の理念は「Make Air Not War」。主催者曰く、世界中のすべての人がエアギターを弾けば、戦争も気候変動も悪いことはすべてなくなるはず。

 これまで日本からも多くのエアギタリストたちが参加していますが、まず12ヵ国以上で国別の予選が行われ、その勝者がオウルでの決勝戦で優勝を目指します。年齢性別すべてのが平等のもとにあるエアギター。世界平和を実現する可能性もゼロではありません。

 観覧フリーですので、もしこの時期に現地へ行くことがあれば、ぜひ観に行かれてみてはいかがでしょうか。

 ▶︎ Airguitar World Championships

 以上、フィンランドの世界選手権大会について、全5回にわたってお届けしてきました。とはいえ、きっとフィンランドにはこれら以外にも世界選手権大会があるはずです(携帯電話投げ世界選手権というのもありましたね)。

 なにかを楽しむということは、自分をさらけだすこと、心を解放することのように思います。毎日のしがらみからひと時でも離れて、フィンランドの人たちのように楽しむことができたらと思わずにはいられません。

 今回ご紹介した大会は、いずれも一歩踏み出してみれば出場できるもの。世界チャンピオンを目指してチャレンジしてみるのはもちろん、これらをヒントに自分だけの楽しみを見つけてみてはいかがでしょうか?

text : harada
資料:Visit Finland

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