ますます注目される北欧語書籍のいま
近年、北欧の文化、とりわけその「豊かさ」をテーマとした書籍は広く日本でも紹介されています。 『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著/新潮社)のベストセラーなど記憶に新しいところではないで しょうか。
それにともない、ミステリーから実用書、絵本、ノンフィクションまで、これまで以上に幅広いジャンルの本が日本でも紹介され、注目を集めるようになっています。 そんな機運が高まるなか、「北欧語書籍翻訳者の会」のメンバーを中心に、現役の編集者を対象とした 【 未邦訳書籍展 】が、今春開催されます。
この書籍展は、北欧の書籍に精通し、その魅力を誰よりも知る北欧語の翻訳者たちが、北欧諸国で流通し注目されている書籍の中から「いま日本の読者に届けたい!」と思うものを選りすぐり、出版業界の人たちに紹介することを目的とした企画です。過去2回は、プレゼン会を開催。2020年9月に開催したプレゼン会で紹介した書籍からは10作品が翻訳出版されました。
独自の発信をつづける「北欧語書籍翻訳者の会」
ここで、この書籍展を主宰する「北欧語書籍翻訳者の会」について少しご紹介します。「北欧語書籍翻訳者の会」は、北欧語の書籍の翻訳やリーディングの依頼を受け付ける窓口として2018年に発足しました。
メンバーは、アイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドなど北欧の言語に精通し第一線で活躍する翻訳者たち。翻訳者同士、暮らす国や言語のちがいを超えて日ごろより北欧の出版業界の現在や注目の作品などについて情報交換を行い、サポートしあっています。フリーランスの翻訳者たちが、ひとつのインディペンデントな団体として独自に活動を行っている例は、あまりないのではないでしょうか。
また、こうした活動の一環としてFacebookグループを用いたオンライン読書会「北欧ブッククラブ」を主宰したり、メンバーが持ち回りで北欧各国の新刊や未邦訳書籍の情報、文学賞やブックフェアの様子などを紹介するコラム「北欧語書籍翻訳者の会 note」を通じて、北欧の書籍の魅力を積極的に発信しています。
完全アポイントメント制による編集者限定の【未邦訳書籍展】
今回の書籍展 は、2022年4月12日火曜日に都内会場にて、現役の編集者を対象にアポイントメント制により開催されます。今回は、スウェーデン語/デンマーク語/ノルウェー語の翻訳者とフィンランド語の翻訳者各1名に加え、スウェーデンの版権エージェントより日本人担当者の計3名が参加の予定。
事前予約を必須としているのは、安心してご来場いただくための感染症予防対策であると同時に、1対1の対面方式とすることで詳しい書籍の内容をはじめ、翻訳者と膝をまじえて質疑応答したり、情報交換することを目的としているため。北欧をキーワードに、翻訳者と編集者との出会いの場となることがこの書籍展の最大の魅力でもあります。海外のブックフェアへの参加が困難ないま、現地と独自のネットワークをもつ北欧語の翻訳者を介して、北欧の出版業界の最新情報に触れる貴重な機会にもなるでしょう。
当日は、参加する北欧語の翻訳者が、その確かな目で選りすぐった書籍を取り揃えてご来場をお待ちしています。未邦訳書籍展への参加をご希望の編集者の方は、「北欧語書籍翻訳者の会」までメールにてお気軽にお問い合わせ下さい。担当者より詳細をご連絡させていただきます。
* 今回ご紹介した【 未邦訳書籍展 】は現役の編集者の方限定のイベントとなります。北欧の書籍に関心のある一般の方は、「北欧語書籍翻訳者の会 note」で最新の北欧語書籍の情報に触れることができます。
本 未邦訳書籍展の開催にあたり「デンマーク芸術基金」 の助成を受けています。
北欧語書籍翻訳者の会
hokuougohonyakusya.wordpress.com
text : Iwama