ウェルビーイングの贈り物〜フィンランドセンター編み物クラブ

フィンランドセンター編み物クラブ4周年記念イベントが開催

2022年5月28日、飯能市のメッツァビレッジにて、フィンランドセンター編み物クラブ4周年記念イベント「みんなのためのウェルビーイング、編み物と遊び!」が開催されました。会場には、普段から編み物クラブに参加されているたくさんの方々が訪れ、編み物だけでなくさまざまなアクティビティ、記念パーティなどを楽しみました。

そこで今回は、イベント当日の様子とともに、フィンランドセンター編み物クラブの魅力について、たっぷりお届けします。

フィンランドセンター編み物クラブとは?
みんなのためのウェルビーイング、編み物と遊び!
ノンストップ編み物
ウェルビーイング散歩
編み物リレー
4周年記念パーティ
これからの編み物クラブ


フィンランドセンター編み物クラブとは?

フィンランドセンター編み物クラブは、センター創立20周年を記念して、アンナ=マリア・ウィルヤネン所長の「なにか新しいことを始めてみたい!」という想いから発足しました。 コンセプトとして挙げられたのが、こちら。

Something ──

・Finnish|フィンランドらしい
・new|新しい
・inspirational|インスピレーションを与える
・with long history|今も昔もある
・sustainable|長く続けられる
・suits for everyone|誰もができる
・FUN|楽しい!

そこで、ひらめいたアイデアが「オンペルセウラ|ompeluseura」。女性たちが集まってコーヒーを飲みながら、編み物や裁縫そして世間話を楽しむという、フィンランドで100年以上続く伝統です。

みんな大好き!アンナ=マリア・ウィルヤネン所長

はじまりは、2018年3月。フィンランドセンターのミーティングルームにて、小さな会としてスタートしました。当初は参加者のみなさんに受け入れられるかどうかドキドキだったそう。しかし開催するたびに人数が増え、あっという間に会場も手狭になっていきます。その後、大使館の敷地内にあったメッツァパヴィリオンなどを経て、オンラインでも開催されるようになりました。

「オンラインでどうやって編み物を楽しむの?」という疑問が浮かびますが、先日、実際に参加してみたところ、なにも心配はありませんでした。それは編み物クラブの目的が、編み物を完成させるということではなく「純粋に楽しむこと」、そしてわからないところは教え合うなど「みんなで助け合うこと」にあるからです。

そこにはとてもオープンなコミュニティができているように感じました。「せっかくここにこうして集まったのだから、編み物を通して一緒に楽しい時間を過ごしましょう!」、そんなメッセージが画面を通して伝わります。

レクチャーの途中にはリフレッシュのためのストレッチやエクササイズも。

これまで編み物クラブで行われた活動は、

・KAL = Knit along|みんなで一緒に同じパターンを編む
・編み物マラソン|2時間/5時間、編み続ける
・かかとクリニック|靴下のかかとの編み方レクチャー
・編み物チャリティ|未熟児のためのベビーキャップを寄付
・編み物コンテスト|季節ごとのテーマで

そのほかスライドを見ながらフィンランドについて学ぶレクチャーなども行われています。みなさん耳を傾けながら編み物を楽しみます。

この日いただいたウールの毛糸と、自様の編み様。とちらもNOVITAのもの。

そんなフィンランドセンター編み物クラブの大切なサポーターが、フィンランドのニットブランド NOVIA。編み物クラブでは、初参加の方にフィンランド製の毛糸と白樺でできた編み権をプレゼントしています。それらはすべてNOVITAから提供されています。

フィンランドでおなじみの道具で編んでいると、自然とウキウキ気持ちも高まります。多彩な組み図もNOVITAのもの。フィンランドセンター研修生のイェンナさんが、ひとつひとつ日本語に訳してくださっています。またNOVITAの担当の方が、フィンランドからオンラインで編み物クラブに顔を出してくださるそう。

「これからどんな企画が待っているの?」「── それはまだヒミツですが、」という会話を聞いていると、手元にある毛糸や編み棒が一層いとおしく思えます。


みんなのためのウェルビーイング、編み物と遊び!

さてここからは、イベント当日の会場の機子についてご紹介しましょう。

事前にイベントのプログラムが配られたのですが、実際にどんなことが行われるのかはヒミツです。参加者のみなさんもドキドキしながら、アンナ=マリア所長のペースに惹き込まれていきます。

10:00受付開始
10:15ノンストップ編み物:グラニースクウェアを編み続けましょう!
11:45爽やかな森の中をウェルビーイング散歩
12:45休憩
14:45フィンランドセンター史上初、編み物リレー
15:00編み物クラブ4周年記念パーティ
17:00イベント終了

ノンストップ編み物

まず最初のプログラムは、メッツァビレッジ内のレストランLAGOMにて行われた、ノンストップ編 物。参加者のレベルに合わせて、靴下を組む初心者グループ、グラニースクウェアを編むグループ、グラニースクウェアを繋げる熱練のグループ、の3つに分かれて編み物を楽しみます。もちろん好きなものを編んでも◎。

机いっぱいに広げられたグラニースクウェア。とってもカラフル。

グラニースクウェアとは、かぎ針で編む四角形のモチーフのこと。繋ぎ合わせてラグやブランケットなどを作る基本のモチーフです。会場にもたくさんの方によって編まれた色とりどりのグラニースクウェアが集まっていました。レストランの大きなテーブルに広げきれないほど!みなさんの熱心さが伝わってきます。

それぞれのテーブルで談笑しながら、思い思いに編み物をするみなさん。ここがいつもはレストランとして使われている場所だと忘れてしまうような、アットホームな雰囲気に包まれていました。


ウェルビーイング散歩

宮沢湖。遠くに見えるのはムーミンバレーパークの灯台。

次に行われたのは、ウェルビーイング散歩。メッツァビレッジに隣接する宮沢湖周辺の森をゆっくりと 歩きました。

アンナ=マリア所長がオススメするのは、ツリーハグ。樹に抱きつくことで、根が土から吸い上げた自然の力を受け取ります。「これは私のおじいさんに教えてもらったのですけれど…」と、エピソードを交えて説明してくださいました。祖父と娘の飲笑ましい光景がふと目に浮かびます。そんなお話を聞いた後、実際にやってみるととても心が落ち着くようで不思議です。

説明を聞いた後、みなさんこの樹にハグしました。

すると突然、アンナ=マリア所長の指導のもと、土手の上でヨガが始まりました。宮沢湖の美しい風景をバックに、みんなで片足のポーズ。広い空と、鏡のような湖の開放感を存分に味わいます。 気持ち良かったねーと話しながら歩いていると、前方がなんだか楽しそう。気がつくとスキップが始まっていました。アンナ=マリア所長は軽やかなステップで、うしろの方へと移っていきます。一列一列、 先頭から最後尾まで、全員とスキップを楽しんでいました。

スキップしながら笑顔が溢れます。

こうして文章で読むと突拍子もないように聞こえるかもしれませんが、少女のように無邪気なアンナ=マリア所長の姿をみていると、こちらも素直に楽しい気持ちになってくるのです。気恥ずかしさもどこかに消えて、心も身体もほぐれていくようでした。

ぐるっと森の緑に囲まれて深呼吸。

それからさらに、普段は入れない森の奥へと進みます。木々に囲まれた場所でアンナ=マリア所長から、「目を閉じて深呼吸してみましょう」という言葉がありました。ゆっくりと深呼吸を3回。そよそよと風が相を揺らす音。頭上を行き交う蜜蜂の羽音。

「日々の暮らしの中、うまくいかないこともあると思います。そんな時は、身近な自然一一近所の林でも、一本の樹でもかまいませんーーの中へ出かけて、ゆっくり過ごしてみてください。それすら難しい時には、立ち上がって、目を閉じて、深呼吸を3回。少しでもみなさんの気持ちがやわらぐことを願っています。」

目を開けると、暴っていた空がひととき晴れ渡り、よく茂った葉の間からキラキラとこもれびが降ってきました。「緑のグラデーションを感じてみてください」、胸がすーっとする心地よさの傍らに、自然のあちこちに、編み物のパターンや色のヒントが溢れています。

Top ofthe world! 散歩の目的地、丘の頂上でツリーハグ

すべての人の権利として自然享受権が認められているフィンランド。それはキノコやベリーといった形のあるものを受け取るだけではなく、自然の中で過ごす癒しの時間や、インスピレーションを受け取るということなのかもしれません。感謝の気持ちに包まれながら。


編み物リレー

さて、お昼休憩をはさんで、次は編み物リレーです。6名ごとのチームに分かれて、3つの競技を行いました。ちょうど5名のチームがあったので、初対面で緊張しながらもチームに混ぜてもらいました。

チーム代表による毛糸玉投げ対決。

最初の種目は、リレー方式で歩きながら指で毛糸を組み、一番長く編めたチームが熱ちというもの。アンナ=マリア所長から説明はあったものの、みなさん何をどうすれば勝ちなのかあまりよくわかっていない様子。1、2、3!の合図で、とにもかくにも競技がスタート。

次の種目は、チームの代表者による毛糸玉投げ。一番遠くまで毛糸玉を投げたチームの勝ちです。うっかり 代表者に選ばれてしまい、がんぱって投げたのですが3位でした。「いいよ、いいよ』とチームのみなさんが優しい。

最後の種目は、チーム対抗ヨガ我慢大会。最初の種目で編んだ毛糸のロープを、一例に並んでチームのみんなで持ち、それぞれ片足を上げて最後まで足のつかなかったチームの勝ち。我がチームもなかなか善戦しましたが、残念ながら1位は逃しました。

まるで初夏のフィンランドのような風景。

どのチームが一番だったのでしょう? きっと全チームが一番です! 勝ち負け関係なく、とにかく身体を動かせば楽しくなってしまう。また、いつの間にか“我がチーム”になっていたことに驚きます。チームのみなさんと「ありがとうございました!」と称えあいながら、このセクションは終了です。


4周年記念パーティ

優勝チームにNOVITAからのプレゼント。

再びレストラン LAGOM に戻ると、編み物リレー優勝チームにプレゼントの授与&抽選大会がありまし た。アンナ=マリア所長が教えてくれたフィンランド語で、参加者全員で祝福の言葉を送ります。 「Onneksiolkoon!|おめでとうございます!」

パーティといえばケーキ。フィンランドではスーパーなどの周年記念でお客さんにケーキを振る舞う習慣があるとか。また対面で行われる組み物クラブでは、いつも編み物の合間にコーヒーや軽食をいただいていたそうです。

大きなケーキがふたつも! にこにこのいちご。

率先してケーキをふるまうアンナ=マリア所長。甘いケーキよりも本当はサンドイッチケーキが好きなアンナ=マリア所長。優勝者インタビューをするアンナ=マリア所長。参加者のみなさんの写真を撮って回るアンナ=マリア所長。

プレゼント抽選会で自身の過去を語るアンナ=マリア所長。 いったいアンナ=マリア所長は何人いるのでしょう? そのバイタリティと、とびきりの明るさに感服し てしまいます。

running ladyさん考案のニョロニョロダンスを聞ります。

ケーキとコーヒーでほっとひと息ついた後は、またみなさんで揚み物を行いました。黙々と編む人や、相談しながらグラニースクウェアを繋げる人、おしゃべりを楽しむ人に、休憩している人。編み物という共通項を持ちながら、同じ場所、同じ時間に、それぞれの楽しみ方で存在することは、とても自然で豊かな風景に映りました。


これからの編み物クラブ

フィンランドセンターの編み物クラブは、今後も毎月1回のペースで行われます。開催は、対面とオンランのハイブリッドに。秋には、かかとクリニックや編み物マラソンの予定もあるそうです。 そして1年後の5周年にも今日のようなイベントを開催したいとおっしゃっていました。

まだまだ、パーティは終わりません。「最後のサプライズ・アクティビティがあります!」というアンナ=マリア所長の掛け声で、みなさんもう一度、屋外へ。

最後は、編み物クラブ恒例の Letkajenkka!

一列に並んで、肩に手をおき、スピーカーから流れてきたのはあの曲 “Letkajenkka”。チャ、チャ、チ ャラララ、ラン♪ 前、後ろ、前前前!フィンランド大使館内での編み物クラブでも行われたという恒例のフォークダンスです。

「テラスで見ていた子どもたちも「楽しいね!」と大喜びのサプライズでした。

みんなの居場所、それぞれの時間。

フィンランドセンター編み物クラブには、どんな人も包み込んでしまうようなおおらかさがあります。それはフィンランドセンターのみなさん、そしてこれまで参加されてきたみなさんが4年という時間をかけて作り上げてきたものだと思います。

そこにはきっと、フィンランドならではの精神が息づいているのではないでしょうか。編み物初心者の方も、初めてクラブに参加される方も、誰もが歓迎される場所だと思います。ほんの少しでもフィンランドや編み物に興味のある方は、ぜひ一度参加されることをおすすめします。 自信がなくても、緊張してしまっても、大丈夫。


心地よい疲れ。一日、ありがとうございました。

今回のイベントは、アンナ゠マリア所長をはじめとするフィンランドセンターのみなさんからの贈り物のように感じました。それは、毎日を健やかに、楽しく過ごすための贈り物。

どんな時でも自分のペースを尊重すること。さまざまな方法や知恵をたよりに、自分の心地よさを大切にしてリフレッシュすること。仕事も趣味も地続きの人生であり、生きている時間には区別がないこと。人生を明るく生きるために大事なこと。そしてなにより知識としてだけでなく、色々なアクティビティを通して実感できたことがうれしく感じました。

きっと、それぞれの手元で完成した編み物は、その向こうにたくさんの笑顔が浮かんで、手に取るたびに嬉しくなるのでしょう。

フィンランドセンターのスタッフのみなさん。

最後にフィンランドセンターのスタッフのみなさんに感謝を。

アンナ=マリア・ウィルヤネンさん(所長)
パシィ・ヤルヴィネンさん(プロジェクトマネージャー)
岡本 留実さん(オフィスマネージャー)
イェンナ・タヴァスティさん(研修生)
エッシ・スオメラさん(研修生)
ヤスミーナ・クロネンさん(研修生)

素敵な時間をありがとうございました!


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text + photo : harada