#128 映画で会いましょう

映画のような人生。それは感動的でドラマティックでハッピーエンドで ──

Moi!フィンランドをもっと好きになる 128回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。


アキ・カウリスマキの映画館

クラブハウスの仕様が変わっていてよくわかりません!! と、配信直前に岩間さんからメッセージ。いつも配信10分前にその日に報告する予定を司会担当に知らせる時間があるのですが、たびたび操作方法が変わるclubhouseのアプリに悩まされています。便利は不便。そして配信がはじまってすこし経ってからミホコさんからメッセージが、入れないんですけど。

というわけで、いつも以上にどうなることかと心許ない雰囲気の中、まず岩間さんの報告もとい耳より情報をもらいました。その情報とは、いまプライムビデオでフィンランドの映画監督アキ・カウリスマキ(Aki Kaurismäki)の作品が数多くラインナップされているということ。調べてみると以下の作品がありました。

■ パラダイスの夕暮れ|Varjoja paratiisissa(1986年)
■ ハムレット・ゴーズ・ビジネス|Hamlet liikemaailmassa(1987年)
■ 真夜中の虹|Ariel(1988年)
■ レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ|Leningrad Cowboys Go America(1989年)
■ マッチ工場の少女|Tulitikkutehtaan tyttö(1990年)
■ コントラクト・キラー|I Hired a Contract Killer(1990年)
■ レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う|Leningrad Cowboys Meet Moses(1994年)
■ 愛しのタチアナ|Pidä huivista kiinni, Tatjana(1994年)
■ 浮き雲|Kauas pilvet karkaavat(1996年)
■ 過去のない男|Mies vailla menneisyyttä(2002年)
■ 街のあかり|Laitakaupungin valot(2006年)
■ ル・アーヴルの靴みがき|Le Havre(2011年)
■ 希望のかなた|Toivon tuolla puolen(2017年)

イ:全ての作品というわけではなくて、『カラマリ・ユニオン』とかはないんですけれど。
ハ:そういえば最近フィンランド本国でカウリスマキ監督の最新作が公開されてましたよね。自分たちで作った映画館で。
イ:かつて工場だったところだよね。
ハ:ええと、『TRANSIT No.58』のフィンランド特集にも掲載されていた、森下圭子さんの書いた記事に。
イ:偶然カウリスマキに会えたんだよね、圭子さんはそういうの”もっている”ひとだから。
ハ:最新作をもう3回観たとInstagramで書かれていましたね、森下さん。
イ:カウリスマキの映画がいろいろ観られるいい機会なので、ぜひ。

▶︎ Kino Laika|キノ ライカ


ミス・スオミ 2023

もうひとつ岩間さんから。フィンランドで「ミス・スオミ 2023」が発表されたというニュースを読みました。

今年選ばれたのは、ヘルシンキ大学で法律を学んだ司法修習生パウラ・ヨウカネン(Paula Joukanen)さん。それぞれの国によって選ばれる方に傾向がありますよね、と岩間さん。

そんな岩間さんの話を聞きながら、ミス・ユニバースとミス・インターナショナルとミス・ワールドにはなにかちがいはあるのかなあと。ユニバースというからには宇宙から参加したら、どんなひと?たちが集まってくるのだろう。なにかすごい大会になりそうだなあ。どうやって審査したらいいのかわからないなあ。と、ひとりどんどん妄想が広がっていました。

美しさというものだけでなくすべての価値基準は、時間や場所、つきつめれば自分がどう感じるかというところにあるように思います。いろいろなものやことに対して、どれだけ自分自身が美しいと思えるのか、いいなと感じられるのかということが大切なのかもしれません。

▶︎ Miss Suomi


それはまた別の話

「次は原田くんに大ネタがあるそうで」と岩間さん。「え? 何にもないですよ!」としばらく思い浮かばず‥‥、先週のレポートで書いたラプアン カンクリのタペストリーのことだと気づきました。そういえば配信では大江戸骨董市へ行ってみてくださいとおすすめしただけだったのでした。

Moiがはじまってから、それまで出会うことのなかった人たちと出会って、いろいろなところへ出かけて、たくさんのものを見たり聞いたりしてきました。「素朴であたたかい感じがして、とってもいいですね」と、VesiのAさんと話をするうち、このタペストリーになにか縁のようなものを感じていました。背伸びして助けられながら、なんとかやってこられた証拠であるかのように。

それでもヴィンテージに思い入れのある自分ではないので、「でももっとこのタペストリーにふさわしい人がいると思うので」と、一度その場を後にしました。

ゆっくりと骨董市を見てまわり、最後にご挨拶してから帰ろうと再びAさんのところへ行きました。「Aさん、タペストリーいただいてもいいですか?」── 自分の言葉に驚きました。

ハ:えーっと、そういうわけで今は自分の部屋にあります、すみません。。
イ:大きさはどのくらいなんですか?
ハ:タタミ一畳よりちょっと小さいくらいだとおもいます。
イ:結構大きいんですね、厚みは?
ハ:それほど厚くはないです。なので壁にかけています。

(岩間さんからリクエストがあったので写真を載せておきます)

Kuolleet Lehdet|枯葉

そして今回の配信では、先日フィンランドでアキ・カウリスマキの最新作『Kuolleet Lehdet』を観てきたMさんに急遽お話ししていただきました。

7年ぶりくらいに訪れたというフィンランド。今回はヴァンター空港から列車でヘルシンキへ向かったそうです。とても便利になりましたねとMさん。ヘルシンキ中央駅には、ホリデイ・イン(ヘルシンキ・シティ・センター)のそばにも出入口があるので、荷物が多い人にもいいんじゃないでしょうか、と。

映画がプレミア上映されたのは、カウリスマキ監督も共同オーナーを務めるカルッキラという町にある唯一の映画館「KINO LAIKA」。監督に加え、出演者のアルマ・ポウスティ(Alma Pöysti)や犬のアルマもゲストに登場したそうです。

イ:どんな感じの映画館でしたか?
Mさん:こじんまりとした小さな映画館でした。
イ:ミニシアターみたいな?
Mさん:そうですね。市内でも15日から上映されるみたいです。
イ:映画はどうでした? ネタバレしない範囲でお願いします、笑。
Mさん:これまでにカウリスマキ作品に出演していた人も多く出ていて、旧作を観てから望むとより楽しめると思います。観た人と話し合いたい映画ですね。
イ:日本での公開はまだ発表されてないけれど楽しみですね。

▶︎ Kuolleet Lehdet (Fallen Leaves) new trailer official|YouTube

『Kuolleet Lehdet』は、カウリスマキ監督の労働者三部作(『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』)につづく作品といわれていましたが、どんな内容になっているのでしょうか。トレイラーの中で「Autumn Leaves」がかかっていたのですが、どうして syksyn(autumn)ではなく kuolleet(dead)というタイトルなのかがとても気になっています。


Read Hour:フィンランド語のリズム

最後に自分から。駐日フィンランド大使館による絵本読み聞かせのInstagram Liveを観ました。国際識字デーを記念したRead Hourキャンペーンとして、ここ最近では毎年行われています。今年の課題図書(絵本)は、マウリ・クンナスによる1979年のデビュー作『フィンランドの小人たち トントゥ|Suomalainen Tonttukirja』です。

日本版が出版されている猫の言葉社のウェブサイトによると、マウリ・クンナスはOTAVA社にトントゥの絵を持って行きましたが、絵本になる前にテレビ番組として放映され人気を得たそうです。町で育ったマウリ・クンナスは当時トントゥについてあまりよく知らなかったという話にも驚きました。

読み聞かせはまず、フィンランド語の原文を読んでから日本語訳を読むというかたちで進みました。絵本という性格(文章の短さ、子供でも理解できる)もあるかもしれませんが、フィンランド語のリズムがとても心地よく聞こえました。アクセントが頭にくることが多いフィンランド語において、子音が重なる言葉(小さい「っ」が入る言葉)がそれらを生み出しているのではないかなと思いました。

▶︎ Read Hour キャンペーン『フィンランドの小人たち トントゥ』読み聞かせ|YouTube

ハ:日本語にするとやはり物語の意味を伝えないといけないので、原文のリズムとかは‥‥。
イ:ネイティブの方が話すのを聞くとまた違いますよね。これまではどんな作品が読まれていたんですか?
ミ:フィンランドセンターでもやっていましたがムーミンとか、昨年は『フーさん』を。
ハ:(フーさんシリーズはミホコさんが翻訳されています)


── きっと誰もがどんな映画よりも胸に残る毎日を過ごしています。映画では撮ることのできない自分だけの人生を。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text : harada

#128|See You At The Movies – J Mascis