石の上にも3年、3人寄れば文殊の知恵、3つ子の魂百まで、3度目の正直 ──
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Moi!フィンランドをもっと好きになる 127回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。
- 3 point field goal|スリーポイントシュート
- Long Live Wivi Lönn!|永遠なるヴィヴィ・ロン
- Metsä meidän jälkeemme|私たちのあとの森
- Finnish Glass Art|フィンランド・グラスアート
- Oedo Antique Market|大江戸骨董市
3 point field goal|スリーポイントシュート
今月の司会は岩間さん。先週日曜日に行われたバスケットボールW杯「フィンランド × 日本」の試合についての話題から始まりました、「みなさんご覧になりましたか?」
自分はちょうど試合の時間に先週のレポートを書いていたので観ていませんでした(すみません、笑。途中経過はちらちらと)。ミホコさんはフィンランドが勝つだろうと思い込んでいて、第四クウォーターは見なかったそうです。とても緊迫した試合でしたよね、と岩間さん。こんなバスケにくわしくない3人でも気にせずにはいられないような注目の試合でした。
イ:バスケの試合をあまり見慣れていないので、ああいう展開ってよくあることなんですかね? 後半の追い上げがすごかった。
ミ:あの応援の中では、フィンランドチームはやりにくかったでしょう。
イ:アウェイですから。フィンランドも3点シュートはよかったけれど、近くからのシュートをとりこぼしていたよね。その後フィンランドは試合に勝てましたか?
ミ:順位決定戦ですよね。
ハ:(フィンランドの結果は二勝3敗。カーボベルデとベネズエラに勝ちました)
Long Live Wivi Lönn!|永遠なるヴィヴィ・ロン
そして最初の報告は自分から。9月19日まで東京都立中央図書館で開催中の『Long Live Wivi Lönn!』展へ行きました。この展示は五月に早稲田大学西早稲田キャンパスで開催されていたものです(レポート#112)。
以前も紹介しましたがヴィヴィ・ロンは、あのゲセリウス・リンドグレン・サーリネン3人の同窓生。その3人のうちアルマス・リンドグレンと共同で設計したのが、ヘルシンキの新学生会館。ヴィヴィ・ロンが空間や構造設計、リンドグレンがファサードや装飾を担当したそうです。まだ女性建築家が活躍できる土壌のなかった時代、彼女にどれだけ才能があり、苦労したかということがよくわかる展示だと思います。
ところで、再び訪れたことには3つの理由がありました。みなさんにご紹介するからには再び観に行ったほうがよいと思ったこと。前回と今回の両方を観に行く人はあまりいない(展示の違いを伝えられる)と思ったこと。そして、今回の会場が図書館ということで関連資料が多く集められていることです。
ハ:会場で関連資料リストが配布されているんですが、その中で155冊の蔵書が紹介されています。
イ:気になる本はありましたか?
ハ:以前、岩間さんと一緒にお会いしたことのある東京建築アクセスポイントの和田菜穂子さんの本『北欧建築紀行』(山川出版社)が気になりました。
イ:展示はどんな感じでしたか?
ハ:前回は会場をフィンランドの地図に見立てて配置するなど工夫されていたんですが、今回は時系列になっていました。でも前回見にくかったスライドをゆっくり見ることができました。フィンランド建築博物館が撮影したものです。あと、とても静かなので、本を一日中ゆっくり読めると思います。
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配信ではご紹介できなかったのですが、和田菜穂子さんのアールトに関する講座が朝日カルチャーセンターで開催されます。ご興味のある方はぜひどうぞ。
日程:2023年10月30日 時間:19:00~20:30 会場:朝日カルチャーセンター新宿教室/オンライン ▶︎ 自然と共に暮らす アルヴァ・アアルトの建築とデザイン|朝日カルチャーセンター
Metsä meidän jälkeemme|私たちのあとの森
「本の話題ということで、ミホコさん。先日『フィンランド 虚像の森』(新泉社)のお話をされましたね」と岩間さん。
ミ:メモを用意してのぞみましたが、ド緊張していました。
イ:ぜんぜんそんなふうには聞こえませんでしたよ、笑。
ミ:30分でちょうどよかったです。
イ:出版から一年経ちましたけれど書評や読者からの反響など、なにか手応えを感じましたか?
ミ:あまり訳者には届かないんですよね。今回で本を紹介する機会としては3回目なのですけど、そこでみなさんの感想などを聞かせていただいています。
イ:海外(外国語)の本は訳者を通じてしか知りえないですし、同じ目線(訳者は最初の読者)だけど、よりくわしい話が聞けるので、こうして話してもらえることはとても貴重です。
ミ:翻訳者の地位向上のためにも今後も発信していけたらと思っています。
▶︎ 北欧語書籍翻訳者の会
ここですこしミホコさんが話された内容をご紹介します。
この本を翻訳しようと思ったのはフィンランドの現実を知ってもらいたいというところから。フィンランドの現状を知ることで自分たちの生活や国について冷静に見るきっかけになればと思ったそうです。著者である四人のジャーナリストたちも、関係者へのインタビューだけでなく、論文、記事、統計などから事実を洗い出し、専門家以外にもわかりやすい一般書として出版したいと考えていたとか。原題は「Metsä meidän jälkeemme」、私たちのあとに続く森。次世代にどんな森を残せるのか?
著者の方々に日本語版が出来ましたよとお知らせしたところ、「まさか(海外でも出版されるなんて)!」という反応だったようです。また「日本にも同じような問題があるんだね」と言われたとミホコさん。いちばん印象に残ったのは、「この本からさまざまな物の見方やいろいろな人の生き方を知ることができるのではないでしょうか」というミホコさんの言葉。内容はフィンランドの森についてではあるけれど、なにかの問題の前で人は、そして自分はどんな選択をするのかといったことを考えさせられる一冊だと思います。
Finnish Glass Art|フィンランド・グラスアート
そしてもうひとつミホコさんから、ちょうど配信日に最終日となった『フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン』展について。東京都庭園美術館は3つ目の巡回会場。次回は9月16日より山口県立萩美術館・浦上記念館に巡回します。同時開催として『ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展 ─食べること、共に生きること─』も。
ミ:山口の展覧会はまた全然違う切り口なんです。ポスターを見たんですけれど、黄色っぽい。
イ:今回の展覧会はお気に入りの作品が人それぞれですよね。
ミ:二回観に行ったというひとも多かったですね。展示作品は図録ともまた違って見えました。
イ:きっと同じ作品を見ていても違う印象になっていたんじゃないかな。
ミ:ポスターの作品、図録に載ってましたかねぇ‥‥。
ハ:(3回観に行った人はいるのでしょうか‥‥?)
Oedo Antique Market|大江戸骨董市
ミホコさんが図録を確認しているところですこし時間があまっていたので「なにか告知はありますか?」と岩間さん。そこで配信後に行こうと思っていた大江戸骨董市のことを話しました。
気になっていたのは、北欧ヴィンテージを取り扱うVesiで出品されると告知されていたラプアンカンクリの古いタペストリー。どんなタペストリーかについては Instagram の投稿をぜひご覧ください。
VesiのAさんにはじめて声をかけさせてもらったのは今年の春先、京都のリュイユ展へ行く前のこと。3つ(二つだったかも?)の小さなリュイユが店先に置かれているのに一緒にいたYさんが気づきました。そのとき初めてリュイユに実際に触れることができました。リュイユの次はあのタペストリー! というわけで、Aさんのセレクションが本当におもしろいなと思っています。
そしてistutのSさんにも会いに行きました。ここ最近自分の行く先々でお話を聞いたりしていた方たちがみなさん、istutのおふたりのお知り合いだったということに驚きつつ、今回はアラビア美術部門を設立したクルト・エクホルムについて教えてもらいました。
ARABIAのシンプルで機能的な日用品というとすぐにカイ・フランクを思い出してしまうのですが、それ以前にクルト・エクホルムがそうした指向性をもっていたということをはじめて知りました。お皿の裏には煙突のある工場のARABIAロゴ。カイ・フランクのキルタ(ティーマ)よりももっと素朴であたたかい印象がしました。
istutのおふたりは四年半ぶりにフィンランドへ買付けに行かれるそうです。戻られた際にはまたいろいろなお話をうかがってみたいです。どうぞよい旅を!
ミ:黄色いガラス、オイヴァ・トイッカのポンポンでした!
イ:オイヴァの作品は最後の部屋にありましたよね。
── 3者3様でお届けしているclubhouse、そういえば当初「早起きは3ユーロの徳」って合言葉を使ってましたね。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。
text : harada
#127|Three Cheers For Our Side – Orange Juice