#142 遠くて近いクリスマス

クリスマスと聞いてまず思い浮かべるのは、サンタクロースでもクリスマスツリーでもなく、遠くから聞こえてくるスレイベルの音 ──

Moi!フィンランドをもっと好きになる142回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。


Juhla Tokyoでヨウルトルットゥを

まずは自分の報告から。千駄木のJuhla Tokyoへ行きました。JUHLA FESTIVALの開催からまだひと月しか経っていないというのにもうずっと前のことのように感じてしまいます。お店には店主の小川さんとMaijaさんがいらっしゃいました。

小川さんから「記事を読んで、このフェスに行ってみたくなりました、笑」と言ってもらえたことが本当にうれしかったです。次回のJUHLA FESTIVALもきっと素晴らしいフェスになるのではと今から期待しています(記事もたくさんの方が読んでくれたようでありがとうございます)。

▶︎ JUHLA FESTIVAL 2023 〜 出会いを繋ぐ場所|Moi

また、デパートの催事やイベントなどにも出店+BGM選曲を担当されていた小川さんから、Sakari Kukko『Joulu』など、冬の季節にぴったりなフィンランドのおすすめCDを教えてもらいました。

そしてMaijaさんお手製のシナモンロールとヨウルトルットゥをいただきました。色もかたちも美しいシナモンロール。どうぞJuhla TokyoのInstagramなどを確認の上、お出かけください。

ハ:ヨウルトルットゥ(クリスマスパイ)、サクサクでおいしかったです。
イ:星型のパイですね、日本人から見ると手裏剣を思い出すような、笑
ハ:たぶん今日(17日)もいただけると思うのでご都合のつく方はぜひ!


ミートボールのピックヨウル

そしてもうひとつは、ピックヨウル? おつかれさま会? 打ち合わせ? を岩間さん、ミホコさんと広尾のCAFE CALVAで。木の床にボルドー色の内壁、岩間さんがいうようにどこか映画『アメリ』に出てきそうなお店です。

お店の方から「clubhouseを聴いて来店されたお客様がいた(#10, #139)」と教えてもらったとミホコさん。その時にミホコさんが紹介したフィンランド風ミートボールを食べてみたいですねという話になり、ランチをすることになりました。

熱々でとても美味しいミートボールだったのですが、なぜフィンランド風ミートボールがメニューに入っているのか聞きそびれたことに気づきました。そこで帰り際に有栖川宮記念公園(とてもいい季節)を歩きながら、ミホコさんからその理由を聞きました。

ハ:えーと、ミホコさんがお店の方に、これってなんていうんでしったっけね?
ミ:定期的に変わるメニューのアイデアとしてミートボールの話をしたところ採用されまして、いつのまにか定番メニューになったんです。
ハ:そうそう、ミホコさんプロデュース!
イ:ジューシーなミートボールに、ソースとベリージャム。
ミ:あとマッシュポテトですね。
ハ:あまり食べたことがないんですけれど、本格的なフィンランド風といっていいんでしょうか?
ミ:はい、フィンランド風ミートボールです。
ハ:12月28日までだそうなので、ぜひ食べに行ってみてください(ミートボールランチは平日だけ)。
ミ:お店は29日まで営業されるんですが、最後の日はドリンクのみとのことです。


『アイノとアルヴァ アアルト書簡集』の感想

次は、そのピックヨウルで『アアルト書簡集』の感想を初めて聞いたというミホコさん。「アールトに関心のある人はそういう読み方をするのか」と、自分とは違う感じ方、目線がわかってうれしかったそうです。

その岩間さんの感想をもう一度話してもらいました。「建築家アルヴァ・アールトの興味は最初イタリアや古典主義にあって、1930年代以降、機能主義に舵を切るところがとてもドラマティックで、この人に一体何があったのか? 流行やトレンドだった? と漠然としたところがあったんですが。この本は書簡集なのでダイレクトにふたりのアールトがどのように考えていたのか、どんな背景があったのかといった謎解き、納得のいく感じがしました。(その変化は)ひとつの理由ではなく、いくつかの大きな理由があったことも。そしてアイノの影響、ひとつのものを好きになる影響というか。同じものを好きになると拍車がかかりますよね。アルヴァとアイノ、ふたりの熱狂から生まれる感じが伝わってきました」

イ:これまでにも『アアルト書簡集』についてお話しすることがあったと思うんですけど。
ミ:お話しする場では、なかなか読者の方から直接お聞きする機会がないんですよね。ハラダさんも感想言いますか?
ハ:Moiに関わるまでアールトのことを全く知らなかったんですね。アイノとアルヴァの展覧会とか、アイノあってこそのアールトだと思っていたんですが、その裏付けがとれたような感じがしています。
イ:感想を話し合う機会などがあってもおもしろそうですね。


スオミの話をしよう〜アドベントカレンダーの場合

そしてミホコさんが教えてくれたのが、来年9月に公開予定の映画『スオミの話をしよう』。毎週スオミの話をしている我々としては見過ごすことはできません、笑

とはいえ、スオミというのはフィンランドではなく主役の名前とのことでした。ミホコさんにはフィンランドが好きで「スオミ」と名前をつけた知り合いの方がいて、もしやと思ったそうです。

ということでここからは、CAFE CALVAでのピックヨウルでミホコさんから聞いたスオミのアドベントカレンダーの話を。

「今日13日の扉の中に頭にロウソクを4本立てたネズミが出てきたんですけれど、まだ2週目なのに4本ってよくわからないね、印刷間違いだよってみんなで話していたんです」とミホコさん。たまたま前日のニュースで見かけていたので「ルシアじゃないですか」と言ったところ「あー、そういえば」という出来事がありました。

©︎mihoko-san

ミ:職場に戻った後、そういえば今日はルシアだったと伝えました。
イ:聖ルシア祭はロウソクをつけた女性が街を練り歩くんですよね。サンタ・ルチアという歌もあるけれど。
ミ:あれ、今日だったの?って、笑
イ:スウェーデン系の伝統なので、温度差があるのかもしれませんね。


来年のフィンランド語必須単語持久走1000は?

ミホコさんからもうひとつ。マトカトリでのフィンランド語講座「フィンランド語必須単語持久走1000」は600語に到達したところ。1月から3月はおやすみとなり、4月からあらためて対面授業として開催されるそうです。

▶︎ フィンランド語講座|マトカトリ

ミ:くわしいことは来年発表されると思います。
ハ:場所はマトカトリですか?
ミ:はい、日本橋にあるマトカトリです。辞書だけ持ってきていただければ大丈夫な講座です。


フィンランドのハーブティー FORSMAN TEA

最後は岩間さんの報告です。ピックヨウルでおふたりに渡したティーバッグ FORSMAN TEA について。FORSMAN TEAは、1979年に設立されたフィンランドの紅茶専門店。自社工場で紅茶をパック、500種類以上のブレンドを提供しているそうです。

▶︎ FORSMAN TEA

イ:紅茶や緑茶、ハーブティーといろんな種類があって、パッケージもいいですよね。
ハ:えっと、フィンランドのものかスウェーデンのものかも知らずに‥‥
イ:フィンランドの国旗も印刷されています。おいしかったですよ!
ハ:しかも自分で飲んでないので美味しいのかもどうかも‥‥
イ:どうしてFORSMAN TEAを?
ハ:たまたま日比谷の北欧雑貨で見かけて‥‥今度試してみます、笑


サカリ・オラモと東京交響楽団 定期演奏会

サントリーホールへオーケストラの演奏を聴きにいった岩間さん。東京交響楽団の来年4月の案内の中にフィンランドの指揮者、サカリ・オラモ(Sakari Oramo)の名前を見つけました。「彼は、若い頃からフィンランド放送交響楽団の指揮者として活躍し、サイモン・ラトルの後任としてバーミンガム市交響楽団の音楽監督を務めました」

「メインはドヴォルザークの交響曲ですが、ラウタヴァーラの鳥とオーケストラのための協奏曲、サーリアホの歌曲ではアヌ・コムシがソプラノを、シベリウスのルオンノタルも」と岩間さん。

▶︎ 川崎定期演奏会 第95回|東京交響楽団

ミ:ちょっと怖いですねぇ、笑
ハ:(指揮者のことかな? 選曲のことかな?)
イ:ドヴォルザークはメロディアスですし、そんなに怖がらずに、笑


── 遠くからということはそれが近づいてくるということ。そしてそのことを想像させるということ。想像できるということはどこかに存在すること。シャンシャンシャンという鈴の音にのってサンタクロースがやってくる。夢とか希望とか平和とかもきっとね。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text : harada

#142|Christmas in Surburbia – Martin Newell