#071 映画の中で会いましょう

子どもの頃の夏はこんなに暑くはなかったよなぁとぼんやり思い出します。でももしかしたら懐かしさがそう感じさせているのかもしれません。いつか映画の中で観た夏のように ──

Moi!フィンランドをもっと好きになる71回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。

  • サルミアッキの効能
  • 映画とその原作『Hytti Nro 6』
  • シャルフベックは生きている
  • アルヴァ・アールトに学ぶこと
  • 映画の合間にちょっと休憩
  • 夏におすすめフィンランドが舞台の映画

サルミアッキの効能

配信の冒頭、機材トラブルでみなさんの話を全く聞くことができませんでした。そこで配信後にミホコさんからお話しされた内容を教えてもらいました。

まず最初は、ユカさんによるサルミアッキの効能についてのレポート。

「サルミアッキを食べると咳がおさまる」

ユカさんの大発見です。効果には個人差があると思いますが、もし咳止めの薬が見つからなかった時には試してみてはいかがでしょうか。

そんなユカさんの報告に、リーサ先生(moiでやっていたフィンランド語教室の先生)から、調子が悪いというとサルミアッキを差し出されたことを思い出したと岩間さん。リーサ先生によるとポイントは、

「2個同時に食べる」

サルミアッキって一体なんでしょう?それにしてもサルミアッキが常備されているところがすごいです。

ユカさん、どうぞお大事になさってください。(今回は大事をとってお休みでした)


映画とその原作『Hytti Nro 6』

昨年2021年、第74回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門でグランプリに輝いた『コンパートメントNo.6』(監督:ユホクオスマネン)。

ミホコさんは、その原作『HyttiNro6』(RosaLiksom,2011)を「フィンランドの小説を楽しむ」というフィンランド語の授業で紹介してから、ずっと読んでいるそうです。

©︎mihoko-san

「原作の舞台は、1980年代のソビエト。そのため当時のソ連のことがわかっているともっとわかりやすいかも」とミホコさん。「列車で移動中に交わされる会話や、列車のサービススタッフとのやり取りが正にソ連という国で、たんたんと心情と表現が描写されています。イメージとして、アキ・カウリスマキの世界が思い浮かびました」

それに対して、クオスマネン監督が手がけた別の映画『オリ・マキの人生で最も幸せな日』は、「テンポ良く進んでいく映画なので、どんな風に映画化されているのか興味深い」と、岩間さん。

「映画化された『コンパートメントNo.6』は、たしか現代に舞台を移しているので、その辺りは違うのかも」という話になったそうです。

日本でも劇場公開されるといいなと思います。


シャルフベックは生きている

再起動して、ようやく音声が聴こえるようになりました。大変失礼しました。

ヘレン・シャルフベックの映画『魂のまなざし』を観てきました。岩間さんから「どうでしたか?」と聞かれ、つい「うー…と答えてしまいましたが、なかなかひと言で表すことが難しい映画だった、ということで。

個人的によかったのは、シャルフベックの制作風景やアトリエ、暮らしていた村などの様子。展覧会『ヘレン・シャルフベック〜魂のまなざし』を東京と葉山で、そして『モダン・ウーマン展』で観た作品が、こんな状況で描かれていたのかと知ることができたことです。

パリやブルターニュ、セント・アイヴスなどへ留学したり、ヘルシンキの絵画学校で教壇に立っていたことを考えると、生活にも余裕があったのではと思っていましたが、とても質素な暮らしの中で制作していたようです。それは当時の社会状況もあったのかもしれません。

ハ:映画を観に行く予定はありますか?
イ:フィンランドの美術館へもシャルフベックを観に行ったことがあって大好きなんですけど、なかなか重いところもあるので、元気な時に行きたいと思います。
ミ:エイナル役の俳優が『アンノウンソルジャー』に出演していた時と全く印象が違ったので驚きました。行きます!


アルヴァ・アールトに学ぶこと

そしてもうひとつ。建築家関本竜太さんによるオンラインセミナー『北欧アルヴァ・アールトに学ぶこと』(主催:新建ハウジング)を聴講しました。関本さんは、以前カフェモイ(荻窪・吉祥寺とも)の設計を手がけられた方で、お店でもトークイベントなどをされたことがあります。今回のセミナーは、建築学生向けということだったのですが、とても興味深いお話を聞くことができました。

関本さん自身が撮影された写真や愉快なエピソードなどを交えながら、アールトの代表的な建築やそのディテールの解説をしてくれました。もっとも印象深かったのは「その場に身を置かないと分からない」ということ。いつか実際に見に行くことができたらいいなと思いました。

nuotio|takibi サークルの中でセミナーのくわしいレポートを書いています。機会がありましたら、ぜひご覧になってみてください。

ハ:レンガ職人たちにコスケンコルヴァを振る舞って、酔っぱらわせたところでレンガを積ませた(味が出るように)というエピソードがおもしろかったです。
イ:コスケンコルヴァというのは、フィンランドのウォッカのことですね。
ミ:アールトのどの建物ですか?
ハ:アールト自邸です。


映画の合間にちょっと休憩

Instagramの広告でよく流れてくるアングリーバードの最新作を、つい1時間半ほどやってしまったというミホコさん。

キャラクターとしては知っているけれど、アングリーバードって結局、ゲームなの?アニメなの?という岩間さん。

ちなみにユカさんの場合は、ムーミンのゲームの広告がよく流れてきて、うっかりハマってしまったそうです。

自分はといえば「ゲームは1日1時間」とよく言われていたなぁと。


夏におすすめフィンランドが舞台の映画

鍵の壊れたサウナの中にいるような毎日で、なかなか外出もしにくい今日この頃。部屋で映画を観て過ごしていたという岩間さん。今回は、夏におすすめの3本の映画を紹介してくれました。

1本目は、ドイツの『逃走特急インターシティ・エキスプレス』。

ラップランドのイナリで開催される第1回時刻表国際大会に出場するためにフィンランドへやってきた時刻表オタクの主人公。ふとしたことから事件に巻き込まれ、追いかけられる羽目に。追っ手を振り切りながら果たして目的地へ辿り着けるのか?といった話。アキ・カウリスマキ組の俳優陣も出演しているので注目してみては、と岩間さん。

ちなみに公開時タイトルは『ハンネス、列車の旅』だったそうです。

2本目は『アナとオットー』という1998年に公開されたスペイン映画。子どもの頃に一緒に暮らしていた二人がラップランドで出会う話。

「『雪の華』などもそうだけれど、ラップランドの雪原が舞台っていうのが雰囲気があるよね」と岩間さん。「朝焼け、夕焼け、何もなさ。寒いとくっつきたくなるからいいのでは?」とミホコさん。

そして3本目が、ジャズピアニスト、ビル・エヴァンスによるヘルシンキでのライブ映像DVD『In Helsinki 1970』。

こちらはフィンランドの作曲家イルッカ・クーシストのラウッタサーリの自宅でのライブで、当時のおしゃれな人々やアールト家具など、音楽以外のポイントも見逃せないと岩間さん。

このイルッカ・クーシストはムーミンバレエなど劇場系の音楽をよく手がけていたそうです。二人の息子ヤーッコとペッカ・クーシストはヴァイオリニスト(ヤーッコは2022年2月に48歳の若さで亡くなっています)。


── 映画の話題が多い回となりました。観てみようかなと思った映画はありましたでしょうか?どうぞよい夏をお過ごしください!それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text : harada

#71|Girls On Film – Duran Duran