かねてから気になっていたのが、京橋にあるPEN STATION CAFEのシナモンロール。
「ヨーロピアンシナモンロール」という名前にふさわしく、若干平べったいものの、ルックス的にはかなりフィンランドのシナモンロールに近い。当然、嫌が上にも期待は高まる。
ところが、その予想は見事に裏切られた。形はともかく、その味はいわゆる「シナモンロール」とはまったくちがう。ひとことで言えば、シナモンロールの欧州連合(EU)といった感じ。かたちはフィンランド、生地はデニッシュ、しかもシナモン以上にアマレットの風味(イタリア?)が勝っている。アーモンドプードルが練り込んであるのか、全体にしっとりとした印象である。
摩訶不思議なシナモンロール。フィンランドへの道のりは遠い。
カフェが舞台になっていたり、コーヒーがさかんに登場するような小説やエッセイがあれば、職業病かたんなる趣味の世界かはともかく、つい手にとってしまう。寺田寅彦『珈琲哲學序説』、ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』、それに獅子文六『可否道』などなど。そしていま読んでいるのは、「せきしろ」のエッセイ『去年ルノアールで』。
著者が日々通いつめる喫茶室「ルノアール」で、ある意味「出会うべくして出会ってしまった」出来事や人々について綴った異色の《喫茶エッセイ》である。かりに(まさかそんなひとは存在しないとは思うが)いまだかつて「ルノアール」に入ったことがないというひとにとっては、この本はある種の「SF」と映るかもしれない。けれども、一度でもあのねじれた時空の中に身を置いたことのあるひとにとっては「なるほど」な、さもありなんワールドが繰り広げられている。
そういえば、この本を読んでいて思い出したのだが、かつてサラリーマンをやっていた頃、いちど職場の先輩とミーティングのために「ルノアール」に入ったことがあった。おもいっきりルノアール初心者であったぼくらは、うかつにもソファー席に陣取ってしまったうえ、そのふかふかすぎるソファーに身を委ねてしまったのだ。結局、ソファーに深く深く身を沈めたぼくらは、至近距離で向かいあっているにもかかわらず最後まで視線を合わすことなく、ひたすら斜め45度の天井をみつめたままミーティングを続けた。そしてそれは、おそらくぼくが体験したもっとも不毛なミーティングといえた。
そんな記憶の奥底に沈殿した「わたしとルノアール」を眠りから呼び覚まし、思わずひとに語らせてしまうこの本は、なんというかある種の《パンドラの箱》なのかもしれない。
スウェーデンのアーティスト、リーサ・ラーション=スンドリングの銅版画「Olle」です。
10日[水]まで「船橋東武」5階5番地美術画廊で開催中の『動物たちの散歩道(プロムナード)』に出展中です。ほかにも、フィンランドのレーナ・ゴルニク、ヘリ・プッキ、タルリーサ・ワレスタらの作品も展示中しています。
また今回は、新たにスペインのアーティスト、エヴァ・アルミセンのキュートな作品も仲間入り。
ぜひ、「イケア(IKEA)」でのお買い物のついでにお立ち寄りください!
なお、フィンランド、スウェーデン、エストニアなど北欧を中心とした作家の銅版画、シルクスクリーン、水彩画などにご興味をお持ちの方は、お気軽にmoiまでお問い合わせください。
映画「かもめ食堂」のヒットもありすっかりのどかなイメージが定着しつつあるフィンランドではあるけれど、そんなイメージを否定するかのような物騒な事件がフィンランドの、しかもヘルシンキのど真ん中で起こってしまった。
この「事件」を知ったのは、日々「YLE」でニュースをチェックされているJUSSIさんからの一報だった。なんでも、ヘルシンキ中央駅に隣接する古い「赤レンガ倉庫」が激しく燃えているという。この倉庫はフィンランドの国鉄(VR)が所有するもので、現在はフリーマーケットやライブをおこなうスペースとして使用されているほか、雑貨屋さんなどもある。場所はヘルシンキ中央駅の裏手、メインストリートの「マンネルヘイム通り」のかたわらに位置し、目と鼻の先には国会議事堂や現代美術館「キアズマ」、それにアルヴァー・アールトが設計した「フィンランディアタロ」もある。観光客にもおなじみの場所だ。
火災は、5日金曜日の夜に発生した。もうもうと黒煙を上げて炎上するニュース映像が、この火災の激しさを物語る。駆けつけた消防隊も延焼を食い止めるのがやっとで、鎮火したときには倉庫はほぼ焼失してしまったそうである。また、古い建造物ゆえ、立ちこめる煙りには有害物質も含まれていたようで、映画館から観客が一時避難する騒ぎにもなったらしい。
ヘルシンキ警察は、この火災の原因を「放火」と断定している。もともと、この倉庫のあった一帯は「再開発事業」の対象となっていて、この倉庫も現在は空家状態、すでに解体を待つばかりだった。そのため、不法占拠する者などもいたという話もあるし、実際ヴァップ(=メーデー)の前夜には、ここでたき火をし大騒ぎをしていた100人ほどの若者と警察隊とが衝突するという騒ぎも起こっている。
ここ日本とは異なり、ニュースをみていても物騒な事件とは無縁のようなイメージがあったフィンランドだけに、今回の放火騒ぎはちょっとしたショックであった。EUへの参加、移民の流入や観光客の増加など、ここ数年フィンランドという国を取り巻く環境も変化している。それだけに、これまでのように小回りのよさを武器に困難を解決するというだけではコントロールがきかない局面も多くなってきているということなのかもしれない。
ゴールデンウィークが終わった。
いつもなら、「いったいみんなどこに行っちゃったんでしょうね」などと常連のお客さま相手に八つ当たりなどしているゴールデンウィーク。ところがどうしたわけか、ことしはやけに忙しかった。もしや、かもめ効果!?
とするならば、期待せずにはいられないのは「かもめ食堂」の続編だ。
「かもめ食堂2」、「かもめ食堂 それから」、「かもめ食堂 おかわり」・・・なんでもいい。「またまた かもめ食堂」、「ひねもす かもめ食堂」、「かもめ食堂 リターンズ」、「かもめ食堂エピソード3~マサコの逆襲」・・・。ついでに「メイキング・オブ・かもめ食堂」もつくろう。テレビドラマというのも妙案だ。本はもちろん橋田壽賀子でタイトルはやはり『渡る世間はトンミばかり』、だろうか?10年はいける。ただし、この場合まちがいなく「サチエ役」には泉ピン子が抜てきされるだろうが。
それにしても、よく祭りの後などというが、ゴールデンウィーク明けの営業を思うとなにやら空しくもある。
1休日というのは、「調律」のための一日である。
肩、背中、足、腕、おなか・・・ゴールデンウィークのプチ戦争状態ですっかりズタ袋化してしまった身体を、「鍼」で「調律」する。ふだん出会わない人々、見れない景色、すべてが「調律」につながる。
乗り換えの「国分寺」ではじめての喫茶店をたずねる。これもまた「調律」だ。「どりっぷ」という名前の、三十年以上ここ国分寺の地で営業をつづける自家焙煎珈琲店。濃厚なマンデリンの深煎りをゆっくり味わいながら、おなじスピードで、Kさんから思いがけずプレゼントしていただいた『雪沼とその周辺』をゆっくり味わいながら、読む。
こんなささやかな「調律」が「あした」をつくるのだろう。
「一生にいちど」というものがある。たとえば、アイドル歌手にとっての「新人賞」。聖子ちゃんが顔をクシャクシャにして涙するのも無理はない。たとえ聖子ちゃんといえども、「新人賞」を穫れるのは一生にいちどのことなのだから。
同じように、と言っていいかはともかく、ぼくにとっていよいよお店をオープンする、まさにそのときに流す一曲というのもまた、一生にいちどの重要なセレモニーなのであった。ジョイス、フリーデザイン、ビル・エヴァンス、カエターノ・ヴェローゾ・・・それともやはりジョアン・ジルベルト?オープンを目前に、夢はふくらむいっぽうだ。それはそうだろう、なにせ一生にいちどの一曲を選ぶのだ。
そして、オープン当日はやってきた。しかしご他聞にもれず、オープン当日というのは忙しいものだ。それも、ただの忙しさじゃない。殺人的な忙しさだ。刻々と迫るオープンの時間、しかしいっこうにはかどらない準備。万全を期したはずが、なぜか足りない道具や材料。焦りはつのり、目は血走る。なんとか見切り発車気味に「開店」までこぎつけたものの、すっかり最初に流す一曲のことなどアタマの中からぬけ落ちている始末。気づけば、あれほどまでに楽しみにしていた一生にいちどの選曲は、手伝いにきていたブラジル音楽おたく(しかもサンバ寄り)の妻の手に委ねられているのだった。・・・嫌な予感。
かくして、記念すべきmoiのオープンを飾った一曲は、「サンバをつくった」といわれる男ドンガとなった。
二人でお茶を、というわけで、キャラメルクリームティーです。
フレーバーティー好きのあいだではよく知られる、京都の「MLESNA TEA HOUSE(ムレスナ・ティーハウス)」の茶葉を使用した人気メニュ-です。カップ一杯につき、通常のおよそ3倍にあたる約10グラムもの茶葉を使い、ミルクでじっくりと煮出しています。ストレートでもかまいませんが、香りをより引き立ておいしく召し上がっていただくために精製していないキビ糖(当店では「ペルーシュ」のお砂糖をお出ししています)を加えることをおすすめしています。
また、プラス50円でマシュマロのトッピングもできます。よりクリーミーでマイルドな味わいがお楽しみいただけます。マシュマロが溶けてゆくにつれ、すこしずつ変化してゆく口当たりを楽しむのもまた「休日のティータイムならでは」といえるのではないでしょうか?
ぜひお試しください!
五月になると、「五月のミル」をみる。《年中行事》みたいなものである。
感想は、きかないでほしい。この映画、つまり、「ルイ・マル」監督による「コメディー」、しかも相当に「フランス的」な、を語るというのは、ほとんどトリプルアクセル+トリプルトゥループ+トリプルループ並みの難易度の高さなのだから(よくわからないが)。だいたい、ぼくの場合、映画よりも先にステファン・グラッペリののほほんとしたサウンドトラックのほうに親しんでいたものだから、じっさいに映画をみてはじめて、タイトルの「五月」が1968年の「五月革命」を指していると気づいたほどである。ルイ・マル自身、あえて《そのこと》に対するみずからの「立ち位置」をぼやかそうとしているようにもみえるこの作品を、しかしわが家ではたんなる「バカ一家の話」と呼び親しんでいる。「『バカ一家の話』みる?」、「みる、みる」といった具合に。そして毎度思うのだ。「あはは、バカだなあ」と。感想など語れるはずもない。
けれども、ひとつだけ断言できることがある。それは、この「五月のミル」という映画には、やはり「五月」という季節のもつすべてががつまっているということだ。強さを増した光と薫る風、蒼々とした樹々の新緑に象徴される「生命の躍動」、倦怠と頽廃、そして不穏な予感。「五月のミル」をみれば、「五月」はより「五月」らしくなる。
そして、「五月革命」はしかるべくして「五月」に起こったのだ、と思うのだ。
フィンランドのフレーバーティーといえばこれ、NORDQVISTです。
北欧のベリーや花、草木やスパイスなどを使用した北欧らしい味わいと、「SADEPA:IVA:N ILO(雨の日の愉しみ)」「KEISARIN MORSIAN(皇帝の花嫁)」といった詩的なブレンドネーム、それにマリメッコ(Marimekko)のテキスタイルデザインも手がけるアンティ・エクルンドが監修したポップでカラフルなパッケージが人気のひみつ。
外国産のフレーバーティーのなかには、香料がきつくて飲みにくいものも少なくないのですが、このNORDQVISTのフレーバーティーは個性的でありながら、嫌みのないナチュラルな風味でとても親しみやすいと思います。
なお、このNORDQVISTのフレーバーティー、来月くらいからmoiでもお取り扱いをはじめる予定です。これで、フィンランドに行かなくてもフィンランドのティータイムをお楽しみいただけますね。ぜひ、お楽しみに!
ワーキングホリデーを利用して日本に滞在中の韓国人ユンジョンが、「チャパゲッティー」なる、韓国ではとてもポピュラーだというインスタント食品をもってきてくれた。大好物なのだとか。
茶色い。圧倒的な茶色さ、である。
なんでも、スパゲッティー+ジャージャー麺でチャパゲッティーとのこと。ゆであがった乾麺に粉末ソースをまぶし、よくからめるとこういったルックスに「大変身」する。そして仕上げはオリーブオイル(!!)。なるほど「スパゲッティー」だしなと自分に言い聞かせつつ、思いきって・・・。
さっそく試食。こってり系を予想していたのだけれど、見た目の「強烈さ」とは裏腹に案外さっぱりしている。もうひと味なにか加えたいくらい。今回はありもので、青ネギとゴマをトッピングしてみたが、たっぷりの白髪ネギ&オリーブオイルの代わりにゴマ油でもよいかも。
ところで、ユンジョンの話によると韓国には「ブラックデー」なる「記念日」が存在するとのこと。なんでも、4月14日の「ブラックデー」には、恋人のいない者同士があつまって「ジャ-ジャ-麺」を食べるのだという。なんで4月14日なのか?とか、なんでジャージャー麺なのか?とか「疑問」はつきないが、それ以前に、それって楽しいのだろうか?よくわからん。お茶目だな、コレアライネン。
いま、ちょっと大きなCDショップに足をはこぶと、こんなフリーペーパーを手にすることができます。
『We Love Bossa Nova~ボサノヴァ読本』です。ボサノヴァの名盤を完全限定&1,500円で発売するユニヴァーサルミュージック「BOSSA NOVA 1500」シリーズの宣伝用アイテムのひとつなのですが、これがなかなかおすすめなのです。
このフリーペーパーでは、CD紹介にくわえて「ボサノヴァって?」「ジョアン・ジルベルトの恋人達」「イパネマの娘」という3つのちいさなコラムがおさめられています。テキストを担当するのは、『ボサノヴァ』の著者としてもおなじみ、bar bossa/bossa recordsの林 伸次さん。
さて、ボサノヴァを聴く、ってどういうことなのでしょう?
それはもしかしたら、「ボサノヴァ」という音楽を生んだ《時代の空気》のようなものを感じることなのかもしれません。林さんのコラムを読んで、ふとそんな気になりました。 1950年代末のリオデジャネイロ。海、太陽、恋愛、ともだちとの語らい、お酒、コーヒー、ジャズそして声とギターに縁どられた儚くも幸福な時間・・・じぶんの現実の生活とはあまりにも遠くかけ離れた世界ではあるけれど、ほんのわずかでもそこに「共通の匂い」を見いだしたとき、ボサノヴァはじぶんにとってかけがえのないものになるのです。
今回リリースされるCDはどれもまちがいなく、数あるボサノヴァのCDのなかでも「名盤」とされるものばかり。これからボサノヴァを聴いてみようというひとにはまさにうってつけのシリーズだと思います。まずはこの『ボサノヴァ読本』を道先案内人に、じぶんだけの宝探しに出るというのはいかがでしょう。
雑誌『OZマガジン』別冊『My Happy Town 吉祥寺』の取材がありました。「吉祥寺」特集に間借り(?)するようなかたちで、「荻窪」の情報ページもあるのだそうです。詳細は、またあらためてお知らせさせていただきます。
ところでカフェの取材につきものといえば、料理やドリンクを撮影した「メニュー写真」。そして、この「メニュー写真」をどうするか?というのが、いつも取材のたびに頭を悩ますところでもあります。 まず、ふつうの取材ならば2~3点、撮影用のメニュ-を用意します。わずか2~3点の写真でお店の雰囲気や個性を伝えなければならないわけですから、やはり慎重にならざるをえません。
たいていは、
・お店の自慢、あるいは「看板」といえるメニュー
・お店として売りたいメニュー
を載せるというのが「基本」でしょう。でも、取材の件数が増えてくればいつも同じメニューとばかりはいきません。たまには「変化球」も必要です。
そこでmoiの場合、掲載される媒体のイメージや読者層にあわせて「メニュー写真」用の料理やドリンクをえらぶようにしています。たとえば、北欧カルチャー系の媒体ならばプッラや、サーモンサンド、ALVARブレンドなど北欧にちなんだメニューを、「ムーミン特集」ならファンシーに(?!)「おやつセット」や「キャラメルクリームティー」を、ファッション誌ならマンシッカやトライフルなど見た目にもキャッチーなメニューを、といった具合に。またデザイン系の媒体の場合は、「モノ」のフォルムに敏感な人々のハートをわしづかみにすべく(?!)、梅田弘樹さんにつくっていただいたオリジナルのカップ&ソーサーを中心に、ティモ・サルパネヴァやカイ・フランクのグラス、それに柳宗理のカトラリーを組み合わせてみたりといった工夫を凝らします。
さて、今回は情報誌、しかも「別冊」ということで読者層ではなかなか絞りづらいところです。けっきょく用意したのは、「サーモンの北欧風タルタルサンド」、「プッラ」、「ALVARブレンド」の計3点。北欧・かもめ食堂・フィンランドというキーワードです。果たして、反響やいかに?
家に帰る。一日の疲れを癒すには、やっぱり風呂がいちばんだ。とおもったら、給湯器のスイッチがはいらない。当然、お湯は出ない。もういつでもシャワーを浴びれる体勢なのに。どうやら、などと推測するまでもなく、給湯器のあきらかな故障である。
幸い、などとよろこんでよいかどうかはべつとして、壊れる前に風呂は沸かしてあった。ともかく、浴槽に張ったお湯は使えるわけだ。
が、ここで新たな障害がふたたび立ちはだかる。そう、「風雲!たけし城」の丹古母鬼馬二のように、である。シャワー生活がすっかり身についてしまった「近代的な」わが家には、お湯をすくうための「桶」も「洗面器」もないのだった。
こうして、一日の疲れを癒すためにかりだされたのは「食器用洗い桶」。手鍋か?洗い桶か?まさに「究極の選択」、「苦渋の決断」である。せめてもの救いはといえば、シャンプーが切れていなかったことだろうか。いくらなんでも、「ママレモン」で髪を洗うのだけはごめんである。
お客様で「森林インストラクター」の川澄さんから、ちょっとおもしろそうな「散歩の会」のお知らせをいただきました。都会の中で、「もう少しだけ、木を身近に感じてみたいひと」のためのカジュアルなお散歩会「木・連(MOKU・REN)」の第4回です。
今回のテーマは、「エゴノキの花を見よう!」、そして「葉っぱの見方」のふたつ。「どれだけ知っているかではなく、どれだけ面白いことを見つけられるか」という視点から、初夏の緑を歩きます。
なお今回お散歩する場所は、港区白金台にある「自然教育園」。そして「自然教育園」といえば、いま「北欧のスタイリッシュ・デザイン~フィンランドのアラビア窯」展を絶賛(?!)開催中の東京都庭園美術館のすぐおとなり。川澄さんによると現地解散も可ということですので、森をこよなく愛するフィンランド人の気分で軽いお散歩を楽しんだ後、庭園美術館で「アラビア展」を観る、なんてコースはいかがでしょう?なにか、「あたらしい発見」があるかもしれませんね。
詳細はつぎのとおり。とくに予約は不要ということですので、気が向いたらふらりと参加されてみてください!
◎ 木・連(MOKU・REN) 第4回
日 時 5月27日[土] 13時~15時くらい
散策場所 自然教育園(港区白金台)
集合時間 13時
集合場所 JR目黒駅「びゅうプラザ前」(改札口出てすぐの構内)
参加費 無料(ただし入園料300円が必要です)
予約 不要
雨天時 お茶をしながら、多少の座学をたのしみます
なお、このイベントについて質問等のある方は、moiまでご連絡ください。主宰の川澄さんのご連絡先をお知らせいたします。
一日の疲れを癒すためにやってきたのは、駅前の「まんが喫茶」。いや、いまどきは「ネットカフェ」と呼ぶのが正解らしい。
故障中のわが家の「給湯器」は、けっきょくまるごと交換することになったのだが、工事は最短でも月曜日の夕方だという。ということは、まだしばらくは「風呂なき子」、同情するならお湯を貸していただけないものだろうか。銭湯?それとも水風呂?、迷ったあげく行きついたのは某ネットカフェ。そこには、客が無料で利用できる「シャワールーム」が完備されているという。しかも、ネットカフェの料金は銭湯よりも安いという事実。「少年ジャンプ」も「コロコロコミック」も、ましてや「りぼん」も買ったことのないこの自分が、終電を逃したというワケでもないのに、「シャワー」のために「まんが喫茶」に足を踏み入れてしまうこの不思議。これを「運命のいたずら」と言わずしてなんと呼ぼう。
などと考えつつ、カラオケボックスのようなエントランスで店のお兄さんから説明を受ける。たとえば、「ドリンクはすべて無料となっております」とか。なにっ?カフェなのにドリンクが無料?カフェ店主にとって、その内容はあまりにも刺激的だ。しかも、シャワーを浴びにくるヤツ(=自分)がいるカフェって、なんなんだそれは。この「退廃的な図書館」めいた空間では、「常識」という名前の方位磁石はなんの役にも立たないと痛感する。などというのはデタラメで、「シャワールーム」は十分使えるものだったし、タダのドリンク片手にネットもし放題。おまけに、かねがね読んでみたいと思っていた「のだめカンタービレ」まで読めてしまったのだから、なかなかなものである。いんじゃない?こういう「カフェ」も。
唯一の不満は、時間の関係で「3巻」までしか読み進めなかったこと。全14巻、なのに。次はいつ行こう?
船橋といえば「中山競馬場」というぼくのイメージを一気に払拭してしまったのが、そう、先月オープンした「イケア船橋」の存在。なにはともあれ、やはり一発「視察」に行かにゃあならんでしょう、というわけで、早速いってまいりました。
平日の昼間だというのに、中はとにかく人、人、人。賑わってます。でも、本気モードで買い物に集中しているひとはすくなく、自分もふくめ「とりあえず来てみました」という冷やかしの客がほとんどといった印象。
ところで、お客様から事前に収集した情報によると、際立っているのは
・とにかく安い
・食料品コーナーがなかなか充実している
というふたつの点。
値段は、たしかに「安い」です。びっくりするほど安いものもけっこうあります。当然、「中国製」とかが多いです。個人的には、大物の家具などでいいなあと思うものがいくつかありましたが、小物類はあまり欲しいと思うものがありませんでした。いちばん魅力的だったのは、「キャンドル100ピース350円」。これくらいの値段なら、ケチケチせずに使えるのに。あと、やはりお国柄というべきか照明器具のヴァリエーションは豊富でした。
そして食料品コーナー。ここはエキサイトしました。リンゴンベリーのシロップやサーモン、ニシンの酢漬けにはじまり、スウェーデンビール、冷凍の肉だんご、クラウドベリージャムから「例の黒いグミ」まで、いままで北欧でしか買えなかった食料品を安く手に入れることができます。本当はもっと買い込んできたかったけれど、荷物になるのでグッとこらえました。
というわけで、気づけば消耗品&食料品ばかりに目がいってしまった「初IKEAレポート」でした。
食べる。本当のことを言うと、「イケア」へでかけた「最大の目的」はそこにあったのでした。実際、到着するなり脇目もふらずレストランへ直行。
まずは、スウェーデンではおなじみ、リンゴンベリーのジャムを添えた肉だんごとサーモンのソテー、それにパンとサラダです。冷凍と知っていても、やはり気軽に北欧気分を味わえるのはいいですね。
そして、こちらの「メロンまんじゅう」のようなルックスのものは「プリンセスバーケルセ」。スウェーデンではおなじみのケーキです。緑色のマジパンの下は、スポンジケーキ&生クリーム&ラズベリージャム。ご想像のとおり甘いです。甘いですが、そういうもんなんだから仕方ないです。おそらく、常時これを食べられるのは日本中でただここだけでしょう。
ほかに「シナモンロール」もあったのですが、こちらは次回アップします。とりあえず、北欧好きならそれなりに「酔える」空間だと思います。
船橋にある「IKEA」のカフェで食べたシナモンロールです。
「ミニシナモンロール」とあってサイズは小ぶりです。形は、おなじみの「渦巻き状」。生地はやわらかく、バターの量が多いのかパイ生地に近い印象です。全体的には、前回ご紹介した「Pen Station Cafeのヨーロピアンシナモンロール」に似ています。スパイスは、カルダモンの風味が強めの北欧風。
フィンランドのシナモンロール「コルヴァプースティ」とくらべると、形、そして生地に明らかな違いがあります。スウェーデンでは「シナモンロール」を食べたことがないのでよくわかりませんが、フィンランドのシナモンロールはやはり個性的な存在のようです。
代々木八幡にあるベーカリー「イエンセン」のシナモンロールです。お客様より差し入れしていただきました(興奮のあまり、お名前を伺うのをうっかり忘れてしまいました・・・失礼致しました!)。
「イエンセン」といえば、本場仕込みのデニッシュが食べれるベーカリーとしてよく知られた存在。このシナモンロールも、正式には「スモースナイル」と呼ぶのが正しいようです。渦巻き状のバターデニッシュ、という感じでしょうか。渦巻き状+アイシングというベーシックは押さえつつも、生地は完全なデニッシュ地からできています。バターもふんだんに使っており、パリパリサクサクでおいしいです。スパイスはシナモンのみでしょうか・・・ややオリジナルな風味を感じたのですが。 パンというよりは、感覚的にはよりケーキにちかい、本場デンマークスタイルのシナモンロール。ごちそうさまでした!
いしげまりこさんの展示「私の旅ー仲間たち」が、吉祥寺のギャラリーfeveさんではじまります。
スウェーデンやフィンランドの玩具やアクセサリー、生活雑貨などを輸入し、日本に紹介しているまりこさん。ただ現地へ赴きモノを買い付けてくるだけなら、ちょっとしたセンスの持ち主であれば難なくこなせてしまう世の中に、まりこさんはあえて手間を惜しまず作家さんとの緊密なやりとりを重ね、ほんとうに愛着をもってつきあえる「この一品」を見つけてきます。大量生産のプロダクトにはない人肌のぬくもりをもつそうした品々は、だからその「手触り」で、「あ、これはまりこさんが見つけてきたものじゃないかな?」とわかってしまうほどなのです。
まりこさんが北欧で出会った雑貨の数々と、北欧の作家さんやその暮らしぶりを紹介する今回の展示、北欧好き、雑貨好きなら絶対に必見!どうかお見逃しなく!
いしげ まりこ「私の旅ー仲間たち」
2006年5月27日[土]~6月3日[土] [5月31日[水]はお休み]
12:00~19:00(最終日は17:30まで)
吉祥寺 ギャラリーfeve
この季節になると、なぜか無性に聴きたくなる音楽がある。
ゆうべ君をみたとき、あのなつかしい感じがしたんだ ーと歌いはじめるチェット・ベイカーの「That Old Feeling」。イントロの軽快なトランペットとは対照的に彼の歌声はどこか物憂げで、「クルーナー唱法」とよばれる抑制のきいた歌い方は聴く者に不吉な感じすらあたえる。期待と不安ーその両極を振り子のように揺れ動くそのあいまいな感じは、だが、ラブソングにはむしろうってつけのようにも思える。そういえば、「フィガロの結婚」に登場する「ケルビーノのアリア」もまさにそんな感じだ。
ならばなぜ、きまってこの季節になるとこの曲を聴きたくなるのだろう?それはたぶん、5月から6月にかけてのこの時期がまた、なにかあいまいな感じを孕んだアンビバレントな季節だからではないだろうか。
春と夏のあいだで戸惑っているかのようなこの季節、雨というわけでもないのにもわっとした湿り気を含んだ夜の空気のなか歩いていると、なにやら例のあいまいな感じに見舞われてどうにも落ち着かない気分になってしまう。そして、そんな気分のときぴたりとハマるのが、ほかならぬチェット・ベイカーの歌うこの曲なのだ。
さらに話は個人的になるのだけれど、もうひとつ、ぼくにとってこの曲はダービー前夜、つまりまさに今夜(!!!)のテーマソングでもある。「ダービー」の日の、競馬場を包む高揚感は格別のものだ。その浮き立つような感情と、だがいっこうに「予想」の定まらない焦燥感。むしろ、考えれば考えるほど「正解」は遠のいてゆくように思われる。チェット・ベイカーが耳元で歌い出すのは、きまってこんなときだ。
退屈のあまりこれを書き始めたいまは、土曜日の午後4時。いつもなら、わらわらと忙しく立ち働いているはずの時間なのに。
外は雨、客足もまばら。こんなときは、そんな状況にどっぷりつかって酔いしれてしまうというのも悪くない。ネが暗いのだ、たぶん。たとえば、内省的でサウダージ感覚あふれるカエターノ・ヴェローゾのNonesuch盤などは、まさにこういう気分のときのために存在するCD。そしてこのアルバムを聴くと、ぼくはきまってあるおじいさんのことを思い出すのだ。
そのおじいさんは独り暮らしで、ある一時ほぼ毎日のようにmoiに足を運んでくださっていた。若い時分はラグビーでならしたという、スポーツ好きでなかなかモダンな感覚をもったおじいさんだった。その日、ぼくはそのCDをかけていた。そのCDをかけていたということはきっと、「そういう気分」だったのだろう。
このアルバムにはカエターノ自身の代表曲のほか、ビートルズやマイケル・ジャクソン(!)などのヒット曲がボサノヴァ・スタイルでカヴァーされているのだが、それはコール・ポーターが作曲したスタンダード「Get Out Of Town」が流れているときだった。
「位置について!よーい!」
と、突然そのおじいさんが口にした。「はっ!?」よく状況がつかめないまま問い返すぼくに、それが歌詞の一部 ──So on your mark, get set, Get out of town(さあ、位置について!よーい!町を出るんだ)── であることを教えてくれたのだった。なんでも、1936年の「ベルリンオリンピック」のときに、そのフレーズが一種の「流行語」のようになったのだそうだ。いわゆる「スタンダードナンバー」として知られているこの曲も、それが作られた1938年当時には巧みに「流行」をとりいれた最新のヒットナンバーだったというわけだ。三まわりほども年の離れた者同士が、こんなふうに思わぬきっかけでつながるのがぼくのかんがえるところの「カフェ」なのだ。
その後、おじいさんはぱったりとお店に姿を現さなくなってしまった。近々、自宅を引き払って「老人ホーム」に入るのだとよく口にしていたから、いまごろどこかの「老人ホーム」で悠々自適の生活を送られていることだろう。
位置について!よーい!
年のわりにはよく通る、おじいさんの「声」がときどききこえる。
フィンランドの「ハニーディッパー」です。ちょうど、フィンランドみやげとしていただいたハチミツをすくうための「ハニーディッパー」が欲しいなと思っていたところ、吉祥寺のFeveさんで6/3マデ開催中の北欧雑貨のエキシビション「私の旅-仲間たち」で購入することができました。
「MADE IN FINLAND」というだけでも十分うれしかったりするのですが、木目の美しさや、手にしたときのなんともいえない感触のよさはまさに特筆モノです。ORHI-PUUというブランドのもので、もちろんハンドメイド。聞くところによると、フィンランド国鉄ではたらく鉄道員でもあるサロネンさんがおひとりでコツコツと作られているそうで、それゆえ大量生産はできないのだとか。まさに、「森のひと」フィンランド人らしいエピソードです。
ところで、Feveさんを訪れたのはよく晴れた日のこと。北欧らしいきれいな色目の雑貨の数々と明るい光、風に揺れる緑の木々とのハーモニーに、去年の夏ふらりと立ち寄ったストックホルム・ソーデルマルムの雑貨屋さんを思い出していました。よい昼下がりです。