#108 孤独の旅路

旅をしようと決めるのは行きたい場所があるからでしょうか。それとも旅をしたいから行き先を決めるのでしょうか ──

Moi!フィンランドをもっと好きになる108回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。


第3回たき火ピクニック

まず最初の報告は岩間さんから。4月20日に江東区若洲海浜公園キャンプ場で開催した「たき火ピクニック」について。

Moiのサークルnuotio|takibiは、フィンランド好きのみなさんと「たき火」を囲んで雑談をするように過ごしませんか、といったところから名付けられました。せっかくならその名の通り「たき火」をやってみたらいいのでは、というアドバイスを受けて、最初はアウトドア施設で、2回目は多摩川上流で行いました。

はじめて会う方でも火が真ん中にあるだけで場が持つところがたき火のいいところですね、と岩間さん。ナイフで薪を準備してもらったり、コーヒーを入れてもらったりと大活躍してもらいました。

ゆかさんが持ってきてくれた専用フライパンで焼いたレットゥ(薄焼きパンケーキ)に、Nさんがお知り合いを通して手に入れてくれたJUHLAMOKKAでやかんコーヒー、フィンランド在住の方のアドバイスでYさんが準備してくれたマッカラ、そしてみなさんが持ち寄ってくれたたくさんのお菓子!

1歳の男の子も含め総勢12名でたき火を楽しみました(とにかく晴れてよかったです)。

イ:都内の公園でこうして楽しんでいる人たちがこれほどいるとは思っていませんでした。ぼくらはデイキャンプでしたが、宿泊もできるんです。
ミ:その日も宿泊する人はいたんですか?
イ:はい、片付けが終わって20時ごろにもテントを張っている人たちがいましたから。次回はぜひミホコさんにも参加していただきたい。
ミ:なにか役目がないと私はダメですよ。
ハ:はい、お願いします!たき木拾いとかでもいいですか?


LAPUAN KANKURIT 50周年

次は自分の報告です。創業50周年を迎えたフィンランドのテキスタイルメーカーLAPUAN KANKURIT。来日されたオーナーのヤーナ・ヒェルト(JaanaHjelt)さんにお会いできるということで、表参道のお店へ行ってきました。

数日前からずっとヤーナさんにどんな質問をしようかと考えをめぐらせていました。LAPUAN KANKURITが「ラプアの織り手たち」を意味するということで、やはりラプアという場所のことを聞きたいと思っていました。

ラプアはどんなところですか?と質問すると「先日行ってきた修善寺とよく似ています。川が流れていて、すこし田舎で」とヤーナさん。アールト建築が多く残されているセイナヨキの街から列車で30分ほど北へ行ったところにあり、近隣にはKyröのお酒をつくる蒸留所もあるそうです。

「修善寺は山の中ですけれど、ラプアはこんな感じです」と、いちめんの広い草原にぽつぽつと小屋の立っている写真を見せてくれました。そうした場所だからこそ、自然から着想を得たシンプルなデザインのテキスタイルがうまれてくるのかもしれません。

今回の50周年を記念して復刻・リメイクされたOsmankäämi(ガマズミ)というテキスタイルは、創業者リーサ・ヒェルトのデザイン。上の写真は、1970年代にフィンランド最大のインテリアやデザインの展示会「Habitare|ハビタレ」に出店したときの様子です。リーサさんらしき女性と、左奥にOsmankäämiのデザインが見えます。

店頭に飾られていた羊毛の束を眺めていると、ヤーナさんがやってきて「インディゴで染めたフィンシープだけを使った製品があるんですよ」と教えてくれました。フィンシープはとても軽くて柔らかいのが特徴だそうです。ラプアに行ってみたいですというと「ぜひいらしてください」と地図のイラストが描かれたポストカードを手渡してくれました。いつか行けることを信じて。

最後に質問したのが、商品タグのデザインについて。かつてジャガード織り機に使われていたパンチカードがモチーフになっているのですが、どんな意味があるのか気になりました。「なんでしょうね、昔からなのでちょっとわかりません、笑」とヤーナさん。自分は【LAPUANKANKURIT】というコードではないかと予想しています!

終始にこやかにお話ししてくれたヤーナさん。お店を後にするとき「もいもーい!」と手を振ってくれました。


Kalevalaポップアップ@NEWoMan新宿

その帰り道、新宿南口のNEWoMan新宿で開催されているフィンランドのジュエリーブランドKalevalaのポップアップ(4月30日まで)へ向かいました。Moiでも度々お世話になっているグラフィックデザイナーの遠藤さんと会場でお会いして、Kalevalaのことやフィンランドのことなどをたくさんお話しすることができました。

日本では現在ポップアップを中心に展開しているKalevalaですが、アルテックとアカデミア書店の間にあるというヘルシンキの旗艦店は、黒を基調とした内装に白樺の木が並び、地衣類を模したようなカーペットが敷かれているといった、ちょっと雰囲気のあるお店だそうです。

Kalevalaのジュエリーを見ておもうのは、どこか時空が歪んでいるような感じ。宇宙の旅に出る古代人、都会の中の深い森、そんな相反するようなイメージが浮かびます。

映画『スターウォーズ』のレイア姫がつけていたネックレス、ということでKalevalaをはじめて知りました(当時はラッポニアというブランドから、後に統合)と言うと「それならありますよ」と見せてもらうことができました。店員さんにうかがってみたところ、Kalevalaのことをすでに知っていて来店されるお客さんがほとんどとのこと。

また今回のポップアップで日本初登場となるのが、アムレッティ・コレクション。太古の物語や神話からイメージした5つのシンボルにはそれぞれに意味が込められています。「5枚のカードから1枚引いてみてください。それが今のあなたに必要なものです」ということで、自分の選んだカードが『Aurinkoleijona(太陽の獅子)』=力と勇気のシンボルでした。勇気がほしいです、笑。

▶︎ シンボルの魔法|Journal – Kalevala


アク・アンッカはドナルド・ダック

最後は、先週の配信後にLAPUANKANKURIT表参道へプレゼントを探しに行ったというミホコさんの報告。

©︎mihoko-san

フィンランド浸透度調査隊長(フィンランドが街にどれだけ浸透しているかを個人的に調査する)のミホコさん。通勤時、最寄り駅で「AkuAnkka」という文字が書かれたショルダーバッグを持つ男の子(青年?)を発見しました。

もし今度見かけたら、どうしてそんなバッグを持っているのか聞いてみたいと思ったというミホコさん。別の日、同じ時刻だったらと期待していましたが、見かけることはなかったそうです。

アク・アンッカは、フィンランド語で「ドナルド・ダック」だそうです。


シマの準備はいいですか

5月1日は、Vappu|ヴァップ。フィンランドでは春の到来をお祝いする日です(学生や労働者たちの日でもあります)。そのヴァップに欠かせない飲み物が、Sima|シマという微炭酸のレモネード。それぞれの家庭でも作られます。昨年は自分でも作ってみました。

今年は作るかどうか悩んでいるというミホコさん。毎年作っているんですかと聞くと、とくに毎年作るとは決めてはいないそうです。

以前掲載したみほこさんのレシピはこちら(レポート#4)。ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。

©︎mihoko-san

ちなみにミホコさんは、Kantarellikeitto|きのこのスープを携えて、配信に臨んでいたようです。


ノルディック・トークス・ジャパンが開催

そしてミホコさんからお知らせ。4月26日に【NORDICTALKSJAPAN】というフォーラムがオンラインで開催されます。今回のテーマは「デジタル社会における平和と民主主義の進め方」。

難しいタイトルがついていますが、身近なデジタルツールを題材にした話が聞けるそうです。タンヤ・ヤースケライネン駐日フィンランド大使も閉会の挨拶をされますよとミホコさん。

2023年4月26日 17:00〜18:30
Zoomオンライン(日本語通訳あり)
詳細・申込:Nordic Talks Japan


── 人生が旅だとするならば、行き先はきっとどこにもありません。行きたい場所があったとしても辿り着けるかわかりません。それならどうして旅をするのでしょう。それは人がどうして生きるのか知りたいからなのかもしれません。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text|harada

#108|Heart of Gold – Neil Young