節分、春分の日、そして次はヴァレンタイン。そんなある日、下駄箱にチョコレートならぬ、郵便受けに購読していないはずの新聞が入っていたという岩間さん──
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Moi!フィンランドをもっと好きになる97回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。
たき火の音を聞く
今回まずミホコさんが紹介してくれたのが、Spotifyで聞いているという「Fire Sounds」。
書きものなどをしているときには「ながら聞き」が苦手なので、たき火の音がぴったりというミホコさん。暖炉の中で薪がパチパチとはぜる音を聞いていると、どこか暖かくなってくるような気分になるそうです。
ミホコさんにとって、たき火の音というのは、フィンランドを感じさせる音そのものとのこと。
ミ:7時間以上あるので、ずっと聞いています。これも私にとっては「フィン活」ですね。
イ:たき火のアプリもありますよ。薪を投入するとぶわっと火が上がる「追い薪」もできます。
ミ:フィンランドの川の音や鳥の鳴き声などもありましたが、続いては火の音です。
イ:近年いろいろな効果音が増えましたよね。飛行機の機内の音がお気に入りで聞いていました。
ミ:ドラム式の洗濯機を窓に見立てたりしてましたよね、笑。
火を見ていると落ち着くということはよく聞きますが、音や匂いにもそんな効果があるように思います。またMoiでも「たき火の会」を開催したいと思っていますので、どうぞお楽しみに。
フィーカの時間で笑顔に
そしてもうひとつミホコさんが紹介してくれたのが、通訳・翻訳家セルボ貴子さんの出演されたアンドフィーカ「フィーカの時間」。今回は特別編ということで、セルボさんが暮らしていらっしゃるフィンランドはポリからのライブ配信でした。
前半部分はルーネベリタルトやラスキアイスプッラといったお菓子のお話から、セルボさんがどのようにフィンランドにたどり着いたのかというお話。後半は翻訳と通訳について、これまで翻訳された本の紹介もありました。
ミ:セルボさんのたのしい「貴子節」が聞けますので、ぜひご覧になってみてください。
ハ:まだ冒頭しか観ていないのですが、ポリの町の話などもされていましたよね。
ミ:町の歴史からアールトにもゆかりのあるノールマルックなどについても紹介されていました。
ハ:マイレア邸ですね。
ミ:私はもっと本の話を聞きたかったです、笑。
終始、笑顔で話されるセルボさんに、こちらまで自然と笑顔になってくるような回でした。観るときっと元気になれると思います。ぜひご覧ください。
▶︎ 北欧対談31 セルボ貴子さん(通訳者、翻訳家)|フィーカの時間
2月5日はルーネベリの日
次は岩間さんの報告です。「今日2月5日はルーネベリの日ということで、Instagramなどでも近頃ルーネベリタルトをよく目にしますね」と岩間さん。
ルーネベリタルトはみなさんご存知のように、生地に砕いたピパルカック(ジンジャークッキー)を混ぜて、たっぷりのラズベリージャムをのせた焼き菓子。ロバーツコーヒーやHyvääMatkaa!にも限定メニューとしてあるそうですので、気になる方はお店へお出かけください。
タンペレのROBERT’S COFFEE Ratinaには、なんとルーネベリタルトのジェラートがある!と教えてもらいました。どなたかにぜひ現地レポートをお願いしたいです、笑。
イ:ルーネベリの生まれた町に行ったことがあるというコメントをいただいていますね。
ハ:ヤコブスタッドという町みたいですね。サイトがスウェーデン語なのでスウェーデン語圏でしょうか。
イ:ヴァーサの北だそうです。
ミ:あ、ピエタルサーリですね!
映画『ガール・ピクチャー』のジュリー・ロンドン
昨年のフィンランド映画祭でも人気のあった映画『ガール・ピクチャー』の試写を観たという岩間さん。原題が『Tytöttytöttytöt(ガールズ・ガールズ・ガールズ)』という通り、10代の女の子3人が主人公の青春映画で、今のフィンランドの若い子たちのさまざまな悩みやその姿を描いた物語。
以前話題に上った『国家がよみがえるとき』(古市憲寿+トゥーッカ・トイボネン共著/マガジンハウス)にも書かれていたように、親子関係や自立に対する考え方が日本と異なる状況もありますね、と岩間さん。また映画音楽について、ヒップホップやダンスミュージックが多いなか、50年代にジュリー・ロンドンの歌った曲が流れるシーンがとても印象的だったそうです。ぜひ劇場で確かめてみてください。
映画『ガール・ピクチャー』
2023年4月7日公開
新宿シネマカリテ、YEBISUGARDENCINEMAほか、全国順次ロードショー。
▶︎ unpfilm.com/girlpicture
マイヤ・イソラとアルミ・ラティア
続いて映画の話題を自分から。3月3日に公開になる『マイヤ・イソラ旅から生まれるデザイン』について。昨年の秋、岩間さんと一緒に試写を見せていただく機会がありました。こちらの映画の関連イベントなども始まったので、今回話しました。
映画は、マリメッコを代表するテキスタイルデザイナー、マイヤ・イソラを紹介するドキュメンタリー。モノローグや日記や手紙の朗読によって進みます。創業者アルミ・ラティアの強そうなイメージに対して、マイヤ・イソラは芸術肌でどこか寡黙な人という印象を持っていました。ですが、映画でその人生を知り、大きくイメージが変わりました。
岩間さんもマイヤ・イソラは自由奔放なクリエイターで、彼女に翻弄されながらもプロデューサーであるアルミ・ラティアはその才能を認めていたのでしょう、と。一方で、マイヤ・イソラもアルミ・ラティアに感謝していると語っていたので、とても興味深い関係だったのだと思います。
また副題に「旅から生まれるデザイン」とあるように、世界中を旅したマイヤ・イソラ。その場所場所からインスピレーションを得ながら生まれたデザインだったからこそ、フィンランドだけでなく海外でも受け入れられていったのではないでしょうか。
映画『マイヤ・イソラ旅から生まれるデザイン』
2023年3月3日ロードショー
▶︎ maija-isola.kinologue.com
ミ:今月には『コンパートメントNo.6』も封切になりますね。
ハ:2月10日ですね。
イ:2月、3月、4月とフィンランド映画が続きます。
ミ:快挙です。快挙です。二度言っちゃいます、笑。
リュイユは友だち
最後は再びミホコさんから今週の予定について。
まず、南青山のギャラリーで本日から開催される佐藤千織さんの個展。フィンランドでもテキスタイルを学ばれたという佐藤さんの作品をぜひみなさんもご覧になってください。
佐藤千織個展『Chiori Sato Textile Works』
2023年2月4日〜2月9日
12:00〜19:00
Gallery Blue 3143(港区南青山3-14-3)
もうひとつが、2月14日のヴァレンタインデー、フィンランドでは「Ystävänpäivä|友だちの日」ということでフィンランドのお知り合いにカードを送ろうと準備しているそうです。
ハ:佐藤さんはリュイユの作品も作られているんですよね。先日、京都国立近代美術館のYouTubeでリュイユ・コレクターのトゥオマス ソパネンさんの講演を見ました。
ミ:録画ですか?
ハ:いえ、来日されて(開催初日に)美術館で講演されていました。
ミ:原田さんもぜひリュイユの制作方法など聞きに千織さんの展示を観にいってくださいね。
ハ:はい、行きます!
── その新聞を開いて、岩間さんが見つけたのが「フィンランド」「虚像の森」「上山美保子訳」といった文字。『フィンランド 虚像の森』(新泉社)の広告だったそうです!何もしなくてもフィンランドが向こうからやってくる、フィンランドに愛される岩間さん。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。
text : harada
#97|I’m In The Mood For Love – Julie London