#096 とっておきのこの一曲

1月もあっという間におしまい。まるで3分間のポップソングみたいです ──

Moi!フィンランドをもっと好きになる96回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。


リュイユ ─ フィンランドのテキスタイル:トゥオマス・ソパネン・コレクション

最初の報告は自分です。京都国立近代美術館で始まった「リュイユ ─ フィンランドのテキスタイル:トゥオマス・ソパネン・コレクション」について。展覧会を観る前に予習をしておこうと思い、リュイユについて調べてみることにしました。

といっても、手軽に手に入れられるリュイユの資料などはなく、検索しても以前自分が書いたnoteの記事がヒットするという悲しい結末。フィンランド語の「ryijy」でもなかなか足がかりがつかめません。そこで「Tuomas Sopanen」を検索ワードに加えて、フィンランド語の記事をいくつか読みました。

リュイユコレクターのトゥオマス・ソパネンさんが最初にリュイユを手に入れたのは1982年のこと。博士号取得の記念に姉がプレゼント(手作り)してくれたアクセリガッレン=カッレラがデザインした『Leikki|炎』でした。ミホコさんも『炎』を一般家庭で何度か見かけたことがあるそうです。

1997年にアンティークショップに飾られていたリュイユに魅せられコレクションを始めました。「集め始めたのは思ったよりも最近なんですね」と岩間さん。ソパネンさん自身もリュイユにこれほど興味を持つ人がいなかったことが良かったと語っています。

現在ソパネンさんが所有しているリュイユは600点ほど(フィンランド国立博物館に次ぐ第2位の規模)。「それを聞いてまず、保管場所はどうなっているのかなと思った」と岩間さん。そのほかにもドラ・ユングのテキスタイルやキリムもたくさん所有しているとのことなので大変なことになっているのではないでしょうか。

個人的にはリュイユはフィンランドの伝統工芸や美術とデザインを結ぶ架け橋のようなものではないかと想像しています。日本でリュイユを一堂に観られるこの機会をぜひ会場で。

▶︎ リュイユーフィンランドのテキスタイル:トゥオマス・ソパネン・コレクション|京都国立近代美術館

イ:まずは、リュイユの説明を、笑。
ハ:そうですね。フィンランドの伝統工芸品で、元々はヴァイキングが船で防寒具として使っていて、毛足の長いカーペット、、、
ミ:カーペットというと、どうですかね? 壁にかけたりしますから。
ハ:そうですね!装飾品です。壁にかけたり、結婚式の飾りや、ベッドカバーにしたり。

メモ:京都国立近代美術館のYouTubeでソパネンさんの講演を視聴したところ、リュイユはゆるく粗めに編んでいるため摩耗しやすく、あまり敷物としては使われないと話していました。


シベリウスの季節がやってきた

10年ぶりの大寒波とニュースなどでも話題になっていましたが、冬というのはこんなに寒いものだったかと思わされた一週間。次は、寒いと最高にテンションが上がる(笑)という岩間さんの報告です。

岩間さんにとって、そんな季節にピッタリの音楽というのが、フィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウス。フィンランドを訪れた時に、あらためてシベリウスの楽曲の魅力に気づいたという経験について話してくれました。

なかなか大団円へと進まない楽曲に、まるで長い冬を通り抜けていく感じがする。鬱々と抑圧されたところから高揚していく演奏に、フィンランドで感じる太陽のありがたみや自然の変化などを思い出した。デザインやアートと切り離せない自然という存在。それがフィンランドの原点であり、そこからフィンランドの芸術が生まれてきた。シベリウスのこと、フィンランドのことが、皮膚感覚でわかった瞬間だったそうです。

イ:寒い冬にシベリウスを聴くというのは、暑い夏の日に飲むビールみたいなものですよね、笑。
ミ:賛同される方いらっしゃいますか?笑。(5名の方が挙手してくれました)
ハ:岩間さんのおすすめの楽曲はなんですか?
イ:交響曲第2番第4楽章がおすすめですね。
ミ:まだまだ寒い日が続きそうですので、ぜひお聴きになってみてください。


チョコレートと編み物 〜 ヘルシンキ・ブックフェア 2022

最後はHyvää Matkaa!へやっと行くことができたというミホコさん。お店では現在、ヴァレンタインのポップアップを開催中。今度行ったときにはお店の奥にあるHONKAの小部屋で過ごしてみたいとのこと。

そしてミホコさんが「ヘルシンキ・ブックフェア」について書かれた北欧語書籍翻訳者の会のnoteを紹介してくれました。

▶︎ ヘルシンキ・ブックフェア2022のことなど

記事を読んで岩間さんが注目したのが、フィンランドのお菓子メーカーFazerのパッケージデザインを靴下の編み図にした本。その本を見た時、さすがに笑ってしまったというミホコさん。他にはムーミンの編み図などもあったそうです。

メモ:記事の最後に出てくる「Tulenkantaja賞」について、ちょうどリュイユについて調べていると「Tulenkantajat」という言葉が出てきました。1920年代に活動した文学グループとのこと。きっと書店名の由来となったのではないでしょうか。

ミ:ファッツェルやムーミンとのコラボレーションだそうです。
イ:元々、北欧諸国では手工芸や編み物が盛んでしたよね。
ミ:ネットにも編み図が公開されていたりしますが、やはりネットよりも本だそうです。
イ:家で過ごす時間が増えてきたなかで、そういった北欧の過ごし方が見直されていますね。


フィンランドのポップミュージック 1980’s〜1990’s

最近、街で80年代や90年代の音楽を耳にする機会が多くなったような気がするという話をしたというミホコさん。その時期のフィンランドのポップミュージックを教えてくれました。

まず一人目が、イー・カルヤライネン(J. Karjalainen)。1981年にデビューしたシンガーソングライター、スタジオアルバムも20枚以上リリースしています。90年代後半のグループ名「ElectricSauna」というのが素晴らしい!

二人目、と思ったらグループだったエップ・ノルマーリ(Eppu Normaali)。シルヤ三兄弟によるバンドで1978年にデビュー、ベーシスト以外のメンバーは変わっていません。当初はパンクバンドだったようです。

三つ目が、ミホコさんが90年代といえばこのグループというウルトラ・ブラ(ULTRA BRA)。2001年に解散。主要メンバーは2002年からScandinavianMusicGroupとして活動中。

このレポートを書きながら聴いていた曲を最後に紹介。

J. Karjalainen – Popsävel 66(2022年にリリースされたアルバムから)
EPPU NORMAALI – Suolaista Sadetta(2004年の曲)
ULTRA BRA – Minä suojelen sinua kaikelta(ミホコさんおすすめ)


── けれど、そんな短い曲にだって永遠を感じることがあります。過去、現在、未来。人によっても、年代によっても、気分によっても。時間の速さは伸びたり縮んだりするみたいです。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text:harada

#96|This Is Pop – XTC