#092 青空のように

青空のお正月です。何が変わったというのでもないのに、空が新しくなったような気がします ──

Moi!フィンランドをもっと好きになる92回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。


カリウスマキ? カウリスマキ!

今回の配信は1月1日ということで、年末の話題と今年の抱負?が中心となりました。

トップバッターは自分から。井の頭公園前の「トムネコゴ」というカフェで開催されていた大平高之さんの作品展を観てきました。現在のMoiのロゴを描いてくれたのが大平さんです。

自分が大平さんの絵を初めて知ったのは、まだ吉祥寺にmoiがあった頃。ちょうどこのトムネコゴでの展示でした。アパートの一室を改装したとても雰囲気のあるお店で、古い建具や家具に小物など、どこか時間が止まったような静かな場所です。

大平さんの絵はいつか見た記憶のようだと思います。ある日感じた光や温度がよみがえってくるような。

ミ:大平さんにロゴを頼まれた理由は?
ハ:それは岩間さんから、どうぞ。
イ:大平さんは、いろいろな雑誌やCDジャケットなども手がけているんだけど、静かな感じのとても好きな絵だったので。moiにも来てくれていて、キッチンを手伝ってくれていたことも、笑。

お店でコーヒーを待つ間、ペーター・フォン・バーグ『アキ・カウリスマキ』(2007年/愛育社)という大きな本を眺めていました。それまでのカウリスマキの作品をインタビューと写真で振り返った一冊です。こんなにたくさんの作品があるんだと驚くとともに、これからひとつずつ観ていくたのしみもあるなと思いました。

ハ:アキ・カリウスマキの映画……
ミ:カウリスマキですね、笑。今まで観たことがある作品は?
ハ:ええと、『希望のかなた』だけです。
イ:今ではカウリスマキをリスペクトして制作されている作家や作品も多いからより楽しめると思うよ。
ミ:今年の抱負はそれですね!


NHK BS1『鬼が弾く左手のピアニスト舘野泉』

次の報告は岩間さん。NHKBS1で放映されたピアニスト舘野泉さんのドキュメンタリー番組を観ました。

みなさんご存知のように舘野泉さんは、フィンランド在住のクラシックピアニスト。パートナーは声楽家のマリア・ホロパイネンさん。北欧の作曲家の作品を紹介されたり、左手のピアニストとして再起されたあとは新しい曲を作曲家に委嘱して演奏活動を行なわれています。フィンランドでは勲章も授与されていらっしゃいます。

番組は、昨年の日本でのコンサートツアーを追ったドキュメンタリーで、「舘野さんが素敵でとても良かった」と岩間さん。再放送もあるそうですので、見逃した方はぜひご覧ください。

▶︎ 鬼が弾く左手のピアニスト舘野泉|NHK BS1

イ:フィンランドにまつわるものは出てこないかと目を皿のようにして見ていたんだけど、食卓にマリメッコのティーコージーがありました。
ミ:これから観るという方はそういったところにも注目して・・いたら、疲れちゃいますね、笑。ところで、マスターの今年の抱負は?
イ:今年はサークルに重点を置いて、オフライン/リアルでみなさんと出会える機会をつくりたい。美術館の展示を一緒に観にいったり、最少催行人数二人くらいの規模でも、笑。とにかく小さな会みたいなものをもっと充実させたいですね。
ミ:今年はnuotio|takibiにも注目ということですね。
ハ:(ミホコさん、ありがとうございます!)


ラリーとヘビメタ

そしてミホコさんの報告。年末はこれまで撮りためていた番組をひたすら視聴しました。

©︎mihoko-san

テレビ東京『新美の巨人たち』は昨年Bunkamuraザ・ミュージアムで開催された「イッタラ展」を取り上げた回。展覧会で実際にミホコさんが注目したポイントは取り上げられなかったとか。確かにいろいろな視点から見ることのできる展覧会だったように思います。

そして、NHK『これって攻めすぎ!?世界旅行』。「攻めてましたか?」という岩間さんの質問に、言「足りない!」とミホコさん、笑。それでも凍った湖の上でドリフト走行など行うアトラクションの紹介で登場したドライバーのニコ・カンクネンには注目したそうです。

彼の父は、世界ラリー選手権で4回ワールドチャンピオンに輝いた伝説のドライバー、ユハ・カンクネン。「DNAや環境は侮れない」とミホコさん。

イ:そういえば、ミホコさん。ラリー大会のボランティアをされていたこともありましたよね?
ミ:ユヴァスキュラのラリー大会でボランティアをしました。メディアセンターの通訳など。
ハ:フィンランドのラリーというとやはり森の中を走ったりするんですか?
ミ:そうですね。ユヴァスキュラ近郊にペタヤヴェシの古い木造教会があるんですが、その前の小さな通りも猛スピードで走り抜けていくんです。
イ:フィンランドっていろいろな入り口がありますけれど、F1などモータースポーツから入ってくる人も多いですよね。ところで、優秀なドライバーが多く輩出されるのはどうしてでしょう?
ミ:ヘビメタもそうですけど、ひとりでいることが多くて爆発したくなる、とか、笑。

また、建築家の関本竜太さんが出演したアンドフィーカのYouTube番組『フィーカの時間』も観たとミホコさん。「関本さんの話を真面目に聞くのは初めてだった」とのことですがとても興味深かったそうです。moiの話もたくさんされていたので、ぜひ一度ご覧になってみてください。

▶︎ フィーカの時間

ミホコさんの今年の抱負は、たんたんと日々フィン活をすること。スポーツやヘビメタなど、幅を広げてみようかなと。「サ道」も観てみたというミホコさん、たんたんとと云いつつ攻めています。


アイノラ交響楽団 第20回定期演奏会のお知らせ

岩間さんから告知もありました。声楽家の駒ヶ嶺ゆかりさんからのご案内で、2月に開催されるアイノラ交響楽団の定期演奏会について。ちなみに駒ヶ嶺さんは、マリア・ホロパイネンさんに師事されていたそうです。

演目は、シベリウスの初期の交響曲「クッレルヴォ」と「バレエの情景」、カヤヌス「アイノ」。指揮は新田エリさん。

アイノラ交響楽団第20回定期演奏会概要

日程:2023年2月23日(木祝)
時間:12:30開場/13:30開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
主催:アイノラ交響楽団
Web:ainola.jp/archives/2961

ミ:「クレルヴォ」といえば『カレワラ』ですね。
イ:5、6年前に一度聴いているんですが、背景を知らなくて楽しめますよ。
ミ:男声合唱団も出演されるのでしょうか?
イ:はい、出演します。2月なのでいい時期ですね。
ミ:どうしてですか?
イ:シベリウスはやっぱり寒い時に聴きたい、笑。


2023年はカニの年?

「ところで今年はカニ年ですね」と岩間さん。それに対し「カニ、そうですね。やっぱりカニ(kani)よりヤニス(jänis)。『Jäniksenvuosi』ということで」とミホコさん。

時間差で気づきましたが、どちらもフィンランド語で「うさぎ」のこと。まだまだ修行が足りません、笑。

ちなみに、kaniは(アナ)ウサギで、jänisは野ウサギのこと。『Jäniksenvuosi』はアルト・パーシリンナによる小説、1975年の卯年に出版されました。

©︎mihoko-san

ミ:原田さん、何か言い残したことはありますか?
ハ:年末に「もし来年フィンランドへ行ったら何をしたいですか?」と質問されたのですが、やっぱりフィンランドを歩きたいです。
イ、ミ:笑。
ハ:街でも、森でも、海でもいいんですけれど、いろいろなところを。
ミ:フィンランドの人たちに会いたいということ?
ハ:人も、植物も、動物も、見てみたいです。
ミ:その歩いている原田さんを見てたいです、笑。
ハ:ああ、迷子にならないようにですか?
イ:GPSをつけて追いかけるとおもしろいかもね、笑。

歩いてみたいと思ったのは、自分でフィンランドの「地図」を作ってみたいと思ったからです。Moiを手伝うようになってから、たくさんの方々の話を聞いたり、本を読んだり、調べてみたり、お店やイベントに行ったり、展示を観たりしてきました。そこから見えてきたものが自分の中に確かにあります。誰かの用意した「地図」はひとまず置いておいて、もっと自由にフィンランドを感じてみたい。そんなことを考えています。


── それはきっと自分が変わっていくということなのかもしれません。それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。

text:harada

#92|It’s All Over Now, Baby Blue – Bob Dylan