炎暑の中、道行くひとの気をなんとか引けないものかと思い、テイクアウトメニューを考案してみました。
自家製はちみつレモンスカッシュ。マラソンの給水所の発想で、①ちょっと栄養ありそうで、②歩きながらさくっと水分補給できる、のがポイント。 しかも、自分の体温を超えるような暑さになると、ひとは「炭酸系」のドリンクを欲する、という「飲食業界の定説(?!)」にならい、さわやかな炭酸系の味わいに。
ふと思いついてから3時間後には商品化。なんだこの異様なスピードは!ひとりで店をまわすということは、毎日が「すぐやる課」状態、この軽快さこそが身上なのです。
ところが、道行くひとの食いつきはいまひとつ・・・。う~む、企画だおれ、かも。すでに幻のメニュー誕生の予感。
「すぐやる課」は、こうしてときに「すぐやめる課」だったりもするのです。
国立のWILL cafeさんより今週のケーキ「あんずケーキ」が到着しました。食欲増進作用のある「あんず」は、夏バテ気味のいまの時期にぴったりですね。
ところで、今夜はやっと熱帯夜からも解放されそうですが、夏の夜にぴったりの耳に涼やかなライブはいかがでしょう? 都内のカフェやレストランを舞台にライブ活動をされているボーカリスト廣井亜以子さんのステージが、今週の土曜日、三鷹のレトロなバー文鳥舎さんでひらかれます。
キュートで透明感あふれる亜以子さんの歌声、そしておなじみのポップスからスタンダードジャズまで肩のこらない選曲は、リサ・エクダールやソフィア・ペッターソンといった北欧のボーカリストたちに共通する〈風通しのよさ〉を感じさせてくれます。いつかmoiでのライブも実現させたいですね、亜以子サン!
週末は音楽でクールダウン、おすすめします!
ノルウェー人シェフが腕をふるう北欧スタイルのカジュアルレストランとして巷で評判のjuniper(ジュニパー)は、思っていたほどには北欧ではありませんでした。
ハンス・ウェグナーの椅子やロイヤルコペンハーゲンの食器など、要所要所は北欧デザインで占められてはいるのですが、ちょっとばかしおしゃれにすぎるのかも。
たとえていうなら、コンラン卿が提案するスカンジナヴィアン・ダイニングといった趣き?!メニューも、とりたてて北欧を意識したといった感じではないですが、盛り付けもきれいですし、ハーブの効かせ方もちょっと風変わりでおいしく食事できました。ただし残念ながら、個人的にBGMがNGでした。
まず音量が大きすぎるし、かかっているのも(なぜか)ジャミロクワイとか、こういうお店にありがちなブラジリアンハウスとか・・・
せっかく想像力を刺戟する空間なのにもったいない!ということで、勝手にトリビュート企画第一弾?!として、近いうちjuniperにふさわしいBGMを選曲をすることにしました(笑)。しょせんシャレなんで叱らないでください・・・。
まだまだ暑い日はあるものの、日射しにいっときほどの勢いはもはやなく、ようやく「秋」が近づいてきたことを実感できるようになってきました。
そしてそのことを裏づけるかのように、今週お楽しみいただいているWILL cafeのケーキは、まさに「秋」を先取りした逸品「無花果(いちじく)と紅茶のケーキ」(写真提供/WILL cafe)です。
今が旬の「無花果」のとろりとした果肉の甘味とプチプチした食感が、アールグレイの風味とともに口の中ふわりとひろがります。その印象は、上品にしてゴージャス。じつはふだん「無花果」なんてほとんど口にしないのですが、あらためて食してみるとなかなかに味わいぶかいものですね。
みなさんもぜひ、舌の上でちいさな「秋」と出会ってみませんか。
サルミアッキ(*)でネタをひとつ・・・
*サルミアッキとは、フィンランド人がたいへん好むキャンディーのこと。「塩こんぶ」をさらに過激にしたようなその「あまじょっぱい」味覚は、ときに「世界一まずいキャンディー」と形容されるほど。リコリス(甘草)のエキスや塩化アンモニウム(!)などを原料とする。フィンランド上級者たちのあいだではなかば「踏み絵」と化しており、平然とパクつけることがステータスともされる?!
以下は、「ギター侍」風にお読みください。
♪ワタシ わ~た~し フィンランド好き
I love ラブラブ フィンランド
「サルミアッキだって、わたし案外平気ですゥ」
って、言うじゃない・・・
でもアンタ、無理してサルミアッキ食べれるようになったその「根性」
シンナーに手を出すヤンキーといっしょですから!残念!!
胃の中で塩化アンモニウムと味噌汁が化学反応 斬り!
拙者、お察しの通り、きょうネタ切れですから 切腹!!
また来週~
注文からおよそ1年半(!)、京都のパティスリーミディ・アプレミディよりうわさのロールケーキ「フロール」が届きました。いえ、ほとんど注文したことすらも忘れておりましたが。
ごらんのとおり、ごくふつうの、いたってシンプルなロールケーキ。きめ細やかな、でもしっかりとした弾力性のあるスポンジ生地、こうばしい表皮、バターとフレッシュクリームの上品な香りがふわっと漂う生クリームと、いずれも最高の原料をつかってていねいにつくられていることがわかります。さすが待たせるだけのことはあります。これまでのロールケーキにたいするチープな印象はすっかり覆されました。絶品です。
最高の原料とていねいな仕事さえ心がければ、ごくシンプルなロールケーキですら、趣向を凝らした生菓子にもじゅうぶん匹敵しうる高級菓子になりうるということを、この「フロール」は身をもって証明したというわけですね。その意味では、庶民が食するべきものではないのかもしれません。いわば宮内庁御用達。
1年以上の待ち時間を費やし、1本2,800円という価格を支払ってまで食べたいものかというと、そのあたりは判断のわかれるところでしょうが、気持ちとふところに余裕のあるかたは、ぜひ話のタネにチャレンジしてみることをおすすめします(すくなくともブログのネタにはなります)。なお、送料をふくめると4,000円を超えてしまったことを、参考までつけくわえさせていただきます。
せめて一年にいちどくらいは、初めて口にするたべものと出会いたいものだ。見ただけで味が想像できてしまうというのではなんだかどうもわびしいし、そもそもいろいろな味覚と出会ってみたいという素朴な欲求のようなものもある。
きょうは「西瓜糖(すいかとう)」というものを口にした。もちろん、うまれて初めての経験だ。「西瓜糖」といってまっさきに思い出すのは、リチャード・ブローディガンの小説『西瓜糖の日々』であり、おそらくはそこから名前をつけたとおもわれる阿佐ヶ谷のカフェギャラリー「西瓜糖」のことである。そもそも、そういうたべものが、しかも日本に実在しているなんてことはぜんぜん知らなかった。そんな話をしたら、お客さまで「ジオライフ」という天然素材の食品をネットで販売されているKさんが、さっそくもってきてくださったのだ。
Kさんの話によると、「西瓜糖」というのはすいかの果汁を、砂糖などの甘味料を一切くわえることなく、ただひたすらことことと5時間ほど煮詰めたもので、利尿作用のある健康食品として各地で食されているのだそう。ちなみに「ホットケーキ」でやたらと有名な神田須田町のフルーツパーラー万惣では、ずいぶんむかしからこれを製造・販売しているとのこと。これも初耳。
一見したところ、「西瓜糖」は赤茶色をしたジャムのようにみえる。スプーンにすくってちょっとなめてみると、砂糖を一切使っていないとは思えないじゅうぶんな甘味がある。けれども、けっしてしつこい甘さではない。味は、・・・う~ん、すいかの味という印象はない。むしろ、キャラメルのような素朴なこうばしさがある。たしか麦芽でつくった水飴というのがこんな風味だったような気がするのだけれど・・・あまりさだかではない。Kさんにすすめられるまま、ミルクにティースプーン一杯弱ほどの西瓜糖をとかしこんで飲んでみたところ、なるほどキャラメルティーのようなまろやかな味がした。
小説を書くにあたってブローディガンが、はたしてこれとおなじものをイメージしていたかどうかはナゾだけれど、もっと奇想天外なものを想像していたぼくとしては、「あ、意外に食べれる!」なんて、まさに百聞は一見にしかずな感想をいだいたのだった。
※写真は「ジオライフ」様よりおかりしました。
ふだんの日は、ほとんど家で料理をすることなどないのでせめて休日くらいはとおもうのだけれど、いざ休日ともなるとなかなか忙しくて結局ありあわせのもので済ませてしまうのがいつものパターン。
きょうは雑用に追われる一日なので、ちょっとした気分転換にホットケーキを焼いてみた。日ごろ、おひるごはんなんてゆっくり食べたことないし、匂いのしない冷たいものをちょこっとパクつく程度なので、じっくり熱したフライパンでゆっくりホットケーキを焼いているだけでもうずいぶん贅沢なことをしているような、そんな気分になってくる。
ほかほかのホットケーキをほおばって、Iさんからわけていただいたケニアンティーを手鍋で大ざっぱに沸かし、ロンドンの下町風(?)ミルクティーをこしらえる。手のこんだものはなにもない。でも、むしろこれくらいの力のぬけ具合がぼくにはちょうど心地よく、性に合っているみたいだ。
まるまると太ったリンゴを、ご実家が長野で農園を営んでおられるSさんからいただいた。
世界規模で地球温暖化問題が取り沙汰されている昨今ではあるけれど、実際この冬の異常なあたたかさを思うとそれがもはや遠い未来の話ではないということが実感される。Sさんの話では、いずれ長野県あたりではリンゴは栽培できなくなるだろうという空恐ろしい未来予想図も存在するらしい。
じゃあ、実家の農園もいずれ「マンゴー」か「パパイヤ」にでもくら替えしなきゃね、なんてそのときは冗談まじりに話していたのだけれど、じつはそんな悠長な話ではもはやないのかもしれない。日本のみならず、世界各地で頻発する異常気象や天変地異が、それを物語ってはいないだろうか?
それにしても、夏の暑さが苦手で、ピリっとした冬の空気がすきなぼくにとって、まったく東京は住みにくい場所になってしまった。このぶんだと、moiもいずれ札幌あたりにでも移転せざるをえなくなるかもしれないな。でも、それもわるくない。
お裾分けいただいた食べものの美味しさを自慢しようという、いささか品のないお話。
写真のこんがりいい色に焼けたお菓子は、どちらもフィンランドの家庭で食べられている素朴な焼き菓子。こしらえたのは、フィンランド・カレリア地方の家庭料理を日夜研究(?)している西尾さん。あるクリスマスパーティーのために用意したお菓子をお裾分けしていただいた。世間で言うところの「役得」である。
ヨウルピパリ(写真後方)は、その名のとおり、フィンランドのクリスマスには欠かせないスパイスクッキー。シナモン、カルダモン、それにクローブといったスパイスの風味が効いていて、コーヒーにも紅茶にもよく合う。
写真手前は「ウィルヘルミーナ・ピックレイパ」、直訳するとウィルヘルミーナのちびパンという名前のお菓子だそう。「パン」というよりは「焼きケーキ」といった感じだろうか。どちらも表面はしっかりカリッと焼いてあるのだけれど、口のなかに放りこむとホロっとくずれるのが特徴的。とりわけ、やや粒子の粗い粉の食感がなんとも味わい深くて最高!
つい先日も、ご近所に暮らすフィンランド人の女性とフィンランドと日本とでは「粉」がちがうという話をしたばかりなのだけれど、こうしてみるとフィンランドの素朴なお菓子の美味しさは粉のあじわいにあるといえるかもしれない。じっさい、西尾さんも以前わざわざフィンランドから「粉」を取り寄せたことがある、とおっしゃていた。テレビなどで、「ソバ通」のおっさんが「粉が・・・」などと語っているのをみるにつけなんとなくウザくおもっていたボクではあるが、気がつくと「粉のあじわい」について云々しているじぶんがいる・・・おそろしい話である。
残念なことに西尾さんの焼くお菓子は一般に販売されていないのだけれど、moiでは西尾さんがプライベートにまとめられた「フィンランド家庭料理」のレシピ集を店内で自由に閲覧できるようにしているので、興味があるというかたはぜひ!
さて、コーヒーのアテはやはり「あんぱん」にかぎるという話は、まえにこのブログでも書いたとおりですが、その後、なんにんかの方から「おいしいあんぱん情報」をおしえていただいたり、実際に差し入れしていただいたりして、ますますコーヒーとあんぱんの相思相愛ぶりを確信するにいたった次第。そしてついに、これぞ理想の「コーヒーのアテ」というべきあんぱんと出会いました。それがキィニョンのあんぱん(写真)です。
キィニョンはmoiのお客様にも「ファン」がおおい、国分寺のパン屋さん。おなじみ(?)、西尾さんが差し入れてくださいました。それにしたって、どうです?見てくださいよ、このツヤと張り。くんくんと鼻を近づければ、麹種のいい香りがフワリと立ちのぼってきます。生地のかたさもちょうどいいあんばい。これがなんだか水っぽくてベチャっとしているとがっかりしてしまうところですが、ヘンに口に残らないのでコーヒーの味も邪魔されません。そして肝心なポイント、皮と甘さ控えめのあんことのバランスもいい感じです。
至福のコーヒータイムのお供に「キィニョンのあんぱん」、おすすめします。
ひさしぶりに晩メシでも、という友人からの誘いで、ゆうべは池ノ上にあるワインバー「the apprtment」に行ってきた。その名のとおり、外観はごくフツーのアパートの趣き、というよりはアパートそのまんまで扉をあけるのにほんのすこし勇気が必要だが、一歩はいってしまえばこじんまりとしてカジュアルなワインバーである。料理はイタリアンベースの創作料理で、ワインとの相性をかんがえてか、素材や味つけにはちょっとだけクセがあってなかなかおいしかった。ぼくはほとんど飲めないので、イタリア産の軽めの白ワインをグラスで一杯だけ。
その後はぶらぶらとあるいて下北沢へ移動、「トロワシャンブル」で酔いざましのコーヒーブレイク。ジャワ・ロブスタのストレートがあるのがめずらしく、苦味の強いコーヒーできりっとさせたかったのもあってそれにする。煤けたカベ、薄暗い店内、そしてコーヒーの香り。せわしなかった一日のしめくくりは、すこしだけ大きめの音量でかかるニーナ・シモン、まさにパーフェクト。
パティシェのちえさんと話しをしていて、ショートケーキはエラいということになった。
ちえさんによれば、毎シーズンごとにこの世に送りだされる新作ケーキのうち、つぎのシーズンまで生き残れるものはごくわずかなのだという。そのことを思えば、すくなくとも数十年ものあいだ「定番」として生きながらえている「ショートケーキ」はまさに偉大というしかない。
生クリーム×スポンジケーキ×イチゴという組み合わせからなる「ショートケーキ」は、そのシンプルさゆえごまかしのきかない、パティシェさんにとってはなかなかに手ごわい存在だったりするのではないだろうか。極めようと思えばどこまでも極められる、それでいて、それなりでもそれはそれで許せてしまうようなフトコロの深さが「ショートケーキ」には、ある。ところが、ヘンな「色気」を出してなにか余分な素材でもつけくわえようものなら、とたんにそれは「ショートケーキ」とは異なるなにかべつのものに変身してしまうのだ。
さらにまた、「ショートケーキ」はそのデザインがすばらしい。生クリームの純白に、イチゴの赤。技巧を凝らした芸術的な細工とまたちがう、てらいのない美しさこそが「ショートケーキ」のよさじゃないだろうか。そしてなんといっても、ナイフを入れたあとの断層である。礼儀を心得た人のような、なんとも控えめで、かつ律儀な印象をそれはあたえる。よくわからないけれど。
とまあ、こうして「ショートケーキ」をほめたたえながら気づいたのだが、「ショートケーキと北欧のプロダクトデザインの美質はきわめて近いものがある」。つまり、三段論法的に述べるなら「北欧デザインとはショートケーキである」。
となると、同様にこんな結論も導きだされる。「ショートケーキはエラい」→「ショートケーキと北欧デザインは似ている」→ゆえに、北欧デザインはエラい!
まわりくどい書き方をしてしまったが、けっきょくぼくは「ショートケーキ」も「北欧デザイン」もすきだと言いたかっただけなのだ。
春だぁ~と思ったら、またいきなり冷え込んだりしてどうにもタイミングがはかりづらいのですが、四月もなかばをすぎたことだし、ことしもそろそろ「ウス茶ミルク」をはじめようかと思います。
「ウス茶ミルク」って、おそらくあまり聞きなじみのない名前ではないでしょうか?じっさい、よその店ではあまりというか、たぶんほとんど見かけないメニューだと思います。でも、これ、じつは静岡県ではけっこうメジャーな飲み物なのです。ウソだと思ったら、ぜひ身近にいる「静岡県民」にたずねてみてください。いまmoiでこれを出しているのも、ひとえに、子供のころ二年半ほど静岡で暮らしていたことのあるぼくの個人的なノスタルジー以外のなにものでもありません。
ところで「ウス茶ミルク」の正体は?というと、「ウス茶糖」を低温殺菌乳で割ったものです。「ウス茶糖」というのは、最高級の抹茶に上質のグラニュー糖や天然香料のシナモンをくわえてつくった粉末で、静岡県の老舗茶店が昭和8年(ということは72年前)に発売して以来の人気商品です。静岡にいたころには、よく夏になるとこれを水や牛乳で割って飲んでいました。「ウス茶ミルク」の味をひとことで説明するなら、抹茶のような舌に残る苦味がない、とてもやさしい味わいのドリンクといったところでしょうか。インパクトよりは、ふわりと薫る若草のような匂いをぜひたのしんでいただきたいと思います(お茶うけつき 650円)。
いつもちいさな《偶然》を届けて、そのつどびっくりさせてくれる友だちがいる。
京都のおみやげといって持ってきてくれたのは、「鈍刀煮(どんとうに)」という名前のたべもの。イワシをしょうゆと酒、酢で炊きあげ、天日干しをくりかえしてつくった「お茶漬けイワシ」とのこと。これを目にして、またまたほんとうにビックリした。
というのも、じつは昨晩、ぼんやり眺めていたある雑誌でこの「鈍刀煮」のことを知り、「わぁ~食べてみてぇ~」などと叫んでいたところだったからである。しかもその「ある雑誌」というのは、先日ここでも取り上げたばかりの『料理王国』6月号。送られてきた掲載誌をパラパラめくっていて《発見》したのだった。こういうミラクルなことを時々やってのける人なのだ。脱帽。
イワシだけに、やぁ~ほんとにギョッとしたよなどと「正調おやじギャグ」でしめてみるの巻。
つめたいものが恋しい季節になってきました。
月刊『カフェ&レストラン』6月号の特集「東京ドリンクのリアル-人気カフェが表現する138品」では、そんなこれからの季節にぜひトライしてみたいコールドドリンクの数々が紹介されています。ここmoiからは、ふたつのオリジナルドリンク「クランベリーオレンジ」と「マンシッカ」がエントリー。
ちなみに「マンシッカ」とは、フィンランド語で「イチゴ」の意味。北欧の「夏のごちそう」、ベリーのフレーバーシロップをつかったさわやかな炭酸系ドリンクです。ところで、このドリンクにはちょっとしたストーリーが込められています。「マンシッカ」に飾られたミントの閉じこめられた氷、それは「フィンランドの夏の訪れ」をイメージしています。長い冬のあいだ大地を覆っていた「氷」がようやく融け、いっせいに「緑」が芽吹く、そんな季節のうつろいをじつはこんなかたちで表現してみたのです。
そしてもうひとつのおたのしみ。この「マンシッカ」にはごろんとひと粒、おおきな「いちご」が入っています。「いちご」は凍っているので、お好みのタイミングで口いっぱいにほおばってみてください。ドリンクでありながら、そんな「たべるたのしみ」も忘れない、ちょっと欲張りなドリンクなのです。
これからの季節、北欧の夏に思いをはせながらぜひいちどおためしください!
水っぽくなくて、しかも片手でたべられるようなすべてのものは、「物理的に」テイクアウト向きということになるだろう。けれども、「水っぽくなくて、しかも片手でたべられるすべてのもの」がじっさいにテイクアウトされるかというと、そんなことはない。おそらくは「心理的に」それを阻止するなにか、「羞恥心」であるとか「タブー」であるとかが作用するからにちがいない。
たとえば、さいしょの定義にもとづけば、「バナナ」は「テイクアウト向き」のたべものであることにまちがいはない。けれども、そうそう街でバナナを頬張るひとに遭遇しないのは、それがなんとなくサルみたいだからではないだろうか。では、おなじく「テイクアウト向き」とおぼしき「ようかん」についてはどうだろう。
というのも、あるお客様から「『ようかん』をまるかじりするおじいさん」の目撃談をきいたからである。話によるとそのおじいさんは、棒状のようかんを一本そのまままるかじりしていたという(「西」の方角をむいて笑っていたといった情報については未確認)。身なりもちゃんとしていたし、ようかんも「とらや」かどこかのちゃんとしたようかんだったそうだ。町中だったということはあるにせよ、ちゃんとした老人がちゃんとしたものを食べているという限りにおいて、そこにこれといった違和感は感じられない。問題はやはり、それが「ようかん」だったことにある。
ひとつかんがえられるとすれば、それは見た目に「いくらなんでも甘すぎる」。その老人が筋金入りの「甘党」だったとしても、あまりに度が過ぎている。その「いくらなんでも甘すぎる」ものを、白昼堂々と他人の視線を気にするでもなく猛然と食しているのである。その姿に、ひとが驚きをこえて畏怖の念すら抱くのもむしろ当然かもしれない。だから、ようかんのなんたるかを知らない外国人がその光景を目にしたとしても、不思議には映るにせよ異様には思わないはずである。場合によっては、「うまそう」とさえ思うかもしれない。おなじように、歩きながら角砂糖をむしゃむしゃ頬張るひとも「いくらなんでも甘すぎる」のでだめだ。
どうしても、ようかんや角砂糖を外でむしゃむしゃ食べたいというひとには、せめてもう片方の手にペットボトルの「お茶」なり「水」なりをもつくらいの心の余裕を期待したいものだ。世間の風当たりも多少はマイルドになるはず、である。
イタリア帰りの友人からもらったコレ、いったいなんだと思いますか?
一見、それは「つまようじ」のようにもみえます。箱をみると「LIQUIRIZIA」の文字が。ん?!その響き、なにかに似てない?コレはもしや・・・、そうです、あのフィンランドの黒い黒い不気味なキャンデー「サルミアッキ」の原料になる、LACRITSIの根っこそのもの、なのです。この植物、日本でも「甘草(かんぞう)」と呼ばれ、古くから生薬として使われています。一方、北欧をふくめ、ヨーロッパにおけるそれはどちらかというと薬効のある嗜好品という位置づけのようです。
じっさい、これも「たべもの」ではなくガムのような感覚で「噛むもの」なのだそう。言われるとおり、クチャクチャと根っこをかじっていると、ほのかな苦みのある甘みが口に広がってきます。さらに噛みつづけていると、甘みは次第に薄くなり、ついにはひたすら苦みだけになります。苦くなったら吐き出すものなのか、あるいは苦みをぐっとこらえて楽しむのが本来のあるべき姿なのかそれすらもわからないのですが、友人の話ではこれをトリノ郊外のひなびたドライブインで手に入れたそうです。イメージとしては、イタリア人の気の荒い長距離トラックのドライバーがこいつをクチャクチャとやりながら深夜の街道をひた走っている、ってそんな感じ?
日ごろからこんなものをクチャクチャやっていると、いつかは銀幕にでも登場しそうな苦みばしったいいオトコになれるのでしょうか?あるいは、逆に苦みばしったいいオトコを気取るため案外こんなものをクチャクチャとやったりするのかもしれませんね?!
ちょうど一週間ちがいでフィンランド&スウェーデンへ行かれていたmomokoさんから、スウェーデンみやげのチョコレートをいただいた。
ストックホルムの、コーヒー豆や紅茶の茶葉を売る店で購入されたとのこと。コーヒーといっしょに楽しむような、いわゆる「キャレ」という四角くて平べったいチョコレート。大人っぽいビターな味である。そういえば、スウェーデンでのむコーヒーは、酸味の強いフィンランドのコーヒーとは異なり苦味もほどほどにある比較的バランスのいい味が多かった。
こと「味覚」にかんするかぎり、数多くの、さまざまな人々が暮らす場所ほど「平均的になってゆく」(「おいしくなってゆく」という意味ではかならずしもない)という「仮説」を立ててみたのだけれど、はたしてどうだろう?
きのうの晩からきょうの夕方にかけて、ここ東京でもずいぶんと雨が降りました。夢うつつに、一晩中ザァーッという雨音をきいていたような気がします。
そして、そんなじっとり湿った梅雨空に対抗すべく、きょうは串揚げをたべてきました。カラっと口あたりも軽く揚がったハモ、おくら、そら豆、グリーンアスパラガス・・・旬の素材をハフハフとほおばりながら、だいぶ鈍くなりつつある味覚に《季節感》という「喝」を入れてきました。
ちかごろは、どうやら胃袋もちいさくなってきたようで、昼食はすごく軽めだったにもかかわらず串25本でギブアップとなりました。ちなみに、女性でいちばん食べたひとはなんと120本以上(!)だったそうで・・・こういうひとにはきっと、「梅雨」も「猛暑」もなんのその、まったく関係ないんでしょうね。参りました。
ロケットのそうじゅうしになりたい-そう小学一年の作文に書いたのは野口聡一さんである。そう書いたとき、三十年後ほんとうに野口少年が「宇宙飛行士」になろうなどとは周囲のだれひとりとして予想しなかったにちがいない。おそらく、かれ自身でさえも。けれども、夢は現実になった。いままさにかれは宇宙にいるのだ。すばらしい。
ところで報道によるところでは、野口さんにはもうひとつ「夢」があったらしい。宇宙で好物のラーメンをたべる、というのがそれだ。そしてそんな野口さんの「もうひとつの夢」を叶えるべく、「カップヌードル」でおなじみの日清食品が開発したのが史上初の宇宙食ラーメン「スペース・ラム」である。
いわずとしれた無重力状態の宇宙で「汁物」であるところのラーメンをたべるということがいかに無謀な企てであるか、そのことをだれよりもよく理解しているのは野口さんそのひとであるはずだ。にもかかわらず、ラーメンをたべたい野口さん、あっぱれなドリーマーぶりである。
さて、こうしてお目見えした「スペース・ラム」。さっそくさまざまなテレビ番組でとりあげられていたのだが、すくなくともブラウン管をつうじてみるかぎり、それはお世辞にも「ラーメン」とは似ても似つかない物体であった。麺は、無重力状態でも飛び散らないよう三つの塊にわけられている。毛糸玉がほつれちゃって、ああもうやんなっちゃったぁ~というルックスである。これを70℃というぬるめのお湯でもどす。この70℃というのが、シャトル内で使用できる限界なのだそうだ。もちろん汁も、無重力対策で「あん」状になっている。そうして、たべている姿は相当にマズそうなのだった。
いま野口さんに言いたいのはこういうことだ。野口さん、宇宙飛行士になる「夢」を果たしたあなたのような方が、そんな程度の「ラーメン」に満足しちゃあいけない!なんでも、野口さんのリクエストにより、味は「みそ」「しょうゆ」「カレー」「とんこつ」の4種類が用意されているという。一瞬、へぇ~すごいじゃん、と思ってしまいそうにもなるがそれはいけない。味つけはラーメンの本質なんかではない。たんなる「まやかし」だ。シャトルの船内にあつあつの汁の匂いが充満し、乗組員たちがズルズルと麺をすする音が響きわたるその日まで、野口さんと日清の開発スタッフの方々にはぜひがんばっていただきたいものである。
「夢」はかなう。
缶コーヒーといえば「ボス(BOSS)」なわけだが、こちらは「ヴォス(VOSS)」、Oさんからいただいたノルウェー育ちのミネラルウォーターである。
話によると、こちらセレブ御用達のミネラルウォーターなのだそうで、かのマドンナさん(46)も「わたしはこれを置いてないホテルには泊まらない」と言ったとか、言わなかったとか・・・。
ミネラルウォーターの常識(?)を覆すそのあまりにスタイリッシュなボトルデザインは、たしかに「庶民」が気軽に口に運ぶのをためらわせるようなオーラを放っている。「へぇ~、あなたがワタクシを飲むって仰るの?(微笑)」みたいな。もちろん、おそれ多くてぼくにはまだ口をつけることができません。
つまるところ、缶コーヒーがたかだか「上司(ボス)」なら、さしずめこちらは究極の「女王様系」ウォーターなのです。
実家の近所に、とびきり辛いが、とびきり旨い「麻婆豆腐」をたべさせる店がある。
この店ができてまだ間もないころ、ひょんなことからあるグルメ雑誌のためにここを紹介したことがあった。しばらくしてその店に行ったときその雑誌が飾られているのをみて、一応「署名原稿」だったこともあり、オーナーの方には軽くごあいさつだけしておいた。その後、ほかの雑誌やテレビなどでもちょくちょくとりあげられるようになったその絶品の「麻婆豆腐」は、わざわざ遠方から車で訪れる客があとをたたないほどの知るひとぞ知る「まぼろしのメニュー」となった。
いっぽう、ぼくは実家を離れたりしたこともあって、この店をたずねる機会を失ったまま5年ほどの歳月がたっていた。ようやくタイミングがあってひさしぶりにたずねてみると、なんとお店の方はこちらのことを憶えていて、わざわざ声をかけてくれたのだった。そのときは予想外の展開にややビビリつつも、さすがは「客商売」といたく感心したりもした。けれども、いざじぶんが「客商売」をする立場になってみると、それはけっして「記憶力の問題」ばかりではない、べつの一面がみえるようになってきた。
お店をやっている人間にとって、いちばんありがたいのはやはりお客さまからの「あたたかいことば」である。ちょっとしたお客さまのひとことに、「救われた」と感じることもすくなくない。当然、そうしたことばや、そうしたことばをかけてくれたお客さまのことは自然に心に刻み込まれている。いま、ぼくじしんが店をやっていてそうであるように、このお店の方もまた、ひさびさに訪れた客の顔に自然に過去のささやかなエピソードがよみがえったのだと思う。
もしみなさんが、どこかの店に行って「おいしい」と感じたり、雰囲気や接客に「いいな」と思えるところがあったなら、ちょっとしたひとことでかまわないので、ぜひ帰りがけにでも声をかけてあげてください。その「ひとこと」は、もしかしたらみなさんが思う以上にお店をやっているひとにとって大きな「励み」になっているかもしれないので。
1965年に出版されたある雑誌をパラパラめくっていたら、こんな広告をみつけた。それは「カンビール」の広告だった。
誌面には、「プルトップ キリン缶ビール 新発売!」という大きな黒い文字がおどっている。さらに、こんなキャッチコピーも添えられているのだった。
「カン切りのいらないカンビール!」
ビックリマークつき、である。さらに説明文が、それがいかに革命的な事件であるかを主張する。
「つまみを指で押し上げて引っ張るだけで簡単にあけられます。」
つづいて、
「いっぺんに 大きなアナがあくので吹き出しません。」「ゴクゴクゴクッとひと息にーキリン缶ビールのあたらしい魅力です。」
そういえばたしかに、子供のころ「トマトジュース」の缶はそんなふうにカン切りであけて飲んでいたなァ。中身を出すための大きめの穴とちいさな空気穴、ふたつの穴をあけていた。けれども缶ビールまでもがそんな具合だったとは、まったく知らなかった。いったい、当時はみんなどのようにして缶ビールを飲んでいたのだろう。グラスに注いで、では「缶ビール」の意味がないだろう。かといって、カン切りであけた「穴」から飲んだのではいかにもまずそうだ。やはり、かんづめのようにカン切りでフタを全部あけて飲んでいたのだろうが、気をつけないと口を切る心配がある。なかには血まみれになったヤツもいたにちがいない。
けれどもそれにもまして「革命的」だったのは、「吹き出さない」という点にあることはこの広告を読めばあきらかである。缶ビールを飲もうとして、はからずも優勝した野球チームのビールかけ状態になってしまうひとびとが後をたたなかったのだろう。「おいおい、優勝祝賀会じゃないんだから」、飲むひとはそう考える。ビール会社のひとは「なんとかならんものだろうか」、そう考えた。こうしてこの画期的な「プルトップ缶ビール」が世の中に登場したのだとしたら、NHKはすみやかに「プロジェクトX」でとりあげてもらいたいものである。
まあ、いきさつはともかく、いまぼくらが無防備に缶ビールのフタをあけているその背後にはからずもビールかけ状態になってしまった無数の名もないひとびとの存在があったということは、せめて心に刻みつけておいてもバチは当たらないのではないだろうか。1965年の雑誌はぼくにそう語りかける。
某フィンランドのサイトにて、これはどうしたものかというシロモノを発見。
いわく、どんなお料理にもマッチするエクセレントなスパイス。ちょっと待ったァ!この不気味な黒い物体こそは、あのサ・ル・ミ・ア・ッ・キではないか!!!
子供のころよくみかけた、デコレーションケーキのうえにのっていた宇津救命丸のような銀色のつぶつぶよろしく、これをケーキやアイスクリームにトッピングして食えとでもいうのだろうか・・・。まあ、おみやげにはよさそうですね。ゲームで負けたらごはんにパラパラ、おかずにパラパラといった「罰ゲーム」的使い方はもちろん、イジメやいやがらせにも最適です。たぶんね。
日中はまだまだ暑いけれど、朝晩はめっきり秋らしいさわやかな気候になってきましたね。そんなわけで、メニューも春夏メニュ-の「ウス茶ミルク」から秋冬メニューの「チャイ」へと"衣がえ"しました。夏の疲れたカラダを、やさしいスパイスの香りでぜひいたわってあげてください。
京都での「おたのしみ」といえば、なんといっても「旦那洋食」を堪能することである。
街をあるけば、由緒正しきグリルから家族経営の気さくな洋食屋まで、たくさんの洋食屋が軒をつらね自慢の腕をふるっている。イタリアンよりも中華よりも「洋食」をこよなく愛するぼくとしては、そこはまさしく地上の楽園なのである。とりわけ西陣界隈は、キング・オブ・洋食、「旦那洋食」のメッカ。そして、その一角に店を構えるあこがれの名店が「萬春」である。
その「萬春」の味が「冷凍食品」でカジュアルにたのしめてしまうのが、この上等洋食シリーズ「萬春 ライスグラタン」なのだ。「たかが冷凍食品じゃん」などと侮ってはいけない。コレ、相当に旨いのだ。まあ、値段もそれ相応ではあるけれど、このクオリティーからかんがえればけっして高くはない(と思う)。
京都の「萬春」で本物の「旦那」を気取るのは無理でも、これを食べればインスタントな旦那気分は味わえそう?!
フィンランドをはじめ、北欧の国々でおなじみのクリスマス・ドリンクといえば「グロギ(グロッグ)」です。
かんたんに言えばスパイシーなホットワインということになるのですが、ワイン以外にもウォッカやアクアヴィット、マデラ酒を加えたり、ジュースをつかったノン・アルコールのものがあったり、またスパイスの種類もまちまちだったりして、いろいろなレシピにあたってみても「これが正しいグロギです」という答えにはたどりつけません。
じつは去年のいまごろも、季節のメニューとしてノン・アルコールの「グロギ」をだそうと思い試作を重ねてはみたものの、どうも納得のゆくものができずけっきょく止めてしまったのでした。
そして、ことしもまた思い出したかのように「グロギ」の試作をはじめました。先日は、リサーチがてら(?!)はじめて「moomin Bakery and Cafe」をたずね「グロギ」を飲んできました(画像)。
まあ、あまりレシピにはこだわらず、moiオリジナルのグロギをつくるつもりで試行錯誤してみたほうがよいのかな?と、いまはそんな感じです。無事完成のあかつきには、近々メニューにもおめみえすることでしょう。
寒くなってきたなぁと思ったら、グッドタイミングでひらいみもさんからおすすめのハチミツをいただいた。ハチミツそのものの味はけっして得意ではないのだけれど、この季節ハニーレモンはよくこしらえて飲みます。
といっても面倒なことは苦手なので、そのつくり方はいたって簡単にして乱暴。カップにレモン半個をぎゅっと搾ったら、大さじ1.5くらいのハチミツをくわえ、そこに熱湯を注いでかきまぜるだけ。これを寝る前に飲むと、からだがぽかぽかしてよく眠れます。ラムとかほんのすこしくわえてもいいかも。ビタミンCたっぷりで風邪の予防にも役立つ、まさに冬のかんたん定番ドリンク、ですね。
ただいま、ご存知「a tes souhaits!(アテスウェイ)」のケーキをバカ喰い中、しかも2個・・・。
というのも、せっかくのクリスマスに水をさすような話で恐縮なのですが、いまぼくが抱えている「突発性難聴」という病気の治療に専念するため、大変申し訳ないのですが、明日25日からしばらくのあいだmoiの営業をお休みさせていただくことにしたからです。きょうの検診の結果からすると、どうやら年末年始は「都心の高級ホテル」ならぬ「病院」でのんびりさせていただくことになりそうです。
いまのところ、月曜日にならないとどの程度の時間の治療と静養が必要なのか定かではないのではっきり言うことはできませんが、ぼく個人としては1月中旬の再開を一応の目安にしています。また具体的なことは随時このブログでお伝えすることができると思います。
というわけで、お客様、そして関係者のみなさまにはご迷惑をおかけしますが、しばし充電して帰ってきたいと思っておりますので、今後ともお引き立ての程どうぞよろしくお願いいたします!
※なお、午前中の「フィンランド語教室」は予定通りです。生徒のみなさん、お待ちしております。
なにかおやつが食べたくなって、土曜日の昼下がり散歩にでた。
自宅から西荻まで、ぶらぶらと歩いて20分あまり。最短コースではなく、あえて蛇行しながら思いつくままに歩く。土曜の午後の閑静な住宅街は人影もまばらで、耳にもやさしい。善福寺川では、たくさんのカモたちがピィーピィーと空気が抜けたようなのんきな鳴き声をあげながら遊んでいる姿を、しばし立ち止まって見入ってしまう。のどかだなぁ。
西荻は、ちいさなパン屋やお菓子屋がたくさんあっておやつを探すには事欠かない町である。その点、荻窪はあまりおもしろくない。けっきょく、朝食のパンを買おうとはいった「アンセン」というパン屋さんで「おやつ」(画像)もいっしょにゲットする。果たしてどんな名前のお菓子だったかうっかり忘れてしまったのだけれど、「生地の状態がいいので、本日一番のおすすめ」なんて書かれたら、そりゃあちょっと食べたくもなるってものでしょ?
そして、目的である「おやつ」を手に入れたなら、あとは家へと一直線。のんびり古本屋をひやかしているひまなんてないのだ。すべてはおやつのために、あるいは地球はおやつで廻っている。ふだんより時間の浪費に鷹揚な「土曜日の午後」だからこそ、こんなバカバカしいほどに豪華一点主義な散歩がふさわしい。
新緑の季節です。メニューもそろそろ「衣更え」のころ、若草色のやさしいお飲物「ウス茶ミルク」をはじめました。
ウス茶ミルクは、「ウス茶糖」をベースにした冷たいお飲物です。高品質の抹茶に、上質のグラニュー糖、天然香料のシナモンを加えてつくった「ウス茶糖」は、抹茶のほのかな香りとやさしい甘味が特徴で、苦味はほとんどありません。余談ですが、「ウス茶糖」の発祥の地は静岡県。よって、静岡県ではとてもメジャーな存在です。ぼくもまた、子供のころ少しだけすごした静岡でそれと出会いました。ある意味、ノスタルジーですね。
よろしければ、ぜひいちどお試しください。
ウス茶ミルク 650円(お茶うけがつきます)
二人でお茶を、というわけで、キャラメルクリームティーです。
フレーバーティー好きのあいだではよく知られる、京都の「MLESNA TEA HOUSE(ムレスナ・ティーハウス)」の茶葉を使用した人気メニュ-です。カップ一杯につき、通常のおよそ3倍にあたる約10グラムもの茶葉を使い、ミルクでじっくりと煮出しています。ストレートでもかまいませんが、香りをより引き立ておいしく召し上がっていただくために精製していないキビ糖(当店では「ペルーシュ」のお砂糖をお出ししています)を加えることをおすすめしています。
また、プラス50円でマシュマロのトッピングもできます。よりクリーミーでマイルドな味わいがお楽しみいただけます。マシュマロが溶けてゆくにつれ、すこしずつ変化してゆく口当たりを楽しむのもまた「休日のティータイムならでは」といえるのではないでしょうか?
ぜひお試しください!
フィンランドのフレーバーティーといえばこれ、NORDQVISTです。
北欧のベリーや花、草木やスパイスなどを使用した北欧らしい味わいと、「SADEPA:IVA:N ILO(雨の日の愉しみ)」「KEISARIN MORSIAN(皇帝の花嫁)」といった詩的なブレンドネーム、それにマリメッコ(Marimekko)のテキスタイルデザインも手がけるアンティ・エクルンドが監修したポップでカラフルなパッケージが人気のひみつ。
外国産のフレーバーティーのなかには、香料がきつくて飲みにくいものも少なくないのですが、このNORDQVISTのフレーバーティーは個性的でありながら、嫌みのないナチュラルな風味でとても親しみやすいと思います。
なお、このNORDQVISTのフレーバーティー、来月くらいからmoiでもお取り扱いをはじめる予定です。これで、フィンランドに行かなくてもフィンランドのティータイムをお楽しみいただけますね。ぜひ、お楽しみに!
ワーキングホリデーを利用して日本に滞在中の韓国人ユンジョンが、「チャパゲッティー」なる、韓国ではとてもポピュラーだというインスタント食品をもってきてくれた。大好物なのだとか。
茶色い。圧倒的な茶色さ、である。
なんでも、スパゲッティー+ジャージャー麺でチャパゲッティーとのこと。ゆであがった乾麺に粉末ソースをまぶし、よくからめるとこういったルックスに「大変身」する。そして仕上げはオリーブオイル(!!)。なるほど「スパゲッティー」だしなと自分に言い聞かせつつ、思いきって・・・。
さっそく試食。こってり系を予想していたのだけれど、見た目の「強烈さ」とは裏腹に案外さっぱりしている。もうひと味なにか加えたいくらい。今回はありもので、青ネギとゴマをトッピングしてみたが、たっぷりの白髪ネギ&オリーブオイルの代わりにゴマ油でもよいかも。
ところで、ユンジョンの話によると韓国には「ブラックデー」なる「記念日」が存在するとのこと。なんでも、4月14日の「ブラックデー」には、恋人のいない者同士があつまって「ジャ-ジャ-麺」を食べるのだという。なんで4月14日なのか?とか、なんでジャージャー麺なのか?とか「疑問」はつきないが、それ以前に、それって楽しいのだろうか?よくわからん。お茶目だな、コレアライネン。
治りかけたと思ったら、またぶり返す。ちかごろの東京の空模様と同様、どうもすっきりしないうっとうしい風邪です。
そんななか、WILL cafeのくるすさんがケーキの納品の折に自家製ジンジャーシロップを届けてくださいました。WILL cafeさんがつくる「新生姜のケーキ」は、毎年この季節になると登場する人気の逸品。この、旬の新生姜をふんだんに使ったケーキをつくる際にできるエキスが、甘くて香り高い濃厚な「ジンジャーシロップ」なのです。
このシロップを炭酸で割れば、おいしい自家製ジンジャーエールのできあがり!というわけで、さっそくためしてみました。
moiでお出ししているウィルキンソンのジンジャエールも、その「刺激」ではなかなか有名ですが、こちらWILL cafeさんのシロップをつかったジンジャーエールは、口あたりこそやわらかいものの、後からじわーっと体があたたまってくる感じでなんともいえない「旨味」があります。
これではやく、体の中から風邪を追い出したいものです。
今週、来週と、都合によりプッラ(フィンランド風シナモンロール)をお休みさせていただきます。ゴメンナサイ。
代わりにといってはなんですが、展示のテーマにあわせて「コーヒー」にちなんだ特別メニューを期間限定でご用意させていただいております。WILL cafeさんによる「コーヒーシナモンケーキ」やコーヒー風味のクッキー各種(お席で召し上がっていただけます)、そして徳島のアアルト・コーヒーさんに展示のイメージでつくっていただいたオリジナルブレンド×2種です。
ぜひこの機会にお楽しみいただければと思っております。
ちょっとしたオーダーの取り違えで、せっかくつくったサーモンの北欧風タルタルサンドが宙に浮いてしまった。かといって捨ててしまうわけにもゆかないので、ちょうど小腹もへっていたこともあり自分で食べてしまうことにした。ひさしぶりに、たぶん数年ぶりに口にしたと思うのだけれど、いやぁ、うまいなぁコレは、ほんとオススメです。って、まあ、それはともかく、だれかのためにつくったものを自分で食べるという行為はやはりどこかむなしく味気ない。
こうして、『どっちの料理ショー』の「負けシェフ」のきもちをすこし理解したのだった。
なにが好きかと問われれば、「洋食」と答える。たべものの話、である。ハンバーグにエビフライ、カニクリームコロッケ、メンチカツにポークソテー、チキンライスにオムライス・・・ぼくにとって「ごちそう」とは、イタリアンでもフレンチでもなくて「洋食」のことなのである。
洋食というと、素材へのこだわりとていねいな仕事に裏打ちされた「職人仕事」というイメージがある。じっさい、洋食屋にはあまり《食のトレンド》とか追求してほしくないし、客をうならせる《サプライズな仕掛け》とも無縁であってほしい。ハンバーグはハンバーグらしく、エビフライはエビフライらしく、そして付け添えの野菜にも手を抜かない、ぼくのかんがえる「よい洋食屋」とはそういう店のことである。
そこで思い出さずにはいられないのが、朝比奈隆という指揮者である。93歳でこの世を去る直前まで現役でタクトをとりつづけた朝比奈は、その晩年ほとんどベートーヴェンとブラームス、それにブルックナーしか振らなかった。ごく限られたレパートリーを繰り返し演奏することでより楽曲の本質に迫り、その表現を深化させる、その姿勢はまさに「頑固な職人」と呼ぶにふさわしいものであった。そして、うまい洋食をつくる料理人とはおそらく、この朝比奈隆のようなタイプの人間にちがいない。逆にいえば、朝比奈隆がつくるハンバーグはさぞかしうまかったことだろう。
などと話は激しく脱線気味だが、画像は京橋にある人気の洋食屋レストラン・サカキのハンバーグ&エビフライ。ちゃんとしたハンバーグでありエビフライである。それ以上でも以下でもない、まさに職人仕事。コックコート姿でフライパンをあおる朝比奈隆を脳裏に思い浮かべながらおいしくたいらげた。
お待たせしました!
北欧のベリーや草花をつかい100%ナチュラルフレーバーにこだわった、フィンランドのNORDQVIST(ノードクヴィスト)のアロマティーが再入荷しました。緑茶×ピーチの「ピーチグリーン」、その名にふさわしく華やかな香りの「KEISARIN MORSIAN(エンペラーズブライド)」など、前回入荷しなかったフレーバーも加わりました。前回すぐ売り切れてしまった、8つのフレーバーをたのしめる「おためしパック」も再入荷です。
また、7月限定の超目玉アイテム(今後の入荷は一切ナシ)やお鍋をみはってくれるユーモラスな「トントゥのポットウォッチャー」などもあわせて再入荷しました。
ご来店の折には、ぜひチェックしてみてください。お待ちしております!
まちの自販機に、なんと「ウス茶糖」を発見してしまった!もちろんペットボトル!!!
「ウス茶糖」というのは、ここ「moi」と「静岡県」ではおなじみの緑茶飲料で、moiで提供している「ウス茶ミルク」のベースになっているもの、である。「ウス茶糖」はそれじたい、静岡県産抹茶×上質なグラニュー糖×シナモンをブレンドした粉末で、これをお湯もしくは水でとくと「ウス茶糖」になる。抹茶のような苦みはなく、ほろっとしたノスタルジックな甘さが特徴。それにしても、こんなものを商品化するなんてマニアックだなぁ・・・そして、4年もまえからこれをメニューにのせているmoiはもっとマニアックだなぁ。
いやはや、ダイドードリンコ×竹茗堂による奇跡(?)のコラボ商品。あっという間に世の中から消えてなくなるまえに、さあチェック、チェック。
くわしくはダイドードリンコのニュースレリースをどうぞ。
荻窪のひとなら誰しもその名前はしっているけれど、誰も口にしたことのない「名物」、それは亀屋の「カフェオレ大福」。
先日、お客様どうしでこのヒップなお菓子のことが話題となりたいへん盛り上がったのだが(ほんとうは、「食べたらおいしかった」というお客様をその他大勢で詰問していただけ)、そこに居合わせたTサンが「やはりじぶんの舌で確かめるべきでは」という至極まっとうな意見のもとわざわざ買ってきてくださったのだ(ということは、ほんとうに食べなくちゃいけないってコト?!)。
さて、この「カフェオレ大福」、冷凍状態で販売されているものをいい具合に自然解凍していただくというのが正しい食し方。断面をみると(画像)お餅の中に「コーヒーあん」が入っていて、さらに中心部には「生クリーム」がたっぷりと。
ころあいをみて、恐る恐るひとくち。ん?あ、けっこういける?!
Tサン、どうだったー?ていうよりも、いっそmoiで仕入れようか。
中華料理屋で「マコモ茸」をたべた。エリンギのようにもみえるがエリンギほどには弾力がなく、若いタケノコのような食感がおもしろい。
ところが、ここにきて衝撃の真実(?!)を知ってしまう。
マコモ茸はキノコではない!
その名前が、ちかごろ女子高生などがよく携帯ストラップにつけたり通学バッグにぶらさげていたりするアレにそっくりだったので、てっきり「キノコ」の一種と信じて疑わなかった。じつは、「マコモ茸」の正体とは「池や沼などに茂生するイネ科の水生植物「マコモ」の若芽のこと」なのだそうだ。セリやウドのようなれっきとした「野菜」というわけ。
ところで、ことしのフィンランドは記録的な少雨でベリーはほとんど壊滅状態、このままでは秋の味覚キノコも心配される。ただ、圭子 森下・ヒルトゥネンさんにれば市場には黄金の「あんず茸(ジロール)」(『かもめ食堂』でもたいまさこさんの旅行鞄につまっていたアレですね)が並びはじめたとのこと。
フィンランドの秋はもうそこまで来ている。そういうことのようだ。
用事ついでに「信濃町」で下車して、「長崎ちゃんぽん」をたべてきた。つい先日、「リンガーハット以外の長崎ちゃんぽん」がたべたかったというLaiheliinaさんが教えてくださった「満てん」という店である。
なんでもここは、銀座にある長崎料理の老舗「吉宗(よっそう)」が満を持して(?)オープンした長崎ちゃんぽん&皿うどんの店だそうで、カジュアルに本格的な長崎料理がたのしめる。メニューをみると、定番のちゃんぽんや皿うどんのほかにも「茶わん蒸し」や「きびなごの刺身」といった郷土料理系サイドメニュー、それに「味噌ちゃんぽん」や「カレーちゃんぽん」といった創作系など充実のラインナップ。あちこちの「ちゃんぽん」を食べているわけではないので味についてはとやかく言えないものの、(Laiheliinaサンのように)無性に「ちゃんぽん」や「皿うどん」がたべたくなったときにはまた来よう、と思う。
そういえば、ともだちの話では盛岡冷麺で有名な「ぴょんぴょん舎」もつい最近銀座に支店をオープンしたそうである。なかなか、《麺食い》にはうれしいニュースかも。
都合により、というのはパン屋さんがお盆休み中だからなのですが、
今週の土曜日、日曜日はサンドイッチをお休みさせていただきますので、ご了承ください。
軽食は、チーズスコーンの「moiプレート」のみのご提供となります。
スイーツは、ファンの多いサクサク&ふわふわ「スコーン」のほか、パウンドケーキが2種「あんずケーキ」&「レモンとポピーシードのケーキ」、トライフル、そしてもちろん「おやつセット」もあります。また、もしかしたら「プッラ」もご用意できるかも・・・?!
というわけで、この週末も暑そうですが、どうぞお茶しにがてら「フィンランドの風」を感じにいらしてください。お待ちしております!
さて、今週のケーキはひさびさに「コーヒーシナモンケーキ」の登場です。コーヒーとシナモンの相性のよさはもちろん、ほんのり効いたアニスの風味が大人っぽいWILL cafeさん自慢の定番アイテムです(写真提供/WILL cafe)。
そしてもう一種類は、WILL cafeのくるすさんが先日旅先の伊豆で出会った、「日向夏(ひゅうがなつ)」というオレンジをつかった季節感のあるパウンドケーキです。
ぜひ、お楽しみに!
※このあいだ、「コーヒーシナモンケーキがまた食べたい」とおっしゃるお客様がいらっしゃったので、あえて告知してみました。 このブログを読んでくださっているとよいのですが・・・
けさテレビで観たのですが(最近そんなのばかり)、アイスクリームでおなじみのブランド「ハーゲンダッツ」の名前って意味のない「造語」なのだそうですね。
ハーゲンダッツというのは1961年に生まれたアメリカのメーカーで、創業者がその語感から名前を決めたのだとか。ちなみに、
ハーゲン(Ha:agen)は「高品質なミルクをイメージさせる北欧の都市コペンハーゲン」の「ハーゲン(Hagen)」から、そしてダッツ(Dazs)は「語感が『ハーゲン』の響きにあう」という理由からつけられたもの。てっきりオーストリアかスイスあたりのブランドかと思っていたぼくは、これじゃあまるで「アメリカ人」だよ。
でも、そのつづりをみればたしかに無茶苦茶「造語っぽい」ですね。「Ha:agen」のまえの「a」にはウムラウトがついているのに、重なったうしろの「a」にはついていない。フィンランド語だとひとつの単語のなかで「a」が重なるというのはよくあるけれど、母音調和の法則というのがあるため、こんなふうにウムラウトのある「a」とない「a」とが重なることはまずありえないはず。ようするに、発音しにくそう。
ということで、フィンランド人のおともだちがいるかたは、ぜひ「Ha:agen-dazs」とつづけて3回(?!)発音してもらいましょう!
荻窪の洋食屋さん「Blue Bell(ブルーベル)」でお昼ごはんを食べてきた。
ぼくは、どこか用事があって出かけるときにはきまって、その街にうまそうな洋食屋さんがないものかチェックを入れるほどの無類の洋食好きである。京都が好きな理由にしたって、そこにはいい洋食屋さんがたくさんあるからというのが相当な部分を占めている。
二年ほど前のこと、八重洲~京橋方面に用事があったぼくは例のごとくその近辺の評判のよい洋食屋さん情報について調べはじめた。そんなとき、常連のNサンが教えてくださったのが「Blue Bell」という人気の洋食屋さんだった。ところがなんと運の悪いことか、ぼくが行こうと思っていたその矢先に、「Blue Bell」は諸事情から閉店してしまったのだった。ああ、まぼろしの味。まぼろしのオムライス・・・。
ところがおとといの夜のこと、アリタマサフミさんの展示に行こうと思いふたたび八重洲~京橋方面の洋食屋さん情報をせっせと収集(?)していたぼくは、ネットで思わぬ書き込みを発見することになる。
「あの『Blue Bell』が荻窪に移転して営業中」
しかも場所を調べてみたところ、な、なんと自宅から歩いて5分弱のところ!!!ああ、うれしい。
洋食の神様、どうもありがとう(そんな「神様」がいれば、の話だが)
そんな気分である。で、さっそく雨の中フレッド・アステアばりにスキップしながら行ってきたのだが、ああ満足、大満足、である。京橋時代からの大人気メニュー「オムライス」にも(当然)惹かれたのだけれど、生来のヘソ曲がり気質が首をもたげて「ウィンナーソテー」(画像)を注文。ソフトでジューシーで、マッカラ(=ウィンナー)大好きなフィンランド人にも食べさせたいよ。なんでもこの「ウィンナーソテー」は、京橋時代「散歩の達人」などいろいろな雑誌で紹介されたほどの人気メニューで、当時からのお客様の強いリクエストにより復活したのだとか・・・。なるほど、なっとく。昔からの常連サンたちは、オムライス&ウィンナーソテーとオーダーするのが定番なのだそう。
明るい店内はカウンターメインで、ひとり客がほとんどとのこと。こだわりの味でもぜんぜん堅苦しいところはないので、女性同士、あるいは女性ひとりでも全然OKです。ちなみに「店内禁煙」。moiからもショートカットで10分弱くらいの場所、マスターに無理言ってフライヤーありったけもらってきちゃったので、ご希望のかたには差し上げます。道順も親切に教えます。
とにかくおすすめ、行くベッキー。
※営業時間、場所などは「Blue Bell」さんのブログでチェック。
洋食とはつまり、庶民のごちそうだと思うのです。とりたてて高級な食材など使わなくとも、ていねいな仕事と熟練のワザでありきたりの食材をごちそうに変えてしまう、これぞ洋食の醍醐味なのではないでしょうか。
だから洋食屋さんで、ごくごくふつうで、でもなんともいえずホッとさせてくれる味の一皿と出会ったとき、ぼくはそれを「おいしい」と感じしあわせな気分になるのです。じっさい、「オムライス」を食べようと洋食屋さんにゆくとき、ぼくの頭の中では完璧なオムライスのイメージ──オムライスとはこういうルックスをしていて、味はこうで・・・といった──が見事にできあがっています。だからこそ、目の前に運ばれてきたそのオムライスがまさに思い描いていたようなオムライスであったとき、その満足度は最高潮に達するというワケなのです。
というわけで、またまた登場、荻窪の隠れた名店Blue Bell(ブルーベル)さんのオムライスです。これぞ王道のオムライス、勝手にTHE オムライス(!)と命名させていただきます。マスターの鮮やかなフライパンさばきとともにぜひご堪能あれ!
神話のなかで「豆」がはたす《役割》について、いま読んでいる本には書かれている。
それによると、古来さまざまな地域で語り継がれてきた神話のなかで「豆」は、両義的な存在として、たとえば「生」と「死」、あるいは「男性的なもの」と「女性的なもの」といった「ふたつの世界のコミュニュケーション回路を開いたり閉じたりする役」を担う「仲介者」として機能してきたという。そう聞いて、ぼくら日本人がまっさきに思い浮かべるのは「節分」にまかれる「豆」のことかもしれない。家の内と外との境界に立ってまかれるその「豆」は、鬼を外に追いやると同時に福を内に招きいれるまさに両義的な存在にほかならない。
ところで、ぼくにとってもっとも近しい「豆」といえば、それはやはりコーヒー豆ということになる。そこで、「仲介者」としての「豆」という点に注意を払いながらコーヒーの《発見》をめぐるふたつの言い伝え(=神話)をみてみると、これがなかなか興味深いのだ。
◎ エチオピア高原発見説 この話では、「羊飼い」のカルディが「赤い実」を食べて興奮しているヤギの群れを見て不信に思い、「修道院の僧侶」にそのことを告げともに口にしたことがその起源とされている。そしてその後「コーヒー」はもっぱら僧侶たちのあいだで修業に際してもちいられる覚醒薬として重宝され、広められていった。
◎ オマール発見説 この話では、「回教徒(=熱心なイスラム教信者)」のシェイク・オマールが「赤い実」をついばみ陽気にさえずっている一羽の鳥を目にし、自身もその実を持ち帰り煮出して口にしたことがその起源とされている。そしてその後「コーヒー」は「医者」でもあったオマールによって薬品としてつかわれ多くの病人を救うことになった。
(以上、「ふたつの説」については伊藤 博『コーヒー事典』を参照)。
このふたつの言い伝えは、ともに仲介者としての豆(ここでは「コーヒー」)の存在を《発見》するのがみずから「この世界で《仲介者》としての役割をはたしているひとびとである」という点でとても似かよっている。
それはたとえば「動物」と「人間」のあいだをとりもつ「羊飼い」であり、「神」と「人間」のあいだをとりもつ「聖職者」や「回教徒」であり、「天」と「地」とを自由に行き来する「鳥」であり、また「生」と「死」のあいだでその技術をとりおこなう「医者」である。コーヒーが、「修業に際してもちいられる覚醒薬」や「病人を救う薬品」として、まさに仲介するものとして広まっていったという経緯もおなじである。
コーヒーは、なにか「大変な魔力」をもつ「悪魔的(デモーニッシュ)な恐ろしい存在」としての「豆」にまさにふさわしい。いや、そこまで考えなくとも、あの青臭い生豆が「焙煎」によって香り高いコーヒーに化けるというそのことだけでももうじゅうぶんに驚きに値する。よくいわれるように、それはまさしく《錬金術》の世界といえる。となると、日々この「悪魔的(デモーニッシュ)な恐ろしい存在」としての「豆」を扱う「焙煎人」のみなさんは、さしずめ現代を生きる錬金術師ということになるだろうか。
なるほど、錬金術師かぁ・・・。知り合いの「焙煎人」のかたがたの顔を思い浮かべながらニヤニヤしているのだ。
まあ、そうなんだろなぁと思いつつも、あらためて聞くとやっぱり「へぇ~」と感心してしまうのは、取材でおみえになった「わかさ生活」(ブルーベリーを使った健康食品でおなじみの会社。↑に広告がときどき登場しますね)の方からうかがった、原料となるビルベリー(野生種のブルーベリー)をどうやってフィンランドで調達しているかというお話。
じつは「わかさ生活」はフィンランドに広大な「ビルベリー農園」を所有していて、ということはまったくなく、そのつど「ピッカー」と呼ばれるひとたちと契約して収穫するのだそうである。つまり、「ブルーベリー摘み」を生業としている人々が存在するということである。プロの「ブルーベリー摘み」、「ピッカー」(語尾を上げて発音するといかにもそれっぽいなぁ)である。
おそらく「ピッカー」の歴史は古い。店でブルーベリージャムが売られたり、ブルーベリーを使った料理がカフェやレストランでふるまわれるようになったのと歩調をあわせて、「村のベリー摘み名人」はプロの「ピッカー」になったのではないだろうか?その長い歴史のなかでは、当然かれらの「縄張り争い」に端を発する血なまぐさい抗争も起こったことだろう。ピッカーたちによる「仁義なき戦い」である。
と、いつものごとく空想はどこまでも果てしなく広がるわけだが、「ピッカー」たちの冬の暮らしはいったいどうなっているのか?丹念に道具を手入れしてやがて訪れる「夏」を待つのだろうか?それとも「黒マグロ漁船」のひとびとのように(←イメージ)、ひと夏で一年分を稼いで冬は飲んだくれていたりするのだろうか?気になってしかたない。
それより、どうしてだれも「ブルーベリー農園」をつくろうとしないのだろう?どなたかご存じの方がいらっしゃったら教えてください・・・。
常連のTさんが「群馬遠征」でゲットしてきた「アラビヤン焼そば」。
じつは千葉限定の商品らしいのですが、製造している工場が群馬にあるため、わずかながら群馬県内の店でも買えるのだとか。ちなみに、製造しているのは「サッポロ一番」でおなじみのサンヨー食品という会社。なぜ「千葉限定」なのかというと、よくわからんけど千葉県でしか売れないからというパッケージ同様のゆる~い理由からだそうです。
それにしても、フライパンでつくるインスタントラーメンの焼そばというところからしてなつかしい。鉄のフライパンだとぜんぶ底にくっついちゃうんですよね、これが・・・。
はやる心をおさえつつ(?!)、さっそく試食。お味はこれが、案外トレビヤンでした。
夏に松江、そして出雲を旅して以来、どうもすっかり島根づいている。つい先日も、二週連続で松江からお客様が来てくださった。そしてさらに、なんと近所のスーパーで「木次(きすき)牛乳」が売られているのを「発見」してしまったのだ。これはやっぱり「出雲の神様」のお導きだろうか!?
まあ、「木次牛乳」といっても知らないひとのほうが多いだろう。「木次牛乳」を販売している木次乳業は「パス乳」、つまり低温殺菌牛乳の製造販売に早くから取り組んできた島根県奥出雲の乳業会社である。
松江ではコンビニですらふつうに売られている「木次牛乳」だが、残念なことにここ東京ではほとんど目にしない。そもそも、低温殺菌の牛乳じたいごくごく限られたものしか手に入らない。なのに、近場で「木次牛乳」が買えるのだ。エキサイトせずにいられようか(いや、いられまい)。この「ヨロコビ」を誰とも共有できないのが、かえすがえすも残念である。
おまけに、なにげなく目をやると容器の側面にはこんな一文まで。
── 「北欧人は生乳の天然性を大切にしております。その為、生乳はパスチャライズ牛乳として多く利用しております。」
そうかそうか、「木次牛乳」こそは出雲に息づく北欧スピリットなワケだな、などとひとりごちている今日このごろ・・・。
ところで、ぼくが「木次牛乳」を知ったのは十年ほどまえのこと。たまたま手にしたある本のなかでのことである。北欧で口にした牛乳とくらべて、どうして日本で飲む牛乳にはどこかまとわりつくような後味が残るのか?ふしぎに思って手にとったのが、『日本の牛乳はなぜまずいのか』というその本だった。
読んで納得、日本でふつうに手に入る牛乳のほとんどは、北欧をはじめする欧米とは異なり超高温滅菌処理をほどこした牛乳だというのである。「超高温滅菌乳」は栄養価も風味も劣る反面、滅菌用のパックをつかうことで長期保存が可能になるというメリットがある。にもかかわらず、なぜか日本では超高温で滅菌した牛乳に滅菌用のパックはつかわれていない。となると、「生乳」を超高温で滅菌するメリットは?
と、まあそんなこんなな裏事情(?)がこの本には書かれている。そしてそれに対して、木次乳業をはじめ果敢にも日本に「パス乳」を普及させようと努力してきたひとびとの苦労が描かれていて興味深い。「まずい」と言い切ってしまうところもパワフルな、まさに目からウロコな一冊なのである。
早くも「幻のメニュー」と化した甘エビのオープンサンド。北欧へ行けばいつも、サーモンのサンドイッチとともにかならず一度は口にするメニューではあるけれど、このあいだの日曜日、それに月曜日の二日間、やむにやまれぬ事情(?)からモイのメニューとして登場したのだった。
それで思い出したのは、そのむかし、荻窪時代に聞いたフィンランド語クラスのIさんの夢の話だ。夢のなかに出てきたモイでは、メニューに「小海老のサンドイッチ」があったという。
これはもしや、正夢?!
で、その夢のなかではもうひとつ、ウェイトレスとして「あき竹城」がはたらいていたらしい。
これがもしや正夢だとするなら、バイトの面接にやってきた「あき竹城」が繰り出す猛烈な山形弁トークに果たして対抗できるのか?などと考えだすといまから気が重くて仕方ないのだが、とにもかくにも
「ご出身はどちらですか?」
などという間抜けな質問で、いきなり強力な右ストレートを喰らうような失態だけは是が非でも避けたいと思うのであった。
先日放映されたテレビ番組『世界ふしぎ発見』でも「クエスション」として登場した「リンゴンベリージャム」が再入荷しました。スウェーデンで定評のあるFELIXブランドのものです。
テレビではトナカイ肉に添えて食べるということで登場していましたが、北欧ではミートボールに添えて食べたりもします。すごく酸っぱいということはないのですが、さわやかな酸味があるのでお肉などにも合うのですね。もちろん、パンやヨーグルトに添えても文句なしにおいしいのですが、ベタベタと甘くないので濃厚なバニラアイスクリームにかければそれだけで北欧風デザートになります。ちなみにmoiではスコーン、それにプレーンのパウンドケーキで生クリームといっしょにお出ししています。
ところでリンゴンベリーといってもあまり聞き覚えがないかもしれません。日本名で言うとコケモモ、フィンランドではPuolukka(プオルッカ)と呼ばれていて、その絵柄はアラビアの陶器のモチーフになるほど親しまれています。
まだまだ日本では販売しているお店も多くはないので、ぜひご来店の折にはお求め下さい。なお、おなじFELIXの「スライスピクルス」も同時に入荷しております。こちらもディル(香草の一種)とシナッピ(北欧独特の甘みが強めのからし)で味付けをした北欧独特の、とてもおいしいピクルスです。
伊豆にでかけた帰り、なにげなく東京駅のDEAN&DELUCAをのぞいたところ、「発見」してしまいました。
その名も、彩雲堂あんぱん。
松江(←またもや、島根ネタ)の老舗和菓子舗「彩雲堂」のこしあんを使ったDEAN&DELUCAのオリジナル商品です。
あんは松の実、けしの種、カボチャの種などを生地に練り込んだハード系のパンに包まれています。あんはやや少なめ。よって、こしあんの上品さがハード系の生地に負けてしまうのではと心配だったのですが、意外や意外うまいこと調和しています。あんが「主役」を張るかわり、「アンサンブル」に徹することで微妙なバランスが保たれているといった印象。このあたりの計算はさすがですね。パン作りに和菓子的発想をフィードバックしているといった感じでしょうか。
Oクンからお土産にいただいた、京都「カフェ工船」のインド・バルマンディ(バルマディーズ?)とともにおいしくいただきました。
大阪へ出張していた奥さんから、コーヒー豆のおみやげ。仕事場が難波だったせいで、毎日ひとりで喫茶店めぐりをしていたらしい。丸福珈琲店、喫茶「アメリカン」、そしてアラビヤ珈琲店。入れ知恵したわけでもないのに、よくもまあマニアックなとこばかり・・・
なかでもとりわけ気に入ったのが、このアラビヤ珈琲店のブレンドらしい。
さっそく淹れてみると、しっかり深煎りでコクもあるのに、ほんのり酸味が残っている。見た目はいかにもフルシティー、いやそれよりももっと深い?といった感じなのにこの酸味。いったいキミは誰???ほんの少量、煎りの浅めなモカでもブレンドしてあるのでしょうか・・・。基本深煎りでもただ苦いだけじゃない。こんな芸の細かさに、長年お客様に慕われてきた名店の「底力」を見た思い。俄然、難波の実店舗で味わってみたくなりました(年内に一泊とかで大阪に行けないものだろうか)。
ちなみに奥さんの心残りは
「ゼー六」に行けなかった
こと。かのキダ・タロー大先生も「まさにアッパレ偏屈オヤジ!」と絶賛(?)する老舗である。
しかしまったく、大阪の、右も左も分からないはずなのにマニアックなものに対する嗅覚のスゴさは並大抵じゃないな、ウチの奥さん・・・
♫ありあけ~の~ハ~バ~のCMソングでおなじみ? 横浜銘菓「ハーバー」のパッケージが、柳原良平のレトロ風味のイラストでリニューアルされたのですね!
左がマロン味の「横濱ハーバー」、右はチョコレート味の「黒船ハーバー」です。
ところで柳原良平といえば、サントリーの販促のためにつくれた「アンクルトリス」のキャラクターであまりにも有名。我が家にも北欧バージョンの「アンクルトリス」グッズがしっかりコレクションされております。
じつは長いこと、何故に北欧? と不思議に思っていたのですが、その後手に入れた柳原良平の著書のなかにその誕生秘話をみつけることができました。
二十年前はチボリ公園へよく通った。サントリービールが発売される一年前で、このビールが北欧風のスッキリしたビールで登場するので北欧ムードを宣伝しようと、私も二ヶ月北欧を取材しに出かけたのである。
新発売の広告ではヴァイキングに紛したアンクルトリスがデンマーク名物、名所のイラストをばっく(原文ママ)にスコール!(乾杯)サントリー! と登場したものの、最初はキリンを初め在来のビール各社にいじめられて苦しい商売をさせられた。コペンハーゲンにはサントリービール発売までの頃の思い出が残っている。
アンクルトリスといえば、おなじサントリーの「トリスウイスキー」のキャラクターというイメージが強かったのですが、このヴァイキング姿のアンクルトリスは「ビール」の宣伝用だったのですね。いわれてみれば、どちらも手にしているのはビールでした・・・。それにしても、サントリービールが当初「北欧風」の味を狙っていたとは、ぜんぜん知りませんでした。
なお、このイラスト満載の旅行記にはほかにもいろいろお楽しみがあります。いかにも「船オタ」(かつて柳原氏の代名詞のように使われていた「船キチ」という表現は今となっては怒られそうなので、ちょっとニュアンスはちがうような気がするけれどこう書いておきましょう)らしくすべてのイラストは船がらみなのですが、そのなかにストックホルムとヘルシンキとを結ぶ客船「シリヤライン」が登場しているのもうれしいところ。フィンランドではヘルシンキのほか、タンペレ、トゥルク、ハメーンリンナ、ナーンタリなどを旅して船に乗ったり、スケッチを楽しんだりしたようです。
※最近家にデジカメを置き忘れたままなのでどうも画像がいまひとつです
このあいだ村サンが、なにやら珍しいものをくれたのだった。パッケージをみると
Pocket Espresso To Go
と書いてある。かんがえるまでもなく、これは携帯用エスプレッソ飲料であるらしい。大きさは4cm×5cmくらいで、5cmほどのストローが付属している。このストローを容器に挿してそのままチューと吸え、ということなのだ。ためしに容器を振ってみると、チャポンチャポンと液体の音がする。ちなみに内容量はたったの21.8ml。
調べてみると、チョコレートで有名なイタリアのFERRERO社というところの製品らしい。たぶんジローラモのような「ちょいワル」がスーツのポケットにこれを忍ばせ、午前1時のローマの街角で女を口説きながらこいつをチューっとやるのだろう……
などと勝手に妄想しつつ、「ちょいワル」気分でチューっとやったはいいが
うげっ、甘っ!
思わず
マンマ・ミーア!
と叫びたくなるような強烈な甘さが舌の上で炸裂する。なんだろうか、これは、まるで溶かしたコーヒーシュガーを飲んでいるような……たったの21.8mlを飲みきるのがこんなに大変とは。
これを飲んでもまだ苦虫を噛みつぶしたような顔をしている男こそ、まさしく
真のちょいワル
とイタリアでは呼ばれるのだろうか。
このあいだのこと、ようやくという感じで銀座の「皆美」へ行き、名物の「鯛めし」にありついた。
このお店は、松江の宍道湖のほとりにたたずむ老舗旅館「皆美館」が経営する郷土料理の店で、「鯛めし」はこの「皆美館」の名物料理なのである。お店のひとの話によると、茶人としても知られる松江藩の藩主・松平不昧公が考案したレシピをもとに代々受け継いできた味とのこと。
身をほぐした鯛とオランダ料理からヒントを得たというタマゴは黄身、白身に分けてそぼろにし、さらに出雲そば風の薬味とともに「だし汁」をかけていただくのだが、なんとも上品な味わいは松江の和菓子にも共通している。お米はもちろん、島根の「仁多米」。
ところで、先だってフィンランドから一時帰国されていた森下圭子さん(映画「かもめ食堂」アソシエイトプロデューサーとしてもおなじみ)は、毎夏「体験留学」でフィンランドにやってくる島根県の子供たちのお世話をしているうち大の「島根びいき」になってしまったというひとなのだが、そんな圭子さんとはおなじ「島根好き」どうしフィンランドと出雲の関係を勝手に盛り上げるべく極秘プロジェクトを遂行中(笑)。フィンランドの白夜と山陰の夕日はよく似ているなんていう、思わず「なるほどね」と頷いてしまう話も飛び出し今後の展開がますます楽しみ。って、ほんとに展開するのだろうか? いや、圭子さんが動けば確実に展開するのだろうな…きっと。
というわけで、一年おきにフィンランドと出雲を訪ねるなんていうのもすてきだよね… などと夢はふくらむいっぽうなのだった。
北欧の森林で深呼吸するイメージで…
そんな「むちゃぶり」の果てに、ウィルカフェの来栖さんからご提案いただいたのがこの、吉祥寺移転以来「定番」となっているオリジナルのシフォンケーキ。ほんのり薫るハーブの清涼感が、見事「森の空気感」を再現しています。
このシフォンケーキ、召し上がってくださったお客様からも軒並み好評なのですが、なぜかオーダーは控えめ…。なぜ? おいしいのに… と思い続けて早いもので2年半(笑)。こんなとき、ふつうなら雑誌の取材などにあわせて大プッシュするところですが、シフォンケーキのルックスが(他のメニューにくらべて)いまひとつ「地味」なためけっきょく陽の目を見ぬまま先送りになっていたのでした。
そして今回、より「森」のイメージを強化すべく、いわば
森ガール仕様
としてバージョンアップすることに成功(?)しました。というわけで、目でみても舌で味わっても「森」の感じられるとっておきのスイーツ、ぜひぜひお試しいただければと思います!
by 森オヤジ(←宮崎駿が描くキャラクターにはあらず)
寒くなってから初めてのりんご。
フィンランド語クラスのさいとうさんが持ってきてくれた、「しなのスイート」というりんご。ご実家が長野で果樹園を営んでいらっしゃるさいとうさんは、時期になるといつも獲れたてのりんごやナシ、ラ・フランスなどをお裾分けしてくださるのだ。カタチが不揃いだったり、ほんのちょっと傷があったりして市場に出荷できなかったモノだというけれど、いやいやシロウト目にはどれも立派なりんごであり、ナシである。
じつはさいとうさん、果樹園の片隅でディルも「栽培」している。ディルというのは、北欧に行けばどんな料理にでも入ってくる「定番」のハーブある。moiでももちろんよくこのハーブを使うのだが、あつかっている店が限られている上、ビニールハウスで栽培されたそれはどれもヒョロヒョロで鮮度もあまりよくない。それにひきかえ、さいとうさんが差し入れしてくれるディルときたら、茎の太さから緑の鮮やかさ、日持ちのよさまで本当にすばらしく感動させられる。できれば「契約栽培」をお願いしたいくらいだが、なんでもお父さんはディルを雑草の一種としか思っていないらしく、気づくと抜かれた後といったこともしばしばらしい。もしもディルにもっと需要があって、そこそこの値段で「売れる」ということを知ったら、さいとうさんのお父さん、さぞかし目の玉をまんまるくされることだろう。
思い出したように突然寒くなったきのう、あたたかい気持ちをいただいた。人形町と浜町にお店をかまえるドイツパンの名店『タンネ』のパン。
本場の味を守るためドイツからパン職人を招聘しているというだけあって、お店には選ぶのに苦労するほどたくさんの、さまざまなドイツパンが並んでいる。聞くところによると中心は南ドイツのパンで、50種類を超えるバリエーションがあるらしい。
タンネのパンを口にすると、ドイツ人にとってパンは日本人にとってのコメのようなものなのだ、ということが思い出される。つまり「白いごはん」がそうであるように、いい意味で「ふつう」なのだ。だから、一緒においしいジャムやバター、ハムやチーズ、あたたかいスープやクリームたっぷりのグラタンなどがつい欲しくなる。それはフィンランドのパンにもあてはまる。仮にぼくらがパンに対してなにか突出した個性を求めてしまうとしたら、それはおそらくぼくら日本人にとって「パン」は自分たちの食文化の「外がわ」にあるものだからにちがいない。「主役」でも「脇役」でもなく、いつも当たり前のように食卓の上に「ある」もの……。
「タンネ」のパンに、「白いごはん」のような「安心感」をおぼえるのはそのためである。ふと気づけば、もうじきクリスマスシーズン。本場の「シュトーレン」も楽しみだ。
なんて秀逸なメニューなんだろうと、「ソーダ水」を見てかんがえる。「ソーダ水」の秀逸さは、もちろんその「色」にある。メロンソーダの緑(みどり)とさくらんぼの赤(あか)。ただの緑と赤ではない。それは「ありえない緑」であり、「ありえない赤」である。あんなヴィヴィッド過ぎる配色の食べ物、ふつうの家庭にあるだろうか?(いや、あるまい。反語調)。そう、ないのである。「ソーダ水」とはつまり、喫茶店にしか存在しない神秘そのものであり、「ソーダ水」というメニューがあるかぎり「喫茶店」もまた妖しい輝きを放ちつづけることができる。
子どものころ、たまに親に連れられてゆく喫茶店ではたいがい、「ソーダ水」か「クリームソーダ」を飲んでいた記憶がある。「レモンスカッシュ」や「コーラフロート」、「バナナジュース」といったメニューも魅惑的にはちがいなかったが、子供心に「もしかしたらあれなら家でも飲めるかもしれない」という打算がはたらき、けっして家では飲ませてもらえないようなありえない緑とありえない赤が織りなすシュワシュワする誘惑の前にとたんに色あせてしまうのだった。あんなにカラダによくなさそうなものを、だれからも叱られることなく公然と口にすることができる喫茶店という場所はなんて素晴らしいんだ! 目の前の「ソーダ水」をうっとり眺めながら、少年はかんがえる。そうして、いつでも好きなときに喫茶店に入れて、しかもどれでも好きなメニューを注文できる大人の〝豪奢〟について思うのだった。大人はときに、そうした〝豪奢〟を忘れがちである。
なおみさんから韓国のおみやげを頂いた。
お茶だというが、なによりすてきなデザインのパッケージが目を引く。おみやげの愉しみとは、それを選んだひとのセンスに触れる愉しみでもある。このお茶にしても、いかにも洗練されたなおみさんらしいセンスに溢れている。
パッケージに描かれた宵闇に浮かぶ島のイラストから目を離し、文字を読もうとするのだがハングル文字が大半を占めていていっこうに判読できない。かろうじて英語の表記があったので読んでみると、<発酵させたJEJU TEAに甘い梨のフレーバーを加えた>とある。JEJU TEAってなんだろう? としばし首をかしげる。あ! チェジュ! 済州島のことかと納得。とすると、パッケージに描かれていた島もきっと済州島にちがいない。甘い香りのウーロン茶といった味わいは、街角でよく知っているひとが見慣れない装いで佇んでいるのを見たときのような不思議な印象をもたらす。
世界にはいろいろな言葉があり、景色があり、味がある。おみやげに頂いた一杯のお茶が、多様な世界を知ることの豊かさを教えてくれる。
うっかり切り落とした眉毛、さっき鏡で確認したところだいぶ生えてきた。これで、もう毎朝2Bのエンピツで描く必要もない。
気象庁が、例年より22日(!)早い梅雨明けを発表。すでにここ数日、連日真夏日&熱帯夜で街にはイライラしているひとも多そうだ。朝、バスの中で運転手に食ってかかるいま流行りの「切れる老人」に遭遇する。ところが、相手がそれほど流行ってはいないが「切れる運転手」だったため車内はちょっとした修羅場に。もし手元に麻酔銃があったら、たぶん両方とも仕留めていたと思う。みんな仲良くね。
先日お店に遊びにきてくれた知り合いから聞いて衝撃を受けた話。北欧、とくにスウェーデンやフィンランドではザリガニを食べて夏の到来を祝うならわしがあるが、以前スウェーデンでザリガニを食べたらなんと「中国産」だったらしい。値段や、需要と供給のバランスの関係上、最近では「輸入物」が増えているとのことで、日本の「土用の丑の日」とおなじ現象が遠い北の国でも起こっているのだ。ちなみに、その知り合いのおすすめは「埼玉産のザリガニ」。いや、冗談じゃなく本当に。なんでも埼玉県に食用のザリガニを養殖している人がいるのだとか。
夕刻、いつもサンドイッチ用に使っているパンを購入しているパン屋さんのスタッフの方々がそろってご来店。うれしい反面、いつも感じることだが客と店員の立場が逆転するとどういうわけか変に照れくさいものである。しかし、これまで一度もみずから名乗ったことがないにもかかわらず、なぜぼくが「moi」の人間とわかったのだろう? と思ったら、以前来てくださった別のスタッフの方から聞いたと知り納得。でも、考えてみたらそのスタッフさんにも名乗った憶えないんだよなあ……。
キャロットケーキを2台、イベントのために焼く。むかし、ストックホルムのソーデルマルム地区にあるこじんまりとしたカフェで食べた味を、お菓子作りの得意なスタッフにお願いし試行錯誤の末、再現してもらったレシピである。
スパイスがガツンとくる、ひとことで言えば「やんちゃ」な味。ニンジンをたっぷり使い、くるみやレーズンは一切使わないという野生的なレシピながら、ニンジンの臭みや食べにくさはふしぎと感じられない。じっさい、この味を気に入ってくださるお客様も少なからずいて、ここ数年はいろいろあってメニューから消えていたのだが、それでもいまだにそのキャロットケーキめあてにご来店くださる方もちらほらいらっしゃるほどなのである。
それがどういうわけか、その「やんちゃ」な味をぼくが受け継ぐことになった。まあ、元々の言い出しっぺはぼくなのだから当然といえば当然ではあるのだが。受け継ぐにあたり見た目はすこし変えてみたが、味はほぼそのまま変えていない。作っていると、以前よく召し上がってくださったあの顔やこの顔が思い浮かぶ。
わりと最近まで、フィンランドでチョコレートといえば「ゲイシャ」だった。誰が決めたわけではないが、そう相場が決まっていた。異論は認めない。
名前はヘンテコだが、「ゲイシャ」の味はなかなかのものである。滑らかなミルクチョコレートにクリスプ状のヘーゼルナッツの相性が絶妙だ。ちなみに、名前の由来はもちろん「芸者」からきている。このチョコレートが登場した60年代には、日本というとフィンランド人の頭の中ではまだフジヤマとかゲイシャとかサムライとかが闊歩していたのである。まあ、フジヤマは闊歩しないけれど。
それはともかく、フィンランドもここ数年はどうやらクラフト・チョコレート流行りのようだ。
たとえば、クルタスクラー(KULTASUKLAA)やダンメンベルグ(DAMMENBERG)は日本でもときどき折につけ目にするようになった。先日、帰国したばかりのスタッフからおみやげに貰ったのは、ユロヤルヴィというタンペレ郊外に位置するのどかな田園地帯で作られている「スクラーティラ(SUKLAATILA)」というブランドのチョコレートである。
ウェブサイトによると、スクラーティラのチョコレートはすべて農場の古い納屋を改装した工房で手作りされている。なんでも納屋にはヴィルヨという名前のトントゥ(精霊)まで棲み着いていて、そのヴィルヨが作ったタール風味の「サウナチョコレート」なんていう商品まである。これはもう、ほぼほぼ『遠野物語』の世界じゃないか。こういうの、キライじゃない。
今回ぼくが食べたのは、ミルクチョコレートにすりつぶした(?)トゥルニが入っている「Tyrnisuklaa(トゥルニチョコ)」という商品。で、肝心のトゥルニとはなにか? それはシーベリーという名前でも知られるオレンジ色をしたグミ科の植物で、すごく雑な言い方で恐縮だが、ひと粒にいろいろなビタミンがどっさどさ入っているため「スーパーフード」としても注目を集める食品である。味は、まあ、なんというか、とにかく地獄のように酸っぱい。
じつは、このトゥルニにかんしてぼくにはトラウマがある。以前、トゥルニ果汁100%のジュースをいただく機会があったのだが、ほんらい水で数倍に薄めて飲むところ、そうとは知らず原液のままゴクリと飲んでしまったのである。あれは凄まじかった。ホゲッ、ゲボゲボゲボッとひたすら涙を流しつつ咳き込んでいた。それ以降、じぶんから積極的に口にすることは避け、いつか誰かに「お仕置き」するその日までそっと心の内にしまってきた。なので、おみやげに貰ったチョコレートの箱に、あのオレンジ色の憎い奴の姿を認めたときには当然のことながら固まった。
が、思い切って食べてみたところ、まろやかなミルクチョコレートとトゥルニ独特の酸味がとても良い感じなのだった。そうだそうだ、考えてみたら、チョコレートとサワーチェリーとか、チョコレートとフランボワーズとか、あるいはまたチョコレートとクランベリーとか、そういう甘さ+酸っぱさの組み合わせはむしろ好物だった。気に入りました。
もしかしたら、これを読んでフィンランドのクラフト・チョコレートに興味を持ったひともいるかもしれない。とはいえ、この手のチョコレートは家庭内手工業的に作られているものが大半で販売チャネルはかなり限られている上、値段もそれなりにする。当然、日本に輸入すれば必然的にお高くなってしまう。したがって、やはりじっさいにフィンランドに行ったときにまとめて買うとか、誰かに買ってきてもらうのがおすすめである。聞くところによると、こういったクラフト・チョコレートを取り扱うセレクトショップのようなお店もあるらしいのでこれを機にちょこっと調べてみようと思っている(駄洒落です。念のため)。
北欧大好きサル美&アキ男が、街でみかけたちょっと気になる「北欧」をレポートするこのコーナー。今回は、ポッカサッポロフード&ビバレッジさんから出ている北欧スタイルのボトル缶コーヒーの登場です。
サル美:あ!アキ男くん!
アキ男:モイ!サル美ちゃん。どうしたの?珍しいね、缶コーヒーなんて持って。
サル美:うん、大きく「北欧」って書いてあるし、それにデザインもちょっとレトロな雰囲気で可愛かったからつい買っちゃった。
アキ男:たしかに缶コーヒーっぽくないね。缶コーヒーっていうと、ふつうはボスとかファイヤーとか男っぽいというかおっさんぽいというか、なんか長渕とかが飲んでいそうなイメージだけど、これはむしろ女子とか若者を意識してるって感じがするね。それはそうと、北欧コーヒーってどういうこと?!
サル美:「北欧諸国はコーヒー先進国と言われており、コーヒー豆本来の甘みや酸味を味わえるよう、こだわりの豆を浅煎り焙煎で仕上げ、フルーティーな味わいと香りを楽しむ文化があります。そんな北欧コーヒーをイメージして、浅煎りの北欧スタイルの焙煎豆で仕上げた北欧ブラックコーヒーです」。です!
アキ男:まさかの棒読みか!そういえば、フィンランドは一人あたりのコーヒー消費量が実質「世界第1位」って聞いたことがあるよ。1日にひとり3、4杯コーヒーを飲んでる計算になるんだってさ。
サル美:へぇ〜。スウェーデンに行ったお友達からお土産に北欧紅茶なら貰ったことがあるんだけど、北欧コーヒーも有名なんだね。
アキ男:うん、最近は日本にもノルウェーのフグレンとかフィンランドのロバーツとか、北欧のコーヒーチェーンが進出してるんだ。きっと、この缶コーヒーも商品開発にフグレンとかが関わってたりするんじゃない?
サル美:ううん、安定のカフェ・ド・クリエさんだよ!
アキ男:な、なるほど。サル美ちゃんって相変わらずポジティブ思考だね。ま、たしかに日本人の味の好みは日本のお店の方がよく分かっているかもね。で、飲んでみての感想は?
サル美:え?飲んでないよ。だってほら、私って甘くてタピオカが入ってないと飲めない人じゃないですか。(マックスコーヒーは飲める)
アキ男:ストライクゾーン狭っ!!じゃ、貰うよ。(プシュ!)ふむ、ブラックなのか。
サル美:グラスに注ぐと、色が薄めでちょっと濁っているみたい。
アキ男:うん、もしかしたらフレンチプレスみたいな抽出方法を採用しているのかも。それに思ったよりも、酸味が少ないな。シングルオリジンのエチオピア・モカを浅煎りにしたらもっと酸味が気になりそうなものだけど……。ふむ、実は酸味が苦手って人けっこう多いから、酸味を抑えるためなんらかの操作をしているのかもしれないぞ。軽い口当たり、ほのかな柑橘系の酸味、柔らかな甘み、あとは刈り取ったばかりの干し草の匂いと濡れた仔犬の……
ん?あれ?サル美ちゃん?サル美ちゃーん!!!(サル美、スマホを見ながらゴンチャの列に並んでいる)
!アキ男からひとこと!
コーヒースタンドで楽しまれているようなタイプのコーヒーが、こんなふうに缶コーヒーとして商品化されているのに驚きました。無糖で軽い味わいなので、お茶感覚でガブガブ飲むのに向いていると思います。酸味はさほど気になりません。
!サル美からひとこと!
日本に「北欧コーヒー」があるように、北欧に「日本コーヒー」があったら面白いな。マックスコーヒーとかいいんじゃない?
【商品情報】
カフェ・ド・クリエ北欧コーヒーブラック275gボトル缶(希望小売価格130円税別)
日曜日、道行く人影もまばらになった夕刻遅く、ふーっとひと息ついていたところに外出帰りのスタッフが差し入れを届けに立ち寄ってくれた。
フィンランドのレシピのパン。ヴォイシルマプッラ(Voisilmäpulla)という。ヴォイはフィンランド語で「バター」を、そしてシルマは「目」を意味する、つまり直訳すると「バター目玉パン」だ。まあるいパンの真ん中で、甘い澄ましバターの「目玉」がギョロっと睨みをきかせている。この「目玉」には、さらにオレンジのジャムがソロっとのっているのだが、これは拵えたフィンランドの家庭料理研究家西尾ひろ子さんのオリジナル。
ちなみにプッラとは、フィンランドではいわゆる「菓子パン」全般をさして言われる。そして、プッラの生地には一緒にカルダモンというスパイスが練りこまれているのがふつうだ。つまり、ヴォイシルマプッラとは、カルダモンの爽やかな香りと生地に染み込んだバターの風味を楽しむだけのシンプルなおやつパンといえる。デンマークのペストリーのように、手の込んだケーキのような菓子パンはもちろん好きだが、こうしたフィンランドの家庭の食卓に並ぶ素朴な菓子パンも悪くない。なんといってもホッとするのだ。腕ききの職人がつくり出すおいしさと同じように、近しいひとの手から生み出されるおいしさというのも、またあるのだろう。
ところで、フィンランドの菓子パンには、たとえばラスキアイスプッラとかヨウルプッラといったように復活祭やクリスマスなど年中行事にちなんだネーミングのものが少なくないが、なかには「バター目玉パン」のように見た目に由来する名前のパンもあり、とりわけユニークなものといえばなんといってもコルヴァプースティだろう。
コルヴァプースティはいわゆる「シナモンロール」のことなのだが、その名前を直訳すると「ビンタされた耳」になる。実物を見れば一目瞭然、それはその独特の巻き方による形状に由来する。たしかに、それは耳が潰れたように見えなくもない。むかし知り合いのフィンランド人から「コルヴァプースティの意味知ってる?」と尋ねられ、「知らない」と答えたところビンタする真似をされたことがあったのだが、いまにして思えば、そこですかさず「手袋を反対から言ってみて」と日本語で応酬すべきであった。小学生レベル。
そういえば、たしか家にあった『ムーミンママのお料理の本』のシナモンロールの項目には、特に説明もなく、ただ「往復ビンタ」と書かれていたような記憶がある。「ビンタされた耳」が、どういうわけか「往復ビンタ」へとグレード・アップしている。ムーミンママ、恐ろしさしかない。
フィンランドのKAFFA ROASTERYのコーヒーを試飲しました。
フィンランド人は、一人あたりのコーヒー消費量が世界でも一、二位を争うほどコーヒーを好むことで知られていますが、それでいて実は長いあいだフィンランドのコーヒー市場の大半はPAULIG社によって占められており、いわゆるマイクロロースターの数は極めて少なく、目立ちませんでした。そのような中、その先陣を切って2000年代初頭に開業したのがこのKAFFA ROASTERYです。ぼくが、はじめてKAFFA ROSTERYで焙煎されたコーヒーを飲んだのはちょうどいまから10年前、2009年のこと。おいしいエスプレッソが飲みたくて、探して入ったKaffecentralenというカフェで使われていたのが、このKAFFA ROASTERYの豆でした(→2009年のブログ記事)。
今回飲んだのは、最近販売をスタートした「ルワンダ ブショキ」です。
同封された資料によれば、この豆はルワンダの首都キガリの北方、ルリンド地区にあるブショキの農園で、オーナーのジャン・クレモン氏の下、収穫から乾燥、出荷に至る一連のプロセスを優秀なスタッフとともに一貫して行っているものだそう。
焙煎の度合いは、シティロースト程度。思ったより深めな印象です。今回は、15グラムの中粗挽きの豆をハリオの円錐ドリッパーで240ccドリップしました。湯温は95度くらい。
ルワンダの豆は、じつは10年ぶりくらいに飲んだのですが、バランスのとれたクリアな味わい、果汁のような爽やかな、ただし際立ちすぎない酸味で親しみやすいコーヒーという印象は以前に飲んだときの印象と変わりませんでしたが、この「ブショキ」は薔薇のような華やかな後味がふわっと鼻に抜けるあたり特別なものを感じました。とても美味しいと思います。
ところで、パッケージを眺めていたところおもしろい表記を発見してしまいました。
── PAAHTAESSA SOI/The Clash:Straight to Hell
つまり、焙煎中に流れていた曲/ザ・クラッシュ「ストレイト・トゥ・ヘル」ということ。とはいえ、けっしてパンキッシュな味わいというわけではないのでご安心を。こういう遊び心、好きです。
なお、KAFFA ROASTERYでは日本向けのコーヒー定期便(サブスクリプシションサービス)というなかなか野心的な試みを展開しています。自宅でフィンランドのコーヒーを手軽に楽しみたい方には朗報ですね。興味のある方は、ぜひKAFFA ROASTERYによるプレスレリースをご覧ください。