フィンランドみやげいろいろ
2004.7.24|finland

この夏は、いつにもましてフィンランドに行かれる(行かれた)お客様がおおい。

先週はムーミンのガムやカードを、そして今日はビールの王冠を再利用したマグネット、それにフィンランドやエストニアの、包装紙のデザインがなかなかにラブリーなキャンディーなどを「おみやげ」にいただきました....
以上「自慢話」におつきあいいただきありがとうございました?!

でも、実のところいちばん楽しいのは、旅のエピソードをいろいろ聞かせていただくこと。
十人十色とはよくいったもので、(当然ながら)ひとつとしておなじ旅は存在しない。そんなことにあらためて気づかされ、代わりのないじぶんだけの旅にまた出たくなるのです。

ムーミン谷の素敵な仲間たち展
2004.8.2|finland

フィンランドがすきで、moiをたずねてくれる方のなかには、ムーミンがすきで、その生まれ故郷であるフィンランドに興味をもつようになったという方もすくなくない。

子供のころテレビにかじりついて熱心に「ムーミン」を観ていたとはいえ、ぼく自身、ムーミンとその作者であるトーベ・ヤンソンについて知っていることはというと、あまりにもすくない。

そこで、夏休み自由研究として?!、大丸ミュージアムで開催中(~8/10まで)の「トーベ・ヤンソン ムーミン谷の素敵な仲間たち」展をみてきた。
そして、「ムーミントロール」の原画や雑誌「ガルム」に寄稿した風刺画の数々をみて、あらためて、子供のころに受けたなんだかやけに暗いという印象が、あながち「的はずれ」なものではなかったことを知ったのだった。

ムーミンの物語全体に漂う終末論的な世界観は、黒と白の原画のなかでますます強調されて、ときにおどろおどろしい印象すらあたえる。

そう思うと、たえず不安を孕んだような岸田今日子の吹き替えは、誰がなんと言おうとやはりハマリ役だったし、フィンランドでつくられたアングラの対戦ゲーム(R指定っていうか、かわいいムーミンが好きな方は絶対みないでください)の バトルロワイヤル的世界だって、あながち無茶とも言えなくなってくる。
その愛くるしさがすべてだと信じているムーミン好きに、無意識のうちに通奏低音のように響く不吉な警鐘を聞かせてしまう、トーベ・ヤンソンというひとの屈折が気になってしかたない。

胸をはる女子
2004.8.4|finland

6月に、3年ぶりにフィンランドをおとずれて印象的だった光景が、いくつかある。そのひとつが胸をはる女子の姿だ。

たとえば、カフェではたらく女子たち。やけにみんな姿勢がいい。背筋がぴんとのびている。なかにはそり返るくらいに胸をはったような女子もいて、もうみんながみんないきのいい小海老のように立ちはたらいている。

だいたいこういう光景というのは、まず見ていて気持ちがいい。仕事に誇りをもって楽しそうにはたらいている、そんな印象をあたえるものだ。

それに、フィンランドの女子のなかには小柄なひともすくなくないのだが、胸をはることでみんな実際以上に大きくみえる。この国では、さすがのデューク更家も出番がない。

なんとなく腰が低いのが美徳みたいなところがある日本では、ヘタに姿勢がいいと「エラそう」とか「不遜」とか言われかねない勢いだが、かまうものか、「女子よ、胸をはれ!」、そういいたい(なんだそりゃ?!)。

さて、ここまで女子のことばかり書いてきて、じゃあフィンランドの男子はどうなんだ?という話になるわけだが、これに関してはこう言うしかない。ゴメン、見てなかった。

光をいつくしむ
2004.8.6|art & design

清冽な、フィンランドの森の空気と水をその内部にとじこめたような、イルマ・クロネン(IRMA KURONEN)のガラスアート作品を展示しています(~8/22 販売もあり)。

イルマは、フィンランド北西部の都市オウルを拠点に制作活動をつづけるガラス作家です。
北欧といえばエコロジーに対する意識の高い国々というイメージがありますが、彼女もまた、積極的にリサイクルガラスをとりいれた作品を制作しています。
いまmoiでごらんいただいているガラス皿でも、窓ガラスや空きビンといったリサイクルガラスがとても効果的に使用されています。

ガラスの中に入りこむ光のうつくしさを感じてほしいと語るイルマ。その作品にぼくらは、かつてさまざまなべつのモノとして存在し、その役割をとおして蓄積してきた「光」が、ふたたび姿をかえてきらめき、反射するさま〈光のリヴァイヴァル〉を見ることになるのです。

光にたいする繊細な感受性に裏うちされたイルマ・クロネンの作品は、そのまま、光をいつくしむこころをぼくらに伝えるものでもあります。

白夜の国からのおくりもの
2004.8.12|art & design

船橋東武百貨店で「フィンランド・エストニア絵画展~白夜の国からのおくりもの」がはじまりました(~8/18[水] 5階5番地美術画廊1にて)。moiのギャラリー担当、ガレリアナナの企画です。

フィンランド航空の機内誌などでおなじみのヴィーヴィ・ケンパイネン(写真)、たくさんのアーティストが暮らすラッペーンランタを代表する画家ヘリ・プッキ、日本でも絵本が出版されているタルリーサ・ワレスタといったフィンランドの作家の作品に、さらにナヴィトロッラ、マイエ・ヘルム、ミルダバーグらエストニアの作家の作品もくわえてバラエティー豊かな展示内容となっています。

ふだんは接する機会のすくない北欧のアートですが、お近くの方がいらっしゃいましたら、ぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょう。

守護神
2004.8.26|finland

見つかってしまったのでこうして書いているのですが、moiの店内にはかれこれ一年くらいムーミンが棲みついています。

お客さんやそこで起こる出来事をじっと静かに見守ってきた、それはいわばmoiの守護神。

どこにいるのかはないしょ。お茶を飲んでいてふとだれかの視線に気づいたら、それはきっとムーミンのものにちがいありません。

サルミアッキでネタ
2004.9.12|finland

サルミアッキ(*)でネタをひとつ・・・

*サルミアッキとは、フィンランド人がたいへん好むキャンディーのこと。「塩こんぶ」をさらに過激にしたようなその「あまじょっぱい」味覚は、ときに「世界一まずいキャンディー」と形容されるほど。リコリス(甘草)のエキスや塩化アンモニウム(!)などを原料とする。フィンランド上級者たちのあいだではなかば「踏み絵」と化しており、平然とパクつけることがステータスともされる?!

以下は、「ギター侍」風にお読みください。

♪ワタシ わ~た~し フィンランド好き
I love ラブラブ フィンランド
「サルミアッキだって、わたし案外平気ですゥ」
って、言うじゃない・・・

でもアンタ、無理してサルミアッキ食べれるようになったその「根性」
シンナーに手を出すヤンキーといっしょですから!残念!!
胃の中で塩化アンモニウムと味噌汁が化学反応 斬り!

拙者、お察しの通り、きょうネタ切れですから 切腹!!

また来週~

直すひとびと
2004.9.22|finland

6月に、ひさしぶりにフィンランドをたずねて目についた光景がいくつか、ある。街のあちらこちらで出会った直すひとびとの姿も、そのうちのひとつだ。

古いアパートメントの彫刻をていねいにヤスリで磨きなおすひと、ビルディングで立て付けの悪い扉をなおすひと、閉店後のカフェで傷んだいすの脚をなおすひとなど、忙しそうに、でもいきいきと立ちはたらく直すひとびとの姿がその街ではごくふつうの眺めとして息づいていた。

ところで、近所の家具を修理してくれるおじいさんが廃業したという話をついこのあいだ耳にしたばかりなのだが、直すひとびとにまだまだ活躍の場があるフィンランドを、ぼくはつくづくすこやかな国だとおもう。

フィンランドのギャラリーで
2004.9.23|finland

そういえば、フィンランドではずいぶんとたくさんのギャラリーをまわった。まわってみて印象的だったのは、フィンランドのひとたちが「アート」とつきあうその姿が、いかにも自然で、リラックスしているように映ったことだ。

かれらはけっして高いお金を払って、高名な作家の作品を買うわけではない。ほんとうに気に入った作品を、ちょうど花瓶や一枚のスカートを買うような感覚で買っている、そんな印象だ。絵を買うという行為は、かれらにとって毎日をほんのちょっと気持ちよく生きるためのささやかな「投資」なのかもしれない。

港を見おろす丘にある、とあるちいさなギャラリーの昼下がり。絵を買うひとも買わないひとも、例外なく、飾られた作品の一枚一枚を丹念に眺め、オーナーと穏やかに会話し、そこには当然のように静かで豊かな「時間」がながれていた。そして、じぶんが好きなのはこの「時間」なのだと思った。東京ではついぞ忘れがちなこの「時間」と、ぼくはフィンランドで「再会」する。

ひとしきり絵をえらんだりした後で、オーナーに「あなたのお店にはいいお客さんがたくさんついているようですね」と話しかけると、「ええ、自分で焼いたケーキを持ってきてくれるひともいらっしゃるんですよ」と微笑みながら、ちょっと誇らしげに答えてくれた。気に入った絵を飾ること、おいしいケーキを焼くこと、そしてこのギャラリーを訪れること、そのどれもが、このお客さんにとっては等しく大切な「時間」なのだろう。

おだやかな「時間」をすごしたいからこそぼくは「絵」を飾る。そんな単純な答えにたどりついたのも、フィンランドのギャラリーですごした有意義なひとときがあったからこそ、といえる。

禁煙のゆくえ
2004.10.21|finland

日本を旅行中だというフィンランドの大学生が、このあいだmoiへやってきた。そこで、日本にきてびっくりしたことは?などとベタな質問をしたところ、インターネットで下調べしてきたのでびっくりしたことはあまりなかったという答えがかえってきた。ネットも善かれ悪しかれである。それでも、小さなびっくりしたことはあると言う。

日本でマクドナルドにはいったら、たばこを吸っているひとがたくさんいて驚いた。反対に、外に出たら、道路が「禁煙」なので驚いた。

日本とちがって、フィンランドのカフェやレストラン、それに公共施設などはたいてい「禁煙」である。徹底されているので、たばこを吸うひとも「そういうもの」としてその状況をごく自然に受け入れているようにみえる。ところがいったん外に出ると、「歩きたばこ」するひとの姿がよく目につくし、当然のようにすいがらが道ばたに捨てられているのを目にしたりもする。

北欧というと、どこかクリーンでエコロジーな国といったイメージがあるもので、こういった光景をまのあたりにするとすこし意外な気がする一方で、いくら北欧のひとだってそうそう禁欲的にばかりは生きられないだろうと、妙にほっとしたりもするのだった。

ちかごろ東京では、「路上禁煙」を採用する区や市がふえている。ご多聞にもれず、moiのある杉並区もそのひとつである。他方、「全面禁煙」を採用する店もわずかではあるがふえつつあるようだ。ぼくはたばこを吸わないので、それでもいっこうにかまわないというのが正直なところではあるのだけれど、まちでふつうにたばこが買える現状をなおざりにして、ただやみくもに《禁煙エリア》ばかりふやしてゆくようなやりかたがはたして「禁煙」の推進につながるのか、疑問に感じざるをえない。

フィンランド人とコーヒー
2004.11.10|finland

UCCのサイトに連載中のコラム「世界の珈琲人」で、フィンランド在住のかたがフィンランド人とコーヒーにかんする文章を書かれています。

そこでも触れられていますが、フィンランドはよく一人あたりのコーヒー消費量世界一の国として紹介されます。ICO(世界コーヒー機関)による2002年の統計では、フィンランドの一人あたりのコーヒー消費量は年間11.26キロで断トツの1位です。一杯を10グラムとして換算すると、国民全員が一日平均3杯ちょっとのコーヒーを飲んでいる計算になります。

もちろんこのなかには、コーヒーを飲まないひとや赤ちゃんもふくまれているわけですから、一般にはより多く飲まれているわけです。ちなみに日本の場合、ひとりあたり一日およそ0.9杯で足下にもおよびません。フランスでもフィンランドの半分くらい、といったところですね。いかにフィンランド人が日々たくさんのコーヒーを飲んでいるかがわかります。

では、どうしてフィンランド人はそんなにコーヒーを好むのでしょう?答えは、わかりません・・・。あくまでもぼくの推測にすぎないのですが、それはフィンランド人の気質と関係があるのではないでしょうか?

フィンランド人はしばしばシャイな民族だといわれます。よく間がもたないなんていいますが、人と人とのコミュニュケーションの局面ではお茶やお酒、タバコといった嗜好品が活躍することがままあります。日本でも「ちょっとあがってお茶でもいかがですか?」とか「ねぇ、ねぇ、彼女お茶しない?」なんて具合に、コミュニュケーションの動機として「お茶」が持ち出されたりしますね。他者とのコミュニュケーションが得意ではないといわれるフィンランドのひとたちが、「お茶」(ここでは「コーヒー」ですね)を好むというのもなんとなく理解できる気がします。

すくなくともフィンランド人をみる限り、コーヒーが大好きで味わっているという印象はなく、むしろガブ飲みしてるという感じ。おなじようにシャイな民族といわれる日本人だって、もちろん例外ではありません。コーヒーこそ少ないですが、日本茶や紅茶までふくめたら、おそらくは世界有数の《喫茶大国》になるのではないでしょうか?

そんなところひとつとっても、ぼくは「フィンランドと日本ってなんか似てるよなぁ」とおもってしまうのです。

フィンランドのX'masカード
2004.11.17|finland

ほとんど「地縛霊」のような生活をしているおかげで、あと1ヶ月ほどでクリスマスがやってくるという実感がまるでわかない。こまった話である。11月にしてはやたらと気温が高いのも、実感がわかない理由のひとつにちがいない。

それはまあ、ともかく、moiも多少は世間並みにクリスマス気分を演出しなければいけないんじゃないだろうかということで、遅ればせながら「クリスマスカード特設コーナー」をつくりました!

素朴でノスタルジックな味わいのあるフィンランドのクリスマスカード(ほとんど一点もの、ポストカード2枚セットで300円)にくわえ、マリメッコのテキスタイルデザインでもおなじみの脇阪克二 さん、そして10月にmoiで個展をしていただいたひらいみも さんのカードなど取り揃え、販売しています。

ごらんになるだけでもOKですので、北欧らしいクリスマスカードを探しているかたはぜひmoiにお立ち寄りください。お待ちしております。

ムーミン切手
2004.11.19|info

ヨーロッパのデザイン切手の販売をはじめました。

「使えない切手をどうするの?」なんて、ふしぎに思われるひともいるかもしれません。でも、ただ眺めるばかりでなく、封筒の封印としてつかったり、チケットゃお菓子の包装紙、写真などといっしょにコラージュしてちょっとしたパピエコレをつくってみたりと、案外いろいろなたのしみ方があるものです。それになんといっても、その国ならではの風景や動植物があしらわれていたり、その国を代表するアーティストがデザインを手がけることも少なくない「切手」には、旅心をかきたててくれる要素がたくさんあります。

いまmoiであつかっている「切手」では、やはりフィンランドのムーミン切手(200yen)が人気です。フィンランドの郵便局Postiが毎年発行する人気シリーズで、2004年版は表面にフロッキ-加工をほどこし立体的でふわふわした感触をもつたいへん凝ったつくりのもの。ちいさなフレームにおさめれば、気のきいたクリスマスプレゼントにもなりそうです。

ぼくが個人的におススメしたいのはオランダのデザイン切手。色あいやデザインがほのぼのとしていて、かわいいものがたくさんあります。なかでも1995年にディック・ブルーナがデザインしたクリスマス切手(2枚組 500yen)は、ブルーナ・ファンならずとも手元においておきたい一枚です(ちなみに「ミッフィー」は登場しません)。

moiにお越しの折には、ぜひ手にとってごらんになってみてください。

♪ふぃんらん
2004.11.20|finland

このblogをマメにチェックされているようなフィンランドマニアな方ならきっと、モンティパイソンが歌う「フィンランド」という曲のこともご存じだろう。

この曲の存在を、モンティパイソン・フリークの友人から教えてもらったのはもうずいぶんと昔のこと。ひさびさに思い出したので、さっそく調べてみた。

フィンランド フィンランド
ボクの好きな国フィンランド
ポニーで山歩きをするか、キャンプをするか
あるいは、ひたすらテレビをみてるだけ

フィンランド フィンランド
ボクの好きな国フィンランド
朝メシにする? 晩メシにする?
軽く昼メシにでもしようか?
フィンランド フィンランド
フィンランド それですべて

意訳だが、まあこんな具合にフィンランドという国がいかに退屈か?がとぼけた調子で歌われてゆく。

よく、フィンランド人に「フィンランドっていいよネ」という話をすると、「信じられない?!」という感じで首をヨコに振られることがあるのだけれど、そんな屈折感の背景にはきっとこんな「おちょくり」があったりするのだろう。だから、面とむかって「なにもないのがフィンランドのいいところだね」と言うのはちょっとはばかられる。こちらはいい意味で言ってるつもりでも、相手はきっとそうはとらないだろうな・・・。気をつけよっと。

フィンランドの絵本
2004.12.4|finland

渋谷のクラフトスペース「わ」では、いま、イベント「フィンランドの絵本」を開催中です(~23日[木]まで)。

ムーミンでおなじみのトーヴェ・ヤンソン、1930年代~40年代にかけて活躍したフィンランドでもっとも著名なイラストレーターのひとりルドルフ・コイヴ、そして現代のフィンランドを代表するイラストレーターらが描いた絵本の数々が紹介されています。また、今回あらたにアテネウム美術館やフィンランド文学協会の本も加わって、これまで以上に充実のラインアップになっているそう。

おもな作品には抄訳や紹介文も用意されているとのことなので、そろそろクリスマスプレゼントが気になる近ごろ、ぜひのぞかれてみてはいかがでしょう。

※なお、営業時間・場所等はクラフトスペース「わ」のサイトをご参照ください。

竹 meets フィンランド
2004.12.6|finland

新宿パークタワーで開催中のイベント「竹 meets フィンランドデザイン」展をみてきました。

このエキシビションは、山口県の萩商工会議所が良質な「竹」の産地である「萩」を世界にアピールすべく、フィンランドで活躍する10名のデザイナーたちに「竹」を素材とした作品制作を依頼したというもの。

全体を通して感じたのは、手堅さ。素材としての「竹」の可能性を追求したというよりは、コストさえあえばすぐにでも製品化が可能であるような現実的なプロダクトが大半を占めていたところでしょうか。そういう意味でも、彼らフィンランドのデザイナーたちが素材としての「竹」をどうとらえ、またそこからなにを引き出そうとしたのか、そんなことがわかるかんたんなキャプションなどが添えられていたなら、もっとたのしめたかもしれません。

コレ欲しい!とおもったのは、ハンヌ・カホネンがデザインした「パーティーカトラリー」。竹製のカトラリーなんてとりたててめずらしくもないけれど、これはいいです。手のひらにおさまるくらいの大きさで、形は丸みをおびたブーメランのよう。片方がスプーンに、もう片方がフォークになるユーモラスかつ機能的なデザインは、ピクニックやカジュアルなパーティーにおあつらえむきです。さすがは、携帯電話からヘルシンキのトラムまでデザインしてしまう「売れっ子デザイナー」!

ほかには、ことしマリメッコのデザイナーとしてもデビューした新留直人さんも参加されています(新留直人さんについては、moiで使用しているカップ&ソーサーセットのデザイナーである梅田弘樹さんがJDNのサイトで紹介されていますのでぜひ)。

またアトリウムには、フィンランドの伝統的なクリスマス飾りヒンメリ(Himmeli)をモチーフにしたカホネンによる巨大な「竹」のインスタレーションも飾られていてとてもきれい。フィンランド×竹×クリスマスの不思議な出会いは、太陽が沈む夕刻以降がおすすめです。

◎ 竹 meets フィンランドデザイン展
 会 期:12月26日[日]まで
 時 間:10時30分から20時
 会 場:新宿パークタワー 1Fアトリウム
 料 金:無料

柳宗理とフィンランドのデザイン
2004.12.9|finland

── 手工藝でも機械製品でも、自然の摂理に合った無理のない形は、時と場を越えて、美しく輝くものだと思います

これは、柳宗理がフィンランドのデザイナー、ティモ・サルパネヴァの作品にふれて書いたエッセイからの引用です。

柳宗理は、1958年に日本橋・白木屋で開催された『デンマーク・フィンランドのデザイン』展を企画し、いち早くカイ・フランク、サルパネヴァらフィンランドのデザイナーたちを日本に紹介しています。第10回ミラノ・トリエンナーレでフィンランドのデザイナーたちが《旋風》を巻き起こし、世界中のデザイン界に衝撃をあたえたのが1954年であることを思えば、彼がいかに早い段階からフィンランドデザインに着目していたかがわかります。

「用の美」、つまり実用に根ざした、作為のないモノ本来の美しさを説き一貫して追求しつづけてきた柳宗理が、フィンランドのデザイナーたちに強いシンパシーを抱いたとしても無理のない話かもしれません。実際、アルヴァー・アールト、カイ・フランク、そしてティモ・サルパネヴァの名前は、さまざまなインタビューやエッセイにひんぱんに登場します。そういえば、以前たまたま目にした彼のアトリエの写真には、試作品や資料の山に埋もれるようにしてアールトの椅子やカイ・フランクのうつわなどが置かれているのをみることができました。

冒頭で引用したエッセイでも、サルパネヴァの「ガラスの一輪ざし」の手吹きだけで生まれるその自然な造形について、作者であるサルパネヴァは「デザイン的な作為を最も嫌う人」なので、あえてこのような「かたち」を選んだのだろう、と推察しています。

moiでは、椅子(アールト)、カップ&ソーサー(梅田弘樹)、グラス(カイ・フランク&ティモ・サルパネヴァ)、そしてカトラリー(柳宗理)と、フィンランドと日本のデザイナーによるプロダクトをおもにつかっていますが、それらの相性のよさは彼らの「ものづくり」への姿勢が共通しているところから生まれてくるものといえるかもしれません。

Timoグラス
2004.12.10|finland

これぞフィンランド・デザインの粋!

ティモ・サルパネヴァのデザインによる究極のグラスがついに入荷しました!前回のブログでもふれましたが、ティモ・サルパネヴァといえばシンプルかつ機能的というフィンランドデザインの特長をもっとも明快に表現するデザイナーとして、いまや名実ともにフィンランドを代表する「巨匠」のひとりといえます(親しみのあるところでは、おなじみイーッタラ(iittala)のロゴデザインもティモの仕事ですね)。そしてその彼をして「会心の出来」と言わしめたのが、この『Timoグラス』(2000年)なのです。

お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、moiではオープン以来このグラスを愛用してきました。日常で使ってこそ真価を発揮する、そんなグラスです。でもコレ、あんまりショップとかで見かけないなぁ、という方いらっしゃるかもしれません。そうなんです。じつはこの商品、世界的に欠品状態がつづいていたため1年以上ものあいだ街のショップから完全に姿を消していたのです。そしてこのほど、再入荷したとの連絡を輸入元よりいただき、ようやくmoiでも扱わせていただけることになりました。めでたしめでたし。

では、いったいこのグラスのどこがそんなに優れているのか、実際の使用感からえた感想を箇条書きにしてみましょう。

・HOTでもICEでもOK!
 耐熱仕様なので、冷たい飲み物はもちろん、温かい飲み物でも大丈夫。しかも、側面のガラス部分が一部厚くなっているため、手でもてないほど熱くなるということもありません(もちろん個人差はありますけど)。そういえばフィンランドでは、カフェラテをグラスでだすカフェって多いですね。

・たっぷりサイズで使い勝手よし
 容量は、ふつうのグラスよりかなり大きめ(余裕で300CC以上入ります)。お茶やジュースはもちろん、ビールなどにも「おしゃれなジョッキ感覚」でどうぞ。「ちょっと大きいかな」という印象があるかもしれませんが、男性から女性、子供までしっくり手になじむようフォルムに工夫がなされています。ぜひ実際に手にとってみてください。

・洗いやすく、いつでも清潔
 口の部分の直径が84mmと大きいので、手を入れて底までしっかり洗えるのが気持ちいいです。

・とにかく「頑丈」です
 業務用にせよ家庭用にせよ、「頑丈」というのは最高のポイントですよね。このグラスの製造は「強化ガラス」で有名なフランスのメーカーが手がけています。ぼくは仕事中よくぶつけたり落としたりするもので、このグラスの「頑丈さ」は身をもって体験済み・・・?!

・安い!
 合理的な生産システムの導入により、北欧デザイナーによるプロダクトにもかかわらず1個あたり840円(税込み)というロープライスを実現しています。

と、こんなふうに書きつらねていったらキリがないほど、この『Timoグラス』は「万能」なのです。ちょうどいまの季節には、画像のように「グロギ」(あたたかいフィンランドのクリスマスドリンク)をつくってこのグラスで飲むのもいいですね。とにもかくにも、この冬いちばんのおススメ商品です。

◎ ティモグラス[The Timo Glass]
 カラー / クリア
 材 質 / 耐熱ガラス
 サイズ / 約φ89xH110mm
 ブランド / DESIGN HOUSE Stockholm(made in FRANCE)
 デザイン / Timo Sarpaneva(ティモ・サルパネヴァ)
 価 格 / 4個セット 3,360円(税込) 1個あたり840円!

Jouluiset piparit
2004.12.17|finland

お裾分けいただいた食べものの美味しさを自慢しようという、いささか品のないお話。

写真のこんがりいい色に焼けたお菓子は、どちらもフィンランドの家庭で食べられている素朴な焼き菓子。こしらえたのは、フィンランド・カレリア地方の家庭料理を日夜研究(?)している西尾さん。あるクリスマスパーティーのために用意したお菓子をお裾分けしていただいた。世間で言うところの「役得」である。

ヨウルピパリ(写真後方)は、その名のとおり、フィンランドのクリスマスには欠かせないスパイスクッキー。シナモン、カルダモン、それにクローブといったスパイスの風味が効いていて、コーヒーにも紅茶にもよく合う。

写真手前は「ウィルヘルミーナ・ピックレイパ」、直訳するとウィルヘルミーナのちびパンという名前のお菓子だそう。「パン」というよりは「焼きケーキ」といった感じだろうか。どちらも表面はしっかりカリッと焼いてあるのだけれど、口のなかに放りこむとホロっとくずれるのが特徴的。とりわけ、やや粒子の粗い粉の食感がなんとも味わい深くて最高!

つい先日も、ご近所に暮らすフィンランド人の女性とフィンランドと日本とでは「粉」がちがうという話をしたばかりなのだけれど、こうしてみるとフィンランドの素朴なお菓子の美味しさは粉のあじわいにあるといえるかもしれない。じっさい、西尾さんも以前わざわざフィンランドから「粉」を取り寄せたことがある、とおっしゃていた。テレビなどで、「ソバ通」のおっさんが「粉が・・・」などと語っているのをみるにつけなんとなくウザくおもっていたボクではあるが、気がつくと「粉のあじわい」について云々しているじぶんがいる・・・おそろしい話である。

残念なことに西尾さんの焼くお菓子は一般に販売されていないのだけれど、moiでは西尾さんがプライベートにまとめられた「フィンランド家庭料理」のレシピ集を店内で自由に閲覧できるようにしているので、興味があるというかたはぜひ!

自称フィンランド国籍の・・・
2004.12.24|finland

クリスマスイヴにちなんで?!

ネットでみつけた「自称フィンランド国籍の男を逮捕」というニュース(虚構新聞 12/24付けより)をご紹介して、ひとまずお茶をにごしておくこととしましょう。

では、よいイヴを!

時効なので
2005.1.5|finland

J-WAVEからの「出演依頼」を断ってしまいました、というお話。

年末に、J-WAVEの某番組スタッフの方からお電話をいただいた。「フィンランドについて話してみませんか?」という。基本はミーハーゆえ、ぼくはたいていの取材には応じることにしている。どうしてもスケジュールの調整がつかないとか、取材の意図がみえない、あるいは背後に邪悪な気配を感じるとかいった場合には、ごくまれにではあるがお断りしてしまうこともある。いつもなら引き受けてしまうところだが、今回さすがに躊躇してしまったのは、ぼくがふだんこの番組をきいていて、その内容をある程度知っていたからにほかならない。

バーチャルトリップがコンセプトのこの番組では、毎週ひとつ、どこかの国が紹介される。紹介するのはその国に「ゆかりの深い人物」で、政府関係の方だったりお店のオーナーだったり、アーティストや旅行会社の方だったりとさまざま。《北欧特集》だった12月はデンマーク、スウェーデン、グリーンランドとつづいて、いよいよ「フィンランド」ではいったいだれが登場するのかと期待に胸ふくらませていたら、なんとお声がかかったのはこの「自分」だったという笑えないオチに思わず苦笑・・・。

ある程度テーマが特化されていれば、もしかしたらしゃべれなくもないかもとは思ったりもするものの、この番組でもとめられるオール・アバウト・フィンランド的な知識にかんしては、正直まったくといっていいほど自信がない。だいたい「オーロラ」すら見てませんから。そのうえ前週のオンエアに登場したのは、《グリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロース》のパラダイス山元氏(J-WAVEから打診のあった前夜、自宅前でお見かけしました・・・う~む、予兆だったのか?!)。話術も巧みなパラダイス山元氏の後では、さすがに分が悪いよな~というのも理由のひとつ、か。

そこで悪知恵をはたらかせて、moiを設計した関本さんに押しつけてしまおうと画策したりしたのだけれど(笑)、けっきょく先方の事情により白羽の矢が立ったのはフィンランド政府観光局の能登さん。キャスティング的には、まさにグリグリの本命◎ ですね。いやあ~、勉強になりましたです・・・ていうか、うかつに引き受けなくてホントよかった。

エリナさんの写真
2005.1.8|finland

フィンランドを拠点に、コマーシャルフォトの現場などで活躍するフォトグラファーエリナ守屋さんからメールがとどきました。

エリナさんとは二度、moiのオープン前と、そして昨年お目にかかったにすぎないのですが、彼女から発せられるエネルギーにはいつも圧倒されます。日本人の父親とフィンランド人の母親とのあいだで生まれ育った彼女のテーマは、「人と文化を撮る」。実際、いそがしい広告写真の仕事のあいまをぬって、世界各地を旅してはたくさんのひとびとと出会い、そして意欲的なシリーズの数々を発表されています。

たとえば「一期一会」というプロジェクト。これは、世界を旅しながら出会ったひとびとのポートレイトに、別の場所で撮影した風景を「合成」した作品集です。ありのままを写しとるのではなく、あえて「合成」という人為的なコントロールをほどこすことで、「エリナ守屋」というひとりの旅人の「感興」が、その写真にはよりリアルにひとつのイメージとして像を結んでいるようにぼくにはおもえます。そしてそのことは、フォトグラファーとしての彼女の《思想》をとても明快に物語っているように感じるのです。

とはいえ、エリナさんの写真にあらわれる世界がフィクショナルであるということではありません。あえていうなら、それはアンリアルな世界。いま目の前にある世界そのもとはどこかちがうけれど、「こうであったらいいな」という《期待》を孕んだ遠い「現実」。モットーは「人生はあくなき探究」と語る彼女のそのまっすぐな視線の先にひらけるのはきっと、その写真のようにクリアでカラフルで、瞳には強い意志を宿らせたひとびとが息づく世界なのではないでしょうか。

気になったかたはぜひ、エリナ守屋さんのサイトを訪れてみてください。

aurinko paistaa
2005.1.18|finland

つめたい雨が降りつづいた週末とは対照的に、きょうはあたたかな太陽の光が降りそそぐおだやかな一日だった。こんな日にきまって思い出すのは、つぎのようなフィンランド語のフレーズ。

── aurinko paistaa.

直訳すれば「太陽が輝く」。まあ、会話のなかでつかわれるぶんには「いい天気だね」くらいの意味なのだろうけれど、じつはそこにはもっといろいろな感情が織りこまれているように思われるのだ。

フィンランドではいつも、太陽のめぐみということばを実感する。北の国では、太陽は凍てついた空気を融かし、そのまばゆい光は風景の色さえも変えてしまう。光と闇、つめたさとあたたかさ、もっといえば厳しさと優しさ、よろこびとかなしみ・・・人間の感情をつかさどるありとあらゆる《コントラスト》を支配しているものは、そこでは「太陽」なのではないか、そんな気にさえなってくるのだった。

だからこそ、aurinko paistaaというこのなにげないフレーズにも、ぼくはとてもヒューマンな響きを聞いてしまう。よくシベリウスの交響曲第2番のフィナーレにかんして、「独立前夜」における《民族の自立》とその《勝利の凱歌》と説明したものを目にしたりするのだけれど、あれはたんなる《aurinko paistaa》なんじゃないかとぼくは密かにかんがえている。じっさいシベリウス自身も、「抑圧された民族の解放」うんぬんといった「標題音楽」的な解釈には否定的だったらしい。鉛色の空を突き破るようにして、まっすぐ地上に届く北の国の太陽の光をそのからだに受けるとき、そこにわきおこるのは素朴でおおらかな感謝の念であるだろう。シベリウスの音楽に、ぼくはフィンランドの力強い太陽をおもいだす。そして、世界の様相が変わるあの瞬間を。

aurinko paistaa ── そうフィンランドのひとがつぶやくとき、そこには自然にたいするかれらの深い敬意がこめられているようにおもえてならない。

フィンランド・コーヒー事情
2005.1.21|finland

ひさしびりで4年ほど前の『Helsinki Happens』をパラパラとめくっていたところ、ちょっとおもしろい記事をみつけた。題して「数字でみるフィンランド・コーヒー事情」。ひとりあたりのコーヒー消費量世界第一位を誇る「コーヒーがぶ飲み大国」フィンランドの素顔が、いまあきらかに?!(なお、この記事はデータもふくめ2001年の春時点のものです)。

・世界的なコーヒー価格は、前年を30%ほど下回った。市場の供給過剰が原因である。霜害によりブラジルのコーヒー豆が壊滅的な被害をうけた1997年には、コーヒー価格は高騰した。

これは、まあフィンランドにかぎった話ではないですね。「農産物」である以上、多少の価格の変動は避けられないといったところでしょうか。

・フィンランドでのコーヒーの小売価格は、もっとも安いときで500gあたり220円から240円くらい、これはもっとも値上がりした1995年から96年にかけての価格(500円)のほぼ半分にあたる(1FIM=20円で換算)。

これはちょっとおもしろいですね。相場の価格がそのまま小売価格にもはね返るというのは、コーヒーにかんしていえば、日本ではあまりないようにおもわれます。ある意味、フェアな印象をうけますが。フィンランドの物価からかんがえると、500gで500円はじゅうぶん安いのではないでしょうか。「生活必需品だから」ということかもしれませんね。

・昨年、フィンランドは32ヶ国からコーヒーを輸入した。ちなみに、コーヒー生産国は世界中で50ヶ国以上にのぼる。

全日本コーヒー協会のサイトでちょっと調べてみたところ、日本は40ヶ国以上の原産国から輸入しているとのこと。コーヒーにたいして「嗜好品」としての価値をもとめる日本は、よりヴァリエーション重視ということでしょうか。

・フィンランドの生豆の輸入量は、1年あたりでざっと5,500万キログラムにのぼる。これは、国民ひとりあたり10キログラムに相当する。

赤ん坊までふくんでの10キロですから、驚くべき数字ですね。ちなみに日本は、ひとりあたりおよそ3キロ強といったところです。

・500グラムのコーヒー豆から、ふつうのサイズのコーヒーカップで平均65杯分のコーヒーを抽出する。

一杯あたり8グラム弱というのはかなりすくないですね。味わうというよりも、やはりむしろ「お茶感覚」でガブ飲みするというのがフィンランド流なのかもしれません。

・昨年、フィンランドではひとりあたり160リットルのコーヒーを飲んだ。これは一日あたり平均4杯のコーヒーを飲んだ計算となり、世界記録である。

むこうのコーヒーカップはやや小さめのものがおおいので、こんな数字でしょうか。日本の平均的なカップで再計算すると、だいたい「3.5杯」といったところ。でも、じゅうぶん「世界一」の名に恥じない摂取量といえそうです。

そういえば、先日「コーヒーを一日一杯以上飲む人は肝臓がんになる危険性がすくない」というニュースがありましたが、となると「酒好き」でもあるフィンランド人は、こんなふうにコーヒーをのむことで無意識のうちに肝臓がんのリスクを中和しているのかもしれません。ここはぜひ、フィンランドにおける肝臓がんの発症率もあわせて調査していただきたいところです。

フィンランド大使館のサイト
2005.1.22|finland

駐日フィンランド大使館のサイトがリニューアルしました。あ、みなさんもうとっくにご存知でした???ぼくは最近チェックを怠っていたもので、きょうmoiのウェブサイトをつくっていただいたえつろさんにおしえていただいて、はじめてしりましたよ。

正直なところ、以前のTOPページのデザインすらよく思い出せなかったりするのですが、シンプルながら情報提供の面でより強化された今回のリニューアルによって、いっそう多くのひとに役立つサイトとして変身したのではないでしょうか。

ちなみにmoiも、「フィンランド関連機関」→「その他:フィンランドの食べ物」というコーナーにてリンクをはっていただいています。まだのかたはぜひ、いちどフィンランド大使館のサイトをたずねてみてくださいね。

余談ですが、いまmoiでごらんいただいている『ムーミンママのお料理の本』は、以前フィンランド大使夫人からプレゼントしていただいたもの。関心をお持ちのかたはぜひ、これを参考にフィンランド料理作りに挑戦してみるなんていかがでしょう。

フィンランド気質、なのか?
2005.1.23|finland

ところで、moiでは毎週末の午前中フィンランド語教室を開催しているのだけれど、ただいま一時帰国中のSanna先生にかわり今週からLiisa先生が「リリーフ」として登板している。

フィンランドでは、あいさつにつづいて「Mita kuuluu?」とか「Miten menee?」、つまり相手にたいして「お元気ですか?」と訊ねることになっている。で、この場合の模範回答としては「Kiitos hyvaa」もしくは「Hyvin,kiitos」、つまり「ありがとう元気です」ということになるのだけれど、これはあくまでも教科書的な回答例。Liisa先生によれば、この問いかけにたいする回答としてはつぎのような3つのパターンがあるという。

パターン1
 「Kiitos hyvaa/Hyvin,kiitos = ありがとう元気です」
パターン2
 「Ei mitaan erikoista = べつだん何もないです」
パターン3
 「Olen viela elossa = まだ生きてます」

前出のパターン1はよいとして、残りのふたつは・・・どうなのよ?ていうか、ぜんぶで3つあるうちのふたつまでが、なんかむっちゃ「うしろむき」な感じがするんですけど・・・(笑)。まあ、ぼくらも「まあまあだね」とか「なんとか生きてるよ」とか使ったりするのでフツーといえばフツー?!

ちなみに、Liisa先生はいつも「パターン3」だそう(笑)。あ、誤解のないようつけくわえさせていただくなら、Liisa先生はとても陽気で楽しいかたですよ。

文中のフィンランド語表記について
表示の関係上、kaksoispiste(でいいのかな? 文字の上につく「・・」です) は省略させていただいています

気がかり
2005.1.29|finland

気がかりなことがある。あす、初めてのフィンランドへ旅立つというあるお客さまのことだ。

2月にまとまった休みがとれそうなのでぜひフィンランドに行ってみたい、という彼女は、けれどもしきりにフィンランドの寒さを気にしている様子だった。迷っているひとを見かけたら手を貸してあげなさい、そう親に厳しくしつけられ育った店主としては、ここはひとつ黙って見過ごすわけにはいかない。背中を押してあげた。「どうやらことしは『暖冬』みたいなのできっと大丈夫ですよ!」と。

「なんか大丈夫そうな気がしたんで、この前、帰りがけにチケットをおさえてきちゃったんです」、それから数日してふたたびmoiをおとずれた彼女は、一週間後の1/30にフィンランドへむけて出発することをそう報告してくれた。そして、笑顔で元気に店をあとにしたのだが・・・。

暖冬だったフィンランドにも、とうとう本格的な「寒波」が到来したのを知ったのはけさのこと。きのうはなんと、ヘルシンキでもマイナス15℃を記録したらしい。さっそく天気予報をチェックしてみたところ、いくぶん落ち着いたとはいえ、それでも日中の最高気温が氷点下になる日も多そうだ。彼女が、無事「フィンランド嫌い」にならずに帰国することをただ祈るばかりである。

どなたかもしもヘルシンキの街頭で、やけに薄着で当惑している若い日本人女性の姿を見かけたら、どうか親切にしてあげてください(笑)。moiからのお願いです。

FLYING FINN!
2005.2.5|finland

雑誌『photon(フォトン)』#5の販売をはじめました。

特集は「FLYING FINN!~クリエイターにとって、フィンランドは特別な国なのだろうか」。巷にあふれるインテリア誌やファッション誌がとりあげるイメージ先行型の「フィンランド特集」にはもう飽きた、そんな方にこそぜひ手にとっていただきたい一冊です。

多数の写真とインタビューから構成される内容は、なかなかに興味ぶかいもの。フィンランド人デザイナーたちの、「フィンランドデザインとは何か?」という問いかけに対する「答え」もおもしろいのですが、それと同時にフィンランドを拠点に活動する日本人クリエイターたちに対してもおなじように問いかけている点があたらしいところでしょうか。つまり、フィンランド人/外国人という括りではなく、「フィンランドのクリエイターたち」という視点から「フィンランド」で活動することの意味をさぐってゆこうという趣向になっているのです。

もうひとつの「見どころ」は、moiの食器デザイン&照明プランを手がけた、おなじみ梅田弘樹&かおりご夫妻を大フィーチャー(!)した「光の旅」という特集。おふたりがフィンランドの教会建築を旅しながら、フィンランドの「光」、フィンランド人にとっての「光」を語っています(写真多数で「UMEファン」必見ですね・・・笑)。

とりわけフィンランドのデザインや建築に関心がなかったとしても、フィンランド人の「心性」にまでスポットをあてようというこの一冊は、フィンランドに行ってみたい、フィンランドに暮らしてみたいとかんがえるすべてのひとにとって、なかなかに読みごたえのある内容になっているのではないでしょうか。

WEB中心の販売、しかも東京ではまだほとんど取り扱っている店鋪がないというこの雑誌『photon(フォトン)』、お求めはぜひmoiでどうぞ!

◎ 『photon』ISSUE.5
 特集《フィンランド-FLYING FINN!》 1,000円(税込み)
 万が一、売り切れの際にはご容赦ください。

アールト? アアルト?
2005.2.27|finland

ギョエテとは オレのことかと ゲーテ言い。

こんな、古い川柳を思い出させるような事態が、フィンランドの建築家「ALVAR AALTO」をめぐってもまた、おこっている。というのも、日本の雑誌などにこの建築家の名前があがるとき、それはおおよそ4通りの仕方で表記されているからにほかならない。

その1 アルヴァ・アアルト
その2 アルヴァ・アールト
その3 アルヴァー・アアルト
その4 アルヴァー・アールト

原因は、苗字、名前それぞれについてカナに変換する場合の見解が統一されていないことにある。じつは、ほかにも苗字をアルヴァル、アルバルなどと表記するケースもごくまれにあって、事態はますます混乱する一方だ。

では、いったいどれが「正しい」のかという話になると、これもまた意見の分かれるところでそうカンタンには答えはでないのである。フィンランド語の発音からすると、苗字についていえば「アールト」がより自然であるように感じる。一方、名前はというと、「r」の発音が巻舌になるのでこれをカナに直すというのはかなり困難だ。それだけにやはり、なにがしかの「きまりごと」をつくって統一したほうがよいのではないか、そう思っている。ちなみに、フィンランド大使館とフィンランド政府観光局では「アルヴァル・アールト」で統一しているのか、おなじ表記をしている(当たり前か・・・)。

以前、『アールトとフィンランド-北の風土と近代建築』を著した伊藤大介先生がmoiに来店された折りにも、たしかそんな話をされていたように記憶している。ぼく個人は、「アルヴァー・アールト」という表記に統一していて雑誌等にもできるだけそのように表記してもらえるようお願いしているのだけれど、もしガイドラインのようなものが存在するのであればいつでもそれに変更する心づもりはできている。もちろんそのときには、moiの「ブレンド」の名前もまた変わることになるわけだけれど。

フィンランドカフェ
2005.3.30|cafe

フィンランドカフェと呼ばれることのおおい、ちかごろのmoiである。

面白いのは、いまだかつてただの一度だってみずから「フィンランドカフェ」と名乗ったことはないという事実だ。そもそも、「フィンランドカフェ」ということばじたい不思議だ。おそらく、moiがオープンしたのとおなじ2002年からスタートしたフィンランド政府観光局主催のイベント名からきているのだと想像する。

ところで、moiの正式名称は「moi(モイ)」である。雑誌の紹介記事などで、お店の性格をはっきり示さなければならないというときには、やむなく「カフェ moi」と名乗ることもある。原則として、ただの「moi」で押し通している理由はふたつ。ひとつは、「カフェ」という業態にとらわれず、そのときどきで自由にスタイルをえらびたかったから。もうひとつは、そこがどのような場所であるかはお客さまが決めることと思っていたから、である。だから、moiはあるひとにとっては「カフェ」であるかもしれないが、あるひとにとっては「喫茶店」、あるいはたんなる「寄り合い所」、またべつのあるひとにとっては「ギャラリー」であるかもしれない。そうしてそれはたぶん、すべて正しい。「フィンランドカフェ」と呼ばれれば、「なるほど、そうかウチは『フィンランドカフェ』なんだな」とあらためて思うし、ときには「もうちょっと『フィンランドカフェ』らしいこともしなきゃな」などと反省(?)したりもする。

個人的なことをいえば、とりたてて「フィンランド限定」にしているわけではなく、ぼくの関心はいつも北欧全般に、ある。じっさい、フィン・ユールの椅子もすきだし、スウェディッシュポップスやジャズも聴く。フィヨルドだって、この目でいちどはみてみたい。そういうわけなので、スカンジナヴィアンなあなたもぜひ、北欧カフェだとおもって気兼ねせずお越しになってください。べつに怒ったり、喧嘩を売ったりしませんから(笑)。

『エクスプレス』がおもしろい
2005.4.9|finland

フィンランド語を勉強しようというひとは、いまなら何冊かのテキストからじぶんに適したものをえらぶことができる。ところが数年前まではそうはいかなかった。日本語で「フィンランド語」を学ぼうという初心者にとって唯一のテキストは、『エクスプレス~フィンランド語』(松村一登著/白水社)だった。いまとなっては表現にやや古めかしさが目立ったりはするものの、あいかわらずぼくの中でのこの本の「王座」はゆらぐことはない。なぜなら、例文がめちゃくちゃシュールでおもしろいからである。

第一章のタイトルは「あなたはだれですか?」とあり、フィンランド人の女性「レーナ」と日本人の男性「徹」との会話からなっている。

 レーナ:こんにちは、徹さん!
 徹:こんにちは!あなたはだれですか?

いきなりじゃないか。「こんにちは、あんただれ?」って、そんな返答の仕方があるだろうか。しかしレーナはレーナでどこかズレているのだった。「わたしはレーナです」と冷静に自己紹介をしたあと、徹にこう問いかける:

 レーナ:あたなは「日本人」ですよね?

見ず知らずのフィンランド人がじぶんの名前を知っている上に、「日本人か?」と訊ねてきているのである。これはかなり怪しむべきシチュエーションではないだろうか?しかしながら、徹にはまったく動じている様子がない。

 徹:はい。そしてあなたは「フィンランド人」です。

って、いったいこのひとたちときたらなにを確認しあっているのだろうか?にもかかわらず、「その通り(Aivan.)」と悠然と返すレーナには「クイズ$ミリオネア」の「みのもんた」のような貫禄すら感じられる。その後、レーナから「フィンランド語」をほめられた徹はよほどうれしかったのか、すさまじい暴走ぶりを発揮する:

 徹:ありがとう。あなたは美しい。

「イタリア人」のような徹である。しかしレーナの顔色を窺うでもなく、徹はこう続ける:

 徹:あ、バスがくる!ごきげんよう。
 レーナ:ごきげんよう。

ここからわかるのは、「徹はかなり身勝手な男である」ということである。しかし、それはそれとしてレーナはいったいなにが「目的」で徹に声をかけたのだろう。この会話の中でレーナがえた情報は、「やはり徹は日本人だった」ということだけである。まったくもってよくわからない。それでもあんまりおもしろいので、気づいたらこの会話をまるごと暗唱できるようになってしまった。

ほかにも、フィンランドっぽいユーモアを感じさせる第14章「彼女は水ばかり飲んでいました」、それに「美晴」と「パイヴィ」の会話から、「レーナ」と「徹」の暴走カップルがつきあっていることが判明する第9章「わたしはテープレコーダーをもっていません」もいい。

とにかく、この『エクスプレス』からぼくは確信する。著者の松村一登先生はかなりおもしろいひとにちがいない。

未来型ククサ
2005.4.21|finland

カレリア地方の街ヨエンスーから、「クピルカ [kupilka]」が再入荷しました。

「森の民」フィンランド人が愛しつづけてきた伝統的なマグカップ「ククサ」。白樺の「こぶ」から彫り出されるそれはまた、《しあわせを呼ぶカップ》として「おみやげ」にも大人気です。そしてそんなククサの「未来型」といえるのが、この「クピルカ」なのです。

「クピルカ」は、樹脂とプラスティックを50%ずつ配合してつくられています。丈夫で軽く(80g)、しかも衛生的というだけでなく、リサイクルという視点からも考えぬかれているところが、まさに北欧的(!)。容量は、ふつうのコーヒーカップよりもひとまわり大きく使いやすい200ml。もちろん耐熱仕様で、マイナス30度からプラス100度まで使用可能です。つまり、冷たいものから熱いものまでなんでもござれ、ということですね。

オフィスでマイカップになんていうのもしゃれてますが、とにかく軽いしルックスもかわいいので、これからの季節バッグにぶらさげてアクセサリーっぽく見せてしまう、なんていうのも北欧的オススメです。

フィンランドでもカレリア地方を中心にごく限られた地域でしか販売されていないこの「クピルカ」、もちろん日本ではmoiだけ(たぶん)でのお取り扱いとなります。ぜひ手にとってごらんになってみてください。

2008.9.15追記 現在は取り扱っておりません。今後も予定はありません。

ELIEL
2005.5.11|cafe

「旅講座」でフィンランドのカフェの話をさせていただくためにいろいろ調べものをしていたら、ふと「フィンランドで初めてはいったカフェはどこだったのか?」が気になった。

すこしのあいだかんがえていたら、「ああ、そうだった」と思い出した。ヘルシンキ中央駅の構内にある「エリエル(ELIEL)」だ。ホテルにチェックインしてさっそく街にくりだしたのはいいけれど、日曜日の夕方のヘルシンキはゴーストタウンのように静まりかえっている。おまけに雪までちらちら舞ってくる始末。やむなく、駅までゆけばなんとかなるさと思い、ようやくたどりついてほっと一息ついたのがそこだった。

店名は、フィンランドの大建築家エリエル・サーリネンの名前からとられている。ちなみにエリエルは、ニューヨークJFK空港の「TWAターミナル」を設計した建築家エーロ・サーリネンのお父さん。エリエルは後にアメリカ・ミシガン州のクランブルック・アカデミー初代学長の任に就くためフィンランドを離れ、家族とともに渡米する。ちなみにチャールズ&レイのイームズ夫妻を結びつけたのは、ここ「クランブルック」である。

それはともかく、この駅構内のカフェはとりたてておしゃれな店ではない。イメージ的には、上野駅構内の日本食堂。店の一角には「ビリヤード台」かなにかがあって、アキ・カウリスマキの映画にでも登場しそうな男たちが群がっていた。入ってゆくと、いっせいにその男たちがジロリとこちらを見るのだが、こわいというよりは、「アキっぽい」とやけにうれしかったのを憶えている。

いま、おなじ構内にはスタバのような「ロバーツ・コーヒー」もある。もしいまだったなら、迷うことなく「ロバーツ」で用を済ませていたかもしれない。あの頃そこに「ロバーツ」がなくて、ほんとよかった。

逆うまみ成分
2005.5.14|finland

あらためて、「サルミアッキ」のイヤなところをかんがえてみた。

その一。「色」がイヤだ。なんというか情け容赦のない「黒さ」だな、あれは。しかも、ときに粉吹いてるし。パソコンの底についている「ゴム足」を食べてるみたいな気分になってくる。

そのニ。なんか知らんがきまって2個くっついてきやがるところがイヤだ。1個でたくさんだっつーの。

その三。余韻がイヤだ。とにかくずーっと残るんだよ、余韻が。いわば、逆うまみ成分。甘さと辛さと塩っぱさとが同時にやってくるから、どこに照準をあわせたらいいのか「味蕾(みらい)」が戸惑ってるじゃないか!!!

と言いつつ、じつはここのところほぼ毎週食べさせられているせいか、だんだん味覚が鍛えられてきたようでだいぶ平常心を保てるようになってきた・・・ちょっと、うれしい。

kiitos kiitos
2005.5.27|finland

「北欧のスタイリッシュ・デザイン-フィンランドのアラビア窯」という展覧会が、いま滋賀県立 陶芸の森 陶芸館でひらかれている。ここはときどき渋めの好企画をおこなっていて要注目のミュージアムなのだが、残念ながらおいそれとは行ける距離にはない。で、悔しがっていたところ、お客様のT内さんがなんとこの展覧会の図録をmoiに寄贈してくださった。なんでも、ある特殊な(?)事情で名古屋&京都まで出かけたついでに足をのばしてきたそうである。

中身は、創設いらい現在に至るまでの「アラビア」の代表的なプロダクトの数々がカラーで紹介されているほか、巻末には資料や作家のバイオグラフィーも掲載されていてなかなか見ごたえがある。

というわけで、プレゼントしていただいたこの図録、moiで自由に手にとってご覧いただけるよう、「閲覧用」に置いておきたいと思います。興味のある方は、ぜひmoiでチェックしてみてください。

T内さん、大事に使わせていただきます。どうもありがとうございました!

FINEL社のホーローの片手鍋
2005.7.2|finland

きのうブログでもお知らせした、24日[日]に開催予定のイベント「北欧みやげ市」で販売を予定しているグッズの数々を、こちらですこしずつ紹介してゆきたいと思っています。

まずは、「ARABIA」傘下のFINEL社で1960年代~1970年代にかけてつくられたと思われる赤いホーローの片手鍋です。

まず、見ての通り均整のとれた端正なフォルムが印象的です。ちょっと朱色がかった赤は、熟しきって木から落ちる寸前の「柿」を思わせます。また、側面には北欧らしい冬の到来をイメージさせる半抽象的なモチーフが描かれています。

フィンランドの家庭で、ミルク粥をこしらえたりスープをあたためたりしていたのでしょう。蓋や鍋のフチの部分には、若干エナメルのはげ落ちた箇所もみうけられます。

ただ大事に使われきたのでしょうか、多少の使用感はあるものの内部はとてもきれいな状態ですので、ぜひ日々の生活のなかで使っていただきたいとおもいます(実際の色や傷の程度等、ご自身の目でご確認ください)。サイズは、よくみかけるミルクパンよりやや大きめかなといった感じです。

カバのヘンリー
2005.7.9|finland

~「北欧みやげ市2」の出品リストから。

この「カバのヘンリー」は、フィンランドの銀行「Osuuspankki(OP) 」のノヴェルティーグッズとしてつくられた「貯金箱」です。

フィンランドの銀行がつくった貯金箱といえば、復刻版が日本でも販売されている「ブタ」や「ゾウ」がよく知られていますが、この「カバ」はちょっとレアだと思いませんか?この「カバのヘンリー」は、フィンランドのみならずイギリスやドイツでもよく知られた人気キャラクターのようですが、残念ながらくわしいことは不明です。ちなみにさきほどの「OP」のサイトには、こども向けの「カバのヘンリー」のページも用意されています。

かわいすぎないところがかえってかわいい、そんなヘンリーくんでした。

劇的ビフォーアフター
2005.7.10|travel

夏のフィンランドでは、天気さえよければあちらこちらの公園でこんなゆるい光景を目にすることができる。日が長いので、ようやく太陽が沈みかけ肌寒くなってくる深夜ちかくまで、ひとびとは芝生にこしかけビール片手におしゃべりに興じている。ハッピーで、なんともぜいたくな眺めだ。

ところが、一夜明けて散歩に出ると目にはいってくるのは・・・日本でいえば、さしずめ「お花見の後」のようなこんな光景。

そういえば、あちらの新聞でも若者のゴミ放置が問題にされていたような・・・。北欧というと「エコロジーの国」というイメージをもっているひともおおいことだろう。じっさい、「リサイクル」などについては市民生活に根づいている印象をうける。けれどもその一方で、ゴミの分別が日本ほどきっちりなされていなかったり、こんなふうにあっけらかんとゴミをポイ捨てしていったりと、極東からやってきたガイジンの目に映る「エコの国」はどうにもアンバランスなものだったりもする(そのために市の清掃局があるのだ、という理由なのかもしれないけれど・・・)。  

余談だが、下の写真を撮っていたらおばちゃんたちから笑われてしまったよ。「変な外人」と思われたんだろうな、きっと(笑)。

Tapio Wirkkalaデザインのミニボトル
2005.7.11|finland

~「北欧みやげ市 2」の出品リストから。

フィンランド産ウォッカとして世界にひろく知られる、「フィンランディア」のミニボトルです。

これは1970年に登場したタピオ・ウィルッカラのデザインによる初代ボトルで、数年前までは日本でもふつうに販売されていました(ちなみに現在市場に流通しているボトルは三代目で、デザインは「ブロックランプ」で知られるハッリ・コスキネン)。手に入らなくなってしまったいまでも、いかにもタピオらしい男性的なデザイン(ざわざわした手触りがいいですよ)で人気がありますね。

さて、お気づきのかたもいらっしゃるかもしれませんが、このボトルの面白いところはキャップの色が「赤い」ことです。日本で流通していたものもふくめ、よく見かけたものはすべてラベルとおなじくキャップも「紺色」でしたし、なによりこの赤いキャップがなかなかかわいいので思わず連れ帰ってきてしまいました。そういえば、フィンランド政府観光局発行の雑誌「TORI」で紹介されていた「ヘルシンキ・ホテル&レストラン博物館」所蔵のボトルもまたおなじくキャップの赤いタイプでしたので、これが初期のオリジナルデザインだったのかもしれません。

残念ながら(?)中身は空っぽですので・・・あしからず。

Anttiのコーヒーポット
2005.7.19|finland

もう説明は不要、ですね。泣く子も黙る(?!)アンティ・ヌルメスニエミ(Antti Nurmesniemi)のホーロー製「コーヒーポット」です。

ちかごろでは目にする機会もたいへん少なくなってしまいました。とくに、状態のよいものはほんとうに少なくなっている気がします。しかも日本人に人気があるのを知ってか、値段も高騰しています。これは大きいサイズのほうのポットで、色は「アンティのポットといえばコレでしょ」という定番の「赤」です。

目につく「傷」は写真の2箇所。フタの内側(フタをした状態では隠れますので見えません)と、注ぎ口のフチの部分です。その他はほとんど気になるようなエナメルの欠けは見当たりませんし、なんといっても内側のきれいさは特筆モノです(パーコレーターはありません)。

フィンランドでも探しにくくなってきていますし、重くかさばる上に気をつかいながら運んでくるのもなかなか骨が折れるこのポット、どうしても欲しいという方はこの機会にぜひどうぞ!

※「北欧みやげ市」の「出品リスト」をご希望の方は、件名に「出品リスト希望」と記した空メールをお送りください。折り返し、お送りします。

アラビア「Faenza」カップ&ソーサー
2005.7.20|finland

「北欧みやげ市2」も、いよいよこんどの日曜日に近づいてきました。どんなふうにディスプレイしようか?、せまい空間なのでいろいろ思案中です。

ところで「整理券」についてですが、現時点では発行の有無、時間等については未定です。当日の開店前の状況次第で決定します。じつは、昨年開催した際にはオープン前にお並びいただいたお客様が多かったため、開店後の店内が混雑しご迷惑をおかけしました。そこで今回はできるだけそうした状況を回避するため、状況次第では整理番号順に時間帯をずらしながらご覧いただく入場制限をさせていただく予定です。ご協力をよろしくお願いします。混雑は避けたいのですが、とはいえ一点ものがほとんどなので、狙っている品物があるという方は早い時間帯のほうがおすすめです・・・。なお、引き続きメールをいただいた方には「プライスリスト」をお送りしています。どうぞご利用ください。

写真は、1973年にアラビアから発表された「Faenza」シリーズのカップ&ソーサーセットです。

この「Faenza」は、Peter Winquistによって日々の食卓を彩るシリーズとしてデザインされたものです。その意味では、Kaj Franckの「Kilta(現「Teema」)」と並んでもっともアラビアらしいプロダクトといえるのではないでしょうか?

この「Faenza」にはほかにも茶色やブルーの細かい花柄のものなどもありますが、黄色のラインが印象的なこのタイプは朝から元気になれるようなさわやかさが気に入っています。北欧デザインの「シンプルさ」がお好きなかたにおすすめです。

カンテレ
2005.7.30|finland

カンテレ(kantele)という名前のフィンランドの民族楽器があります。「カンテレ」は「チター族」の楽器で、水平に寝かせて演奏するその様子はまるでちいさな「琴」のようでもあります。また、ちかごろでは日本でも「カンテレ愛好家」がふえていると、ときどき耳にしたりもします。と言いつつ、もともとデザインや建築方面からフィンランドに関心をもったぼくにとっては、じつは名前こそ知ってはいても縁遠い存在だったりするのですが・・・。

そんななか、カンテレ奏者の佐藤美津子さんからメールをいただきました。佐藤さんは、札幌を中心にカンテレのコンサートや教室をつうじてその振興・普及活動に努めていらっしゃるというかたで、この夏には北カレリア地方の町イロマンツィで開催された「カンテレ・ミュージックキャンプ」にも参加されてきたそうです。

さて、そんな佐藤さん、「カンテレあんさんぶる」というブログを開設されています。フィンランドの自然や人々とのふれあいのなかで、日々カンテレへの理解と愛情とを深めている佐藤さんの思いがひしひしと伝わってくる、そんなブログです。

フィンランドの文化に興味のあるかた、そしてなんといっても「カンテレ」に関心がある、奏でてみたいというかたは必見のブログです。ぜひいちどご覧になってみてはいかがでしょう。

世界陸上ヘルシンキ大会
2005.8.6|finland

ヘルシンキでは、いよいよ「世界陸上」が開幕しました。個人的には、まったく「陸上競技」には関心がないにもかかわらず、「ヘルシンキ」という理由だけでチラチラと観てしまうじぶんがいて「なんだかなァ」という感じです。

予想通りというべきか、競技場内でおこなわれる種目についてはそこがどこなのかまったくわからないといった状態ですね。しかも織田裕二と中井美穂がスタンバっている「特設スタジオ」にいたっては、まったくヘルシンキとはかけ離れたイメージでむしろ興ざめですらあります(あの「帆船」はいったい何?)。ただ、ときどき耳に入ってくる場内アナウンスと、やけに静かなスタジアムの雰囲気に「ああ、ここはやっぱりヘルシンキだよ」などと感じたりもしますが。

そんななか、やはりいちばんたのしみな競技種目といえば「マラソン」ということになるでしょう。なんといっても、ヘルシンキ市街を「3周半」、ですから・・・。一部、なんかショボイよねという声も聞こえてきたりしますが、「庭園都市ヘルシンキ」のうつくしい街並をプチ観光気分で3回半もたのしめると思えば、まあそれはそれでいいじゃないですか。ビール片手にテレビの前に陣取れば、ほとんど世界は「バー・トラム」(ヘルシンキを周回するバー仕様の路面電車。ビールメーカー「KOFF」のロゴをあしらった真っ赤な車両は、まさにヘルシンキの「夏の風物詩」)。

というわけで、TBSの取材クルーのみなさま、選手のアップの絵は一切いりません。引きの絵だけでよろしくです。

フィンランドデザイン・イヤー2005 その1
2005.8.9|finland

この夏から年末にかけて、フィンランドでは「フィンランドデザイン・イヤー2005」としてさまざまなデザイン関連イベントが開催されています。そこで、ぼく自身でかけてみたい&これから行かれる方にはぜひ足を運んでみていただきたいイベントをいくつかピックアップして、ご紹介させていただこうかとおもいます。

まずはステファン・リンドフォルスの個展から。 リンドフォルスといって思い出されるのは、なんといっても1998年にアラビア社から発表されたカップ&ソーサーセット《Ego》ではないでしょうか。一見、奇をてらったようなフォルムでありながら、そのじつデザイン性と機能性の交差点において発想されたこの《Ego》は、有無を言わせることなく、あっという間にフィンランドデザイン史のマスターピースとなってしまったのでした。じっさい、今回、弱冠43歳にしてデザインムセオで個展が開催されるという事実が、なによりフィンランドにおけるかれの人気と実力とを裏づけているといえそうです。 その後も、NYのホテルのインテリアデザインを手がけたり、イーッタラ、マリメッコ、ハックマン、P.O.コルホネン社など、フィンランドを代表するメーカーから相次いで作品を発表するなど精力的な活動をつづけていましたが、数年前、突然のデザイナー休業宣言をして映像の分野に活動を移しました。ほかにも彫刻家、グラフィックデザイナー、DJといったさまざまな「顔」をもつリンドフォルスですが、ひとつの「肩書き」に縛られることなくそのときどきの自身の関心にしたがって行動してゆく、そんなフットワークの軽さこそが彼の身上かもしれません。 また、「アーティスト」としての自己プロデュースという部分でも、リンドフォルスはなかなかにしたたかな人物です。このへんは、いわゆるフィンランド人のパブリックイメージと異なるのですが、それは彼がスウェーデン語圏の自治領であるオーランド出身ということとも、あるいは関係があるかもしれません。いずれにせよ、進化をつづけるアーティスト、ステファン・リンドフォルスの現時点での《集大成》であるこの個展が、じゅうぶん興味ぶかいものであることにちがいはありません。個展は、9/16から10/2までヘルシンキの「デザインムセオ」にておこなわれます。

さて、もうひとり、プロダクトデザイナーとしてフィンランドを代表する人物といえばこのひと、ハンヌ・カホネンでしょう。彼は「CREADESIGN」の主宰者として、携帯電話からスキー板、いす、ヘルシンキ市のゴミ箱からトラムの車両のデザインまで幅広く手がけています。今回開催される展示「テーマ」では、探究者あるいは実験者としての彼の「顔」にスポットをあて、そのデザインの源泉へと遡ってゆくものとなるようで、これもなかなか見逃せない内容といえそうです。展示は、11/11から11/30までヘルシンキの「デザインフォーラム・フィンランド」で開催されます。

まだまだおもしろそうな企画が目白押しなので、あしたも引き続き注目のイベントをご紹介したいと思います。

フィンランドデザイン・イヤー2005 その2
2005.8.10|finland

きょうは正午から「打ち水大作戦」の「全国いっせい打ち水」の日だったのですが、それを知ってか荻窪では昼前から「天然『打ち水』」(つまりは「雨」ね)がザァーッとあったため、とりあえず今回は見送りました。とはいえ、まだまだ暑い日がつづくようなので、引き続き「打ち水」に励みたいとおもいます・・・。

さて、きょうも「フィンランドデザイン・イヤー2005」から、ヘルシンキ以外の都市でおこなわれるイベントを。

はじめは、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いのフィンランド発のファッションブランド「イヴァナ・ヘルシンキ」の7年のあゆみをふりかえる展示です。今回は、デザイナーのパオラ・スホネンとテキスタイル・アーティストのシルッカ・コノネンとの二人展となるようなので、あるいはコラボ作品も登場するかもしれません。リンドフォルスもそうですが、パオラ・スホネンもまた「フィンランド人らしからぬ(?)したたかさ」を持ちあわせていますね。これくらいじゃないと、フィンランドのアーティストが世界を舞台に活躍するのはむずかしいということなのかもしれません。展示は10/1から10/18まで、ポリ市の「ポリジナル・ガレリア」にて開催されます。

そしてもうひとつ、おもしろそうな企画がラップランドの町イヴァロで開催されます。名づけて「フィンランドデザインのアイドルたち、荒野へゆく」。イナリ湖の湖畔にたたずむこの町をハッリ・コスキネンやリトヴァ・プオティラをはじめとする10人のデザイナーたちがおとずれ、かれらがこの極北の地からインスピレーションをえて制作した作品の数々を展示するというもの。イナリ湖のほとりといえば、フィンランドデザイン界の巨匠にして野生児、タピオ・ヴィルッカラが好んで滞在し数多くの傑作を生んだことでもしられる土地だけに、十人のデザイナーたちが十人十色、北の空気のなかではたしてどんな作品を生み出すのか、じっさいにその土地の景観にふれながら確かめてみたいものです。なおこの企画は、9/8ににオープンする「Design House Idoli」の常設展示となるそうなので、イヴァロに行かれる方はぜひいかがでしょう。

ほかにもたくさんあるのですが、興味のある方はぜひ「フィンランドデザイン・イヤー2005」のウェブサイトをチェックしてみてください。

世界陸上マラソン・ウラ観戦マニュアル その1
2005.8.11|finland

いよいよ今週末には、「世界陸上ヘルシンキ大会」のフィナーレを飾るマラソン競技[男子/13日・女子/14日]が開催されます。そこでこのブログでは、じっさいにランナーが走る「コース」をたどりながら、プチ観光気分を味わえる「みどころ」を2回にわたりご紹介していきたいと思います。題して、マラソンにまーったく興味がないアナタのための世界陸上マラソン《ウラ観戦マニュアル》。では、出発!

まずスタート地点ですが、「ヘルシンキの銀座通り」(?!)エスプラナーディが南港の「マーケット広場」につきあたる、ちょうど《ハヴィス・アマンダ》像が立つあたりになります。スタートの合図とともに、走者たちは白亜の《ヘルシンキ大聖堂》を背に、左手に海を見ながら「エテラランタ(通り)」を南下していきます。すぐに、左側に赤煉瓦づくりの《オールドマーケットホール》が、そして右側には《パレスホテル》の建物が見えてきます。有名なアンティ・ヌルメスニエミのサウナスツールは、このホテルのためにデザインされたものです。しばらくゆくと、左手にストックホルムとヘルシンキをむすぶ大型客船「シリヤライン」の発着場があらわれます。ちょうど時間的に、出発を待つ巨大な白い船体を目にすることができるかもしれません。

やがて走者たちは、ヘルシンキの南端に位置する海に面した公園《カイヴォプイスト》へとはいっていきます。このあたりは昔ながらの高級住宅エリアで、堅固な石造りのアパートメントや瀟洒な邸宅の立ち並ぶ通りを、昼下がりには品のよい老人がステッキ片手に散歩していたりします。そういえば、アキ・カウリスマキの映画にはかかせない看板女優カティ・オウティネンは、あるインタヴューで少女時代にはよくこのあたりで遊んだと語っていましたが、じつはけっこうな「お嬢さま育ち」なのかもしれませんね・・・。カイヴォプイストの一角にたたずむ人気のカフェ「ウルスラ(cafe ursula)」を過ぎると、こじんまりとしたヨットハーバーが姿をあらわします。天気さえよければ、世界遺産にも登録されている《スオメンリンナ島》の姿を沖にのぞむことができるかもしれません。海沿いの、もうひとつの人気カフェ「カルーセル(CARUSEL)」を通り過ぎ、徐々に右にカーヴしながらこんどは北上ルートへとさしかかっていきます。

風景は、このあたりから一変します。左手にのぞむことができるのは、ヘルシンキ随一の産業港である「西港」です。観光港の「南港」とは異なり、造船所のドッグや工場のエントツなど、アキ・カウリスマキの映画に登場しそうな殺風景な景色がひろがります。そしてやってくるのは、夏にはフリーマーケットでにぎわう《ヒエタラハティ》。走者たちは、そのマーケット広場のまわりをぐるりとほぼ一周走ります。右手には、アルヴァー・アールトをはじめ数々の建築家を輩出した「ヘルシンキ工科大学」の旧校舎の建物をみることができるでしょう。

と、ここまでが前半のポイントです。おなじルートを3週半する今回のコースですが、じつはスタート地点からこの「ヒエタラハティ」までのルートを走るのは一回だけ。お天気次第ですが、なかなか風光明媚なルートだけに、ぜひお見逃しなく!

次回はいよいよ、ぐるぐるぐるぐ・・・と3週半する「周回ルート」のあまのじゃく的ガイドです。どうぞお楽しみに。

世界陸上マラソン・ウラ観戦マニュアル その2
2005.8.12|finland

「世界陸上ヘルシンキ大会」の、いろいろな意味で最重要競技である「マラソン」を、ただひたすらと「はとバス」にのったような気分だけで観てしまおうという「ウラ観戦マニュアル」の第二回目をおおくりします。

《ヒエタラハティ》から、走者たちはいよいよ周回コースに突入です。「西港」の殺風景な眺めを左手にみながら北上をつづけると、やがて《ルオホラハティ》地区にさしかかります。「ルオホラハティ」はメトロの西の終着駅、ヘルシンキ中央駅からはふたつめにあたります。この先にあったノキアの工場跡地は、現在「ケーブルファクトリー」というアートの一大拠点として活用されています。さらに北上をつづける走者たちは、《ヒエタニエミ墓地》へとはいっていきます。墓地の真ん中を走るマラソンコースなんて、そうあるものではありません・・・。

フィンランドの独立の礎を築いた思想家スネルマン、ソ連軍を撃退し祖国を守ったマンネルヘイム将軍、フィンランド共和国第8代大統領として26年間にわたり指導的立場にあった政治家ケッコネン、そしておなじみ建築家/デザイナーのアールトなど、数多くの偉人たちがここに眠っています。フィンランド政府観光局の雑誌「TORI」によれば、このあたりからはアンティ・ヌルメスニエミがデザインした青い高圧線鉄塔がのぞめるとのことなのですが、はたしてテレビで確認することはできるでしょうか?ちなみに左手には、フィンランドにはめずらしい砂のビーチがあります。

さらに走者たちは北上をつづけます。彫刻家エイラ・ヒルトゥネンによる鉄のモニュメントが有名な《シベリウス公園》を通過すると、やがて正面に《メイラハティのこども病院》があらわれます。ウノ・ウルベリとエルッキ・リンナサルミの設計で1946年に完成した建物です。ここで走者は右折、東へと進みます。しばらくゆくと、右手はゴール地点となる《オリンピックスタジアム》のほか、サッカー競技場、ホッケーなどができるアイスホールなどスポーツ施設が集中するエリアになります。このエリアの外周にそって右折し、ふたたび走者たちは南下をはじめます。

トーロ湾のほとりにたたずむ《国立オペラ劇場》のところで左折した走者たちは、いよいよヘルシンキ一の目抜き通り《マンネルヘイム通り》へ。やがて左側にアルヴァー・アールト設計の《フィンランディア・タロ》の白亜の建物がみえてきます。ついで《国立博物館》、シレンの設計による《国会議事堂》など、モニュメンタルな建造物が多いのがこのあたりの特徴でしょうか。

左手にスティーヴン・ホール設計の現代美術館《キアスマ》がみえてきたところで、走者は右折します。このルート、市の中心部のアピール度の高いエリアをあえてはずしているようでどうも意味不明です・・・。ただいま大工事中(もう何年やってるんだろう?ふつう、こういうのってイベントにあわせて竣工するものではないのでしょうか・・・わからん)のバスターミナル《カンッピ》、そして映画館やファーストフード、市立美術館などがはいるアミューズメント施設《テニスパラッツィ》を通過して《フレデリキンカトゥ》へ。道幅もそんなにないし、たしか「石畳」だったような・・・。でも、落ち着いた町並みは雰囲気満点です。

さて、《フレデリキンカトゥ》から、叙事詩『カレワラ』を編纂したリョンロットの名がつけられた《リョンロッティンカトゥ》へと曲がれば、周回コースの起点となる《ヒエタラハティ》ももうすぐ目と鼻の先。このルートを3周したあと、最後は《オリンピックスタジアム》でゴールインします。

それはそうと、気がかりなのは「観衆」のこと。一周目はともかく、二周、三周とするうちに人数が減って、しまいには観衆ゼロなんてことにならなければよいのですが・・・まさに「長距離走者の孤独」?!心配です。なお、お天気は13日、14日ともにくもり、ところにより一時雨との予報。まだまだ8月も前半、ぜひ澄みきった夏空の下でのレースを期待したいところです。

というわけで、あす、あさってはビール・枝マメ・マラソン中継で、ヘルシンキのヴァーチャルツアーをぜひ楽しんでみてはいかがでしょう。

エクセレントなスパイス、らしいです。
2005.9.3|finland

某フィンランドのサイトにて、これはどうしたものかというシロモノを発見。

いわく、どんなお料理にもマッチするエクセレントなスパイス。ちょっと待ったァ!この不気味な黒い物体こそは、あのサ・ル・ミ・ア・ッ・キではないか!!!

子供のころよくみかけた、デコレーションケーキのうえにのっていた宇津救命丸のような銀色のつぶつぶよろしく、これをケーキやアイスクリームにトッピングして食えとでもいうのだろうか・・・。まあ、おみやげにはよさそうですね。ゲームで負けたらごはんにパラパラ、おかずにパラパラといった「罰ゲーム」的使い方はもちろん、イジメやいやがらせにも最適です。たぶんね。

NEWS23
2005.9.15|finland

筑紫哲也のフィンランド・レポート、みなさんごらんになられたでしょうか?きょうのTBS系列の報道番組「NEWS23」で放映されたものです。

テーマは、「学習能力世界第一位」を誇るフィンランドの秘密を探る、というもの。

《人は資源である》という考えのもと、フィンランドではいかに「人を育てる」ためのシステムが国家レベルでなされているかについて、教育現場の担当者や保護者、それにヴァンハネン首相へのインタヴューなどをとおして紹介されていました。

「おちこぼれをつくらない」ための教育カリキュラムや図書館などのインフラ整備、そして育児休暇や児童手当をはじめとした「親」をバックアップするためのさまざまな「育児制度」の導入など、フィンランドにあるのは、ぼくら日本人からするとまるで「夢」のような充実した教育環境です。

そして今回の「特集」でよかったのは、こうした「夢」のような教育環境が約22%という「悪夢」のような(?!)付加価値税から拠出されているということをはっきり示したところにあるように思われます。「たしかに税金は高いかもしれないが、(国民に対して)それに見合ったことはしている」というヴァンハネン首相の自信にみちた言葉が印象的でした。

一方ここ日本でも、近い将来の「消費税」の税率引き上げは必至といわれています。それならばこそ、借金の返済を目的にただなしくずし的に引き上げるのではなく、税金のあり方について根本的に見直すべき時でしょう。たしかに北欧の税制をそのまま日本にあてはめることはできないにせよ、ひとつのモデルケースとして参考にすることは「あり」なのではないでしょうか?

国会議員のみなさん、とりわけ「民主党」のみなさん、いかがでしょう?フィンランドへ行ってみませんか?

クロスワードパズル
2005.10.2|finland

フィンランド人のすきなものといえば、「ristikko」。新聞や雑誌でよくみかける「クロスワードパズル」である。

きのうも、フィンランド語を教えにきているLiisaさんから「やってみるか?」と手渡されたのだが、無理無理。フィンランド人が眉間にシワをよせて悪戦苦闘しているパズルを、ボキャブラリーがほとんどゼロに等しい外国人がやろうというのだから、はじめっから無理にきまっている。

単純な連想で単語を埋めるものだけならまだしも、「ジャングルにある(いる)のは?」(といわれても漠然としすぎだって)とか、「オエッ!」と書いてあるだけだったり(答えは「吐き気」・・・笑)と「難問」ぞろい。「時のひと」の名前なんて、ふつうわかるわけないし。それでも、オンラインディクショナリーの力など借りつつなんとか1/4くらいまで埋めてはみたものの、ギブアップ。子供向けの「クロスワードパズル」だったら、フィンランド語を勉強しているひとの「教材」として役立つかも。

ちなみにフィン語ですけど(当然か)、こんなサイトもありました。

NHK「世界美術館紀行」
2005.10.9|finland

NHKで放映中の番組「世界美術館紀行」。

10/7[金]には、「ムーミン谷へようこそ~タンペレ市立美術館」が放映されたのですが、みなさんしっかりご覧になられましたか?あ、いや、ぼくはなにをかくそう見逃しちゃいました・・・。直前に、友人がわざわざ出張中のニューヨークからメールで知らせてくれたのですが、時すでに遅し。終わってました。でも、大丈夫!再放送がありますので、見逃してしまったひとはどうぞお忘れなく!

世界美術館紀行
「ムーミン谷へようこそ~タンペレ市立美術館」(再放送)
NHK総合 10/15[土]午前5:15~5:40
(は、はやい。要録画ですね。)

さてさてもうひとつ、「旅講座」のガイド役でおなじみみほこさんからの情報です。なんと21日[金]の放送では、ヘルシンキの「アート&デザイン美術館」が登場するとのこと!個人的には、あそこの地下(サイン表示がよくないので見逃してしまうひと多数・・・もったいない)、すごく好きです。というわけで、こちらもいまからチェック!チェック!

世界美術館紀行
「フィンランド・デザイン美術館」
NHK教育 10/21[金]22:00~22:25

ちなみにこの日は、「旅講座」(後編)の日です。参加者のみなさんはお忘れのないよう、いまからテレビの横にメモを貼りつけておきましょう?!

STUDIO UMEの「arcana(M)」
2005.10.17|finland

たとえばおうちでケーキをたべるとき、みなさんはどんなお皿を使っていますか?

最近のパティシェ系のケーキって、まるで工芸品のように美しくて、それじたいですでに完結しているようなものが多いですよね。当然、お皿もそれなりに選ばなきゃということになります。コーヒーカップのソーサーでお茶を濁す、なんて、いくらなんでもあんまりです。

まず大きさ。家で食べるなら、あまり大きすぎるのも考えものです。かといって小さすぎてもアンバランス。そして、色。あくまでもお菓子が主役とかんがえるなら、やっぱり「白」がいちばんだと思うのです。

そこで、おすすめしたいのがこちらっ!(「ジャパネットたかた」風に)

moiのカップ&ソーサーでおなじみのデザイナー、梅田弘樹さん(STUDIO UME)のプロダクトです。なまえは「arcana」。「フィンランド製」です。じつはこれ、現在は生産していないレアなものなのですが、梅田さんの手元にあったものを無理して譲っていただきました。

「開いた本」のようなそのカタチとあいまって、これからストーリーが書きこまれるまっさらな「白いページ」のような印象もあります。大、中、小と3枚のお皿を重ねてディスプレイすることもできるこの「arcana」ですが、残念ながら、いまこちらでお分けできるのはすでにM-size(154×160mm)が2枚だけになってしまいました・・・。でもこれが、ロールケーキやパティシェ系のケーキ皿としてぴったりなんですよね(大ぶりのシフォンケーキなんかだとちょっと無理かな?)。モダンな「和」のセンスも感じさせてくれるので、たとえば京都のおつけものを盛り合わせるなんて使い方もいいと思いますよ。

というわけで現在moiにて展示販売中。2枚のみなので、売り切れてしまったらゴメンナサイ。お問い合わせは、メールor電話でどうぞ。

「arcana[アルカナ]」M-size(154×160mm)

 design/梅田弘樹(STUDIO UME) Made in FINLAND
 @3,000(税込み) ※現在のところ、今後の発売については未定です。

おかげさまをもちまして、こちらの商品のお取り扱いは終了させていただきました(11/19)。

世界美術館紀行~DESIGNMUSEO編
2005.10.22|finland

このあいだタンペレの「ムーミン谷美術館」が紹介されたばかりだというのに、こんどはヘルシンキの「DESIGNMUSEO(アート&デザイン美術館)」がNHKの番組『世界美術館紀行』でとりあげられていて、もう鼻血が出そうです。

先日のmoiでおこなったトークイベントに参加してくださったみなさんにとっては、まさにタイムリー。関本さんに熱く語っていただいたアルヴァー・アールトの設計による「パイミオのサナトリウム」が、実際の映像によって紹介されていましたよね。

そして、アールニオ!!!はたして「計算」なのか「天然」なのか・・・まったくもって興味のつきない人物です。とにもかくにも、この番組最大のみどころはお茶目なアールニオってことで異論はないでしょ?

もしうっかり見逃してしまったというひとは、29[土]の再放送でしっかりチェック、チェックです。

インカの絵
2005.11.5|art & design

これはインカの絵。当時3歳だったフィンランド人の女の子、「インカ」が描いてくれたものだ。

顔のように見えなくもないが、顔ではない。なにかというと、森と湖、夏のフィンランドの風景を描いている。そのときぼくら大人たちは、「ケサモッキ」と呼ばれる、フィンランド特有の素朴なサマーハウスについて話していたのだった。そのかたわらで、インカがおもむろに描きだしたのがこの絵だ。どうやら左はしの黄色い四角形が「ケサモッキ」であるらしい。

描きおわったこの絵をインカはプレゼントしてくれたのだが、じつはこの絵は「完成品」ではない。いや、もらったときはたしかに「完成品」だったのだが、すっかり「完成品」ではなくなってしまったと言うべきだろうか。なんか禅問答のようになってきたが、そうなのだ。そうとしか言いようがない。

その絵は最初、濡れていた。正確に言うなら、「濡らした絵」をくれたのだ。つまり「湖を描いたのだから、それは濡れていて当然だ」、そうインカはかんがえたのだろう。だからって本当に水で濡らすことはないだろう、そう思わなくもないが、そこがこどもの発想のすごいところである。かつてダリは「ロブスター柄のTシャツをつくって、本物のマヨネーズをつけて売ろう」と仲間たちに提案したそうだが、そうなるとダリはこどもで、こどもはダリなのかとますます禅問答めいてくるのだが、そんなことはまあどうでもいいことである。ただ、パフォーマンスという名前の「作為」がないぶん、こどもの絵のほうがずっとインパクトがあるとかんがえてしまうのはぼくだけだろうか。

そのインカもいまや7歳、小学生である。パワフルな「味」が、彼女の絵から消えていないことを祈るばかりである。

数字にみるフィンランド?!
2005.11.6|finland

家に帰ったら、テレビで倖田來未というひとが97万枚もCDが売れたのにチャートの第一位になれなかったと悔しがっていた。

それにひきかえ、このあいだ紹介したフィンランドのバンド「Quintessence」は、CD8,000枚を売り上げただけで国内チャートの第8位になったらしい。

いかにもフィンランドの小ささを如実に物語るデータではある。

グロギ
2005.11.12|finland

フィンランドをはじめ、北欧の国々でおなじみのクリスマス・ドリンクといえば「グロギ(グロッグ)」です。

かんたんに言えばスパイシーなホットワインということになるのですが、ワイン以外にもウォッカやアクアヴィット、マデラ酒を加えたり、ジュースをつかったノン・アルコールのものがあったり、またスパイスの種類もまちまちだったりして、いろいろなレシピにあたってみても「これが正しいグロギです」という答えにはたどりつけません。

じつは去年のいまごろも、季節のメニューとしてノン・アルコールの「グロギ」をだそうと思い試作を重ねてはみたものの、どうも納得のゆくものができずけっきょく止めてしまったのでした。

そして、ことしもまた思い出したかのように「グロギ」の試作をはじめました。先日は、リサーチがてら(?!)はじめて「moomin Bakery and Cafe」をたずね「グロギ」を飲んできました(画像)。

まあ、あまりレシピにはこだわらず、moiオリジナルのグロギをつくるつもりで試行錯誤してみたほうがよいのかな?と、いまはそんな感じです。無事完成のあかつきには、近々メニューにもおめみえすることでしょう。

ヒッピ
2005.11.17|finland

アールトが動いた!アールトがしゃべった!ってなにかの宣伝みたいだが、そうじゃない。フィンランドの放送局、YLEのサイトでみることのできるアルヴァー・アールトのインタヴュー動画の話だ。

この情報は、サルミアッキとビールを愛する謎の東洋人サルミアッキネンさんからおしえていただいたのだが、この動画がみられるYLEのアーカイヴはかなりおもしろい。くだんのインタヴューは1962年7月2日のニュース番組からの映像で、よくわからないがフィンランド・アカデミーの会長への就任がきまったことかなんかをしゃべっているのだろうか?内容はともかく、アールトが動いている、アールトがしゃべっている、ただもうそれだけで感無量(?!)である。言葉がわからないぶん、あ、笑ってる、笑ってるよ、とかヘンなところに感動のツボがあるのだった。

また、1948年のヤン・シベリウスのインタヴューである。さすがにこちらは音声のみだが、当時83歳のシベリウスは「生涯に眉間に7本のシワを刻みつけた男」の名に恥じないくぐもった声で訥々と語っている。テンション、低いぞー。

だが、個人的にもっとも注目したいのは60'sフィンランドのヒッピー・ムーブメントにかんする映像である。そうか、ヒッピーの波はやはりフィンランドにまで到達していたのか。まちがいなく、この国はヒッピーが生息する最北端だったはずである。いったい、フィンランドのヒッピーの生態はどんなものだったのか。だいたいこんな北国で、ケルアックの『路上』よろしく放浪生活をしていたら、待ち受けているのは確実に「死」である。凍死。あるいは、夏のあいだだけ期間限定でヒッピーだったりするのだろうか。気になるところだ。

それはともかく、ひとつ《発見》もあった。「ヒッピー」はフィンランド語で「Hippi(ヒッピ)」という。ヒッピ、である。長靴下でもはいてるのか、おまえは。

フィンランドの切手、といえば
2005.12.5|finland

フィンランドの「切手」にはいろいろなキャラクターが登場していますが、やっぱり人気があるのはトーヴェ・ヤンソンが描いた「ムーミン・シリーズ」ですね。この「スナフキン」もそうですが、いったいいままでに何種類くらい発行されているのだろう?そんなふうにかんがえてしまうくらい、そのヴァリエーションは豊かです。

ほかにも、たくさんの絵本画家やイラストレーターたちの作品が、フィンランドでは「切手」として世に送りだされています。そういう「切手」ばかりをあつめて上手に構成したら、きっと手のひらサイズのちょっとした美術館のようなものが作れそうですね。

さて、先日お伝えしましたmoiのトークカフェ2「切手にみるフィンランド」ですが、年末のせいでしょうか、参加申し込みのペースが比較的スローです。もう満席かも、とお考えの方もいらっしゃるようですが、大丈夫、現在のところまだ受付可能ですので、どうぞふるってご参加ください!お申し込みお待ちしております!

きょうは何の日?
2005.12.6|finland

答えは、フィンランドの88回目の「独立記念日」です。その歴史的な背景を思うと、日本の「建国記念日」とはちがって、国民ひとりひとりのものという「重み」のようなものを感じます。

ということで、お客様がいないのをいいことに、大音響でシベリウスの「フィンランディア」が流れる店内で、いまこれを書いているのでした・・・

ハッリ・コスキネン@MUJI
2005.12.9|finland

フィンランドのデザイナー、ハッリ・コスキネンが、無印良品のためにデザインしたティーポット&ウォーマー・セット。

かれが「MUJI」のプロダクトのためになにやらデザインしているらしいという話は、ちょっと小耳にはさんで知ってはいたのだが、いったいなにをデザインしているのかまではわからなかったので、ようやくナゾが解けたといった感じ。ほかに「スープカップ&スプーン」や「マグ&ソーサー」などもあるが、いづれもてらいのないコスキネンらしいデザインだ。ポットと、キャンドルの炎で保温するウォーマーをセットにしたアイデアもおもしろい。

「MUJI」のプロダクトゆえ、どこにもハッリ・コスキネンのサインは見あたらないけれど、ショップへ行ったときには要チェック。

Hyvä SUOMI !
2005.12.14|finland

新聞によると、サッカー日本代表が来年2/18に日本国内でフィンランド代表チームと親善試合をおこなうことが決定したらしい。うわぁ~、行きたいなぁ、応援に・・・もちろん、フィンランドの(笑)。

そして推測するに、試合当日にはこういうけしからん日本人どもがすくなからず競技場に陣取っているハズである。たぶん、絶対に。たとえば、フィンランドの代表チームがヘルシンキでオランダ代表チームを迎え撃つというとき、オランダを応援するフィンランド人というのは絶対いないハズである。「外国かぶれ」と言ってしまえばかんたんだが、じっさい、こういう心性をもつ民族というのは世界広しといえども日本人だけという気がしてならないのだ。巨人好きの関西人、というのもちょっとなんだかちがうような気がするし・・・。そのあたり、どうなんでしょ?

ま、いいか。それよりチケットとれるかなぁ?

Muumiさま
2005.12.18|finland

うれしかったのは「建築家志望」の常連二人組、昨年のSくんにつづき、ことしはGくんが晴れて「合格」、ふたりそろって「一級建築士」としてその一歩を踏みだしたこと。おめでとう!いまなら「鉄骨30%増量サービス中!(当社比)」って、そんなことないか・・・。

これもひとえに本人の日ごろからの地道な努力と、moiの片隅でこっそりみなさんを見守っている「ムーミンさま」のおかげ?!

二日酔い!?
2006.2.18|finland

サッカー・ワールドカップにむけた国際親善試合「日本vsフィンランド」戦がありました。結果は、2-0で日本代表チームが勝利をおさめました。

「日本人」的には、小笠原の絶妙なロングシュートなど満足のゆく内容だったのですが、立場的(?)には、もうすこしフィンランドにもがんばってもらいたかったな、と・・・。選手同士が接触する場面では、ガタイがいいぶん日本選手がころころ転げ、それをいちいち「ファウル」にとられてちょっとかわいそうな気がしました。う~ん、身びいきなんでしょうか?

ちなみにフィンランド語クラスのリーサ先生によると、「あれは絶対、飛行機の中で呑みすぎて二日酔いだったんだよ」とのこと(笑)。たしかに、動きは鈍かったけれど・・・でも、それを言うなら副賞の「ビール一年分」はモチベーション的には十分だったのでは?

アンティ・ヌルメスニエミについての小さな本
2006.2.22|finland

◎ moiでいま取り扱い中の本のご紹介です:

これは、ホーローのコーヒーポットやユーモラスな木製のサウナスツールなどで知られるフィンランドのデザイナー、アンティ・ヌルメスニエミに捧げられた小さな本です。

つくったのは、原宿の雑貨店「CINQ」と世田谷のインテリアショップ「biotope」。いづれも、北欧の家具や雑貨に興味のあるひとなら目を離すことのできない人気ショップです。本をひらけば、ちょっとマニアックなディテールの解説や、夫人でファッションデザイナーでもあるヴオッコへのインタビュー、それに堀井和子さん、岡尾美代子さんのコラムなど、アンティへの愛情とこだわりにあふれた一冊となっています。

つややかなエナメルを思わせる、かれのポットがそのまま一冊の本になったかのような装丁もすてきです。ポット同様、赤、白、水色、黄色、茶色と5色のカラーバリエーションが用意されています(早いもの勝ちです!)。

余談ですが、アンティのコーヒーポットというときまって思い出すのは、アキ・カウリスマキ監督の映画「浮き雲」のワンシーン。主人公の夫婦のつつましい暮らしを象徴するかのように、赤いそれはかれらのアパートのキッチンにちょこんと置かれています。きっとこんなふうに、アンティ・ヌルメスニエミのデザインはフィンランドの人々の暮らしに溶け込み、愛されてきたのでしょう。この小さな本からは、そんなフィンランドの人々の暮らしの息づかいがきこえてきます。

『アンティ・ヌルメスニエミについての小さな本』
 ◎ CINQ biotope 著
 ◎ 1,365円(税込み) moiにて好評発売中。

因縁の対決
2006.2.26|finland

けっして熱心なウォッチャーとはいえないけれど、「フィンランド好き」にとって今回の「トリノオリンピック」のハイライトはまちがいなくココでしょう。アイスホッケー男子決勝。なんといっても、相手は宿敵スウェーデンなのですから。

長いあいだ隣国スウェーデンに統治されていたという歴史的背景もあって、フィンランドのひとびとにとってスウェーデンは永遠のライバルといえる存在。ですからすべてのフィンランド人たちはいま、絶対に「巨人」にだけは負けたくない「阪神ファン」のような心境にあるのです。「決勝戦」ということは、イコール負けても「銀メダル」ということなわけですが、フィンランド人にとってはこの際メダルの色なんかどうでもよい話。ただスウェーデンに勝つことにこそ意味があるのです。

とはいえ敵は強豪スウェーデン。フィンランドとしては、これまでに幾度となく苦杯をなめさせられてきた相手です。そうそうカンタンに勝たせてもらえないでしょう。ちなみに試合後のフィンランドでは、勝てば「祝杯」、負ければ「ヤケ酒」、いずれにせよ酔っぱらいたちが街をうめつくすことまちがいなし。

※今夜はテレビで応援しよう!フィンランド語クラスのLiisa先生おすすめの観戦ポイントは・・・ビール片手にエキサイトする応援団の姿だそうです(笑)。

迷える「男子」へ
2006.2.28|finland

先日ご紹介した『アンティ・ヌルメスニエミについての小さな本』が好評です。

以下は男子に、とりわけ北欧やデザイン、雑貨などに興味がある彼女や女友達をもつ男子にぜひ読んでいただきたいと思っています。というのも、この時期ホワイトデーのお返しに頭を悩ませていたりしませんか?どうせならちょっと気のきいた「お返し」をしたいよなぁ、と。そんな男子におすすめなのがこの一冊です。

ここでとりあげられているアンティ・ヌルメスニエミのホーローのポットといえば、北欧のデザインや雑貨に興味のあるひとならだれでも知っている人気アイテムのひとつですが、この本にはそんなポットにまつわるだれも知らなかったような《発見》がちりばめられています。ですから、たとえ彼女(あるいは女友達)がこの「ポット」についてよく知っていたとしても、きっと十分たのしんでいただけるはずなのです。それに、エナメルのような質感をはじめ、ポットをそのまま本にしてしまったかのような装丁もまた、彼女(あるいは女友達)に喜んでもらえることまちがいなしです。

『アンテイ・ヌルメスニエミについての小さな本』
 ※ moiにて好評発売中。

ところで、ついついここまで読んでしまったという「女子」のアナタ!そんなアナタにも、この本はとてもおすすめです。でも、もしこの本を彼(あるいは、男友達)からプレゼントされたら、どうかこの本の存在は知らなかったことにしておいてあげてください。だってそうでしょう?それが「優しさ」ってものです。

フィンランド展
2006.3.4|finland

「サベン・ペ ウカロ工房のフィンランド展」というイベントがひらかれるそうです(3/23~28まで 神楽坂「ギャラリー坂」にて)。

サベン・ペウカロ工房は、大阪を拠点に「手で粘土をこねる自然の感覚とコンピュータを使った最新技術とが調和した作品づくり」にこだわり活動するアーティスト。大好きなフィンランドにちなみ、フィンランド語で「粘土の親指」という意味を持つ「saven peukalo」と名づけたのだそうです。

今回の展示は、発刊にむけて準備中の『anthro絵本1~フィンランド』の世界を映像や粘土で立体的に紹介するというもの。かれらのサイトでも一部紹介されているこの「絵本」では、粘土の人形と実際のフィンランドの風景写真などをミックスして独特の「サベンペウカロ・ワールド」が展開されています。

気になった方はぜひ、展示会場へ足を運ばれてみてはいかがでしょう?

カレリアの休日
2006.4.13|finland

さて、moiの常連にして、いつもなにかとお世話になっている西尾さんから魅惑的な旅へのお誘いです。

「森と湖の国」といわれるフィンランド。もし、そのフィンランドの《原風景》に触れたいと思ったなら、迷わず足を向けるべき土地は「カレリア地方」でしょう。深い森とうつくしい湖に抱かれた自然はもちろんのこと、文化的にも、いまなおフィンランドらしさをもっとも色濃く残すのが、ここ「カレリア」といわれています。けれども残念なことに、ぼく自身をふくめ、いまだにこの土地を訪れたことのない日本人は少なくありません。というのも、観光客がふらりと訪ねるにはこのフィンランドの東部一帯、ロシアとの国境に位置する土地はあまりにも足の便が悪く、綿密な計画なしには行くことができないからです。

そんなカレリア地方にあるちいさな村ヴオニスラハティ(Vuonislahti)を、毎年仲間とともに訪れているのが、冒頭でご紹介した西尾さんです。

「料理」そして「織物」にプロ級の腕をもつ西尾さんは、ここ数年、このヴオニスラハティの村に滞在し、現地の方々からフィンランドの伝統的な「家庭料理」や「織物」を学ぶ旅を企画、主宰されてきました。

メインの「料理」や「織物」はもちろん、ベリー摘み、キノコ狩り、眼下に湖をみおろす岩場でのむコーヒーのおいしさ、スモークサウナに、素朴で楽しい村の人々とすごすなごやかなひととき・・・と、西尾さん、そして参加されたみなさんから聞く村での体験談は、旅行会社のツアーや個人旅行ではなかなか味わえない濃厚なフィンランド体験といった感じで、いつもすばらしいエピソード満載でうらやましいかぎり。

そんな魅惑的なカレリアの休日の旅が、ことしもまた実施されます。そしていま、この旅にいっしょに参加する仲間を募集中とのこと!いかがですか?フィンランドで最高の休日をすごしてみては。ここだけの話、このツアー、フィンランドでもっともおいしいものを食べることのできる旅だと思いますよ。本当に。

なお、moiではこれまでの旅の写真や詳しい日程表などの資料を西尾さんよりお預かりしています。この旅に興味のある方は、ぜひいちどご来店の上、ご覧いただければと思います。また勝手ながら、旅の詳細についてメール、お電話等によるお問い合わせは受け付けておりませんので、ご了承ください(以下は、旅のあらましです)。

*** 旅行日程 ***
日程は確定です。下記以外の日程での実施はございません。
ともに「現地集合型」となりますので、ヨエンスー空港にて集合・解散となります。
A.「織の旅」 (8/23出発・8/30帰国)
B.「料理の旅」(9/20出発・9/27帰国)
*** 旅費の目安 ***
以下は、現地点での目安です。変更の可能性もありますのでご了承ください。また、
A.「織の旅」(例)
・航空運賃等22万円前後+・現地滞在費等1,008~1,365ユーロ(約15~20万円)
B.「料理の旅」(例)
・航空運賃等20万円前後+・現地滞在費等967~1,255ユーロ(約14~19万円)
航空会社はフィンランド航空、現地での滞在先は「ホテル・ヘッランニエミ」となります。現地滞在費は参加人数によって変わります。また、織にかかる材料費、現地での個人支出等は上記金額に含まれません。ご了承下さい。
なお、あくまでもプライベートなツアーへの参加となりますので「個人旅行」同様、すべてにおいて個人的に責任をもって行動できる方の参加をお待ちしております。

うわさのピーラッカ
2006.5.5|finland

これがうわさの西尾さんの「ピーラッカ(カレリア風パイ)」です。先日おこなわれたイベントで、ご参加いただいたみなさんに召し上がっていただいたものです。素朴でほのぼのとしたフィンランドの味、まちがいなく《日本最強のピーラッカ》といえるでしょう。また機会があれば、イベントなどを通じて、ぜひみなさんにご紹介していきたいとかんがえています。

ヘルシンキの放火騒ぎ
2006.5.6|finland

映画「かもめ食堂」のヒットもありすっかりのどかなイメージが定着しつつあるフィンランドではあるけれど、そんなイメージを否定するかのような物騒な事件がフィンランドの、しかもヘルシンキのど真ん中で起こってしまった。

この「事件」を知ったのは、日々「YLE」でニュースをチェックされているJUSSIさんからの一報だった。なんでも、ヘルシンキ中央駅に隣接する古い「赤レンガ倉庫」が激しく燃えているという。この倉庫はフィンランドの国鉄(VR)が所有するもので、現在はフリーマーケットやライブをおこなうスペースとして使用されているほか、雑貨屋さんなどもある。場所はヘルシンキ中央駅の裏手、メインストリートの「マンネルヘイム通り」のかたわらに位置し、目と鼻の先には国会議事堂や現代美術館「キアズマ」、それにアルヴァー・アールトが設計した「フィンランディアタロ」もある。観光客にもおなじみの場所だ。

火災は、5日金曜日の夜に発生した。もうもうと黒煙を上げて炎上するニュース映像が、この火災の激しさを物語る。駆けつけた消防隊も延焼を食い止めるのがやっとで、鎮火したときには倉庫はほぼ焼失してしまったそうである。また、古い建造物ゆえ、立ちこめる煙りには有害物質も含まれていたようで、映画館から観客が一時避難する騒ぎにもなったらしい。

ヘルシンキ警察は、この火災の原因を「放火」と断定している。もともと、この倉庫のあった一帯は「再開発事業」の対象となっていて、この倉庫も現在は空家状態、すでに解体を待つばかりだった。そのため、不法占拠する者などもいたという話もあるし、実際ヴァップ(=メーデー)の前夜には、ここでたき火をし大騒ぎをしていた100人ほどの若者と警察隊とが衝突するという騒ぎも起こっている。

ここ日本とは異なり、ニュースをみていても物騒な事件とは無縁のようなイメージがあったフィンランドだけに、今回の放火騒ぎはちょっとしたショックであった。EUへの参加、移民の流入や観光客の増加など、ここ数年フィンランドという国を取り巻く環境も変化している。それだけに、これまでのように小回りのよさを武器に困難を解決するというだけではコントロールがきかない局面も多くなってきているということなのかもしれない。

NORDQVIST
2006.5.14|finland

フィンランドのフレーバーティーといえばこれ、NORDQVISTです。

北欧のベリーや花、草木やスパイスなどを使用した北欧らしい味わいと、「SADEPA:IVA:N ILO(雨の日の愉しみ)」「KEISARIN MORSIAN(皇帝の花嫁)」といった詩的なブレンドネーム、それにマリメッコ(Marimekko)のテキスタイルデザインも手がけるアンティ・エクルンドが監修したポップでカラフルなパッケージが人気のひみつ。

外国産のフレーバーティーのなかには、香料がきつくて飲みにくいものも少なくないのですが、このNORDQVISTのフレーバーティーは個性的でありながら、嫌みのないナチュラルな風味でとても親しみやすいと思います。

なお、このNORDQVISTのフレーバーティー、来月くらいからmoiでもお取り扱いをはじめる予定です。これで、フィンランドに行かなくてもフィンランドのティータイムをお楽しみいただけますね。ぜひ、お楽しみに!

ハニーディッパー
2006.5.29|finland

フィンランドの「ハニーディッパー」です。ちょうど、フィンランドみやげとしていただいたハチミツをすくうための「ハニーディッパー」が欲しいなと思っていたところ、吉祥寺のFeveさんで6/3マデ開催中の北欧雑貨のエキシビション「私の旅-仲間たち」で購入することができました。

「MADE IN FINLAND」というだけでも十分うれしかったりするのですが、木目の美しさや、手にしたときのなんともいえない感触のよさはまさに特筆モノです。ORHI-PUUというブランドのもので、もちろんハンドメイド。聞くところによると、フィンランド国鉄ではたらく鉄道員でもあるサロネンさんがおひとりでコツコツと作られているそうで、それゆえ大量生産はできないのだとか。まさに、「森のひと」フィンランド人らしいエピソードです。

ところで、Feveさんを訪れたのはよく晴れた日のこと。北欧らしいきれいな色目の雑貨の数々と明るい光、風に揺れる緑の木々とのハーモニーに、去年の夏ふらりと立ち寄ったストックホルム・ソーデルマルムの雑貨屋さんを思い出していました。よい昼下がりです。

フィンランドを旅するひとへ
2006.6.13|finland

"かもめ効果"なのでしょう。ことしはフィンランドを旅するひとが、とりわけ初めて旅するひとがとても多いようです。

そこで、最近このブログを知ったという方のために去年の夏フィンランド&スウェーデンを旅したときの「日記」のリンクをあらためて記しておきます。ささやかながら、ヘルシンキやストックホルムのおすすめのスポットやカフェ情報もあります。

よろしければ、ぜひ旅のプランニングにお役立てください。

ムーミン号
2006.6.25|finland

フィン語クラスのムラスギさんより、面白いものをいただいた。フィンランド航空のDC-10をかたどった「紙ヒコーキ」、ではなくて「フライングライナー」(と、その筋の人々は呼ぶらしい)。「パチンコ」、ではなくて「カタパルト」(と、その筋の人々は呼ぶらしい)で飛ばすこともできるすぐれものである。しかも「ムーミン号」。

自他ともに認める不器用ではあるけれど、パッケージに印刷された「組み立て簡単、5分で完成」&「対象年齢6才以上」という文字にうながされ、さっそく組み立てに挑んでみた。一応、「6才以上」だし。

中身はざっとこんな具合。一瞬、苦手だったプラモデルを思い出す。ちゃんときれいに貼れるだろうか、シール。

格闘すること20分あまり、多少の(ということにしておこう)ほころびはあるものの無事完成!さあ、フィンランドまで飛んでゆけ~

ヘルシンキの空の下
2006.6.27|finland

ちかごろのお気に入りは、フォトグラファーエエヴァ&シモ・リスタが撮影したヘルシンキの膨大なフォト・アーカイヴ《ヘルシンキの空の下》。

1969年から87年にかけてヘルシンキの中心部やダウンタウンなどで、ときにアジェのように、ときにアーウィットのように写し撮られた、いわば《素顔のヘルシンキ》。ここにあるのは、まさに写真集をめくるような愉しみ。

http://taivaanalla.lasipalatsi.fi/index.php

SUDOKU
2006.7.3|finland

「これ知ってる?」と言いながら、フィンランド語のLiisa先生が取り出したのはフィンランドの雑誌。ひらくと、そこにはところどころ数字が書かれたクロスワードパズルのようなものがあり、「Maali!SUDOKU(ゴールをめざせ!SUDOKU)」などと書いてある。

これ、もともとスイスで考案され、日本には20年ほど前に紹介された「数独(すうどく)」(ほかに「ナンバープレース」とも呼ばれるらしい)というパズルの一種。おそらく知っているひとも多いのではないだろうか。それが、昨年あたりからヨーロッパでも紹介されるようになり(逆輸入ってコト?)、いまやフィンランドの雑誌にまで紹介されるほどの人気だという。

ご多聞にもれず(?!)、すっかりハマってしまったLiisa先生なのだったが、これがなかなかシンプルながら奥深いゲームである。フィン語クラスのSさんはワールドカップとコレのおかげですっかり寝不足になったと嘆き、またおなじくMさんは「風呂のお湯はり」を賭けて、夫と日々「死闘」を繰り広げているという(笑)。

「10分くらいでできたよ」と余裕の笑みを浮かべつつ手渡された問題だったのだが・・・、これがなかなか難しい。「まだできないの?」とLiisa先生にはバカにされ、先述のMさんからは「まだ時間がかかりそうだから」と、まちがって書いた数字を消すための「巨大な」消しゴムを「進呈」される始末。く、くやしいっ!

というわけで、ネットで「SUDOKU」と格闘する日々なのである。それはそうと、誰かぼくの睡眠時間を返してください・・・

ヘルシンキの朝ごはん
2006.7.8|finland

『知っとこ!』というテレビ番組の人気コーナー「世界の朝ごはん」。毎週、世界各地の「新婚さん」が登場し、お手製の「朝ごはん」を披露するというもの。

けさ登場したのは、フィンランドはヘルシンキの「新婚さん」。シアワセいっぱいの朝の食卓にあがったのは、肉だんご、サーモンスープ、ブルーベリーのパイの、以上3品。

じつはこの放送、残念ながらぼくは仕込み中で観ていないのだが、さっそく家からメールがきた。

フィンランド人って、朝からそんなの食べるっけ?

たしかに、ふつうの家庭の朝食はパンとコーヒーだけと聞いたことがある。

さっそくフィンランド語のLiisa先生に話をしたところ、「食べない食べない、そんなの食べないよ」と大笑い。おまけに、「弟の家なんてパンしかないよ」とあいかわらずのネガティヴ発言である(笑)。

その後も、いろいろな人に話すたびに

ないない、あんな家みたことなーい

の大合唱(笑)。テレビから流れてくる映像なんて、「ニュース」もふくめすべてはしょせんある種のファンタジーなのだ。まったく度量の小さいひとたちである・・・というのはウソで、先頭きって「ありえねぇ~」とか叫んでいたのはこのワタクシです。

"easy day"
2006.7.21|finland

カイ・フランクのプラスチック製テーブルウェアについて、あるお客様からたずねられた。

カイ・フランクといえば、ぼくがフィンランド・デザインに関心をもつようになった「きっけのひと」である。にもかかわらず、その「プラスチック製テーブルウェア」についてはまったくのお手上げ、見当もつかない。

そこで、うろおぼえだというお客様にかわってネットをつかいすこし調べてみたところ、少ないながらもいくつかの情報を手に入れることができた。それはどうやら、「easy day」というシリーズであるらしい。

さいしょに発見したJDNのサイトでは、あるスウェーデン人コレクターの所蔵品として「every day」という名前で紹介されていたのだが、たぶんこれは誤りだと思う。というのも、後になってべつのサイトで「easy day」というロゴ入りの化粧箱つきで紹介されているのを発見したからだ。だいたい「毎日」つかう食器としてはそれはあまりにも味気ないような気がするのだが、いや、それがミッドセンチュリーのライフスタイルなのだと言われれば、なるほどそうなのかなぁという気にもなるのであまり自信はない。

年代については1965年と1977年という表記があるのだが、ふたつの写真をみくらべるとプレートやボウルの形状が異なっているので、あるいはマイナーチェンジを繰り返していたのかもしれない。さきほどのJDNのサイトによると、製造していたのは「SUN PLASTIC」というメーカーらしい。さっそく「SUN PLASTIC」で検索を試みたところ、知り得た情報はつぎのようなことだった。

パキスタンで最大シェアを誇るプラスチックハンガー・メーカーは「SUN PLASTIC社」である

どうかんがえてもちがう。そんなことを知ったところで全然うれしくないのである。ほんとうは、現地でも53ユーロ、日本でだったら一万円以上もするカイ・フランクの作品集を手に入れれば話は早いのだろうが、さすがに高い。

というわけで、くわしくご存知のかたがいらっしゃったらぜひ教えてください!

HEL LOOKS
2006.8.6|finland

ピーコです。「HEL LOOKS」、それは「ジャージ天国」フィンランドに咲いた徒花たちをあつめてつくった可憐な花束(ブーケ)。

モード系からゴスロリ、果ては意味不明のゴーイング・マイ・ウェイな人々まで、ポップでキュート、パンクでヒップでそうとうアブないヘルシンキのストリート・ファッションのすべてが、ここをみれば手にとるようにわかってしまうのです。しかもひさしぶりにのぞいてみれば、夏を迎えてフルパワーで更新中!?

さあ、みなさんもピーコを気取って「HEL LOOKS」でファッションチェック!!!

★情報提供は「幅広い趣味をお持ちの」Jussiサンでした。

怒りのサルミアッキ
2006.8.12|finland

フィンランド語のSanna先生から、みんなで食べるようにと「おみやげ」にHalvaのサルミアッキを一箱(250g入り!)いただいた(Halvaのサルミアッキについてはユッシさんのブログをチェック)。

あくる週、その箱を手に取ったSanna先生はひとこと。

「ぜんぜん減ってないっ!!!」(怒)

す、すいません(汗)。

しかしデカいな。お口の中での「滞在時間」がめちゃくちゃ長いんですけど、これ(半泣)。

がんばれ!Finnair!!!
2006.8.26|finland

週2便、しかもつねに満席状態というフィンランド航空の成田―ヘルシンキ線に、「悲願の増便」の可能性が出てきた。

じつはそれ以前に、「○月から増便になるらしい」というウワサは小耳にはさんでいたのだけれど、これでいよいよ現実味を帯びてきた。

増便されれば旅行の計画もより立てやすくなるし、「(満席のため)やむなく関空便にまわる」といった「時間の無駄」も解消される。ぜひがんばって「増便」を実現してもらいたいものだ。

近々(?)の「正式発表」を心待ちにしたい。

ろうそくぼうや Poika
2006.9.8|finland

朝ラジオをきいていたら、「キャンドル」をモチーフにした「ポイカ」という名前のオモチャが紹介されていた。ここで、

むむっ、キャンドル?!、ポイカ?!

と反応したアナタは立派な「フィンランド好き」。というのも、フィンランドといえばキャンドルの消費量世界一の国、そして「ポイカ Poika」といえば「男の子」を意味するフィンランド語なのだから。

で、どんなオモチャなのかというと、光センサーと音センサーに反応して「ほのおの妖精ポイカ」が現れたり消えたりする《和み系玩具》とのこと。なんでも、企画した方が旅先のフィンランドで目にした窓辺のキャンドルのあかりからイメージしたのだそうだ。

へぇ~と思われたひとは、どうぞ公式サイトでくわしくチェックを。

祝!増便
2006.9.27|finland

ついにフィンランド航空「成田便」の増便が正式発表されました!

これまでの水曜日&日曜日(成田)発に、12月4日からは月曜日&金曜日発をくわえて週4便での運航になります。ちかごろは成田便のチケットがとれないためやむなく関空あるいはセントレアから出発するという方もすくなくなかったので、週2便の増発はほんとうによろこばしいかぎり。

ちなみに、フィンランド航空が使用するロシア上空の飛行ルートは日本とヨーロッパとを結ぶ「最短ルート」にあたるうえ、ヘルシンキのヴァンター空港はこじんまりとしているので乗り継ぎもラクラク、フィンランド以外のヨーロッパ主要都市へもスピーディーに到着できます。

フィンランドへゆくひとも、そうでないひとも、(減便されないよう)フィンランド航空を利用しましょう!

呼ばれる
2006.10.10|art & design

呼ばれるというのはたぶん、こういう感覚をさしていうのだろう。

「国際こども図書館」で用事を済ましたあと、上野駅にむかうため公園の入り口まで行ったのだが、まだすこし時間に余裕もあるしということで谷中方面へと芸大のわきをぶらぶら歩いていった。しばらくすると、目の前に一軒の古い木造民家があらわれた。門のかたわらには、手書きの立て看板が立てかけられている。読むと、なんと

『あたたかいフィンランド』展

とあり、横にはカタカナでフィンランド人らしき名前が書かれているではないか!!!恐る恐るのぞいてみると、古い民家の居間に写真やドローイングなどが展示されている。

ごくたまに上野をたずねても、このあたりまでやってくるということはほとんどなかったのでこんな場所があるなんて知らなかったし、しかもそこでフィンランドにかかわるイベントと出会おうとは・・・まさにおどろきである。

この展示は、フィンランド人の女性フォトグラファーアリエッタ・カイラさんの写真と、フィンランドとのかかわりも深かった日本人画家青島三郎さん(故人)の油絵、そしてその「魂の友」として親交の深かったイルッカ=ユハニ・タカロ=エスコラさんのドローイングという三部構成となっている。

会場には青島さんの奥様、そしてアリエッタさんのおふたりがいらしゃっていろいろなお話しをさせていただいた。

青島さんは、90年代初頭にヘルシンキでなんどか展覧会をなさっていて、なかにはヘルシンキ中央駅の吹き抜けに大きな作品を飾るというイベントもされている。いっぽうアリエッタさんは、いま芸大の教壇に立っているご主人とともに半年前に日本に来られたとのこと。なんでも「和菓子」が大好きで、そこからいろいろなインスピレーションを受けているそうだ。ちなみにアリエッタさん、どこかでここ「moi」の話を耳にしていたそうでたいへんビックリされていた。

そしてもっと驚いたのは、ぼくらがここを訪れたとき先客がひとりいらしゃったのだが、それがなんと荻窪に住んでいるmoiのお客さんだったこと!!!「あの、moiの方ですよね?」と声をかけられたときにはホントおどろいた。彼もたまたま散歩中だったそう。もし「びっくりマーク」が目に見えたとしたら、きっとこの日この空間にはたくさんの「びっくりマーク」が浮かんだり落ちたり、もしかしたら天井に突き刺さっていたりしたことだろう。

◎ なお、この展覧会「あたたかいフィンランド」展は、10/23[月]まで上野桜木一丁目の市田邸で開かれています(14、15日はお休み)。くわしい住所、開館時間などはコチラをごらんください。ちなみに、いま「北欧からのおくりもの~子どもの本のあゆみ」を開催中の「国際こども図書館」からは徒歩で5~6分のところですので、ぜひあわせてどうぞ。

講演会:日本とフィンランドの木造建築
2006.10.11|event

そうそう、きのうの記事でご紹介した上野桜木で開催中の展覧会「あたたかいフィンランド」に関連して、ひとつイベントがあるそうです。

いま、写真家としてこの展示に参加中のアリエッタ・カイラさんのご主人、パヌ・カイラさんによる講演会《日本とフィンランドの木造建築》です。

アリエッタさんのお話によると、パヌさんはオウル大学の教授で、おもに木造建築の修復・保存について研究をされているとのこと。そして、この春からは東京芸術大学でも教壇にも立たれているそうです(語学苦手なもので、ちょっと違ってたらごめんなさい)。ちなみに下の写真はパヌさんの著書、『ハウス・ドクター』というタイトルです。

講演会の日時は以下の通り。事前の申し込み等は不要、直接会場においでくださいとのことです。関心のある方、ぜひ参加されてみてはいかがでしょう。

◎ 講演会「日本とフィンランドの木造建築」
日 時/10月22日[日] 14時から
会 場/市田邸(上野桜木)
 ※「あたたかいフィンランド展」会場
講 師/パヌ・カイラ
参加費/無料

トントゥ、だったの?
2006.11.5|finland

「これmoiのじゃない?そこの道に落ちてたよ」とフィンランド語のリーサ先生がもってきたのがこれ。

「ああ、トントゥみたいだね」
「トントゥだよ、これ」

ちなみに「トントゥ」というのは赤い衣裳を身につけたフィンランドの妖精で(下の写真を参照)、「サンタクロースの助手」ともいわれている。ただしリーサ先生によると、「あのひとはちょっとおつむが弱い」というときに、よく「あのひとは『トントゥ』だよ」とか言うらしい。

しかしこの「トントゥ」、みれば胸に「STUSSY」のロゴがはいっている。だいたい、手に「$」をもっているのもおかしいし。そこでリーサ先生に、これはアメリカのストリートファッションのブランドのマークで、トントゥのようにみえるけれど実際にはスケートボードとかやってる男の子の人形だよ、と教えてあげたのだが

「トントゥだよ、ドルじゃなくてユーロ持ってったほうがいいね」

といっこうに聞く耳をもたない。そんなに言うのならと、ためしにこの「STUSSYくん」をラップランドの景色のまえに立たせてみた。

すると、あら不思議。あっという間に「トントゥ」のできあがり!ストリートファッションのルーツって、もしかしたら「トントゥ」だったの?!(んなわけはない)。

finland collection
2006.11.11|event

ことしも政府観光局主催のイベント、「Finland Cafe 2006」が11/1からはじまりました。そして、それと同時に表参道のスパイラルでは「finland collection フィンランド新進ファッションデザイナー展」がはじまります(11/13から19まで)。

イヴァナ・ヘルシンキ、ラストウェアー、ナオト・ニイドメら、フィンランドデザインの伝統―天然素材をつかったシンプルなもの―に実験的な要素をもちこむことで、従来の素材やカラーパターンの再構築を図ろうと試みる6組の若いフィンランド人ファッションデザイナーたちを紹介する展示です。会場構成は、ここmoiの設計者である関本竜太さん、常連のSさんも助っ人として参加するとかしないとか。ぜひ行かねば!

そしてさらに、15[水]まではおなじスパイラルのマーケットにて「和菓子展」が開催中。こちらは「和菓子」をテーマにしたアート展で、以前ここmoiで「パターンは踊る」展を開催していただいたグラフィックデザイナー柏木江里子さんも紙、布による小物で参加されています。あわせて行かねばっ!

というわけで、こちらふたつのイベントもどうぞお忘れなく。

柵をつくる国、つくらない国
2006.11.18|finland

湖に柵がない。

これは、フィンランドでおどろいたことのひとつである。「国民ひとりにつきひとつの湖」と云われるほど湖の多いフィンランドのこと、たしかにフィンランドじゅうの湖という湖にいちいち柵をつくっていたらそれはもう大変なことになってしまう。兵役のように、成人男子はある一定期間かならず「湖の柵をつくる」作業に従事しなければならない、そんな「法律」までできてしまうのだろうか。が、その前にもうちょっとなにかするべきことがあるのではないか?

いや、そういう話ではなく、ぼくがおどろいたのはほかでもない、それが首都ヘルシンキの中心部からほんの数分のところに位置する「湖」だったから、である。「湖」と呼んでいるがじつはそこは「トーロ湾」という奥まった入江で、人やクルマが行き交う大きな道に面している。最初そこを訪れたのは春先のことで、水面はまだ真っ白い氷に覆われていた。「柵」がないので、そのまま氷の上を歩いて対岸まで行けそうである。というよりも、実際そうするやつが後を絶たないのだろう、岸辺には道路標識のような看板がぽつんと立っている。

「割れやすい。氷に注意!」

ならば「柵」をつければいいじゃないかと思ったが、どうやらそういう話ではないらしい。この標識を初めてフィンランドに訪れたとき目にして、ぼくは「なるほど、この国のルールは『自己責任』なのだな」、そう理解した。

対照的なのは日本である。柵はもちろん、「入るな、キケン」「遊泳禁止」「死亡事故発生」などなど、あらゆる看板のオンパレードである。キケンから遠ざけること、できうるならばキケンそのものを隠してしまうことがこの国の「ルール」といえる。

流行りの「オール電化」のCMは、「火を使わないのでお子様にも安心です」と云っている。たしかに小さな子供を抱える親にとってそれは安心にちがいない。そのいっぽうで、家庭はまた子供に「火」の「便利さ」と「恐ろしさ」を教える格好の場所ではなかったか。ときに痛い思いをしたり親にこっぴどく叱られたりしながら、子供は「火」について学んでゆく。逆に言えば、生きられていない経験は空虚である。家庭の外にもまたあたりまえのように存在している「火」と、これからの子供たちははたしてどうやってつきあってゆけばよいのだろう。

ちょっと話を広げすぎかもしれないが、ちかごろの「いじめ問題」や「子供や動物への虐待」、「殺人事件の低年齢化」などにもちょっとそんな気配が漂っている。痛みに鈍感なひとは、他人に痛みを与えることについてもまた鈍感だからである。

柵をつくる前に、もっとなにかやるべきことがあるんじゃないか?

日本人としてそう思わずにはいられないのだ。

PS.ちなみにぼくは田んぼに落ちた経験がある。できれば田んぼに柵をつくってもらえないものだろうか?

とりあえすビール。
2006.11.27|finland

日曜日のフィンランド語クラスのとき、リーサ先生がおもむろにバッグから取り出してきたのがコレ。

その名も、「よいこのびいる」。

かけつけ一杯、「とりあえず、ビール」というわけで、フィンランド語の授業に入るまえにひとまず乾杯!色、泡の感じともかなりリアルでびっくり。味は・・・生徒のSさんによれば「薄まったオロナミンC」(笑)。

もちろん(!?)、BGMは生徒のTさんがこの夏フィンランドで買ってきたCD、フィンランド版「みんなのうた」ともいうべき「10 Lasten Suosikkia」。念が入っているのだ。ちなみにぼくのフェイヴァリットは、「ヘイ!ムーミン」とはじまる子供向けにしてはあまりにも渋すぎるナンバー「ムーミン谷のブルース」。

というわけで、この後リーサ先生とその生徒さんたちは「ほろ酔い加減で」お勉強に突入したのでした。

Thunder Bay
2006.12.16|finland

みほこさんからあずかった海外で暮らすフィンランド人向けの雑誌「SUOMEN SILTA」をパラパラと盗み読んでいたところ、カナダにあるサンダー・ベイという街が紹介されていた。

記事によると、サンダー・ベイでは住民のおよそ10%にあたる約12,000人がフィンランド系のひとびとによって占められている、のだそうだ。まさに、カナダの中の「リトル・フィンランド」といった感じである。

もともと、カナダや北米はフィンランド系の移民が多いエリアである。以前、北米のどこかに留学していたというお客様がいらしゃったことがあるのだが、そこはやはりフィンランド系のひとびとが数多く暮らしている場所で、その関係でかれは留学先の大学で「フィンランド語」を履修したと話されていた。記事の受け売りではあるが、カナダにフィンランド人による移住がはじまったのは1870年代ごろのこと。そうしたひとびとは、おもに大陸横断鉄道の建設に携わっていたらしい。だが、移住が本格的になったのは戦後、1950年代くらいのことで、多くは森林労働で生計を立てていたようだ。まだまだ貧しかった母国を離れ、よりよい生活を求めて家族ともども北米大陸に渡ったフィンランド人たちが、現在のサンダー・ベイに暮らすフィンランド系住民のいわば「ルーツ」ということになる。

サンダー・ベイの街には、リトル・チャイナやリトル・イタリーよろしく、そんなフィンランド系カナダ人たちの生活を支えるさまざまなショップやレストランが点在している。

イーッタラなどもそろえる雑貨店「Finnport」、書店「The Finnish Book Store」、「本物のフィンランドサウナをどうぞ」がうたい文句の「Kangas Sauna」、そしてカレリアパイ(2,40カナダドル 約250円)やマッカラ(10.45カナダドル 約1,100円)も食べられる1918年オープンの老舗レストラン「Ravintola HOITO」などなど。ほかにも「Gus Vuori Road」や「Kivikoski Road」など、フィンランド語のついた通りの名前があったりと「それらしさ」を感じさせてくれる。

カナダ旅行を計画中の「フィンランド好き」はいちど訪ねてみるべき!?

ピッカー
2007.1.12|finland

まあ、そうなんだろなぁと思いつつも、あらためて聞くとやっぱり「へぇ~」と感心してしまうのは、取材でおみえになった「わかさ生活」(ブルーベリーを使った健康食品でおなじみの会社。↑に広告がときどき登場しますね)の方からうかがった、原料となるビルベリー(野生種のブルーベリー)をどうやってフィンランドで調達しているかというお話。

じつは「わかさ生活」はフィンランドに広大な「ビルベリー農園」を所有していて、ということはまったくなく、そのつど「ピッカー」と呼ばれるひとたちと契約して収穫するのだそうである。つまり、「ブルーベリー摘み」を生業としている人々が存在するということである。プロの「ブルーベリー摘み」、「ピッカー」(語尾を上げて発音するといかにもそれっぽいなぁ)である。

おそらく「ピッカー」の歴史は古い。店でブルーベリージャムが売られたり、ブルーベリーを使った料理がカフェやレストランでふるまわれるようになったのと歩調をあわせて、「村のベリー摘み名人」はプロの「ピッカー」になったのではないだろうか?その長い歴史のなかでは、当然かれらの「縄張り争い」に端を発する血なまぐさい抗争も起こったことだろう。ピッカーたちによる「仁義なき戦い」である。

と、いつものごとく空想はどこまでも果てしなく広がるわけだが、「ピッカー」たちの冬の暮らしはいったいどうなっているのか?丹念に道具を手入れしてやがて訪れる「夏」を待つのだろうか?それとも「黒マグロ漁船」のひとびとのように(←イメージ)、ひと夏で一年分を稼いで冬は飲んだくれていたりするのだろうか?気になってしかたない。

それより、どうしてだれも「ブルーベリー農園」をつくろうとしないのだろう?どなたかご存じの方がいらっしゃったら教えてください・・・。

フィンランドがぐっと近くなるセミナー
2007.1.16|event

三軒茶屋の昭和女子大学オープンカレッジで、五回にわたり『小さなフィンランド・大きな魅力』というセミナーが開催されます。毎回テーマに沿ってその道のプロフェッショナルな方々が登場することになっていますが、2月10日[土]に開催される

第3回「フィンランド・デザイン」

には、ここmoiの設計者としておなじみの建築家関本竜太さんが登場します。関本さんには一昨年、ここmoiでも「アルヴァー・アールトの三十代」をテーマにお話ししていただいたのですが、建築家の視点からアールトの魅力をわかりやすく解説した内容はたいへん好評で充実したものでした。

今回は「建築家の目で見たフィンランドの造形美、その背景にあるライフスタイルを紹介」とのことで、建築にかぎらず、フィンランドのデザイン全般について幅広く、またフィンランドで実際に生活していた経験をふまえてさまざまなエピソードが聞けるはずです。フィンランドの建築やデザインをもっと身近に感じたいひと、この機会にぜひ参加されてみてはいかがでしょう。

このセミナーについてのくわしい情報、および参加のお申し込みは昭和女子大学オープンカレッジのサイトをごらんください。

Timo Sarpaneva
2007.1.20|finland

店の壁にかかったポスターを指差して曰く、「このイーッタラのマークって、ティモ・サルパネヴァがデザインしたんだよね」。「えっ」と驚いたのは、その発言の主がリーサ先生だったからにほかならない。リーサ先生はフィンランドのデザインのことなどほとんど関心がないような(失礼!)、ある意味とても「標準的な」フィンランド人である。そんな「標準的な」フィンランド人であるところのリーサ先生の口から、「ティモ・サルパネヴァ」などという玄人好みなデザイナーの名前が出たから思わず驚いてしまったというわけだ。

リーサ先生は続ける。「死んだよね、このひと」。「え、えっ?」うかつにもまったく知らなかった。あちらのニュース報道を調べたところ、「二〇〇六年十月六日に七十九歳で他界」したらしい。

なるほど、新聞かなにかでリーサ先生はかれの訃報に接したというわけか。じっさい、記事にも「イーッタラ社のロゴマークを手がけたのもサルパネヴァ氏である」と書かれているし。これで謎(?)が解決した。

それにしても、タピオ・ウィルッカラ、アンティ・ヌルメスニエミに続き五十年代のフィンランド・デザインの黄金期を支えたデザイナーのひとりがまたいなくなってしまった。仕方ないとはいえ、淋しいことである。ちなみに、moiではジュースなどにつかっている大きめのグラスがティモ・サルパネヴァによるもの。その意味では、毎日お世話になっていると言っても言い過ぎではない。

ご冥福をお祈りします。

FazerのMarianne
2007.1.21|finland

ファッツェル(フィンランドの製菓会社)のキャンディー「マリアンネ」です。チョコレートクリームがハッカ味(ミントというよりもハッカという雰囲気)のキャンディーでコーティングされた、フィンランドで古くから愛されているお菓子です。

この「マリアンネ」をくださったのは、現在フィンランドに留学中のUさんという方。おともだちがご来店、届けてくださいました。お菓子と一緒にUさんによる手紙も同封されていて、それによるとUさんはいまヘルシンキで生活しながら、日本人ツーリスト向けのガイドツアーをおこなっている会社「My Suomi」で仕事をなさっているとのこと。じつは、ちょっとしたご縁からmoiにも「My Suomi」さんのフライヤーを置かせていただいているのですが、日本にいたころちょくちょく通っていたmoiに「My Suomi」のフライヤーを置いてもらえたことがうれしくて、あくまでも個人的にプレゼントさせていただいたとの内容。心のこもったお手紙とともに、こうして思いがけないプレゼントをいただくというのは、ほんと店主冥利に尽きます。

本来なら直接Uさんにメールさせていただけばよいところですが、Uさんのメールアドレスを存じ上げないのと、「個人的に」ということを考慮してあえて「会社気付」ではなく、このブログでお礼を申し上げさせていただきます。

Uさん、Kiitos !!!

ところで、手紙を読んでいたところ気になる一文が・・・。「お店にうかがったとき、店主さんからサルミアッキを食べさせていただいたことなど思い出されます」。うわぁ、「被害者の一人」だったのですね~。

そんな、文字通り「苦い」経験をしたにもかかわらず、こんなふうにあたたかい気持ちをもって接してくださるUさんは、絶対にすばらしいひとにちがいありません(汗)。

カレリア~お料理の旅 ご案内
2007.2.28|finland

フィンランドのうまいものはカレリアにありというわけで、昨年もこちらのブログにてご案内させていただいた、西尾ひろ子さん主催による『カレリア~お料理の旅』がことしも開催されます。

この旅は、毎年フィンランドのカレリア地方にある風光明媚な村ヴオニスラハティに滞在し、フィンランドのすばらしい自然を満喫しながら美味しい料理の数々を学んでこられている西尾ひろ子さんによるプライベート・ツアーですが、フィンランド大好きなmoiのお客様にもぜひ体験していただきたく、昨年よりブログ等にてご案内させていただいているものです。

ことしは、「すばらしいフィンランドの夏をぜひ知ってもらいたい」という村長さんの強いリクエストにより五月下旬の開催となりました。滞在中の「お楽しみ」は以下の通り:

◎ サリ・タスキネンさんによる「お料理教室」。フィンランドでもっともおいしい(?)カレリア地方の家庭料理の数々を、一緒に作りながら満腹になるまで満喫できます!

◎ フィンランド人にとっての「原風景」ともいわれるコリ国立公園を、船で湖を渡って訪れます。

◎ ピエリネン湖での魚釣り、彫刻家エヴァ・リューナネンのアトリエやバーテリ教会訪問。

◎ 村の小学校を訪問し、子供たちや村の人々と交流を深めます。

もちろん、他にも盛り沢山のツアーです。

日程は、

5/25[金]出発 成田より、ヘルシンキ経由でヴオニスラハティへ。
26[土] ヴオニスラハティ
27[日] 同上
28[月] 同上
29[火] 同上
30[水] ヴオニスラハティからヘルシンキへ移動。ヘルシンキ泊
31[木] ヘルシンキから夕刻発のフィンランド航空で成田へ。
6/1[金] AM成田着

となります。

このツアーについてぜひ詳しくお知りになりたいという方は、より詳細な内容が決定次第、西尾ひろ子さんよりメールにてご案内させていただきますのでmoiまでメールをお送り下さい。

建国90周年記念チョコレート
2007.3.12|finland

こちら、先日みほこさんよりお土産でいただいたフィンランドの製菓会社Fazer(ファッツェル)のチョコレートです。

定番の通称「シニネン」(「ブルー」という意味)のスペシャルバージョンで、フィンランドの建国90周年を記念して作られた今年2007年の限定アイテムとのこと。チョコレートそのものもホワイトチョコとのニ層構造になっていて、いつになく(?!)凝ったつくりとなっています。

今年フィンランドに行かれるご予定の方、ぜひ「おみやげリスト」に加えてみてはいかがでしょう。

闇の世界
2007.3.16|finland

ヘルシンキから、一年半ぶりで荻窪にもどってこられたシルックさんに、「この冬のフィンランドは雪が少なくてずいぶんとラクだったのでは?」と話しかけたところ、意外にも「暗いばっかりで変な冬だった」と顔をしかめるのだった。

そういえば、森下圭子サンもそのコラムのなかで、フィンランドのひとたちにとってこの冬の「雪のない闇だけ雨だけは相当堪えたようだ」と書かれている。冬とはいえ、お日様の恩恵にはじゅうぶん浴している日本人としては、フィンランド人の雪の冷たさ、寒さよりも闇を毛嫌いする感覚がいまひとつピンとこない。

でもきっとそうなんだろうな。ぼくだって、梅雨のころ何日か雨が続いただけでなんとなく気分が滅入ったりするのだから・・・。いつも当たり前のように頭上で輝いているお日様にときには感謝しなくては。

そういえば
2007.11.14|finland

書き忘れていたのを思い出してしまったのでいまさら書くのだが、京都では、ホテルのならびにある《古今烏丸》という商業施設で全館を挙げて「COCON×フィンランド」というイベントをやっていた。

インテリアショップの「ACTUS」でイーッタラの特集をしていたり、京都精華大学が運営している「shin-bi」というショップでも映像を使ってフィンランドの若手デザイナーたちの紹介をしていたり、あるいはACTUSがやっている「スーホルムカフェ」でも特別メニュー(グロギとか)を出していたりといった具合。ほかに映画館でも『かもめ食堂』を上映していたりしていたのだが、いちばん力が入っていたのは「lisn(リスン)」だった。

「lisn」というのは(知っているひともいるだろうが)「松榮堂」という老舗がやっているお香屋さんである。以前から北山のコンクリート打ちっ放しのビルにコム・デ・ギャルソンのショップのようなスノッブな雰囲気の店があったのだが、その後表参道や四条烏丸の《COCON》にも出店し、なんと昨年には(まったく知らなかったが)ヘルシンキにまで進出したらしい(反応はどうなのだろうか・・・)。そんな関係もあってか、今回はフィンランドの若手デザイナーたちにオリジナルの「お香立て」のデザインを委嘱するという試みをしたのだという。なかでは、さすがSyrup Helsinkiが「おしゃれな北欧」という日本人ウケする線をしっかり押さえているなあという印象。個人的にはもっと無骨なCOM-PA-NYのほうによりスオミっぽさを感じてしまうのだが。ほんとうは、フィンランドをイメージした香りとか期待していたのがそういうのはなかったのがちょっと残念。

ほかには散歩の途中、寺町通り二条下ルの「MAISEMA(マイセマ)」というフィンランド物中心のアンティークショップをのぞいたり・・・けっきょくどこに行ってもフィンランドから離れられないのだった。

アラビア「2008ムーミンサマーマグ&ボウル」販売中
2008.6.16|finland

フィンランドのアラビア(ARABIA)社から通常の商品とはべつに年2回発売されるムーミンの季節限定マグカップ&ボウル。その2008年夏バージョンが入荷しました。

「Rantaelamaa(On The Beach)」といういかにも夏らしいテーマにふさわしく、眩しい太陽の下ビーチを闊歩するフローレンの姿がデザインされています。オレンジ色と黄色、水色のストライプですが、落ち着いた発色でいやらしくならないところがさすがはフィンランド!という感じです。

過去発売されたもののなかには、限定品ということもあって入手困難なコレクターズアイテム化しているものも少なくないようですが、その日その時の気分にあわせて、あるいはお茶をだす相手にあわせて色や絵柄で遊んでみるというのがきっと正しい使い方なんでしょうね・・・

ちなみに、裏面のロゴはおなじみの王冠マークにムーミンをあしらったデザインとなっています。

もちろんmoiでは店頭での販売となりますので、ぜひ実際にお手にとって色などご確認の上お早めにお買い求め下さい。

◎ ARABIA ムーミン サマーマグ2008 "On The Beach"
 3,990円(税込)→3,591円(税込)
◎ ARABIA ムーミン サマーボウル2008 "On The Beach"
 6,300円(税込)→5,670円(税込)

ご注意:こちらの商品は正規品ですが箱はついておりません。あらかじめご了承ください。

フィンランドの食卓
2008.7.28|finland

フィンランド好きの方のために、フィンランドの食卓をモチーフとしたポストカードを紹介します。

イラストレーター谷山彩子さんがフィンランドを旅する中で出会った光景をスケッチした作品から、「食卓」をモチーフにしたものを選りすぐりポストカードにしたものです。あ、どこかで見たことある!と思った人は・・・正解!雑誌「coyote(コヨーテ)」No.13 ~特集・森と湖、小屋の島《フィンランドの短い夏》」の挿絵としてつかわれていたものです。

左から時計回りにコスケンコルヴァ(フィンランドではとてもポピュラーなウォッカ、サルミアッキ入りなんていうのもあり)、ヴィーリ(ヨーグルトの一種、日本では見たことないけどあちらではふつうにスーパーの棚に並んでいる)、そして・・・うーん、なにかのスープ!?(答えは「coyote」に書かれてました)。

左から順に屋外のマーケットで売られているイチゴやブルーベリー、それにラッカ(クラウドベリー)かな?カイ・フランクのコーヒーカップ「TEEMA」(あちらのカフェで、こんな風に無造作に積み重ねられた「TEEMA」の山をはじめて目にしたときは感激したなあ。毎日ちがう色のを使ったりして)。そしてシナモンロールなどをこしらえるときに使う材料(スーパーなどで見かけたことはあるが、正直よくわからない。たぶんホットケーキミックス的なもの?と勝手に推測しているのだけれど)。

というわけで、フィンランドでもお目にかかれないフィンランドのポストカードなのです(そういえば、このあいだフィンランド人も買っていったっけ)。モイにお越しの折りにはぜひお買い求め下さい!

「世界ふしぎ発見」で発見!
2008.8.4|finland

フィンランドのラップランドを特集したテレビ番組『世界ふしぎ発見』。もちろんみなさんご覧になりましたよね?

じつは、この番組を放映している時間帯はふだんなら店で片づけの真っ最中、うっかり録画予約をし忘れてたぼくと遅番のスタッフは絶対に観れないねと半分あきらめていたのですが、この日奇跡的にお客様の引きが早く、もしやこれは「フィンランドの神様」の粋なはからい(?)と「音速」で作業をした結果、なんとか十五分遅れで観ることができたのでした。

そういうわけでひさしぶりにこの番組を観たもので、知花くららはポスト徹子の座を狙っているのでしょうか?とか、最後のクエスチョンを外したのは徹子サイドからの圧力がかかったせいでしょうか?などといったまったくフィンランドとは無関係なことばかり邪推しながら観てしまいました。

冗談はさておき、

番組中もっとも印象的だったシーンといえば、やはり「蚊」でしたね。レポーターの、そしてトナカイ追いの人々の頭に容赦なくこびりつく無数の蚊、蚊、蚊。最後のほうはもう蚊ばっかり見てしまって、いったいなにをしゃべっていたのかさっぱり頭に入らなくなってしまいました・・・。事実とはいえ、これはやっぱりイメージ的にはマイナスなんじゃないでしょうか。どうですかね?今後は夏場の北極圏での取材は受け付けない、もしくは経費等を全面的に世話するかわり画面上の蚊はすべてCG処理によって消すことと、といった対策をフィンランド的には講じたほうがよいのでは?などと思った次第。

ちなみに番組でも紹介された「リンゴンベリーのジャム」はmoiでも好評発売中!現在品切れ中ですが、今月半ばには再入荷するでしょう。

【SALE】2008 ムーミン サマーボウル
2008.8.24|finland

フィンランドのアラビア社が夏季限定で販売するムーミンのイヤーマグ&ボウルのシリーズ。ことし2008年は海辺を優雅に散策するフローレンが描かれています。水色とオレンジ、それに山吹色のストライプが印象的ですが、眩しすぎないというか、ちょっとくすんだトーンが子供っぽくならず大人の方にもおすすめです。

さて、気がつけばここのところめっきり朝晩は涼しくなってきました。夏もそろそろ終わりに近づいたようですね。そこで、ムーミンの2008年版サマーボウルをネットショップよりも安い最終セール価格で限定販売させていただきます!もちろんベースとなっているのは、カイ・フランクのデザインによるARABIA社のTEEMA(テーマ)ですので品質、使い勝手は大変すばらしいものです。

アラビア ムーミン 2008 サマーボウル【限定3個のみ】

 通常価格¥6,300 →¥5,500(税込み)
 ※取り扱いは当店店頭のみです。在庫がなくなり次第終了させていただきます。
 ※正規品ですが輸入品のため化粧箱はつきません。あらかじめご了承下さい。
 ※地方発送は承れませんが、ご連絡いただければお取り置きは可能です。

なお、マグカップ(写真前方)につきましては、おかげさまで当店の扱い分はすべて完売となりました。ご了承ください。

Piparkakku作り
2008.11.20|finland

来るべき記念日にむけ、フィンランドのクリスマスには欠くことのできないお菓子Piparkakkuを焼きました。指導は、日本でフィンランドの焼き菓子をつくらせたら右に出るものがいない西尾ひろ子さん。ふんだんにスパイスを使ったフィンランド流、ちょっと大人向けの味になっています。どうぞお楽しみに。

きょうは何の日?
2008.12.6|finland

十二月六日[土]は・・・

その一、フィンランドの九十一回目の「独立記念日」。

その二、moiの吉祥寺移転《一周年》記念日です。

というわけで、明日ご来店の上カフェをご利用いただいたお客様にはささやかなプレゼントをご用意しております(十分な数ご用意しておりますが、万が一品切れの際にはご容赦ください)。

みなさまのご来店、心よりお待ちしております!

謹賀新年
2009.1.1|finland

あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

↑はヘルシンキの中心部にある「Lasipalatsi」のライブカメラより、朝焼けに照らし出される元日のヘルシンキの街。いつもながら、、、誰もいません。カウントダウンの時間帯には地味に花火など上がったりもしていたのですが。

それはそうと、正月早々ノドが痛い。休みに入ると同時に風邪にやられるなんてなんだか立派な社会人みたいだなどと思いつつ、めずらしく昼近くまで眠ってしまいました。こんなこと数年に一度あるかないか。休みでもあまりゆっくりできない性質なのです。

そして、あっという間に夜。ブログにことし最初の記事をアップして一日が終わりそうな予感。大晦日まで仕事だったのだし、ま、元旦くらいいか、と自分に言い訳しつつ。

↓は、北極圏の都市ロヴァニエミの元日朝の様子。街の中心部、「Lordin Aukio(ロルディ広場)」(←こんな名前になっていたなんてまったく知らなかった)のライブカメラより。案の定、、、誰もいません。

それにしても、いくら地元出身とはいえ、そしてユーロヴィジョンで優勝したとはいえヘヴィメタのバンドの名前が広場についてしまうなんてさすがはスオミです。

カトリーヌTV、絶賛オンエア中
2009.1.14|finland

いま、スタッフの「カトリーヌ」(←バリバリ日本人です)がフィンランドを旅行中。はじめての海外ひとり旅ということもあり、「父さん」的にはちょっと心配なのである。

そこで思いついたのが、宿泊しているホテルにもほど近いライブカメラの存在。

さっそく下したミッションは、

滞在中、毎日現地時間の午前10時(日本時間の午後5時)にそのライブカメラの前に元気な姿を現すように

というはなはだ迷惑なもの。それでも、そんな理不尽なリクエストにちゃんと応えてくれる心優しいカトリーヌなのであった。寒々しい景色の中、目印の塔のまわりをグルグルと周回する怪しげな黒い人影。そんな挙動不審な人間、ほかには見あたらないので人まちがいの心配もない。

ほんとうは、カメラの前で凍ったバナナでクギを打つくらいのパフォーマンスをしてもらいたいところだが、零下20度どころか、ろくすぽ雪すら降っていないいまのヘルシンキでは無理な話。

さて、あしたの予報は「雪」。もしかして吹雪? いったいどんな光景が繰り広げられるのか、まったく楽しみで仕方ない。

勲章
2009.4.1|finland

青天の霹靂、とはまさにこのこと。

先ほどフィンランド政府の文化担当者の方から連絡があり、国外においてフィンランド文化の普及や理解に貢献した人物、団体等に贈られる「Punainen Uuso勲章」がモイに贈呈されることになったというのです!

とはいえ、いまの心境は驚きよりはむしろ、えっ、ウソでしょ?って感じです(笑)

思えば数年前、海外で生活するフィンランド人のためにつくられている雑誌でモイを取り上げていただいたり、当時の駐日フィンランド大使ご夫妻にご来店いただいたりしたこともあるので、あるいはそんなことも影響したのかもしれません(↓その際の雑誌の画像)

まだ現物が手元にないため実感は湧かないのですが、どうやらこの勲章は「Punainen~」というだけに真っ赤で鮮やかな色の勲章のようです。そういえば、日本でも紫綬褒章とか黄綬褒章とか「色」がついていますよね。

とりあえず、

くわしい受賞理由などはこちらのウェブサイトでお読み下さい(日本語です)。

ただいま試作中
2009.4.2|finland

カンパニスットゥ(kampanisut)というフィンランドのスコーン。いま、GWに開催するイベントのためスタッフの「あんずさん」に試作してもらってます。かなりいい感じに出来上がってきました。

ちなみにそのイベントでは、ぼくの好きなフィンランドのちょっとマニアックな映画を上映する予定です。ただ、定員が少ないので店に貼り紙するくらいであまり大々的には告知できないかもしれません。とりあえず5/5[火祝]と5/6[水祝]の二日間、二回ずつの上映を予定しています。

気になる方は、ぜひご来店の折にそっとお尋ねくださいね。よろしくお願いします!

サルミアッキのポスター
2009.7.15|finland

フィンランドの国民的お菓子(?)サルミアッキのポスターです。

1950年代、FAZER社(ファッツェル)の「PAX」のためにERIK BRUUNがデザインしたポスターの復刻版です。前々から欲しかったので、荷物になるのも厭わず買ってきてしまいました。サイズは70×100cmあります。

もし興味ある方がいらっしゃいましたらお店ででもお問い合わせ下さい。

◎ 追記 その形状から「サルミアッキ」だとばかり信じていたのですが、ミスター・サルミアッキことユッシさんより「PAXはラクリッツィ(Lakritsi)ですよ」とのご指摘をいただきました。2007年にレトロなパッケージで復刻されたのですが、ぼく自身まだ食べたことはなかったようです。ちなみにサルミアッキもラクリッツィも真っ黒いリコリス(甘草)風味のグミですが、塩化アンモニウムで独特の塩味をプラスしたものがサルミアッキと呼ばれます。というわけで、このポスターは「ラクリッツィのポスター」というのが正解です。訂正させていただきます。さすがはミスター、ありがとうございました!

NIKO ja TAPSA あるいは顛末記
2009.7.27|finland

どうやら、フィンランドの「毒」がカラダにまわったらしい。

ヘルシンキの街角で偶然フライヤーを目にしたフィンランドのヒップホップユニット、NIKO ja TAPSA(ニコ&タプサ)のことが、帰国後、気になってしかたない。こんなことならCDを買っておくべきだったと後悔することしきり。断っておくが(断るまでもなく?)、ぼくがヒップホップのCDを欲しいなんてかんがえることはめったにない。けれども旅で耳にしたフィンランド語のあの独特の「語感」を思い出し、また楽しむのにまさにヒップホップはうってつけ、である。それにあの、ポップといえばいえなくもないジャケットのアートワーク、若いんだかオヤジなんだか見当のつかないふたりの風貌もまた、ある意味チャーミングだ。まあ、そんなふうに感じてしまうことからして、すでに全身に毒がまわっている「なによりもの証拠」なのだが。

もちろん、かれらのCDを手に入れる方法がないわけじゃない。じっさい、この6月から9月上旬にかけて身近なひとびとが誰かしらフィンランドを訪れている。頼もうと思えば頼めないこともないのだ。しかしモノがモノだけに誰にでも頼めるものじゃないということは、ぼくがいちばんよくわかっている。

だって、ちょっと恥ずかしいじゃないですか。

たとえば、死ね死ね団の『Greatest Baka Hits』を買おうとしているニュージーランド人。はたまた、「蒲焼きさん太郎」を箱買いしようとしているナミビアのひと。ちょっと恥ずかしくはないだろうか? となると、そんな恥ずかしいお願いをできそうな(=そんな恥ずかしい思いをさせたところで平気そうな・・・笑)ひとといって思いつくのはせいぜい3、4人といったところ。そのなかで近々フィンランドに行く予定のあるひとといえば・・・、そうおなじみのみほこさんである(笑)。断っておくが(断るまでもなく?)、みほこさんはヒップホップは聴かない。だが、フィンランド語のできるみほこさんなら「なんか、友だちに無理矢理頼まれちゃって」とか、「甥っ子がヒップホップ好きなのよね~」とか、とにかく流暢なフィンランド語で「言い訳」できるだろう。これなら無闇に恥ずかしい思いをさせることもない。

こうして、いまぼくの手元にはNIKO ja TAPSAのCDがある(ありがとう、みほこさん)。

70年代のソウルミュージックからサンプリングされたバックトラック。ニコとタプサによる、どことなくおっとりとしたMC。もともとが韻を踏みやすい言語のせいか、フィンランド語のラップはやけに「調子よく」聞こえてしまうのだが、その「調子のよさ」がかえって面白く聞こえてしまうのはこちらがたぶん、ふだんヒップホップになじみがないせいだろう。

物は試しとさっそく店でかけてみたのだが、スタッフからのブーイングを俟つまでもなくほんと、まったくmoiの空間には合いませんね・・・。どうやら、店主の密かな愉しみとするしかないようである。

それではどうぞ、NIKO ja TAPSAで「すばらしい日々」。

Rahkapulla
2009.10.9|finland

写真はフィンランドのプッラ(菓子パン)のひとつ、ラハカプッラ(Rahkapulla)。

シナモンロールを焼いてくれているスタッフが、おやつ用に焼いてきてくれたもの。粗挽きのカルダモンが入ったパン生地の真ん中に、クリーム状の「ラハカ」がトッピングされている。

ところで、ラハカというのはクリームチーズとヨーグルトの中間のような、あるいは固くなったサワークリームのようなフィンランドではポピュラーな乳製品のひとつ。もちろん日本では入手不可のため、今回はクリームチーズをアレンジしてラハカに近いものに仕立ててある。目玉のような赤い実はラズベリー。フィンランドではレーズンを埋め込んだものが一般的だが、ラズベリーも、かえって酸味がアクセントになっておいしい。

お店で提供するのは難しそうだが、イベントの際に出すおやつとしてはうってつけとのことで目下相談中。うまくゆけば、来月予定している"フィンランドを旅する人のためのお役立ちイベント"

「旅講座@フィンランド」

で召し上がっていただくことができるかも。お楽しみに!

きょうのまかない
2009.11.5|finland

フィンランドのパンプディング。

どこがフィンランドなのかというと、パンの部分がプッラの生地であるところ。プッラというのは、フィンランドでは菓子パン全般を指し、粗挽きのカルダモンが入っているのが特徴。スパイスのおかげで、ふつうのパンプディングよりも奥行きのある味になっています。

まかないのはずが、その日の気分でメニューに! なんてことも、もしかしたらあるかもしれません。

メリークリスマス
2009.12.26|finland

先月開催した「旅講座@フィンランド」にご参加くださったHさんより、とてもすてきなクリスマスカードが届きました!

まるでフィンランドから届いたクリスマスカードのように見えますが、じつはこれ、目白にある「切手の博物館」から投函されたもの。きのうまでおこなわれていた展示「切手の博物館のクリスマス~北欧からメリークリスマス」にちなんで、3日間限定でフィンランドポストの公式スタンプを押印してくれるサービスがあったのでした。切手も修好90周年を記念して発行されたもので、日本とフィンランドとで共通の図案になっています(原画はミンナ・インモネンによるもの)。

Hさんは、メールマガジンでこの展示のことを知り足を運んでくださったとのこと。思いがけずすてきなカードを受け取り、スタッフともどもすっかり感激してしまったのでした。気持ちまであっためてくれるのはやっぱり手紙、ですね。ありがとうございました! 

メリークリスマス(もう26日だけど)

MIKLOS GAAL
2010.2.22|finland

Twitterにかまけて(?)すっかりブログの更新を怠ってしまった・・・よくあることらしいけれど。

さて、以前たまたま書店でみかけた写真集『small planet』(本城 直季)にミニチュア心(?)をくすぐられ、それをデジタルで手軽に模倣できてしまうアプリ「Tilt Shift Generator」に心ときめいた、という話は前回のポストで書いたとおり。

その後さる情報筋?より、フィンランドにもこんなアーティストがいるよと教えていただいたのでここでご紹介を。

アーティストの名前は、Miklos Gaal。ミクロシュ・ガール、と読むのかな? 「1974年生まれのフィンランドのヴィジュアルアーティスト」とのことだが、名前から想像するにハンガリー系の血も入っているようだ。現在はオランダのアムステルダムを拠点に活動しているとのこと。

これまでの代表作をみることができる彼のウェブサイトwww.miklosgaal.comでは、あの風景を箱庭化してしまう手法を用いた作品の数々もみることができる。2000年代の前半からこうした作品を発表していたようだ。

とりわけ本国フィンランドで彼の名前を一躍有名にしたのは、当時まだ建設中だった「kamppi」(ヘルシンキのバスターミナル兼ショッピングセンター)をミニチュア的に撮影した作品『Construction Site』(2002)で、いまではフィンランドの多くの美術館が彼の作品を収蔵しているそうなのでいつかは実際この目でみるチャンスがあるかもしれない。

それにしても、写真の舞台がフィンランドというだけでさらに心ときめいてしまうというのも我ながらなんだかなぁ・・・

ルーネベリのジャンボタルト
2010.3.5|finland

ルーネベリのタルトといえば、フィンランドの国歌を作詞したことでも知られる詩人ルーネベリの誕生日である2月5日に彼を偲んで食べられるフィンランドのお菓子。砕いたジンジャークッキーを混ぜ込んだ生地をこんがり焼き上げ、さらにリンゴジュースをベースにつくられたシロップがしみこませてあります。てっぺんには目玉のように、アイシングで縁どられた甘酸っぱいラズベリージャムが……。

じつは、先月の5日にスタッフがこのルーネベリのタルトをつくってきてくれたのですがそれがとても美味しく、思わず「これのデカいのが食べてみたい」と中学生のような感想を洩らしたところ、一ヶ月後の3月5日(つまり昨日ですが)、今週誕生日を迎えたぼくとべつのスタッフの合同バースデーケーキということで巨大ルーネベリタルトを焼いてきてくれました。それにしても、つい口にしたら本当につくってきてくれるとは! 不思議なポッケをもつ「スイ~ツドラえもん」なのか???

いやぁ、しかし、デカっ! 本来はマフィンくらいのサイズなのでそれを思えばかなりの、思わずジェニー(仮名)も見上げるほどの大きさです。

7月24日はそんな一日。
2010.7.25|finland

スタッフのひとりがポツリと洩らした。「よく『夏が好き』とか言ってる人いますけど、こーゆー夏も好きなんですかねー」。まるで苦虫を噛みつぶしたような表情だ。家にエアコンがないので毎日3時間くらいしか眠れないらしい。家よりも、外のほうがずっと涼しいのだそうだ。たしかに、本当に「夏が好き」ならスキップしながらここまで来そうなもんだが、だれも歩いてないじゃないか!(怒)

というわけで、世界のすべてに悪態をつきたい、そんな今日この頃である。とっとと片づけてしまったら21時閉店のレコ屋にまだ間に合うということで、少しだけ寄り道して帰宅。

夕刻、荻窪時代からよく知るお客様がほぼ同時に4組ご来店。いろいろおしゃべりして楽しかった。フィンランド帰りのみほこさんより情報収集。次回フィンランドは(っていつになるかわからないが)東部メインにしようかな。

ヨエンスー
コリ(Sokos Hotel Koli←メモ)
ラッペーンランタ

あとは、ヘルシンキよりも

ユヴァスキュラ
ラハティ
クオピオ

とか… 。そして札幌のカフェガイドなど眺めつつ「北のカフェ」の妄想。

7月24日はそんな一日。

フィンランド 森に生きるひとの土地
2011.1.13|event

フィンランドの森のほとんどは人の手が入っている

そう最初聞かされたときにはずいぶんと意外な思いがした。「森」というと、ひとの手の及ばない深く暗い、でも魅力的な空間といった漠然としたイメージがあったせいだろう。グリム童話やカレワラ神話を引き合いにだすまでもなく、魔法使いや動物たちが破天荒な物語を繰り広げる場所、それがぼくにとっての「森」であった。それが「ひとの手が入っている」と聞いたことで、神秘のヴェールは無惨にも剝がれ落ち、味気ない生活の場所に変わってしまったような気がしたのだ。

ところが、そんな一方的な思いを打ち消してくれたのは、来月「モイの部活#1 CD絵本『ラヤトン 無限の森へ』おはなし会」に参加してくださる映画監督・柴田昌平さんの作品だった。ひとつは、NHKで放映されたドキュメンタリー

『世界里山紀行~フィンランド』

そしてもうひとつは、柴田さんがフィンランドで出会い、ついには日本語版を自費出版までしてしまった本

『フィンランド 森の精霊と旅をする』

である。このふたつの作品に触れてぼくが理解したのは、

なるほど! フィンランド人って「森のひと」なのか

ということである。もっと具体的に言えば、

森の一部として、森に生きるひと

ということになるだろうか。フィンランドの人たちにとって、森は「生活の糧」を恵んでくれる豊かな土地であると同時に、人がそこで生まれ育ち、最後にはそこで土に還る聖なる土地でもある。だから、「フィンランドの森には人の手が入っている」と言うとき、それはけっして自然を切り拓いて開発するという意味ではない。そこに生きるものとして、そこがより豊かな土地となるようできうる範囲で森を整えている、そういう意味なんじゃないだろうかとぼくは感じている。

さて、ラヤトンというヴォーカルグループについて、なにを隠そうぼくはほとんどなにも知らない。おととしフィンランドを訪れたとき、ちょうどヘルシンキで彼らのライブがあることは知っていたが、興味がなかったのでそのままスルーしてしまったくらいだ。ただ、耳を澄ませば、彼らの歌声がいわゆるジャズやポップスのハーモニーとちょっと違っていることに気づく。歌声というよりは、仲間どうしで交わし合う「呼び声」、あるいは風の音、水のさざめきのような自然の音のようにもきこえる。そして、ああそうか、やっぱり彼らも「森のひと」なのか、と気づかされる。

そんなぼくの勝手な思い込みはともかく、今回の「おはなし会」は「ラヤトンの歌声」から始まって、フィンランドの森やそこに生きる人たちの息づかいまで感じ取ることができそうな気がして、いまからワクワクしているところだ。当日はせっかくなので、参加してくださるみなさんをあたたかい飲み物とキャンドルの灯りでおもてなししたいとかんがえている。

お時間のある方は、どうかぜひぜひご参加ください。お待ちしております♪

森へ
2011.5.11|finland

怒濤のGW営業も終わって、きょうはひさしぶりの休日。

そこが公園の一角だろうが国立公園だろうが、「自分の心に『森』と響いたら、そこは森」(森下圭子『フィンランド×森』情報センター出版局)という一文に導かれるようにして、朝一番で鍼に行った後、その足で「阿佐ヶ谷住宅」を抜け善福寺川沿いの緑地をめざした。

このあいだのイベントでも、圭子さんは「フィンランド人と森」についてこんなことを言っていたっけ。

── フィンランドの人たちは、木が3本しか植わっていないような場所でもそこを「森」と感じれば「森」と呼ぶ。彼らにとっての「森」とは、木があって、心静かに過ごせる場所のことなんです。

都会に暮らしていると、ときどき無性に「森」が恋しくなる。とはいえ、長いこと電車やクルマにゆられて、できればお休みをとって泊まりがけででも行かないことには「森」になんて辿り着けない、そう思い込んでいたぼくにとって、フィンランド人の「森」との、そのカジュアルなつきあいかたはまさしく目からウロコといった感じで衝撃をうけた。

「『この先』のこと|生きる場所、単位と『小確幸』」という文章にも書いたけれど、あちこち駆けずり回って買い物をしたり、じぶんの脳ミソではとてもじゃないが処理できないくらい膨大な「情報」をアタマに詰め込んだりするよりも、じぶんの身の回り(徒歩や自転車で動けるくらいの範囲)の土地をどれだけ耕し、そこにたくさんの「お気に入り」をみつけられるかということこそが、「この先の幸福」のポイントになるとぼくは予感している。だから次の休日には、じぶんの身近に「じぶんの『森』」を探そう、できれば木が3本くらい植わっているような、とかんがえていた。

そうして善福寺川沿いにつづく緑地は、あらためて歩いてみると、まさに「森」としか言いようのない場所だった。

平日ということもあってか、その「森」は静けさに包まれていた。たくさんの鳥のさえずりが聞こえ、風が木々を揺らして通り過ぎてゆく。真っ黒い太っちょのトカゲも、川べりにとぐろを巻くヘビの姿も、見た。もちろんフィンランド同様、思い思いに時間を過ごす人たちも。

さすがにフィンランド名物「やかんコーヒー」は無理だろうから、こんどはちゃんと家で淹れたコーヒー持参でふらりと訪れよう。

アールトの椅子と「ツボを心得る」ということ
2011.5.31|finland

moiで使っている椅子は、フィンランドの建築家アルヴァー・アールトがデザインした通称「69番」。フィンランド人の女の子に言わせれば「子供のころ、幼稚園で見たことある」、それくらい、まあ、ありふれた椅子である。

で、萩原健太郎さんの新著『北欧デザインの巨人たち あしあとをたどって。』(BNN新社刊)を読んでいたら、こんな一節と出会った。

“高価ではない”というのは、北欧の中でもフィンランドの家具の特徴だと思う。(中略)フィンランドでは安易にビスで留めて、そのビスの頭は露出したままだったりする。

中略

家具を工芸品ではなく日用品ととらえ、誰もが求めやすい価格を目指した結果、デンマークなどとは違う家具の道を選んだのだ。そして、そのフィンランド家具の礎を築いたのが、アアルトといえる。

そうそう、たしかにそうなのだ。デザインや建築関係、あるいは椅子好きの仲間とアールトの椅子の話をするとき、実際かならずといっていいほど出るのがその話なのだ。「頭が露出したビス」にしても、シロウトのぼくなどは指摘されてはじめて「そういえばそうだね」と思う程度なのに、彼らにとってはそんなビスの始末は「美意識のカケラも感じられない」「信じがたい」「ユルい」仕事に映るようで、みな失笑まじりで話しするのだった。

でも、ぼくのように、ビスの頭が露出していてもそのことに気づいてすらいなかった人間だっているわけで、案外シロウトなんてそんなものかもしれない。けれどもアールトの家具、とりわけスツール類についていえば、まず第一義的に「安価で作って安価で売る」という絶対目標があったわけで、そのあたりの「割り切り」はむしろいかにも北欧らしい合理主義ともいえる。

たとえば日本だったら…… と想像してみる。おそらく、「安価で作って安価で売る」という目標があったとしても、高い技術力と自己犠牲に近い仕事への執着、美意識によって「安価でもビスの頭が露出していない」椅子をつくってしまったかもしれない。

── そこまでやる日本と、そこまでやらないフィンランド

どちらがいいとかわるいとか、どちらが正しいとか間違っているとか、そういう問題ではこれは、ない。もちろん、フィンランドの職人は「意識が低い」ということでも全然ない。

ぼくに言わせればフィンランドの職人たちは「ツボを心得る」のが得意なのだ。

ひとが満足する「ツボ」を読み取り、確実にそこを押さえる。その他の部分については必要最低限の手間しかかけない。「ツボを心得る」は、フィンランドの「ものづくり」のキーワードである。フィンランドに行ったときに感じる、描き込みすぎない絵画のような適度な余白の存在とそれが旅人の心にもたらす清々しさは、そんなふうに「ツボ」だけ押さえてよしとする国民性のなせるワザなのだろう。

2月14日は「友達の日」です
2016.2.14|finland

きょう2月14日は「ヴァレンタインデー」ですね。

この日不二家のハートチョコレートを貰えるか否かが、昭和の小中学生男子には人生を左右するほどの一大事でありました。そう、「不二家ハートチョコレート」は当時の少年にとってはゴディバの数百倍も価値のある、言ってみれば〝オトコの勲章〟のようなものだったわけですよ!!! すみません、つい興奮してしまいました……。

しかし、いつしか「義理チョコ」なる慣習が蔓延し、ついには「友チョコ」なる新語まで登場しここにきて完全に「ヴァレンタインデー」もサードウェーブ化したのではないかと思われる昨今ですが、こうした〝ガラパゴス化〟をすでに先取りしていたと思われるのがフィンランドにおける「ヴァレンタインデー」です。

フィンランドで「ヴァレンタインデー」といえばそれは「友達の日」のことであり、性別に関わらず親しいひと、日頃お世話になっているひとにカードを贈ったり、花や本をプレゼントするのが通例となっています。さすがは、3人称に男女の区別がない国フィンランド! ヨーロッパで初めて女性の参政権が認められた国フィンランド! 聞くところによると、じっさいフィンランドではクリスマスに次いで郵便局が忙しいのはこの「ヴァレンタインデー(友達の日)」なのだとか。毎年「友達の日」には、特別に記念切手も発行され人気を博します。ことし2016年の切手を飾ったのは、アンネ・ヴァスコさんのイラスト(画像)。個人的には、鳥のしっぽに蝶々がのっている絵柄がお気に入り。

ところでヴァスコさんといえば、2011年の来日時イラストレーターの福田利之さんとともにここmoiでのトークイベントに出演してくださったので、憶えている方もあるいはいらっしゃるかもしれません。

そして思うのです。もうそろそろ、日本の「ヴァレンタインデー」も「友達の日」ってことでいいんじゃね? と。

マリメッコ展 感想
2017.1.5|finland

Bunkamuraザ・ミュージアムで『マリメッコ展 デザイン、ファブリック、ライフスタイル』をみる。

時代の変遷とともに、マリメッコはどう変わり、また変わらなかったのか。そんなところを気に留めながら会場をみてゆく。

創業者であるアルミ・ラティア、そして初期のマリメッコを支えたヴオッコ・ヌルメスニエミは、たとえばワンピースのデザインひとつとっても直線的で素っ気なく、だが、そこがまた革新的に映る。それはどこか、男性/女性の区別がないフィンランド語の3人称を思い起こさせたりもする。

60年代から70年代になっても、アルミ=ヴオッコの路線は忠実に踏襲される。ワンピースのデザインは相変わらず直線的で素っ気ない。けれども、ヴィヴィッドな色彩やカラフルな図案を大胆に導入することでよりポップに、たっぷりと時代の気風を孕んだものになっているところがおもしろい。マリメッコで仕事する人たちは、そういう変えていい部分とけっして変えてはいけない部分とを十分に理解した上で、日々試行錯誤しているのではないか。

これは、去年マリメッコを特集した雑誌『MOE』のインタビューでお話ししたことでもあるのだが、マリメッコのデザインは一貫して〝大きい〟。ここで〝大きい〟というのはなにも図柄がデカいということではなく、おおらかで、自由で、のびのびとした拡がりをもっているという意味である。

たとえば、マリメッコと聞いてまず思い出されるであろうマイヤ・イソラの代表作「ウニッコ」。咲き乱れるポピーの花々は、布の上にあふれ、風に揺れ、ついには布をはみ出してどこまでも続いてゆくようにさえ見える。「ウニッコ」が、巷にあふれる凡庸な花柄とあきらかに異なる点はそこに、まさにその〝大きさ〟にある。繊細さや緻密さ、ツンと取り澄ましたような洗練よりも、重視されるべくは動感であり、ときにちょっと乱暴なくらいのエネルギーのほとばしりなのである。会場に並んだ図案の数々をみれば、なにもそれはマイヤ・イソラにかぎった特徴などではなく、現代にまで脈々と受け継がれてきたマリメッコのいわば〝伝統〟なのだということに気づくはずだ。マリメッコで仕事をしたデザイナーはたくさんいるが、デザイナーは違えども並んだ作品のすべてから共通して〝マリメッコっぽい〟としか言いようのないある種の〝匂い〟が感じられるのは、つまりそういうことなのだろう。

後半では、マリメッコで活躍したふたりの日本人、脇阪克二と石本藤雄が紹介されるが、マリメッコの〝伝統〟の上に日本人ならではの〝几帳面さ〟〝細やかさ〟を加味した彼らの図案のユニークさは、やはりマリメッコという磁場からしか生まれ得なかったいちがいない。

マリメッコというブランド名が、〝マリーのための服〟という意味をもっていることはよく知られている。では、「マリー」とは一体だれなのか? それはおそらく、社会で活躍するすべての女性の総称なのではないだろうか?(★)。それを身につけることで、自由に生き生きと活動的になれる洋服をマリメッコは一貫してつくり続けてきた。今回の展示をみて、1951年の創業以来、こうした〝社是〟に一点のブレもないことにあらためて感嘆するとともに、なるほどフィンランドの街路ですれ違うマリメッコの衣服を身につけた女性たちがみな一様に堂々としている理由がわかった気がした。

(★)マリメッコのMariについては、公式サイトによると創業者アルミ〈Armi〉のアナグラムとのことです。フィンランドのえつろさん、情報ありがとうございます。。

helsinkitypo
2017.4.8|finland

helsinkitypo

その名の通り、ヘルシンキの街で採集されたタイポグラフィーの数々を陳列したブログ。写真家のイルッカ・カルッカイネンがライカで撮影した写真はどれもうつくしく、ヘルシンキを散策しているような高揚した気分になることができる。

サルミアッキ愛
2017.4.10|finland

フィンランドにコスケンコルヴァというウォッカがある。

左が先日お客様からいただいたラクリッツ味、右がスタッフからもらったサルミアッキ味。ラクリッツというのは甘草(カンゾウ)というハーブのエキスからつくるドロップあるいはグミのお菓子で、それに塩化アンモニウム(!)を加えたものがサルミアッキと呼ばれる。どちらもフィンランドでは人気があり、子供からお年寄りまでむしゃむしゃ食べるが、日本人の場合、少なく見積もって3人に1人は悶死する。

それはともかく、お酒とサルミアッキという、世界でいちばん好きなものふたつを一緒に混ぜちゃったら最高にハッピーじゃね!?というフィンランド人の思考回路の単純明快さがなにより愛おしい。

いいのか? 本当にいいのか?
2017.4.19|finland

小学生のまだ低学年くらいだった頃、親に連れられて入ったソバ屋でテレビを観ていたとき、いまアメリカで話題のバンドみたいな内容でロックバンドの「キッス」が紹介されていて、その白塗りメイクのおどろおどろしさに衝撃をうけソバを口から半分出したまましばし固まってしまったことがある。

と思ったら、なんと来月予定されているキッスのライブに合わせてヘルシンキ中央駅に立つ4体の石像に白塗りメイクを施してしまおうというプロジェクトが進行中らしい。きのう、フィンランド在住のえつろさんから教えてもらった。ヘルシンキ駅は1919年竣工の歴史的建造物。いいのか? 本当にいいのか? 学芸員は止めなかったのか? でも、完成したらちょっと見たいな。

マッティ
2017.4.27|finland

<出かけたいのに、ドアの外に住人がいる。>……
<見知らぬ人と、エレベーターで2人きり。>……
<ナマケモノだと思われたくなくて、具合が悪くても出社。>……

カロリーナ・コルホネンの『マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議』(方丈社)には、典型的なフィンランド人「マッティ」を日々憂鬱にさせるちょっとした出来事が並べられていて思わずニヤッとさせられる。

厳密に言うと、典型的なフィンランド人男性、しかもアルコールが入っていないときのフィンランド人男性あるある、という感じ。フィンランド人の男性と友だちになりたい人、ぜひ参考にして下さい。

あと、タイトルの「マッティ」の部分を「マサオ」に変えると、中身はそのまま日本人バージョンにもなりそう!?

09.08.2018
2018.8.10|finland

◎ 05.08.2018

帰り道、ご近所の飲食店のオーナーさんとちょっと立ち話。「31年商売をやってきて、ここまでお客さんの来ない夏ははじめて」と。駅直結や駅近のお店はともかく、5分以上歩くような飲食店はみなこの夏の炎暑に疲弊しきっている。もしお気に入りのお店があれば頑張って足を運んであげてほしいし、いつか行こうと思っているお店があるならいま行ってあげてほしいと思う。

先週に続いて、今週も急きょイベントを開催。「あまりに暑すぎるので冷たいものを飲みながら北欧の涼しげな映像を観てただだらだらとするだけの会」。

このあいだの休日に突然思いつき、告知期間はわずか5日足らずだったにもかかわらず前回同様たくさんご参加いただきありがとうございました。北欧リピーターはもちろん、行ってきたばかりのひと、近々行く予定のあるひと、最近北欧に興味をもったひとなど今回もいい感じの混ざりかた。リクエスト方式の前回とちがい、今回はぼくがぜひ観てもらいたい映像をセレクトしてみたのだけれど楽しんでもらえただろうか。しかし、こういうまったく起承転結のないイベントが許されるのもこの猛暑ゆえという気がするな。

ところで、東京タワーや東京駅などのライトアップで知られる世界的照明デザイナー石井幹子は、二十代のころ一年ほどフィンランドで暮らした経験をもつ。彼女の師匠で、フィンランドを代表する照明デザイナーのリーサ・ヨハンソン・パッペ女史は、よく彼女にこう言ったそうだ。「トワイライトを大切にしましょう」。

夕暮れ時や夜明け前、人工の電気の光をつけてしまうかわりに、あえてゆっくりとした光の移ろいに身を委ねることでじぶんの内なる「自然」を呼び起そうという話。「薄暮」を愛するという感覚は、フィンランド人を理解するうえでも重要なことのように思われる。

ヴァイオリニストのペッカ・クーシストが、フィンランドの自宅からフォークミュージックを紹介するこのビデオレターでも薄暮の時間がえらばれている。いい感じに夏からはじまり、最終的には外は真っ暗闇、声もヒソヒソ声になってゆくというフィンランド人らしいユーモアが全開。

Finnish Folk Music - Pekka Kuusisto Home Video - September 2017(Philharmonia Orchestra)

◎ 06.08.2018

1週間の疲れと暑さとで、店にたどりついたときには全身がだるくて仕込みもモタモタ、きょう1日もつだろうかと心配なくらいだったのに、店をあけたらなんかいつものペースに戻っていた。しかも、東京の周辺で夕立があったせいか帰るころにはすっかり涼しい風が吹いていてスキップで駅まで行った。いや、しないけど。まあ、それくらいの気分ではあった。その勢いで、つい調子にのり、先日いただいたフィンランドのりんご酒でめずらしく晩酌。そのまま寝落ち。しあわせ。

19.08.2018-20.08.2018
2018.8.21|finland

◎ 19.08.2018

ぼくら日本人は、「別荘」と聞くとつい都会の暮らしをまるごと自然の中に移したかのような快適空間を想像しがちである。なので、多くのフィンランド人がそこで長い夏休みを過ごすという「別荘」が、じつは水道すら引いていないようなただの「小屋」であると知ったときはちょっとした衝撃だった。東京タワーや東京駅、それに横浜ベイブリッジなどのライトアップで知られる世界的照明デザイナー石井幹子も、1960年代のなかば、修業のため滞在していたフィンランドでそんな「衝撃」をじかに体験したひとりである。

彼女を「サマーハウス」に招待したのは、アンティ・ヌルメスニエミとヴォッコ夫妻。夫のアンティは、かわいらしいホーローのコーヒーポットやサウナスツールで知られる「超」がつく有名デザイナー。ほかにも、ヘルシンキを走る地下鉄の朱色の車輌をデザインしたのも彼だったりする。また妻のヴォッコのほうも、マリメッコなどで活躍したやはり著名なテキスタイルデザイナーである。つまり、なにが言いたいかというと「お金持ち」ということである。お金持ちのデザイナー夫妻の「別荘」にお呼ばれしたわけで、当然うつくしいモダンデザインが並ぶリビングや清潔でシンプルな寝室、それにキャビアやらイクラやらが盛り付けられたリッツを沢口靖子が微笑みながら運んでくるカクテルパーティーといった光景が鮮明に思い浮かんだはずである、たぶんね。

ところが、じっさい招かれた「サマーハウス」はぜんぶで2部屋くらいしかない慎ましい小屋であった。しかも、トイレに行こうとした石井にふたりはトイレットペーパーのロールを手渡し、「お好きな場所でどうぞ」といたずらっぽく外を指差したというのである。これは、なんかちょっとすごい話じゃないか。おそらく石井の世代(1930年代生まれ)であれば、トイレが建物の外に独立してあるとか、水洗じゃないとかくらいならごくふつうに受け入れることができただろう。しかし、ないのである、トイレが。売れっ子デザイナーのくせにドケチなの? 小屋を建てた大工さんがうっかり者で作り忘れちゃったの? それともあれか、トイレを作っちゃダメな宗教の信者?……

しかし、もちろんそういうわけではない。フィンランド人にとって「別荘」とはなにか? ということがここから見えてくる。

彼らにとって休暇とは日々の生活からの解放を意味し、休暇を過ごす空間としての「別荘」とはいわば日常を完全にシャットオフするための強制終了ボタンのようなものなのだ。そのため、そこではあらゆる文明を遠ざけ、できうるかぎり自然の状態に還ることをよしとする。このエピソードを知ってからというもの、ぼくのなかでフィンランド人とは「文明をまとった自然児」というイメージができあがった。よく日本人とフィンランド人は似ているなどと言われたりするけれど、こういう点にかんしていえばまったく似ていないなと思う。とはいえ、もちろんすべてのフィンランド人がみなことごとくこういう考えの持ち主というわけではない。じっさい、むかし知り合ったフィンランドの「都会っ子」の女の子は、夏になると家族で水道のないようなサマーハウスで過ごしたりするけれど自分はあまり好きじゃないと言っていた。

フィンランド人のこうした自然観を知ることは、フィンランドの文化を深く理解する上でもっとも大切なことのように思われる。

◎ 20.08.2018

なにを買うわけでなく、ただ小一時間ばかり本屋で立ち読みしたり、文房具屋を覗いてみたりと帰りがけに寄り道というほどでもない寄り道をちょっとしてみただけなのだが、それでもじゅうぶん「週末感」が出たのでやっぱり寄り道は大事と思った次第。

心の磁針
2019.4.7|art & design

あるところで、日本画家の東山魁夷はこう書いている。--「私は北方を指す磁針を、若い時から心の中に持っていた」。

なるほど、じっさい若き日の魁夷が留学のため目指したのはドイツのベルリンだったし、その後50代もなかばにさしかかってから向かったのは、さらにより北方に位置する北欧であった。

とりわけ、北欧への旅は彼に得難い経験をもたらしたようだ。魁夷は静かな興奮とともに、こんなふうに綴っている。「あんなに遠い北の国であるのに、異郷というものではなく、私の心の最も深いところにある親しい風景--あの旅で感じたのは郷愁ではなく、私を郷愁に誘う根元的なものとの巡り合いであった」。

心のコンパスに導かれるようにして北欧を訪れた魁夷は、そこで自分にとって外なる風景ではなく、自分の「心の最も深いところ」に横たわる内的な情景、原風景と出会う。よほど思いがけない体験であったのか、その日々を「名残惜しい旅であった」と回想しつつ彼は文章を結んでいる。

この文章をはじめて読んだとき、ぼくは、ああなるほど、そういうことだったのか、と思わず膝をたたいた。というのも、夏より冬を、あたたかく湿った海風よりは丘を渡る乾いた風を、スパイスの効いた目の醒めるような料理より淡白な、ウシのようにいつまでも食べていられそうな料理を好むぼくもまた、魁夷にならえば、心の中に「北方を指す磁針」を持つ者ということになるからである。わかりみが深い、というやつだ。

いま、初めてフィンランドの地を訪ねた日のことをぼくは思い返している。空港から外に一歩踏み出した瞬間、思わず口をついて出たのは、--「空気が、うめぇええええ」という感想だった。

それは、文字通りヘルシンキの空気が東京のそれと比べて澄んでいるということであると同時に、長い時間とともに心の底に降り積もった「澱(おり)」が静かに吐き出され、浄化されてゆくような清涼感といったものでもあった。たしかに、その旅の途中で出会ったひとや味、風景、それらはどれも自分にとって好ましいものではあったけれど、フィンランドが自分にとって特別な土地として位置づけられることになったのは、なによりあの色も形もない「空気」のおかげといって過言ではない。魁夷のことばを借りれば、ぼくもまた自分の「心の最も深いところにある親しい風景」とそこで出会ったのだ。

その日から、早いものでこの4月でまる20年の月日が流れた。人生はくるくると、いまも落ち着く気配はないけれど、心のコンパスの針だけはあいもかわらずピタリと「北」を指している。

え:東山魁夷「スオミ」昭和38(1963)年

野趣
2019.4.8|finland

野趣。マリメッコの魅力を尋ねられたなら、ぼくはきっと迷わずそう答える。洗練されているとは言い難いが、そのかわり、ぐいぐいと力強く成長をつづける野の草花のような生命の躍動がある。

なかでも、マイヤ・イソラの作品からはよりはっきりとそれが感じられる。マイヤ・イソラは、けしの花でおなじみの「ウニッコ」をはじめ、石をモチーフにした「キヴェット」や波紋を大胆に図案化した「カイヴォ」など、「自然」からインスピレーションを得た作品をたくさん世に送り出した。マリメッコの代表作として知られ、いまも世界中で愛されている図柄には彼女の手から生まれたものも少なくない。

ここに、マイヤ・イソラの制作風景を撮らえた一枚の写真がある。そこには、広げられた大きな紙を前にして床にあぐらをかき、絵筆をふるうマイヤの姿。ズボンの膝は絵の具でちょっと汚れている。そして、この写真を眺めていると、ぼくはなんだかわけもわからず楽しくなってきてしまうのだ。

彼女の描く「花」は、どこかいびつで大雑把にさえ見えるけれど、一枚の紙の上にはおさまりきらない自由奔放なエネルギーで満ち満ちている。そこでは、花はやがて一枚の紙からはみだし、そのままどこかの草原につらなってどこまでもずうっと広がってゆくのではないか、そんな想像力をかきたててくれる。写真のなかのマイヤ・イソラは、まるで紙の上に花のいのちを吹き込む魔法使いのようである。

ややいかめしい文章ながら、以下に引用した古い本からの一節には、マリメッコの登場がいかにファッションの世界を超えて人びとのライフスタイル全般にまで影響を及ぼしたかをうかがい知ることができる。

「同時に、セックス、国際主義、因習の打破などが活発に討論される時代にあって、マリメッコは、芸術性とか派手な彩色、あるいはファッションにまつわる細かな事柄に一切煩わされない服飾哲学の良い例を確立したといえる。この観点から見ると、マリメッコはファッションというよりもむしろ生活様式と受け止めることもできる。」(ウルフ・ホード・アフ・セーゲルスタード著 伊藤弘子訳 『現代フィンランドデザイン』形象社 1968年)

なにものにも媚びず、なにものにも囚われず、単純な線と鮮やかな色によって世界を埋め尽くそうとするマリメッコが、60年代後半、世界中を席捲していたさまざまな、たとえばウーマン・リブのような社会運動と歩調を合わせるようにしてスポットライトを浴びることになったのもけっして偶然のしわざではないだろう。なぜならマリメッコを身につけるということは、すなわち自然を身にまとうということであり、それはまた〝素〟のままに生きるという「人間讃歌」の表明でもあるからである。

タイトルが、決まらない
2019.4.10|finland

犯人は語る。「ムシャクシャしてやった。誰でもよかった」。とすれば、このブログのタイトルはさしずめ「(よい題が思いつかず)ムシャクシャしてやった。何でもよかった」といったところだろうか。

だいたい、気の利いたタイトルはすでにどこかで誰かが使っていそうな気がするし、変に気取ったタイトルは小っ恥ずかしい。ああイヤだ、めんどうくさいなぁと思っていたとき、ふとアタマをよぎったのがこのフレーズだった。

── ヘイ! ヘイッキ(「やあ! ヘイッキさん」)

これは、ぼくが日頃より〝読み物〟として愛好している松村一登著『エクスプレス フィンランド語』(白水社)からの一節である。なぜ、このフレーズが唐突に思い浮かんだのか、それはよくわからない。

とはいえ、ヘイ!はふつうによく使われるあいさつで「モイ!」と同じようなものだし、ヘイッキという名前も、どこか日本語の「平気」みたいな響きがあってかわいい。というわけで、ま、いっか、と付けたのがこの「ヘイヘイッ記」なのである。

それはともかく、なぜこの真面目な語学の〝教科書〟がぼくにとっては〝読み物〟になっているかという話だが、それはなんといってもここに登場する1章1章ごとのスキットがあまりにもシュールでおもしろすぎるからにほかならない。

たとえば、第1章「あなたはだれですか?」はこんなぐあいだ。

 レーナ「徹さん、こんにちは!」
 徹  「こんにちは! あなたはだれですか?」

いきなりじゃないか、徹。レーナもレーナだ。べつだん腹を立てている風でもない。なかなか強靭なハートの持ち主である。

 レーナ「わたしはレーナです。あなたは日本人、ですよね?」

ですよね? じゃねーよ。彼を「徹」と知っていて声をかけたくらいだ、そんなこと知っていたのではないか? こうなると、もはやレーナと徹の会話はさながら〝暴走機関車〟のようで誰にも止められない。

 徹  「はい。そして、あなたはフィンランド人です」

おいおい、なにを確認しあっているんだ、このひとたちは。そればかりか、さらにここで徹は、よりによってとんでもないことを言い出す。

 徹  「あなたは美しい」

はぁ?? こうなったら、こちらも開き直ってこの後どう盛り上がってゆくのかしっかり見届けてやろうではないか。

と思いきや、いきなり徹は「あ、バスが来た! さようなら」と立ち去り、レーナもまた何事もなかったかのように「さようなら」と去ってゆくのであった。

ちょっと待て!……  けっきょく、取り残されたのは読者だけであった。徹はあまりにもサイコパス的だし、わざわざ徹を呼び止めておきながら、そこでレーナが得た情報といえば「やっぱり徹は日本人」というただそれだけである。もう、こんなの読まされたら、はたして次の章にはどんなドラマが用意されているのか気になってしょうがないじゃないか。

ちなみに、「ヘイ!ヘイッキ」というフレーズは第7章「あなたは何も知りません」に登場する。

美晴を探している途中、タピオは偶然ヘイッキと出会う。タピオは、美晴と共通の知り合いであるらしいヘイッキに彼女の居場所について心当たりを尋ねるが、知らないと言われる。そこから会話が進み、最終的にはタピオが「君はなにも僕のことを知らないんだね」とヘイッキから詰められるという、これはこれでなかなかの修羅場のお話である。

というわけで、ブログのタイトルはかなりテキトーだが、松村一登先生の『エクスプレス フィンランド語』が最高の〝読み物〟であるという点については十分すぎるほどよく伝わったと思うので、これでよしとする。

アルヴァ・アアルトのつくりかた
2019.4.17|art & design

なんやかんやがあって、葉山ではなく、けっきょく東京ステーションギャラリーでみることになった「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」展。

じつを言うと、ぼくにはアアルトの建築をこの目でみたくてフィンランドに行ったようなところがある。じっさい最初に訪れたのも、アアルトの美術館があるユヴァスキュラという街だった。ユヴァスキュラは、アアルトが建築家としてのキャリアをスタートさせた場所でもある。いま店に飾っているポスターはそのとき手に入れたものだ。

そんなわけだから、アアルトについて書かれたものもこれまでそれなりに読んではきたつもりなのだが、そのくせ、ぼくの「建築」にかんする知識はほぼゼロに等しい。設計図など眺めてもちんぷんかんぷん。せいぜい、縮小コピーして部屋に飾ったらさぞかしカッコイイだろうなぁなどと思うくらいだ。だから、建築家の展覧会に出かけて大いに刺激を受けたとか、感動したなんてことはまずない。そのかわり、スプーン一杯分くらいの「ああ、そっか」という発見があればもうそれでじゅうぶんに満足だったりする。

さて、そんなぼくにとって、今回の東京ステーションギャラリーでの展示の印象をまとめると、時代とともに変化を遂げるアルヴァ・アアルトの建築スタイル、いってみれば「アルヴァ・アアルトのつくりかた」といったところか。


最初、若き日のアアルトの心をとらえたのはイタリアやギリシャといった南欧の古典主義的なスタイルだ。「ないものねだり」とでも言おうか、北欧のひとはたいがい「南」にあこがれるようだ。たしか、イタリアでテンションが爆上がりしてしまい、同行した家族を放置したまま行方をくらましてしまったのはシベリウスだった。

その後、より都会のトゥルクに出たアアルトは、そこでエリック・ブリュッグマンと出会う。ブリュッグマンは、当時北欧的なデザインの代名詞として「スウェディシュ・グレース」と呼ばれていた繊細かつ洗練された意匠で人気のあったひとだ。

ところで、他人の中の「才能」を真に見抜くことができるのは、じつはまた同じように「才能」のある人だったりする。小澤征爾の盟友で、映画『男はつらいよ』主題歌の作曲者としても知られる山本直純の青春時代の有名なエピソードにこんなのがある。

山本と小澤は、ともに同じ齋藤秀雄の門下生として将来を嘱望されていたが、ある日山本は小澤にこう言う。「お前は世界に出て、日本人によるクラシックを成し遂げろ。俺は日本に残って、お前が帰って来た時に指揮できるよう、クラシックの土壌を整える」。アアルトが、「ブリュッグマンよ、お前はスウェディッシュ・グレースでてっぺんをめざせ。俺は機能主義に行く」と言ったかどうかは定かでないが、1927年のトゥルク新聞社の社屋で、アアルトは突如「機能主義者」に変身する。それは、銀行マンのようなカチッとしたスーツ姿がトレードマークだった友人が、ある日突然B-BOYのようなスタイルで待ち合わせ場所に現れたくらいには衝撃的だった、たぶん。


だがしかし、機能主義の世界にはル・コルビジェという「元祖」がいる。機能主義で食っていこうと思えば、いつかラスボスを倒す覚悟で挑まねばならない。それに、機能主義者を名乗るにしては、アアルトは人間が、そしてなにより自然が好き過ぎた。つまるところ、機能主義者になれなかった男、それがアアルトなのではないか。

けれども、それがかえって「アアルトらしさ」を育んでゆくのだからおもしろい。じっさい、より機能主義の道を極めたところで、あるいはコルビジェの影に隠れてしまったかもしれない。こうしてアアルトは、赤い煉瓦や白い大理石といったおよそ機能主義とはかけはなれた素材を思う存分に使い、ぼってりした要塞のような壁の内側にまるで「巣穴」のような心地よい居場所をつくってゆく。

アアルトのアトリエではたらいた経験をもつ武藤章は、つぎのように言っている。「アアルトの建築はフィンランドの建築である。しかし、アアルトの建築といえばふた言目にいわれるこの言葉を、単に、アアルトの建築を土着的な、郷土民芸的な建築であるというふうに解釈するとすればそれは曲解である。そうではなく、フィンランドなくてアアルトの建築は考えられないし、今日のフィンランドの文化はアアルトを欠いては考えられないという相互依存性こそ、その言葉の持つ真の意味と考えなければならないだろう」(『アルヴァ・アアルト』鹿島出版会、1969年)。


1999年4月のある日、アアルトが設計した「フィンランディア・タロ」でコンサートを聴き終え、なにげなく振り返ってみれば、澄み渡った青い夜空を背景に横たわる純白の建物が目に飛び込んできた。それは、まぎれもなくフィンランドの旗の色であった。

Feel Finland
2019.4.20|finland

フィンランドは、1917年12月6日にロシア帝国からの独立を宣言しました。よって、フィンランドではこの日を「独立記念日」と定め、毎年にぎやかにお祝いします。とはいえ、国家としてちゃんと認めてもらおうと思えば、ただ一方的に独立を宣言しただけでは不十分です。世界の各国がその独立を認め、外交関係が樹立されてはじめて「国家」の仲間入りをはたすことができるのです。

日本が、独立国家としてフィンランドを承認したのは1919年5月23日のことでした。つまり、ことし2019年は日本とフィンランドとのあいだに外交関係が築かれてからちょうど100周年のメモリアルイヤーにあたるのです。そしてその「100周年」をお祝いして、先日4月14日に駐日フィンランド大使館では「Feel Finland」というお祭りが開催され、moiも大使館よりお声かけいただきイベントに参加させていただきました!

じつは、これまでにも北欧関連のイベント等への出店についてお声かけをいただくことは幾度もあったのですが、マンパワーはじめさまざまな物理的条件からかならずしもご要望に応えることができませんでした。が、しかし、フィンランド好きの日本人として、こんなメモリアルイヤーに居合わせ、しかも微力ながら関わることができるという〝幸運〟をさすがに逃すわけにはいかないということで、万難を排して参加させていただくことにした次第です。以下、当日のレポートです。

早朝7時に集合したぼくらは、当日手伝ってくれる原田くんの車でまずは吉祥寺へ、荷物をピックアップして一路フィンランド大使館をめざします。心配していた渋滞に巻き込まれることもなく、予定よりも早い8時半には無事現地に到着することができました。だいたいイベントには予期せぬアクシデントがつきもの、早いに越したことありません。

ところで、駐日フィンランド大使館は港区南麻布、有栖川公園にほどちかい世界各地の大使館が立ち並ぶ閑静なエリアの一角にあります。

初代フィンランド代理公使を務めたグスタフ・ヨン・ラムステットの回想によれば、大使館ははじめ築地の精養軒ホテルにしばらく置かれた後、アルゼンチン大使館が使っていた建物をみつけ腰を落ち着けます。当時を振り返ってラムステットは、アルゼンチンの国旗に合わせて旗台が青と白に塗り分けられていたためそのまま塗り直すことなく使用できたと冗談まじりに書いていますが、生まれたばかりの小国に潤沢な資金があるはずもなく、きっと経済面では苦労が絶えなかったのではないでしょうか。大使館は、その後1980年ごろに南麻布のこの地に移転、現在に至ります。

会場をぐるっと見回すと、大使館の建物を背にステージが設えられ、さらに中庭を囲むようにたくさんのテントが並んでいます。大使館のスタッフも、みな緊張した面持ちで忙しそうに立ち働いています。一方、それぞれのテントでは、出展者たちによる準備が着々と進められているところ。

今回の出展者は、Scandex、Novita、Arco Design、Biotope、Hukka Design、Härkis、Moomin stand、Arnolds、Lilla Dalarna、Kyrö、The Helsinki Distilling、そしてmoi & kielotie (順不同)という顔ぶれでした。

じつは、今回のお話をいただいたとき、せっかくなのでなにかお祭りっぽい仕掛けをしたいと思い、近くにいながらふだんなかなか一緒になる機会の少ない荻窪にあるふたつのフィンランドカフェ、istutさんとkielotieさんに「中央線フィンカフェ3兄弟」として一緒にひとつのテントで出店しませんか? とお誘いしました。istutさんは、あいにくちょうどこの時期買い付けのため日本を留守にしているということで叶いませんでしたが、kielotieさんには快諾していただき、今回は「moi」と「kielotie」との記念すべき(?)コラボ出店となりました。

メニューは、kielotieさんがサーモンスープ、マッカラ (ソーセージ)、フィンランドのビールなど、そしてmoiがコーヒー、シナモンロール、ピパルカック(アアルトの花瓶をかたどったジンジャークッキー)、そしてこの日のために中田ベーカリーさんにつくってもらったディルのパン(Tillileipä)をご用意、ひとつのテントで販売しました(写真はmoiで用意したメニュー)。

また、kielotieの新川さんによるデザインでWネームの記念Tシャツも限定販売しました! 普段着としても着られる白地に青と濃紺に白の2色展開。まだ少し在庫があるので興味のある方はお問い合わせください!!

午前10時30分、いよいよ開門の時間。すでに90人くらいのお客様がお待ちになられているとの直前情報に出展ブースではどよめきが起こります。

今回、この「Feel Finland」に入場できるのは招待客ふくめ1,300人あまり。一般の方々はWEBからの事前登録が必要だったのですが、なんと1,200人の枠が登録開始後半日ほどで満員になってしまうという盛況ぶりでした。そんないわば「勝ち組」のみなさんが、正門からどっと押し寄せてくる様子はなかなかのド迫力。そこから、14時すぎくらいまでのことはほとんど記憶にありません…………

下の写真は、ひたすらコーヒーを淹れつづける岩間。

昼ごろにはシナモンロール、そしてディルのパン、クッキーと順次完売していきます。そしてなんと、15時すぎにはまさかのコーヒーまで完売になってしまいました。購入できなかったお客様、ほんとうにゴメンナサイ!

ちなみに、コーヒーはこの日の「お祭り」に合わせて、北欧風の爽やかで軽い味わいのものをグラウベルコーヒーさんにセレクトしていただきました。豆は「エチオピア シャキッソ ナチュラルプロセス」の中浅煎りで、2017年に六本木ミッドタウンの21_21DESIGN SIGHTで行われたイベント「FIN/100」でトークイベントをさせていただいた折、お客様にご好評いただいたのと同じものです。興味のある方はグラウベルさんにお問い合わせください。

そんな感じで、ぼくが顔をあげる余裕すらなくひたすら下を向いてコーヒーを淹れつづけているあいだにも、どうやらステージではさまざまなパフォーマンスが繰り広げられていたようです。

カンテレ奏者のEva Alkulaと二十五絃箏の中井智弥によるデュオ。日本の伝統楽器とフィンランドの伝統楽器の組み合わせという、この日にふさわしい組み合わせ。その音色は、異文化というよりは「遠くて近いふたつの国」を感じさせるごく自然な響きでした。

他にも、エアギターのパフォマーンスや詩の朗読、モダンダンス、それにイスケルマと呼ばれるフィンランド特有の「タンゴ」の生演奏などが続きます。左は、民族衣裳によるフォークダンスの披露。会場内がのどかな雰囲気に包まれていました。

また、フィンランドで人気のシンガー、アイザック・エリオットのアコースティックミニライブもありました。フィンランドでは「Ikke(イッケ)」という愛称でアイドル的な人気を誇るシンガーです。なんでもSpotifyの再生回数1億回とのこと。自然にカラダが動く気持ちいライブパフォーマンスを繰り広げていました。

ちなみに、事前登録制とはいえ、フィンランド大使館を一般公開するのはこれが初めてとのこと。ぼくの予想では、つぎはきっと100年後だと思います。

ところで、この外交関係樹立100周年にあたってフィンランドとゆかりの深い6人の著名人が「親善大使」に任命されました。「親善大使」は、照明デザイナーの石井幹子、スキージャンプの葛西紀明、女優の小林聡美、ピアニストの舘野泉、アイドルの藤咲彩音、そしてデザイナーの皆川明といった面々(敬略称・順不同)、

会場には、ゲストとして「親善大使」の方もいらっしゃっていました。下は、でんぱ組inc.のピンキーこと藤咲彩音さんのツイッターより。

その他にも、大使館の館内ではヒンメリづくり、フラワーアレンジメントといったワークショップ、サウナ体験、フィンランド人シェフによる創作料理の試食などがおこなわれていたようですが、、、テントに張り付いていたためまったく分かりません!!!

そうして「お祭り」は、来場者全員を巻き込んだフィンランド生まれのフォークダンス「Letkiss(日本では「レッツ・キス」でおなじみのあれ)」で大団円へ。せっかくなのでぼくも参加してみましたが、6時間あまり切れ目なしにコーヒーを淹れつづけた疲れとウン十年ぶりのフォークダンスは想像以上にハードで、華麗に踊るつもりが「加齢」でただドタドタのドタに終始しました。いつかリベンジしたいと思います?!

宴の終わりに………… 風にはためくフィンランド国旗を眺めつつ、さらに100年後、日本とフィンランドとはどんなふうになっているのだろうなどとぼんやり考えていました。ていうか、ほぼ放心状態。

最後に、当日ご来場いただきましたみなさん、ありがとうございました! ゆっくりお話しでもと思ってましたが、とてもそんな余裕もなく失礼しました。

そして今回コラボレーションしていただいた「kielotie」の新川ご夫妻、そしてスタッフのみなさんもおつかれさまでした。同じ釜のメシならぬ、同じテントでメシを売った者同士これからも仲良くしてください。

また、朝早くからパンを焼いてくださった中田ベーカリーさん、WILLcafeの来栖さん、グラウベルコーヒーの狩野さん、大変お世話になりました。当日に至るまで、煩雑なやりとりをしていただいたフィンランド大使館商務部スタッフのみなさまもありがとうございました。

さらに、ヘルプ要員としてかけつけてくれた元スタッフ、離れたキッチンまで7リットルの水をもらいに7、8往復するかたわら、ここに掲載したほとんどの写真も撮影してくれた原田くん、大活躍ご苦労さまでした!!! その後、目を合わせてくれないような気がするのはこちらの思い過ごしだとよいのですが…………。

いずれにせよ、これからも日本とフィンランドとをつなぐちいさな「絆」をそこかしこに、いろいろなかたちでつくっていければと思った1日でした。

フィンランドのクラフトチョコレート
2019.5.21|finland

わりと最近まで、フィンランドでチョコレートといえば「ゲイシャ」だった。誰が決めたわけではないが、そう相場が決まっていた。異論は認めない。

名前はヘンテコだが、「ゲイシャ」の味はなかなかのものである。滑らかなミルクチョコレートにクリスプ状のヘーゼルナッツの相性が絶妙だ。ちなみに、名前の由来はもちろん「芸者」からきている。このチョコレートが登場した60年代には、日本というとフィンランド人の頭の中ではまだフジヤマとかゲイシャとかサムライとかが闊歩していたのである。まあ、フジヤマは闊歩しないけれど。

それはともかく、フィンランドもここ数年はどうやらクラフト・チョコレート流行りのようだ。

たとえば、クルタスクラー(KULTASUKLAA)やダンメンベルグ(DAMMENBERG)は日本でもときどき折につけ目にするようになった。先日、帰国したばかりのスタッフからおみやげに貰ったのは、ユロヤルヴィというタンペレ郊外に位置するのどかな田園地帯で作られている「スクラーティラ(SUKLAATILA)」というブランドのチョコレートである。

ウェブサイトによると、スクラーティラのチョコレートはすべて農場の古い納屋を改装した工房で手作りされている。なんでも納屋にはヴィルヨという名前のトントゥ(精霊)まで棲み着いていて、そのヴィルヨが作ったタール風味の「サウナチョコレート」なんていう商品まである。これはもう、ほぼほぼ『遠野物語』の世界じゃないか。こういうの、キライじゃない。

今回ぼくが食べたのは、ミルクチョコレートにすりつぶした(?)トゥルニが入っている「Tyrnisuklaa(トゥルニチョコ)」という商品。で、肝心のトゥルニとはなにか? それはシーベリーという名前でも知られるオレンジ色をしたグミ科の植物で、すごく雑な言い方で恐縮だが、ひと粒にいろいろなビタミンがどっさどさ入っているため「スーパーフード」としても注目を集める食品である。味は、まあ、なんというか、とにかく地獄のように酸っぱい。

じつは、このトゥルニにかんしてぼくにはトラウマがある。以前、トゥルニ果汁100%のジュースをいただく機会があったのだが、ほんらい水で数倍に薄めて飲むところ、そうとは知らず原液のままゴクリと飲んでしまったのである。あれは凄まじかった。ホゲッ、ゲボゲボゲボッとひたすら涙を流しつつ咳き込んでいた。それ以降、じぶんから積極的に口にすることは避け、いつか誰かに「お仕置き」するその日までそっと心の内にしまってきた。なので、おみやげに貰ったチョコレートの箱に、あのオレンジ色の憎い奴の姿を認めたときには当然のことながら固まった。

が、思い切って食べてみたところ、まろやかなミルクチョコレートとトゥルニ独特の酸味がとても良い感じなのだった。そうだそうだ、考えてみたら、チョコレートとサワーチェリーとか、チョコレートとフランボワーズとか、あるいはまたチョコレートとクランベリーとか、そういう甘さ+酸っぱさの組み合わせはむしろ好物だった。気に入りました。

もしかしたら、これを読んでフィンランドのクラフト・チョコレートに興味を持ったひともいるかもしれない。とはいえ、この手のチョコレートは家庭内手工業的に作られているものが大半で販売チャネルはかなり限られている上、値段もそれなりにする。当然、日本に輸入すれば必然的にお高くなってしまう。したがって、やはりじっさいにフィンランドに行ったときにまとめて買うとか、誰かに買ってきてもらうのがおすすめである。聞くところによると、こういったクラフト・チョコレートを取り扱うセレクトショップのようなお店もあるらしいのでこれを機にちょこっと調べてみようと思っている(駄洒落です。念のため)。

本日発売!日本・フィンランド外交関係樹立100年記念切手
2019.5.24|finland

仕事で日頃からフィンランドを身近に感じていることもあり、時折だれかに手紙を送るときにはできるだけ北欧を感じさせるようなポストカードや切手を使うようにしています。たとえば、切手なら「ムーミン」の絵柄のものを選ぶとか。

ところで、今年2019年の「日本・フィンランド外交関係樹立100年」には日本とフィンランドでおたがいの文化を知り、また理解を深めるためのさまざまなイベントが各地で行われています。4月には駐日フィンランド大使館で「Feel Finland」と題された一般開放のイベントも行われ、フィンランドカフェとしてmoiも出店させていただきました

そしてそうしたなか、本日5月24日「日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念切手」が発売となりました 。当然、さっそく郵便局で買ってきました!

今回発売になったのは82円切手で、価格は1シート820円となっています。シート全体を一枚の絵に見立てたような図案は、森と湖を中心に、サウナやサンタクロースをはじめ、ブルーベリーやサーモンといった北欧ならではのごちそうを囲んで楽しい時間を過ごす人びとの姿などがペン画で描かれ、そこに淡い色彩が施されています。この全体的に優しい印象こそ、日本人にとってのフィンランドのパブリックイメージといえるかもしれません。

ところで、このイラストを描いたのは日本郵便株式会社に所属する「切手デザイナー」の中丸ひとみさんという方。じつは、2015年と2018年に発売され人気となったムーミン切手で図案を描き下ろしされたのもこの中丸さんだそうです。ちょうど手元にある冊子「レターパーク」(発行:日本郵便株式会社)にこの切手にかんする中丸さんのインタビューが掲載されていたので、以下抜粋して紹介してみたいと思います。

まず、「日本・フィンランド外交関係樹立100年」を記念したこの切手は、日本がフィンランドから影響を受けたモノやコトをコンセプトに、フィンランド大使館の要望なども採り入れつつ描かれたとのこと。そしてイメージづくりにあたっては、実際にフィンランドに行く時間がなかったため、大使館の推薦により埼玉県飯能市にある「メッツァビレッジ」をたずねて構想を練るという苦労もされたそうです。せっかくなので隅々まで目を皿のようにして見てみましたが、特に「埼玉県」を思わせるところはありませんでした。当然か。

また、ペン画という選択にも中丸さんなりのこだわりがあったようです。ふつう「外交関係樹立の記念切手」となるとどうしてもお堅いイメージになってしまいがちですが、北欧ファンの女の子などにも雑貨感覚で気軽に楽しんでもらえるものにしたいと、あえてペンを使って一発で描き下ろすという手法をとったのだとか。たしかに、いままでの切手にはなかったテイストになっているように思います。

ちなみに、この外交関係樹立100年の記念切手はフィンランド側でも「フィンランドが日本から影響を受けたモノやコト」をコンセプトに制作、発売されていますが、そこには寿司を食べる男の子とカラオケを楽しむ女の子の姿がマンガ風のタッチで描かれています。前回の記事では、1960年代にはフィンランド人にとっての日本の印象は「フジヤマ」や「ゲイシャ」だったのだろうと書きましたが、それから60年、いまや日本のイメージは「寿司」「カラオケ」そして「マンガ」ということのようですね。

フィンランドで発行されている「日本・フィンランド外交関係樹立100年」記念切手のデザイン

フィンランド好きにとっては、よ〜く目をこらすと森で摘んだブルーベリーが下の方ではムスティッカピーラッカ(ブルーベリーパイ)になっていたり、サーミの民族衣裳に身を包んだひとや水辺でマッカラ(ソーセージ)を焼くひとがいたりと、いかにもフィンランド的な光景が繰り広げられているのがわかります。自分なりのストーリーを重ねて楽しむのも、また一興かもしれません。

なお、人気の記念切手はすぐに売り切れてしまうこともあるので、気になった方は早めに郵便局や日本郵便の「切手・はがきストア」で購入されるのがよさそうです。

日本発アメリカ経由フィンランド行き
2019.5.26|art & design

◎ チャールズ&レイ・イームズ「LCW」1946年

このあいだ、東陽町にあるギャラリーA4(エークワッド)で「イームズハウス:より良い暮らしを実現するデザイン」と題された展示をみたのだが、展示された作品のなかにチャールズ・イームズとその妻レイがつくったプライウッドの椅子、通称「LCW」をみつけ、懐かしい友人と再会したような気分になった。

ちょっと調べると、チャールズ・イームズはとてもフィンランドにゆかりのある人だということが分かる。たとえば、彼は特別研究員としてミシガン州にあるクランブルック美術アカデミーに在籍していたことがあるが、このとき校長を務めていたのはフィンランドの建築家エリエル・サーリネンであった。それどころか、雑誌に掲載されたチャールズの作品に目をとめたサーリネンみずからが呼び寄せたのだった。

そのエリエル・サーリネンといえば、1910年代にフィンランドがロシアから独立する前後に活躍した建築家である。おそらくフィンランドに行ったことがあるひとならば、サーリネンが設計した4体のロン毛の巨人が光る球体を抱えて立っている「ヘルシンキ中央駅」の建物に一度は足を運んでいるにちがいない。活躍した時期が時期だけに、フィンランドに残された彼の建物は「ナショナル・ロマンティシズム」と称される民族主義的な、ちょっと大仰な作風のものが多い。そのためなんとなく「昔のひと」といったイメージがあったのだが、新天地アメリカに渡ったサーリネンは、こんなふうに新しい才能をいち早く見い出す名伯楽として活躍していたのだ。ちょっと意外な、しかしうれしい発見。

さらに、イームズはそのクランブルック時代にサーリネンの息子エーロと出会い、意気投合する。1940年にはMOMA主催の「オーガニック家具デザイン」コンペに共同で出品、6部門中2部門でグランプリを獲得している。エーロは、その後デザイナーとしては「チューリップチェア」や「ウームチェア」など、また建築家としては有名なジョン・F・ケネディ空港のTWAターミナルを設計するなどしてイームズとともにアメリカの「ミッドセンチュリーモダン」の黄金期を築いてゆく。

もうひとり、イームズの人生に影響をあたえたフィンランド人を挙げるとすれば、それはアルヴァ・アアルトである。 

1920年代、アアルトは家具職人のオット・コルホネンとともに新たな「曲げ木」の技術開発に取り組む。「L-レッグ」と名づけられるその積層合板を用いて木を曲げる技術は、椅子の脚のみならずテーブルや棚にまで応用されアールトの家具のトレードマークになるが、それ以上にフィンランドではもっとも身近な自然素材でありながらそれまで家具には不向きとされてきた白樺の利用価値を高め、コストダウンを図ることに成功したのは画期的な出来事といえる。とりわけ、アアルトがみずから設計したサナトリウムのためにデザインした安楽椅子「パイミオチェア」は、この曲げ木の技術をふんだんに使用したユニークな作品となっている。

はたしてイームズはアアルトに会ったのだろうか? すくなくとも、アアルトが「フィンランド館」のデザインを手がけた1939年のニューヨーク万博には足を運んだはずである。とにもかくにも、この文章のはじめに書いたイームズの「LCW」は、こうしたアアルト家具の延長線上に生まれたと言われている。

◎ アルヴァ・アアルト「パイミオチェア」1931-32年

二十数年前、最初このイームズの椅子と出会ったぼくは、まずいわゆる「木の椅子」とは異なるモダンなその造形に惹かれ、次いでそれが「木を曲げる」ことでわずか5つのパーツからできていると知りビックリしてしまった。そしてそこからアアルトの存在を知り、関心は俄然「北」へと移ったのだった。つまり、日本発アメリカ経由フィンランド行き。

好きなものが好きなものと、さらにまた別の好きなものとつながって、何もなかったところに思いがけない像を結ぶ。ちょっと大げさだが、生きていて楽しいと感じるのはこうした「思考の星座」が少しずつ自分のなかに増えてゆくときだと思うのだ。

あなたは夏至祭には何をしますか?
2019.5.31|finland

北欧大好きサル美&アキ男のふたりが、街でみかけたちょっと気になる北欧を紹介するこのコーナー。今回は、日本でも体験できる夏至祭のイベントを紹介します。

アキ男:サル美ちゃん!

サル美:アキ男---っ!★$:#&/@〒-%$.?..*?@♨︎-⌘

アキ男:サ、サル美ちゃん?もしかして酔ってる?

サル美:ううん。酔っぱらう練習。ユハンヌス、楽しみだなぁ〜

アキ男:そっか、もうじきユハンヌス、つまり夏至祭だね。夏の到来をみんなでお祝いする、いかにも冬の長い北欧らしいお祭りだよね。たしか今年は6月22日の土曜日、ちなみにこの日は首都のヘルシンキでも昼の時間が19時間近くあるらしいよ。

サル美:白夜って、なんか響きからして素敵じゃない?しかも、ユハンヌスの前夜には湖のほとりでコッコという焚き火をして夜更けまで過ごすんだって。ロマンティックが止まらないよね〜

アキ男:サル美ちゃん、歳いくつだっけ??

サル美:それにね、日本でもフィンランドでも祭にゃ酒がつきもんでごわす。お友達の話では、毎年酔っぱらいが湖で溺れ死んだりするんですって。私も酔うと道頓堀にダイブしたくなっちゃう方だから、気持ち分かるな〜。高揚感、みたいな?

アキ男:分かるんだ……。てか、サル美ちゃんパリピか。

そんなサル美ちゃんにちょうどおすすめの夏至祭のイベントが、江東区立若洲公園であるよ。その名も「JUOPPOLALLI〜酔っ払いの夏至祭」っていうんだ。フィンランド大好きな楽しい人たちが集まって、焚き火!BBQ!フィンランドのお酒!で陽気に盛り上がるんだって。参加すればフィンランド好きの輪が一気に広がりそうだね。要事前申込みなのでウェブサイトをまずは確認すべし。

サル美:★$:#&/@〒-%$.?..*?@♨︎-⌘(行く、それ絶対行く)
ところでアキ男さん、Mitä sinä teet Juhannuksena?(アナタハ夏至祭ニハ何ヲシマスカ?)

アキ男:サル美ちゃん、うかつにフィンランド語なんて使って間違ってたら恥をかくよ。噂によると、このブログ、フィンランドに住んでいる人にも結構読まれているらしいぞ。うーん、そうだな、東京はこの時期梅雨で鬱陶しいから、せめて爽やかな高原で北欧の夏の空気を感じたりしたいかな。なんでも、軽井沢の「ルオムの森」というところでも夏至祭のイベントがあるらしいんだよ。

サル美:ル……?オウム(王蟲)?

アキ男:サル美ちゃん、それは風の谷のナウシ……

サル美:バルス!!

アキ男:わっ!ビックリするじゃないか!ルオムというのはフィンランド語で「オーガニック」っていう意味なんだけど、そこから転じてそういった自然に寄り添ったライフスタイル全般を指して言われたりもするらしいよ。

サル美:へぇ〜メモメモ。で、その「ルオムの森」ではどんな夏至祭が開かれるのかしら?

アキ男:「緑気持ちいい森の中、不思議な縁(えん)で届いたフィンランドの糸車を使って、大正時代に建てられた洋館の中、糸つむぎのワークショップや北欧ラップランドのフォトスライドショーなど、ランチビュッフェを食べながらお楽しみいただけます」ます!

サル美:それ、前回私が使った手じゃない。ま、いいか。先着20名ということは早めにウェブサイトから申し込んだ方がよさそうね。森の中の洋館で糸をつむぐなんて、前世は北欧の少女と言われた私にぴったり。

アキ男:それ、誰に言われたの?

サル美:北千住の母。すごいんだよ、前なんて昼ごはんにペヤング食べたこと当てられて驚いちゃった。

アキ男:それ、言いにくいんだけど、もしかして歯に青のりが付いてたんじゃない?

サル美:★$:#&/@〒-%$.?..*?@♨︎-⌘

!サル美からひとこと!

日本にいると太陽のありがたさとかつい忘れてしまいがちだけれど、一年に一度夏至の日くらいは太陽の恵みに感謝を捧げたいものですよね。あと、飲酒は他人に迷惑をかけない程度にネ!

!アキ男からひとこと!

前回の記事がかなりアレだったので、まさか2回連続で登場させられるとは思いませんでした。たぶん、過去の記事の中でいちばんPVがよかったので管理人が気をよくしたんだと思いますが「二匹目のドジョウ」はいないと言いたいですね。あと、嫌がられるかもしれませんが、これ、「エクスプレスフィンランド語」の松村一登先生へのオマージュです。

庄野雄治『たぶん彼女は豆を挽く』
2019.6.10|info

7/7発売に先がけて店頭にて発売中!

徳島アアルトコーヒーの店主・庄野雄治さんが、日々のコーヒーを楽しむコツを綴ったエッセイ『たぶん彼女は豆を挽く』(ミルブックス)。 単行本は長らく絶版となっていましたが、このたび増補版として待望の文庫化となりました。なお、文庫化にあたりmoiの岩間が解説を書き下ろさせていただいております。 コーヒーを淹れたい、また誰かにコーヒーを淹れてあげたい、そんなすべての人の手元に置いていただきたい一冊です。店頭にてぜひご覧ください。600円+税

たぶん彼女は豆を挽く(新装版): mille books

バター目玉パン
2019.6.3|korvapuusti

日曜日、道行く人影もまばらになった夕刻遅く、ふーっとひと息ついていたところに外出帰りのスタッフが差し入れを届けに立ち寄ってくれた。

フィンランドのレシピのパン。ヴォイシルマプッラ(Voisilmäpulla)という。ヴォイはフィンランド語で「バター」を、そしてシルマは「目」を意味する、つまり直訳すると「バター目玉パン」だ。まあるいパンの真ん中で、甘い澄ましバターの「目玉」がギョロっと睨みをきかせている。この「目玉」には、さらにオレンジのジャムがソロっとのっているのだが、これは拵えたフィンランドの家庭料理研究家西尾ひろ子さんのオリジナル。

ちなみにプッラとは、フィンランドではいわゆる「菓子パン」全般をさして言われる。そして、プッラの生地には一緒にカルダモンというスパイスが練りこまれているのがふつうだ。つまり、ヴォイシルマプッラとは、カルダモンの爽やかな香りと生地に染み込んだバターの風味を楽しむだけのシンプルなおやつパンといえる。デンマークのペストリーのように、手の込んだケーキのような菓子パンはもちろん好きだが、こうしたフィンランドの家庭の食卓に並ぶ素朴な菓子パンも悪くない。なんといってもホッとするのだ。腕ききの職人がつくり出すおいしさと同じように、近しいひとの手から生み出されるおいしさというのも、またあるのだろう。

ところで、フィンランドの菓子パンには、たとえばラスキアイスプッラとかヨウルプッラといったように復活祭やクリスマスなど年中行事にちなんだネーミングのものが少なくないが、なかには「バター目玉パン」のように見た目に由来する名前のパンもあり、とりわけユニークなものといえばなんといってもコルヴァプースティだろう。

コルヴァプースティはいわゆる「シナモンロール」のことなのだが、その名前を直訳すると「ビンタされた耳」になる。実物を見れば一目瞭然、それはその独特の巻き方による形状に由来する。たしかに、それは耳が潰れたように見えなくもない。むかし知り合いのフィンランド人から「コルヴァプースティの意味知ってる?」と尋ねられ、「知らない」と答えたところビンタする真似をされたことがあったのだが、いまにして思えば、そこですかさず「手袋を反対から言ってみて」と日本語で応酬すべきであった。小学生レベル。

そういえば、たしか家にあった『ムーミンママのお料理の本』のシナモンロールの項目には、特に説明もなく、ただ「往復ビンタ」と書かれていたような記憶がある。「ビンタされた耳」が、どういうわけか「往復ビンタ」へとグレード・アップしている。ムーミンママ、恐ろしさしかない。

みんなHÄN〜声に出して読みたいフィンランド語
2019.6.5|finland

あなたはHän、わたしもHän、みんなHän

こんなキャンペーンが、いまフィンランドから発信されています。すでにご覧になられたでしょうか? このキャンペーンの発信元は、フィンランド外務省によって創設されプロモーション協議会が運営する団体「thisisFINLAND」。

そこでは、こんなことが謳われています。

"Hänとは、機会均等を体現するフィンランド語ならではの代名詞です。それは、人びとがそれぞれの背景や性別、また外見によって規定されることのないよりよい世界のシンボルといえます。"

じつは、フィンランド語には三人称の代名詞に「彼」「彼女」といった区別はなく、すべて「Hän」という一語によって表されます。ここに言われるのは、つまりそういうことです。日本人の場合、まず英語から外国語の学習を始めるため、フィンランド語を学びはじめた当初はそのことをを知ると戸惑います。 え? それって不便じゃない?

でも、どうでしょう。日本語もまた、日常的にはさほど「彼」「彼女」といった表現を使わずコミュニュケーションを行い、またそれで十分事足りているとは思いませんか?

たとえば、「どうもあいつの言うことは信用ならない」とか(例が悪い)、「いやあ、朝まで友達と飲んでてさ」とか。もしここで、「は?!友達?!それ男?それとも女?」となると、これはなんというか、状況的にかなりきな臭くなりますが(例がひどい)。

しかし、ちょっとしたコミュニュケーションの場面でも、えっと、ここで区別する必要ってある? とすこし立ち止まって考えてみるだけでも「平等」な社会への最初の一歩にはなりうるのではないでしょうか? このフィンランド発のキャンペーンは、ふとそんなことに気づかせてくれます。

ちなみに、ここで使われている画像には「EST.1543」という文字が入れられていますが、それはアグリコラの著書『ABC Kirja』が発刊された年を意味します。

ミカエル・アグリコラは、16世紀のフィンランドの当時の首都トゥルクに存在したルター派の牧師です。

聖書をフィンランドの人たちのために翻訳しようと考えたアグリコラでしたが、当時のフィンランドではまだ書き言葉すら統一されていないことに気づきます。そこで、まずフィンランド語の書き言葉を整理し一冊の本にまとめることにしたのです。それが、フィンランドに現存するフィンランド語による最古の印刷物といわれる『ABC Kirja』です。つまり、この『ABC Kirja』を通して、「Hän」の思想がはじめて文字としてこの世界に姿を現した1543年をもってして、そのルーツとしているわけですね。

偉大なアグリコラの姿は、いまなお銅像としてトゥルクの大聖堂のかたわらに立っているので、もし観光で訪れる機会があればぜひチェックしてみて下さい。

This is Hän from Miltton on Vimeo.

夏至祭で盛り上がるその前に?!
2019.6.20|finland

フィンランドは今週末いよいよユハンヌス、夏至祭を迎えます。降り注ぐ太陽の下、家族や気のおけない仲間たちとともに夏の訪れを祝う、いかにも北欧らしいイベントです。

ちなみに、ユハンヌス当日のヘルシンキのお天気は晴れ時々くもり、最高気温18度との予想。やや肌寒い気がしなくもないですが、冬の長いフィンランドの人びとにとっては、なにより日照時間の長さをもって夏の到来を実感するのでしょう。ためしに調べてみると、6月22日のヘルシンキの日照時間は約19時間でした。な、長い。

そんなユハンヌスの過ごし方として欠かせないのが「バーベキュー」。というよりも、「グリル料理」と呼んだほうがなんとなくフィンランドっぽい。

ユハンヌスの食卓には、グリル料理の定番マッカラ(ソーセージ)のほか、ニシンの酢漬けにジャガイモ、魚の燻製、アイスクリームやイチゴが並びます。そして、アルコールは言うに及ばずふんだんに。

さて、そんななかフィンランドの新聞「ヘルシンギン・サノマット」にこんな見出しを発見しました。

「ユハンヌスの食卓 ヴィーガンの支出は肉食の2倍以上」

先だってフィンランドから帰ってきたスタッフからもヴィーガンレストランが増えていたという報告を聞いたばかりなのですが、まさにそんな状況を裏付けるような記事です。

読んでみると、ユハンヌスの「グリル料理」を環境や健康にも留意したヴィーガン対応の食材でアレンジしてみたところ、4人分の材料費が肉食では33.22ユーロ(4,019円)だったのに対し、ヴィーガン用は76.15ユーロ(9,214円)かかったとのこと。

環境への配慮や健康増進のためとはいえ、これだけ出費に開きがあると現実的な選択肢になりえないとの指摘。産地や飼育、栽培方法にこだわればこだわるほどお金がかかるというのは日本でも同じですね。

大手スーパーでは、ユハンヌスにかぎらず、グリル料理の需要が高まる夏の期間は加工した肉類、野菜、それにビールの売り上げが増加するようで、特にソーセージの売り上げは通常の3倍にもなるのだそうです。こうした食材を環境や健康という視点から見直すこともひとつの課題となります。

肉よりも魚を選ぶとか、魚でも輸入のサーモンではなく、フィンランド国内で獲れる淡水魚やザリガニ、漁獲量が安定しているニシンを積極的に選ぶといった工夫だけでもだいぶ局面は変わるのではないかというアドバイスが専門家によってなされています。また、フードロスという視点から、食べ切ることのできる量だけ買うという意識も必要との指摘が。日本では、こうした問題は年末年始に多く起こりそうですね。

記事は、ついついテンションが上がってしまうユハンヌスを前にひとこと釘を刺す、そんな意図が感じられました。ぼくも真夏の暴飲暴食には気をつけたいと思います(たぶん梅雨が明ける頃には忘れている)。

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moiでは、6月21日、22日の二日間フィンランドのキャンドルホルダーにあかりを灯してユハンヌスをお祝いしたいと思います。

ラヒホイタヤ
2019.6.23|finland

これは呪文ですか? ラヒホイタヤという文字を、ドラクエ世代のぼくが数年前ネットで目にしたときの感想である。

その後、それがどうやら福祉にまつわるフィンランドならではの資格であり、しかも多岐にわたるケアの専門領域を横断するような、ある意味「スーパーな」資格であるということを知るにいたり、なるほどかなり攻撃力ありそうという感想に変わったものの(呪文を離れろ)、しかしそれが実際どのようにフィンランドで運用されているのかについてはいまひとつわからないままだった。

そんな折、この「ラヒホイヤタ」の資格を実際に取得し、現地で活躍されているテーリカンガス里佳さんによる講演会がつい最近東京で開かれ、スタッフのハラダ君が参加してきたという。そこで、これ幸いとばかりここでレポートしてもらうことにした。

以下は、2019年6月20日に芝の建築会館でおこなわれた「フィンランドの社会保障制度と在宅高齢者介護の実態報告」と題された講演会から、ラヒホイタヤに関して知ったこと、感じたことを原田智英君にまとめてもらったものである。

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北欧フィンランドには雄大な自然や、個性的なアート、洗練されたデザインといったものだけでなく福祉先進国としての顔があります。そんなフィンランドにラヒホイタヤ(Lähihoitaja)という資格があるのをご存知でしょうか?

ラヒホイタヤは保育士や准看護師、介護士、歯科助手、福祉士などを統合した国家資格で、乳幼児から高齢者まで人生におけるあらゆる場面をケアすることができます。lähiは「そばにある」、hoitajaは「ケアする人」、つまり「身近でケアする人」の意味です。

今回お話を聞かせていただいたテーリカンガス里佳さん(在フィンランド21年 訪問介護歴4年)は、訪問看護・介護を専門とするラヒホイタヤとして1日に10~12人の高齢者を担当しています。

モバイル端末に訪問先、時間、介護内容、注意点などの細かい指示があり、業務が終わるとそのモバイルでレポートを書いて報告をします。

テーリカンガスさんが仕事をしているポルヴォーではデータベース化もされており、医師やその他の施設の人もそのレポートを見ることができるそうです。このような医師や介護士などの連携やサポートの充実は「介護は行政の仕事である」という考えが徹底されているからでしょう。

ラヒホイタヤはひとつの資格でいろいろな分野にたずさわることができるため、転職なども比較的スムーズで人材確保がしやすいというメリットがあるそうです(日本でも福祉人材の確保を目的として2015年に導入の検討がされましたが、関係団体の反対により見送られました。)

一番印象に残ったのはやはりラヒホイタヤを含め現在の社会保障制度を育んできたフィンランド人の精神・資質についてです。

フィンランドの厳しい自然環境のなかでは人々は助け合わなければ生きていけません。シャイで社交的ではないと言われますが、困っている人を無視したり見捨てたりすることはありません。フィンランドの社会では、ひとりひとりがユニークな(=比類のない)存在であり、何かできるかできないかに関わらず、その存在が認められています。そして、そこでは人間としての最低限の生活を侵害されることはないのだそうです。

これらのことはそのままムーミンの世界観を思い起こさせないでしょうか? モランもニョロニョロもヘムレンさんもいる世界。おそらく人生の豊かさとは、そういった他者を認めて支え合うような多様性のある世界にこそあるのかもしれません。

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以上、スタッフの原田智英君による報告でした。じつは、当日のかなり詳細な書き起こしを見せてもらうことで、ぼくもこのラヒホイタヤについてより具体的な知識を得ることができたのですが、スマホによるデータ管理などテクノロジーと人間の力とをうまく組み合わせることにより効率良い在宅介護のシステムを構築しているように感じられました。

また、いちど資格を取得してしまえば外国人でも第一線で活躍できるという点で、移住者やセカンドキャリアのひとの雇用創出にもつながっているようにも思います。社会保障の手厚い国家では、就業可能なすべての人は仕事をし税金を納めるというのが大原則ですから、高齢化社会と向き合い支えるためにすべてのフィンランドに暮らす人びとの力を結集しようという強固な意志を感じました。

2019年12月ヘルシンキのカフェ・アアルトが京都にやってくる!
2019.6.27|finland

ヘルシンキのカフェ・アアルト(cafe aalto)が、2019年12月京都にできます。ヘルシンキに次ぐ2号店が海外、それも日本というのにはびっくりしました。場所については、いまのところ京都の河原町エリアという以外は明らかになっていません。

カフェ・アアルトといえば、フィンランドの首都ヘルシンキを訪れる人ならば一度は足を運ぶといってよいほど有名なスポットです。フィンランド随一の大型書店「アカデミア書店」の2階にあるこのカフェ・アアルトは、ヘルシンキの中心部という絶好のロケーションにくわえて、フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルトが建物全体の設計を手がけているということもあり、世界各地から北欧のデザインや建築に関心のある人びとが数多くやってきます。もちろん、観光客のみならず、本屋に買い物にきた人や近隣ではたらく人びとの憩いの場としても人気です。

公式サイトによれば、カフェ・アアルトのオープンは1986年11月。かつて、やはりアアルトが設計した「ラウタ・タロ(鉄の家)」と呼ばれるビルディングにあったカフェで使われていた調度品を引き受け、またアアルトの未亡人であるエリッサから「アアルト」の名前を使う許可を得た上で出発したという、まさにアアルト財団「公認」と言ってもよい由緒正しいカフェなのです。じつは、恥ずかしながら、このカフェ・アアルトの店内で使われている黒いレザーを張った真鍮のフレームの椅子がアアルト特製だとはいままで知りませんでした。この椅子、現在は製造されていないはずなので、京都のお店でははたしてどんな椅子が使われるのかそのあたりも楽しみです。

ところでこのカフェ・アアルトですが、日本の北欧好きの間ではまた別の理由からよく知られています。それは、この場所が2006年に公開され人気となった映画『かもめ食堂』のロケに使われているからです。小林聡美演じる主人公と片桐はいりが「ガッチャマン」の主題歌を歌うシーンといえば、あるいはピンとくる人もいるかもしれません。カフェ・アアルトは、日本人観光客にとって、いまや『かもめ食堂』聖地巡礼ツアー(?)の超重要スポットとなっているのです。

さて、今回の「カフェ・アアルト京都店」にかんして言えば、内装はもちろん、そのメニューも気になるところです。

現時点でわかっているところでは、サーモンスープやシナモンロール、それに本国でも人気のブルーベリーパイなどを食べることができるようです。その他、オーナーのマルコ・サラチーノ氏が厳選したコーヒーやアルコール類も提供予定。ちなみに、サラチーノ氏は先代のマイヤ=リーサ・ショーベリ氏の息子で、お父さんはイタリア人なのだとか。

今回いろいろ調べていて知ったのですが、じつはこのカフェ・アアルトにはかつて「幻の東京出店計画」があったようなのです。それは2012年頃のこと、東京駅の八重洲ブックセンター内に出店すべく準備を進めていたものの、その後なにがしかの事情により立ち消えになってしまったようです。その意味で、今回の日本進出はオーナーのサラチーノ氏にとっても感慨深いものがあるのではないでしょうか。

この「カフェ・アアルト京都店」は、愛媛県・道後温泉でホテルなどを経営する茶玻瑠グループ系列で、東京・八丁堀で女性限定カプセルホテル「MAYU TOKYO WOMAN」を経営するチャハル・ホテルズ&リゾーツが運営します。

一瞬、不思議な気もしましたが、愛媛県といえば長年フィンランドに暮らしマリメッコやアラビアの芸術部門で活動する石本藤雄氏の郷里。そして、ホテルを会場に個展を行ったり、ホテルのワンフロアまるごと石本氏がプロデュースするなど、以前よりこの茶玻瑠グループと石本氏とのつながりは深く、どうやら今回の出店もそのようなつながりの中から生まれたものといえそうです。実際、いま表参道のスパイラルで開催されている「石本藤雄展 マリメッコの花から陶の実へ」に合わせて館内のカフェではカフェ・アアルトのメニューが期間限定で提供されていますが、それもこうした背景あってのことと思われます。そう考えれば、この展覧会の巡回先が東京のほか愛媛と京都なのも納得のゆくところです。

これまで、北欧に関連するお店やイベントはどうしても東京が中心になりがちでしたが、今回まずこのように関西エリアに出店されるのは関西の北欧好きの方にとってはうれしいことでしょうし、東京の北欧好きにとっても京都に行く口実ができたという点で悪くはないように思います。とりあえず続報を楽しみに待ちたいところです。

「かもめ食堂」は何度観てもいいですよね。〝見る夏休み〟って感じ。

男のけじめ
2019.7.2|finland

探しているものがあまりにピンポイントすぎるため、古本まつりにはよく出かけるが掘り出し物に遭遇することはめったにない。そういうわけだから、今回もたいした期待はせず、とりあえず目についた本を棚から引っ張り出したり、指を黒くしながら古い絵はがきの束を箱からつかみ出したりしていたのだった。

そうしているうち、本棚の下に古い絵はがきが無造作に投げ込まれた箱をみつけた。探しもののひとつはとある人物のブロマイドなのだが、とりあえず確認しないわけにはいかない。パッと見たところ数百枚はありそうだ。時代もカテゴリーもまったく手つかず、なんの分類もされていない様子である。こういうときは、とりあえず何枚かをつまみ上げて、おおよその見当をつける。時は金なり。どう見ても探しものが混じっていなさそうならば全部を見るような手間はかけない。ためしに、一枚引き抜いてみた。なんだ外国の風景か。戻そうと思って手が止まった。

ん?これは、ええと、もしかして?ヘルシンキじゃん!

まさしくそれは、フィンランドの首都ヘルシンキの写真に彩色を施した、おそらく観光用につくられたとおぼしき絵はがきだった。

絵はがきはやや上から見下ろす構図で、ヘルシンキの中心地に建つマンネルヘイム将軍の銅像越しに荘重な構えの国会議事堂が見える。撮影ポイントは中央郵便局の上階だろうか。

ちなみにマンネルヘイム将軍とは、第一次世界大戦そして第二次世界大戦と大国のはざまで厳しい立場に置かれたフィンランドの軍隊を率いた英雄である。ヘルシンキの南北を貫く目抜き通りは、いまもその将軍の名前から「マンネルヘイム通り」と呼ばれている。絵はがきの中央、トラムが走っているのがその「マンネルヘイム通り」である。

ところで、絵はがきの裏面には、「Fred Runeberg」というカメラマンの名前と思われるクレジットが記載されていた。もしそれが観光客相手の絵はがきだとすれば、そこにわざわざ名前のクレジットが入るということはフィンランドではそれなりに知名度のあるカメラマンだということにはならないか。そう考えると、この「フレッド・ルーネベリ」という名前には確かになんとなく聞きおぼえがあるような気がする。

その記憶が正しいことはすぐに証明された。1950年代から1960年代にかけてフィンランドでつくられた観光用ポスターの多くを手がけたのが、まさしくこのフレッド・ルーネベリなのである。それらのポスターのいくつかは現在も「COME TO FINLAND」というブランドから復刻されており、ぼくはそれを見て彼の名前をうっすら記憶していたのだ。

1909年ヘルシンキに生まれたフレッド・ルーネベリは、最初ポートレイトを中心に写真家としてのキャリアを始めたものの、次第にコマーシャルフォトに対する関心を高めてゆき「フィンランド初の広告写真家」という地位を築くことになる。とりわけ、ルーネベリは1937年のパリ万博のパビリオンのための写真を担当し、そのパビリオンが「金賞」を獲得したことで自身の名声も確立することにつながった。この絵はがきも、そんなキャリアを通して彼が膨大に残した作品の中の一枚であろう。

トラムの型や自動車、道を歩く人びとのファッションを見るかぎり、おそらくこの絵はがきは1950年代の後半あたりのものではないだろうか。正直、ぼくの探しものとはまったく関係ないのだが、とはいえ、よりによっていきなり引いてしまった以上買わないわけにもいかない。百円なり。男のけじめです。

自宅でフィンランドのコーヒーを。
2019.8.2|finland

フィンランドのKAFFA ROASTERYのコーヒーを試飲しました。

フィンランド人は、一人あたりのコーヒー消費量が世界でも一、二位を争うほどコーヒーを好むことで知られていますが、それでいて実は長いあいだフィンランドのコーヒー市場の大半はPAULIG社によって占められており、いわゆるマイクロロースターの数は極めて少なく、目立ちませんでした。そのような中、その先陣を切って2000年代初頭に開業したのがこのKAFFA ROASTERYです。ぼくが、はじめてKAFFA ROSTERYで焙煎されたコーヒーを飲んだのはちょうどいまから10年前、2009年のこと。おいしいエスプレッソが飲みたくて、探して入ったKaffecentralenというカフェで使われていたのが、このKAFFA ROASTERYの豆でした(→2009年のブログ記事)。

今回飲んだのは、最近販売をスタートした「ルワンダ ブショキ」です。

同封された資料によれば、この豆はルワンダの首都キガリの北方、ルリンド地区にあるブショキの農園で、オーナーのジャン・クレモン氏の下、収穫から乾燥、出荷に至る一連のプロセスを優秀なスタッフとともに一貫して行っているものだそう。

焙煎の度合いは、シティロースト程度。思ったより深めな印象です。今回は、15グラムの中粗挽きの豆をハリオの円錐ドリッパーで240ccドリップしました。湯温は95度くらい。

ルワンダの豆は、じつは10年ぶりくらいに飲んだのですが、バランスのとれたクリアな味わい、果汁のような爽やかな、ただし際立ちすぎない酸味で親しみやすいコーヒーという印象は以前に飲んだときの印象と変わりませんでしたが、この「ブショキ」は薔薇のような華やかな後味がふわっと鼻に抜けるあたり特別なものを感じました。とても美味しいと思います。

ところで、パッケージを眺めていたところおもしろい表記を発見してしまいました。

── PAAHTAESSA SOI/The Clash:Straight to Hell

つまり、焙煎中に流れていた曲/ザ・クラッシュ「ストレイト・トゥ・ヘル」ということ。とはいえ、けっしてパンキッシュな味わいというわけではないのでご安心を。こういう遊び心、好きです。

なお、KAFFA ROASTERYでは日本向けのコーヒー定期便(サブスクリプシションサービス)というなかなか野心的な試みを展開しています。自宅でフィンランドのコーヒーを手軽に楽しみたい方には朗報ですね。興味のある方は、ぜひKAFFA ROASTERYによるプレスレリースをご覧ください。

あんなサウナ、こんなサウナ。
2019.8.5|finland

一風変わった旅の楽しみ方を提案するフランスの動画チャンネル「Une Histoire sur Terre」が、フィンランドのフツーじゃない?!サウナをまとめて紹介しています。

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わずか人口500万人にして、国内には何十万ものサウナが存在するといわれるフィンランド。サウナは、えっ、こんなところに?という場所にもあります。

たとえばヘルシンキの中心部にある観覧車。そこには、美しい街並みと港の眺望を楽しむことのできるサウナつきのゴンドラがあります。料金は250ユーロから。

また、ホッケースタジアムの観客席にもなんとサウナが!ガラス張りのサウナは、2,000人の前で裸になることさえ厭わなければ、観戦しながらの入浴も可能。ただしお値段は2,500ユーロからとお高め。

1906年創業のタンペレ市のサウナでは、友人や家族、同僚など気の置けない仲間とタオル一枚でくつろぐ伝統的なサウナの楽しみ方が体験できます。

こうした公衆サウナ以外にも、フィンランドには各世帯ごとにサウナがあるといわれています。豪邸ばかりでなく、30平米ほどのアパートにもちゃんとサウナが備えられているのには驚かされます。

ふたたび変わり種のサウナに話を戻しましょう。

ナーンタリには海に浮かぶサウナが。チャーターすればお好みの場所で、サウナと海水浴を同時に堪能できます。

アーティストがつくった黄色い玉ねぎ型サウナには、奇抜な見かけ以上に変わった仕掛けがあります。屋根から伸びるラッパ状の突起物から、サウナの温度に応じて異なる音が発せられるのです。温度は60度から根性のある人向けに100度まで(!)調節可能。

最後に、ふたたびヘルシンキからびっくりするようなサウナを紹介。

一見ふつうのハンバーガーショップですが、じつはこのバーガーキングの店内にもサウナがあるのです。パーティーや誕生日のイベントに人気とのことですが、サウナ内でのポテト(いや、飲食全般ですが)は禁止なのであしからず。

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それにしても、サウナにかけるフィンランド人の情熱には開いた口がふさがらな…… いや、まったく感心してしまいますよね。。

★なお、フランス語の聞き取りはニシマちゃんが手伝ってくれました。ありがとう!

コーヒーも受け皿で
2019.9.4|finland

19世紀に活躍したフィンランドの画家、アルヴィド・リリェルントの『コーヒー休憩』というタイトルの作品です。

素朴な衣装を身につけた女性が、仕事の合間にコーヒーを飲んでほっと一息ついています。女性は職工でしょうか。これといった装飾もない土壁のような背景からして、彼女がいるのは作業小屋のような殺風景な場所にみえます。気持ちすぼめた口は、まだ湯気の立ちのぼるコーヒーが冷めるのを待っています。そして、目を閉じたその表情から、いま彼女はコーヒーの香りを楽しんでいる真っ最中であることが伝わります。

それはともかく、すでにお気づきのようにこの絵の中の女性がコーヒーを楽しむ姿はちょっと独特です。

なぜなら、右手にコーヒーカップを持っているのはよいとして、彼女の左手にはなみなみとコーヒーが注がれたソーサー、つまり受け皿があり、どうやらこの女性はその受け皿からコーヒーを啜ろうとしているらしいからです。

ご存知の方も多いでしょうが、じつは18世紀にはこうした飲み方が一般的だったのだそうです。現代の目からするとちょっとお行儀悪くみえてしまいますが、当時はイギリスやフランスの貴族たちもこのようにしてコーヒーや紅茶を楽しんでいました。

その後、19世紀になるとこのような飲み方は廃れ、労働者階級の人たちの間にだけ残ったといわれています。この絵の中の女性が職工と思われるのも、その衣装や背景だけではなく、そのような習慣が物語っているからです。

ところで、フィンランドを代表するデザイナー、カイ・フランクが手がけた食器に「キルタ」と呼ばれるシリーズがあります。シンプルで飽きのこないデザイン、しかも丈夫で長持ちという、すばらしく「普通」なそのテーブルウェアは、長いこと多くの人たちに愛され、いまも「ティーマ」という名称で引き継がれ生産され続けています。

このキルタのコーヒーカップやティーカップを持っているひとならお分かりの通り、その受け皿にはやや深めの縁(へり)があり、カップを固定するための凹みがありません。キルタが世に送り出されたのは20世紀もなかば、1953年のことですが、北欧で唯一の共和国にして他のヨーロッパ諸国ほどには明瞭な階級制度のない、言ってみれば大統領も労働者もおなじ食器で朝のコーヒーを楽しむフィンランドのこと、20世紀になってからも受け皿でコーヒーを飲むスタイルが広く残っていたのではないかとそのデザインから密かに推理するのですが、さて、実際のところはどうなのでしょう?

フィンランドの天使の飾り皿
2020.5.9|finland

天国への扉。

陶芸家ヘルヤ・リウッコ=スンドストロム Helja Liukko-Sundstrom は、フィンランドの名門窯アラビアARABIA社の芸術部門に在籍、陶板による飾り皿を数多く世に送り出したことで知られています。

なかでも、彼女にとってウサギと並ぶ大切なモチーフのひとつが「天使」。じっさい陶芸作品のみならず、一連の「天使」を描いた作品からは何冊かの絵本も生まれています。

天国への扉と題されたこの作品で、まず目を引くのはなんといってもその青色のうつくしさ。

白夜をしずかに包む大気の青、冬の夜空の澄みわたった青……。南欧の広場の文化に対し、しばしば北欧は室内の文化などといわれます。冬の長い北欧では、どうしても人びとの意識は内にこもりがちです。しかしそんな暮らしの中でも、部屋の壁に飾られたこの陶板をちいさな窓として、フィンランドの人たちはつねに外界を近くに感じることができるのかもしれません。

さらに、9センチでも15センチでもなく、12センチ四方というその大きさにも注目。壁面を飾るにも、手に取って眺めるにもちょうどいい、その考え抜かれた絶妙なサイズ感に、この陶板作品がロングセラーとして愛されてきた理由を見いだすことができるように思います。

ひょいと壁に掛けたり、また外したりできる手軽なアート作品として、ヘルヤ・リウッコ=スンドストロムの飾り皿はおうちで過ごす日々の暮らしにそっと寄り添っています。

世界一幸せな国フィンランドの自転車「ペラゴ」
2020.5.12|finland

はじめに

わたしたちのライフスタイルは、どうやらこの新型コロナウイルスによってあたらしい形に書き換えられることになりそうです。

なかでも自転車は、アフターコロナではなく、ウィズコロナの時代の「新しい生活様式」にとって必須アイテムとなります。

新しい生活様式と、自転車。

自転車は、巣ごもり生活による運動不足を解消する効果的なエクササイズとして、またソーシャルディスタンスを気にすることなく安全に移動できるツールとして、日々の買い物や子供の送り迎えに、そして通勤・通学の足にと大活躍することでしょう。

つまりウィズ・コロナの世界、とりわけ東京や大阪といった都市部では、自転車はヘルスケアとともにメンタルケアを担う中心的なアイテムとなるのです。

当然、わたしたちの自転車に対する意識も変化します。

これまでは「値段」や「実用性」で選ぶことの多かった自転車ですが、それに加えて今後は「おしゃれさ」や「品質」、さらにそれに乗ることで得られる「満足度」といった点にも注目が集まりそうです。乗用車を選ぶような感覚で、機能と趣味という両面からひとは自転車を選ぶようになるでしょう。

北欧生まれの自転車「ペラゴ(Pelago)」

そこで、ゴツすぎず、シティサイクルとして都市の景観にもなじむデザインセンスを持ち、なおかつ耐久性にも優れた自転車ということで目をつけたのが、北欧フィンランド生まれのブランド「ペラゴ(Pelago)」。うれしいことに、正規品として日本でも販売されているものです。家具や雑貨といった北欧のインテリアはすっかり日本でも手に入れやすくなりましたが、北欧デザインの自転車はまだまだ珍しいですよね。


← 画像をクリックするとリンク先(販売店)のサイトに飛びます

調べたところによると、2009年にペラゴ(Pelago)はフィンランドの首都ヘルシンキでスタートしています。個人的に「いいな」と思ったおすすめポイントは3つ。

◎ シンプルで、どことなくレトロなデザイン

スポーティーすぎず、年齢や性別を選ばない落ち着いたデザイン。

また、サーモンピンクやヘレングレーといった日本のブランドではみかけない中間色的なカラーも揃っていて、マリメッコのドレスに身を包んだ女子が街乗りするのにも似合いそうです。

また、バスケットの機能とラックの機能とを兼ね備えたラスケットやチェーンガードなど、アクセサリも豊富に揃えられていて目的に合わせてカスタマイズできるのもよいところです。

◎ 街乗りから中距離までこなす耐久性

坂道やゴツゴツとした石畳も多いヘルシンキの街で暮らしの足として愛用されているだけに、丈夫で軽量なフレームやパンクを予防したタイヤなど耐久性についてもしっかり考えられている様子。そのあたりは、多少の距離なら自転車でピクニックに出かけてしまうフィンランド人が作っているだけに信頼が置けそうです。ギアは、シングルスピードと内装3速の2通りから選択する仕様。また、日本人にも乗り慣れたハンドブレーキ方式なので、操作性という点でも安心感があります。慣れていないと、ペダルを逆回転させるコースターブレーキはこわいですもんね。

◎ サスティナブルな移動手段

あんなに寒くて冬の長い北欧でなぜ?と不思議ですが、北欧といえばじつは自転車天国です。

フィンランドでも、専用レーンを颯爽と走り抜ける自転車と街のあちらこちらで出くわします。街のサイズ感も当然あるでしょうが、それと同時に「持続可能な社会」の実現をめざす北欧の人たちの意識の高さが背景にあるように思います。

「ペラゴ(Pelago)」というブランド名は、大小さまざまの島々が無数に浮かぶアーキペラゴ(群島エリア)を文字っているとのことですが、風を切って進むヨットのように街から街へ軽快に走り抜けるイメージがすてきですね。あえて自転車という選択が、そのままひとつのライフスタイルの表明である時代が近づいています。

ちょっといい自転車のある暮らし

繰り返しになりますが、新型コロナウイルスの出現により、いまわたしたちのライフスタイルは様変わりしようとしています。これまでの「あたりまえ」が通用しない、そういう世界になりつつあります。イヤでも変わらざるをないことも多いでしょう。しかし、少しでも楽しく、できることから変わってゆく上で、「ちょっといい自転車のある暮らし」は最初の一歩になってくれるかもしれません。


← 画像をクリックするとリンク先(販売店)のサイトに飛びます

国内でペラゴ(Pelago)の自転車が買えるお店/p>

今回調べてみるまで、じつは日本で北欧フィンランドの自転車がふつうに売られているとはまったく知りませんでした。灯台下暗し。

さすがに価格はそれ相応ですが、今後自転車が毎日身に着ける洋服やアクセサリーと同等の存在となってゆくことを思えば、多少の背伸びをしてもこの窮屈な時代を心地よく生きるための投資としてけっしてコスパは悪くないでしょう。

世界一幸福度の高い国フィンランドで生まれた自転車が、あるいはこれまでとはちがったライフスタイルを築く上でひと役買うことになるかもしれません。

以下に、国内で現在ペラゴ(Pelago)の自転車を取り扱っている販売店の一部のリンクを貼っておきます。

トウーレイトスポーツオンライン
 取扱車種:Brooklyn、Bristol、各種アクセサリー
THE USA SURF ONLINE STORE
 取扱車種:Brooklyn、Bristol、各種アクセサリー
jykk japan
 取扱車種:Brooklyn,Bristol,San Sebastian,Capri,各種アクセサリー

北欧流キャンドル生活はじめるならイッタラの「キヴィ」がおすすめ!
2020.5.17|finland

新しい生活様式の話です。またかよと言われそうですが、北欧のライフスタイルに学べること、まだまだありそうなので。

新しい生活様式では、「密」を避けることが肝となります。必然的に部屋で過ごす時間が長くなり、それにともなって家の中で楽しむアクティビティに注目が集まるでしょう。

◎ 北欧の暮らしになくてはならないキャンドルという存在

部屋で過ごすというと北欧のライフスタイルが思い浮かびます。暗く長い北欧の冬、どうしても家で過ごす時間も長くなります。北欧デザインとして知られる家具やインテリアもそうした時間のなかで生まれ、育まれてきました。

キャンドルもそのひとつ。

キャンドルといっても、日本では仏壇のロウソクくらいしか思いつきませんが、ひとりあたりの消費量で世界トップクラスのフィンランドやデンマークなど北欧の国々では、キャンドルは日々の暮らしにうるおいをあたえるアイテムとしてなくてはならないものなのです。

◎ 喜びを表現するキャンドルの光

世界的な照明デザイナーで1960年代のフィンランドで修業した経験をもつ石井幹子さんは、著書『フィンランド 白夜の国に光の夢』(NHK出版)で次のようなエピソードを紹介しています。

12月6日。フィンランドの独立記念日の夜。仕事場から暗い道を足早に歩く石井さんは、街の家という家の窓辺にキャンドルが灯されていることに気づき感銘を受けます。

喜びを光で表現する ── 何も法律で決まっているわけもないのに、フィンランドの人たちは自発的にキャンドルを灯すのです。私はこのことにとても感動しました。 

もともと、フィンランドの人たちはみな、キャンドルの光がこよなく好きなのです。食事に呼ばれると、食卓にはキャンドルが灯されています。部屋をほどよく暗くして、キャンドルの光が映えるようにし、その灯りに包まれて会話しながら食事をするのです。

石井さんの本には、北欧の人たちの光の感じ方や照明器具の北欧の家庭での具体的な使用例など、キャンドルを上手に使いこなすうえで参考になるエピソードが豊富に紹介されています。ときおり本棚から引っ張り出しては、拾い読みして参考にしている一冊です。

◎ 光のおすそわけ

石井さんによれば、たとえばキャンドルの光を喜びや楽しみを表現するために使うのがフィンランド流です。

食卓に置くのはもちろんのこと、窓辺や玄関のポーチに置かれたりもします。光のおすそわけですね。喜びや楽しみを、道ゆくひとにも分けてあげるってすてきじゃないですか。たまたま目にしたひとも、ポッと気持ちが明るくなりそうです。

◎ キャンドルでONとOFFとを切り替える

テレワークのひと、増えてますね。いっぽうで、在宅では仕事がはかどらないという声も聞こえてきます。なによりオンとオフの切り替えが難しい、と。

通勤電車に乗らないで済むのはよいけれど、狭い家でひとりきりで仕事をしなければならないことにストレスおぼえるひとも少なくないようです。

ある記事によると、斜陽産業と思われてきたロウソクの消費量がヨーロッパでは年々増えているのだとか。「意味のイノベーション」が起こったからだという。かつては文字通りの「あかり」であったロウソクが、いまやロマンティックな雰囲気を味わったりストレスを軽減させる「ぬくもりを感じさせるもの」として、いま新しい意味のもと見直されているのです。

また、こんな話もよく知られています。良質な睡眠のためには、寝る1~2時間前には間接照明などで部屋を仄暗くしましょうというもの。

リモートワークでは、終業とともに部屋の照明を落としキャンドルを灯すことでオンとオフとの切り替えがスムーズになされ、質の高い睡眠を手に入れいることにもつながりそう。

◎ 最初に買うキャンドルホルダーはイッタラの「キヴィ」一択

とはいえ、たくさんのキャンドルホルダーの中からどれを選べばよいか、迷いますよね。

そこで、キャンドル初心者のためにフィンランドカフェを17年間やっていたぼくが、使いやすく、価格も良心的な北欧ブランドのキャンドルホルダーの決定版をご紹介します。

それはズバリ

── イッタラ iittala の「キヴィ kivi」3個使い

です!!!

宝石の原石のように素朴な輝きを放つこのキャンドルホルダー「キヴィ kivi」は、1988年にヘイッキ・オルヴォラ Heikki Orvolaによってデザインされました。

とにかくシンプルで、サイズも直径約65mm高さ約60mmと小ぶり、置く場所を選びません。デザインに凝りすぎると、食卓に置かれた食器やお料理とケンカしてしまいかえってマイナス効果も。「Kivi」なら、まずそういう心配はありません。頑丈なのも安心です。

また、1個でも2個でも、あるいは窓辺に3個並べてもすてきです。アレンジが効くのでさまざまなシチュエーションに対応可能。カラーバリエーションも揃っているので、同じ色でも好きな色を組み合わせても楽しめます。何個か並べてもうるさくならないあたり、さすがのフィンランドデザインです。

← ぼくも愛用しているクリアタイプ(リンク先に飛びます)

クリアタイプなら送料込み2千円ほどで買えるショップもあります。

← 涼しげな水色もイッタラらしいカラー(リンク先に飛びます)

中に入れて使用するキャンドル(ティーライトティン)も、約6時間燃焼タイプのもので1個あたり13円程度とコスパ最強です。毎日使ったとしても400円弱/月で済みますね。

← ティーライトキャンドル 100個(リンク先に飛びます)

◎ たゆたうキャンドルに癒される

水に浮かべて愛でるフローティングキャンドルもおすすめです。

上で紹介した本で石井幹子さんは、キャンドル工房で目にしたフローティングキャンドルが描き出す幻想的な光景についてこんなふうに書いていました。

目の前に灯されたいくつものフローティングキャンドルが、お皿という小さな湖の中で、その焔を小さくしたり大きくしたり、またわずかに揺れたりして、ゆっくり動いていくのを見ていました。まるで何か生命のある生きものが静かに呼吸をしたり、語らっているようにすら感じられました。想像するだけでうっとりしませんか?

新型コロナウイルスの感染拡大や慣れない環境での仕事などなにかとストレスがたまりがちな今日このごろ、1日の疲れと緊張をほどくリラックスタイムのお供にぜひキャンドルを取り入れてみてはいかがでしょう?