夏といえば花火。数年前まで部屋から遠くの花火を望めたのですが、周囲に高い建物が増えてきて音だけが小さく響くようになってしまいました。どこか寂しく感じるのは花火が見えなくなったからでしょうか、それとも夏が終わっていくからでしょうか ──。
Moi!フィンランドをもっと好きになる74回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。
イェンニ・トゥオミネンに出会った頃
今回はまず自分の報告から。フィンランドセンター主催のオンラインイベントで、ポルヴォー在住のアーティスト/イラストレーター、イェンニ・トゥオミネンのアーティストトークを視聴しました。
イベントでは、イェンニさん自身がこれまでの経歴や作品などを紹介してくれました。マリメッコでテキスタイルを手がけることになったきっかけから、今日(8/28)まで開催している東京での展示まで。トークの終わりには、いろいろな質問にも答えてくれたイェンニさん。答えに困ると画面の外にいるパートナーのユッカさんに助けを求める様子が微笑ましかったです。
今回のイベントにあたり、岩間さんはイェンニさんご本人からメッセージをいただいたそうです。岩間さんがイェンニさんを知ったのは、2005年頃にトゥルクの美術館のミュージアムショップで気になったというマグネット。ギャラリー巡りでもシルクスクリーン作品を見かけていたとのこと。またその後、親戚の結婚式のプレゼントとしてイェンニさんに絵を製作をお願いしたこともあるそうです。
(nuotio|takibi サークルにイベントのレポートを書いていますので、ぜひご覧ください。)
ハ:ちょうど岩間さんが出会ったあとくらい、2006年のコンペに優勝してマリメッコでデザインを手がけるようになったそうです。
イ:たしか白熊のようなデザイン?
ハ:パンダでした。
イ:どこかおっさんっぽいパンダだったかな、笑。イェンニのデザインは、かわいいのとおもしろいのとあるんだよね。
ミ:振り幅が広いということですね!
『若く逝きしもの』を読みはじめて

そしてもうひとつ、前回も話題に上ったシッランパー『若く逝きしもの』を読みはじめました。
とてもきれいな造りで、その文章も70年前に訳されたものとは思えないほど読みやすく感じました。どんどん読み進めていく感じではなく、ゆっくり味わいながら読みたい本です。
ミホコさんは、まさしく外国文学を読んでいるな、と思ったそうです。単語に少し時代を感じるところはあるけれど、20ページを過ぎたあたりでペースがつかめてきました、と。
自分がとても読みやすいと感じたのは、ここ数年、海外の児童文学を読み直していたからかもしれません。当時のフィンランドの暮らしを想像しながら楽しんでいます。
ハ:復刊にあたって原書が見つからなかったため、図書館で1ページずつ撮影*されたそうです。
ミ:『エジプト人(Sinuhe egyptiläinen)』も絶版で、文庫では三分冊なのですが、700ページもあるんですよね
イ:1930年代〜40年代には、ちびちびと読むことが多かったんですかね。
ミ:『エジプト人』は夏休みに毎年1回読むとか、『無名戦士』も愛読書として繰り返し読まれたり。
イ:ボリュームがある方が喜ばれるのかもね。
*撮影には著作権者の許可が必要とのことです。
『フィンランド 虚像の森』ができるまで
次の報告はミホコさん、出版されたばかりの『フィンランド 虚像の森』について。
そこでまず岩間さんから、翻訳する上で苦労したことは? 森について勉強したことなどはありましたか? という質問がありました。
フィンランドのジャーナリストたちの言葉を素直に訳すことを考えていたとミホコさん。最終的には森について勉強させられたところがありましたね、と。
専門用語と一般の読者に伝わる表現、フィンランドの歴史を理解できていないとわからない部分など、面白かったと同時にわかりやすくするために苦労されたそうです。内容に関しては森の現状が炙り出されていくので大変な部分もあった、と。
ほろ苦い部分もあるけれど、セルボ貴子さんが翻訳された『世界からコーヒーがなくなるまえに』と響き合う部分もありますよね、と岩間さん。限りある資源に対するフィンランドのジャーナリストの目線による提案と問いかけといったところが。
以前も書きましたが、ぜひ一度目次をチェックしてみてほしいです。森に関するいろいろな話題が取り上げられているので、きっと興味をひかれるところが見つかるのではないかと思います。
イ:ところで、出版記念イベント的なことはしないんですか?
ミ:あくまで裏方なので。もしクラブハウス番外編をしたら、聴きにきてくれる方いらっしゃいますかね?
イ:もちろん、いますよ!
(ハ:きっと近いうちにミホコさんからお話を聞かせていただけると思います!)
adidas x marimekko の似合うひと
アディダスとマリメッコによるコラボレーションの話題で盛り上がったというミホコさん。三色のウニッコのリュックは街使いには困ってしまうかも、と。
モデルのような人たちが着てるからいいけれど、着こなすのは難しいこともありますね、と岩間さん。
いつから始まったんでしたかねと言っていましたが、ちゃんとツイートしていました! 今回は第4弾、7月6日に始まりました。
ミ:スポーティな方なら着こなせるとおもいますね。
イ:全然違うところを検索していたんですが、ウニッコの暖簾(のれん)がありますよ。正規品かなぁ?
ミ:本当、ありますね。
イ:なかなかいいんじゃないですか。
(ハ:お二人のご自宅にウニッコの暖簾がつく日は、来るのでしょうか)
リンゴンベリーカクテルとタピオ・ヴィルカラ展
最後の報告は岩間さん。LAPIN MARIA(ラピンマリア)のリンゴンベリージュースを使って、カクテルを作ったそうです。
生のリンゴンベリーを入れたかったけれど、なかなか手に入りにくいので、と岩間さん。とはいえ、完成度が高いところはさすがです。
LAPIN MARIAのジュースは、メッツァビレッジにあるLAAVUやそのWebショップで販売されているようです。岩間さんのレシピを再現してみてはいかがでしょう。
またカクテルの名前も募集中だそうですよ。ぜひ岩間さんの投稿にコメントしてみてください!
イ:9月にイッタラ展もはじまりますが、フィンランド関連の展覧会がコンスタントにありますよね。
ミ:キュレーターの人たちのブームなのでしょうか。
イ:ここまできたら、やはりタピオ・ヴィルカラの展覧会をしてほしいですね。
ミ:イッタラ展にも出品されると思いますが、タピオ個人の展覧会ですか?
イ:ええ、タピオ・ヴィルカラだけで。ラスボス的なイメージがあるんですよね、あの精神性といい。
ミ:期が熟したということですね。
イ:今後日本でタピオ・ヴィルカラ展が開催されたら、僕たちの手柄ということで、笑。
ミ:みなさんもぜひ話題にしてください、笑。
── そうです。寂しく感じるのはユカさんがいないからです。始まる前の打ち合わせで、きっと寝坊だよねと話していたのですが正解だったようです、笑。次回の配信では、ユカさんをフィーチャーしてお届けしましょう?
それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。
配信:2022年8月28日
text:harada