clubhouse

#5|走る 走る 走る

Moi!フィンランド好きが日曜朝8時から今週のフィン活について報告しあう30分

5回目のレポートです。

このひと月めずらしく天気に恵まれているため、いつも自分は近所にある森から参加しています。森?と疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、入り口の看板に「森」と書いてあるので、森です、笑。

すこし暖かくなってきて早起きの人が増えてきたのか、時々ジョギングの人たちが走って追い抜いていったりします。配信までベンチに座って待っている時にも気持ち良さそうに大声で歌いながら走ってくる人がいました。ふと振り向くと目が合ってしまい、恥ずかしそうにして走り去っていきました。


さて今回のテーマは、前回に引き続きフィンランドでメーデー(Vappu)の頃に飲まれる「シマ」と森の中など屋外でも楽しまれている「やかんコーヒー」についてです。

そもそもメーデー(労働者の日)という行事がよくわかっていないのですが、フィンランドでは若者たちが白い制帽をかぶって街へ繰り出し、公園や広場でお酒や飲んだりお菓子を食べたり、ピクニックを楽しんだりするそうです。

おじさんもかぶっていますね(ヘルシンキ、2006年:Wikipediaより)

というわけで先週Mさんに教えていただいたレシピを参考にシマを作ってみました。みなさんの作られているものと比べるとずいぶん色が薄かったのですが、黒糖やブラウンシュガーの代わりに三温糖を使ったためのようです。

爽やかなレモンとチリチリとした微炭酸のような飲み口でさっぱりしていて美味しかったです。しかし初めて飲んだので正解かどうかわかりませんでした、と感想をいうと、Mさんより名言をいただきました。

── 色でも味でもなく自分で作ったもの、それが『シマ』です!

シマで気をつけるのは作り方よりも飲み方だそうです。イーストを使用するため、あまり飲み過ぎるとお腹の中で一日中、運動会が開催される(お腹の中でもぽこぽこと発酵が続く?)ことになったりするのでご注意を。

Mさんのお知り合いのフィンランドの方がシマを作って置いておいたところ、ぶわーっと吹き出してしまったそうです。イーストおそるべし。

Yさんは、以前にもシマを作られたことがあるそうで、今年はフィンランド語クラスのレシピと「北欧のおやつとごはん」というウェブサイトのレシピ、Mさんのレシピを参考にされたとのこと。

そして砂糖にはフィンランドのファリーニソケリ(Fariinisokeri)というブラウンシュガーを使われたそうです。本格派です。おとなりのお手製ムンッキ(Munkki:パン生地を揚げたフィンランドのドーナツ)も美味しそうです。

かつてカフェモイが荻窪にあった頃、フィンランド語教室に通っていた生徒さんが近くの古いパン屋さんで素朴な揚げパンを見つけたそうです。それがとてもムンッキに近い仕上がりで、なんとかしてその生地の中にカルダモンを入れられないかと思案したというIさんのエピソードも。


またメーデーに食べるお菓子に、ティッパレイパ(Tippaleipä)というものがあることを教えてもらいました。穴あきオタマや絞り器などで生地を油に流して(落として=ティッパ)揚げるそうです。

IさんやYさんが言葉を濁しつつ「脳みそみたいな」とおっしゃっていたので、かき揚げみたいな感じかなと想像していたのですが、カリントウみたいで(Mさん)、割って食べたりする(Yさん)というので、お話を聞きながらそれともチュロスみたいな感じかなあと考えていました。

当たらずも遠からず?(ティッパレイパ:Wikipediaより)

揚げるのに手間がかかるのと、意外と歯応えがあって食べるのもたいへんなためか、Vappuの時以外にはほとんど食べられないそうです。


そして話題は、やかんコーヒーへと移ります。Mさんが講師を務められているフィンランド語講座「フィンランドのユーモア小説を読む」の課題図書である『おとぼけ爺さん ぼやき三昧(仮邦題)』の中にこのやかんコーヒーが登場し、生徒の方にやかんコーヒーについて説明するという出来事があったそうです。

フィンランドのスーパーなどでは、通常のドリップ用とは別にやかんコーヒー用の豆というのが販売されています。パッケージにその表記があるものの味にはほとんど変わりなく、やかんコーヒーの方が若干粗挽きであるくらいの差だそうです。

Iさんによると、かつてコーヒーを淹れるのに多くの人がパーコレーター(コーヒーを抽出し、粉を濾すための器具)を使っていたそうです。フィンランドデザインの中でも人気のあるアンッティ・ヌルメスニエミのポットにもこのパーコレーターとしての機能があるように、多くのフィンランドの人たちにずっと親しまれてきたため、現在でもこうしてコーヒーをやかんで淹れる文化が生き永らえているのではないか、とおっしゃっていました。

アンッティのポットには2種類あり、小さい方(青い方でしょうか?)にパーコレーターの器具が入っているそうです(写真はWikipediaより)

ちなみにやかんコーヒー用のパッケージに描かれている「やかん」そっくりのやかんを(ややこしくてすみません、笑)お持ちのMさんが写真に撮って下さいました。味わいがあってかっこいいです。


ここでIさんが Instagramで見かけて気になっていたというルバーブのシマを作られていたCさんに途中参加していただきました。

ルバーブは蕗のような植物で、ジャムやお菓子、ジュースなどに使われる酸味に特徴のある野菜です。葉には毒性があるため、その紅い軸の部分を食用にします。加熱すると簡単に溶けてしまうらしいです。

以前カフェモイでお手伝いしていた時「りんごとルバーブのパウンドケーキ」というメニューがあり、ルバーブってなんですか?と尋ねられ、実物を見たことがなかったので説明に困ったことが何度かありました。

Cさんがルバーブのシマを作るのに参考にされたのが『ムーミンママのお料理の本』のレシピ。ルバーブによる薄ピンクの色がきれいで、生姜を加えたので、ジンジャーエールのような味わいだったそうです。こちらも作ってみたいです。

またIKEAのキャロットケーキが意外と美味しい(ブラウンシュガーが肝だそう)、やかんコーヒーの話題からラップランドの煮出しコーヒー「レンメルコーヒー」の情報をいただきました。


最後にIさんから、映画「かもめ食堂」のアソシエイトプロデューサー森下圭子さんのお話がありました。フィンランドの人たちが森をたいせつに思っていることがよくわかる、とても素敵な、そして個人的にも好きな話です。

うまく話せないので機会がありましたら、直接Iさんに聞いてみて下さい、笑。3本の木があるだけで、そこは森にもなる。新しいMoiのロゴにはそんなおもいも込められています。

いつかみなさんと森のような場所で、やかんコーヒーを楽しめる機会がありますように。以上、5回目のレポートでした。次回もお楽しみに。

text : harada

Category :

Posted :

Related Posts

  • Kalevala〜夏至の夜の魔法

    Kalevala〜夏至の夜の魔法

    2022年に創立85周年を迎えたフィンランド発のジュエリーブランド、Kalevala(カレワラ)。6月1日から4日まで下北沢のreloadにて、ポップアップショップをオープンしました。新シリーズ Midsummer Night Rose 発表イベントの模様と合わせて、Kalevalaについてくわしくご紹介します。

    read more

  • Ajatus|Asua

    Ajatus|Asua

    Aakkoset(アーコセット)とは、フィンランド語でアルファベットのこと ──。 Moiのスタッフがそれぞれ自由に選んだフィンランドのことばから、ささやかな日常の風景をお届けします。 今回のアルファベットは【A】、「Ajatus」と「Asua」です。

    read more

  • Keittoでワクワクの種を見つけよう

    Keittoでワクワクの種を見つけよう

    大阪・大東市のKeittoは北欧の豊かな暮らしと手づくりをテーマにしたエンターテイメントパーク。レストラン、ベーカリー、洋服屋さんに雑貨店、ワークショップスペース、社員食堂、工房などが並び、まるでちいさな町のようです。暮らしのヒントやアイデアがいろいろな場面で見つかるKeittoの魅力をたっぷりご紹介します。

    read more

  • リュイユが映す世界〜フィンランドの変わり続ける織物

    リュイユが映す世界〜フィンランドの変わり続ける織物

    2023年、リュイユの歴史を辿る日本初の展覧会「リュイユ─フィンランドのテキスタイル:トゥオマス・ソパネン・コレクション」が京都国立近代美術館にて開催。 リュイユとは毛足の長いパイルが特徴のフィンランドを代表する織物のひとつ。一見するとタペストリーやカーペットに似ていますが、その用途や造形は驚くほど変化に富んでいます。

    read more

nuotio|takibi

フィンランドが大好き、ちょっと気になる、もっと深く知りたい、
そんなすべての方々に開かれたフィンランドファンのための居場所です。

Moments