昨年6月に始まった配信も次回で50回を迎えます。3月の司会担当はいつまでたっても慣れない自分 ──。
Moi!フィンランドをもっと好きになる49回目のレポートをお届けします。メニューはこちら。
モデレーターの紹介
先日この記事を読んでくれている方から、ところでモデレーターのみほこさんとゆかさんは、どんな方なのですか? と質問を受けました。もしかすると記事では紹介するのを忘れていたかもしれません。そこであらためてモデレーターの4人を紹介したいと思います。
まず、みほこさんは、フィンランド語の翻訳/通訳、そしてフィンランド語の語学講師をされています。岩間さんと昔からのお知り合いで cafe moi でも何度かイベントをされています。くわしくご紹介している記事がありますので、ぜひご覧ください。
▶︎ フィンランド好きのフィンランド好きによるフィンランド語教室
ゆかさんは、相方のマイキさんとご一緒に「ゆおっぽらっり」というユニットで、ピックヨウルやザリガニパーティーなどフィンランド好きのためのいろいろなイベントを主宰されています。みなさんご存知のようにとても行動力があって見習わなければと思っています。
Moiの岩間さん。2002年に cafe moi(正式名称は moi)をオープンされ、20年以上フィンランドに関わってきました。先日誕生日でしたと紹介したところ「その情報いる?」と笑われてしまいましたが、重要だと思います!
と、フィンランド見習いのハラダでお送りしています。
ラスキアイネン
ラスキアイスプッラやスウェーデンのセムラについて調べているうち、”laskiaissunnuntai” や “laskiaistiistai”、「四旬節」といった聞きなれない言葉を目にするようになりました。イースターすらよくわかっていない自分には太刀打ちできません。ちなみに今年2022年のラスキアイネンは、3月1日火曜日。
そこでゆかさんに「laskiainen|ラスキアイネン」って一体なんですか? と無茶ぶりをしてしまいました。
キリスト教ではかつてイースターの40日前から断食を行う習わし(この期間が「四旬節」)がありました。四旬節に入る「灰の水曜日」の前日の火曜日を”laskiaistiistai”と呼び、ラスキアイスプッラを食べるのはこの日までとされているそうです。
ちなみにスウェーデンでは断食前の3日間を “fastlagen” といいます。”laskiainen” も同様に日曜日 “laskiaissunnuntai” から火曜日 “laskiaistiistai” までの3日間のことなのかと思ったのですが、火曜日 “laskiaistiistai” だけのことのようです。
フィンランドではそのほか豆スープやチーズを食べたり、そり遊びをするという情報を得ました。
みほこさんもそり遊びについては聞いたことがあるそうですが、それがどこからきた習慣なのか正確なことはわからないということでした。
また “laskiainen” の語源にも諸説あり、スウェーデン語の “fettisdag|脂肪の火曜日”から(”laski” はスウェーデン語の “fläsk|豚肉、脂肪” より借用)という説、”laskea|復活祭までの日数を数える”からという説、また古いローマ名 “carne lasciare|肉を残す” からという説などがあるそうです。
今年はラスキアイスプッラを食べられなかったという岩間さん。そり遊びもできなかったからねと、笑。
ポルッカナラーティッコ
今週「Porkkanalaatikko|にんじんキャセロール」を作ったというみほこさん。
フィンランドでは冬の時期に食べられるメニューだそうです。すりつぶした人参に、ゆるく炊いたお米、牛乳、卵を加え、塩胡椒で味つけをします。
最近オーブンを新調してから初めて作ったという今回の料理。ご家族にも好評だったそうです。
またフィンランドでは、クリスマスの時期に大量に作り置きするのが恒例で、参考にしたレシピでも「にんじん1kg」となっていたとか。
ユ:フィンランドで人参は採れるのですか?
ミ:根菜は最近では採れるようですね、カブは昔からありました。
ユ:カブは日本のと似ていますか?
ミ:ほとんど同じです。カブというと貧しかった頃のことを思い出す方もいるようですが…。
以前、日本の料理店でカブのスープが出された際、そのおしゃれな姿に一緒にいたフィンランドの方が「これがカブ?」と驚いていたことがあるそうです。
ラティア|RATIA
そしてもう一つ、みほこさんが紹介してくれたのが、RATIAの不織布マスク。
「ラティア」と聞いてピンと来る方もいると思いますが、マリメッコの創業者アルミ・ラティアの息子リストマッティのデザインスタジオだそうです。
RatiaやMarimekkoのサイトを調べてみるとリストマッティは、1970年代にマリメッコのバッグのデザインを手掛けていました。
お手元のマリメッコのリュックやバッグに「Ratia」と書いてないか、もう一度見てみてください。またそのほかにも様々な企業とのコラボレーションを行なっているようです。
とてもカラフルなのでマスクに服装を合わせないといけない、とみほこさん。Made in Finland だそうです。
ラハティ|LAHTI
そして自分の報告。最近読んでいる管啓次郎の新しい詩集『Paradise Temple』に「ラハティ、みずうみ」という詩がありました。これは2019年に開催されたラハティ・ポエトリーマラソンで披露された詩です。
▶︎ 日フィン友好100周年「ラハティ・ポエトリーマラソン2019」リポート – 白水社
ラハティという街についてはその時に初めて知ったのですが、今回あらためて調べてみることにしました。
- 面積 約135 km²
- 人口 約12万人弱(フィンランド第8位)
- 場所 ヘルシンキの北へ約100km、Vesijärviという湖のほとり
- 水がおいしい(水のきれいな場所はいい場所!)
- ラハティ交響楽団(1910年設立)
- シベリウスホール(2000年オープン)
- ノルディックスキー国際大会(これまで計7回)
- ラハティ応用科学大学
- lahtiの意味 … 入り江、湾、河口など
そして - 2022年 ヨーロッパ旅行先ランキング 第9位
フィンランド行ってみたい街ランキング第1位です(個人の感想)
みほこさんによるとウィンタースポーツの聖地のひとつで、アイノラ交響楽団正指揮者で日本シベリウス協会会長の新田ユリさんもラハティ交響楽団で学ばれたそうです。また福祉にも力を入れており、以前より人口も増えているとのことでした。ラハティ応用科学大学などもあり、木工なども盛んに行われているようですと岩間さん。
▶︎ フィンランド・ラハティ市がヨーロッパの2021グリーン首都賞を受賞
管さんと一緒に舞台に立っている小島ケイタニーラブさんがInstagramでフィンランド語を使った歌を100曲公開しています。以前もどこかで紹介したことがありますが、もう一度ご紹介します。
▶︎ https://www.instagram.com/keitaney/
カレワラの日
2月28日はカレワラの日/フィンランド文化の日。フィンランドの国民的叙事詩「カレワラ」の初版が発行されたことを記念して制定されました。この日、ふたつのオンラインイベントが開催されました。
【フィンランド文学サロン】
まずはフィンランドセンターが初めて主催する「文学サロン」。『ムーミン谷の十一月』をスウェーデン語と日本語で朗読するという回でした。
朗読の前にまずカレワラの日ということで所長アンナ=マリアさんがアクセリ・ガッレン=カレラの描いた絵画を通して「カレワラ」の解説をしてくれました。画集と本を一緒に読むのがおすすめとのことです。
ガッレン=カレラの絵とカレワラを一緒にした本を出してほしいですというと、辞書くらい分厚い本になってしまいますとみほこさん。
岩間さんが最初のカレワラにとおすすめしてくれたのがキルスティ・マキネン『カレワラ物語 フィンランドの国民叙事詩』(春風社/荒牧和子訳)。カレワラを読みやすい物語にしたベストセラーの邦訳です。
またフィンランド語の朗読も聴きたいとゆかさん。この「文学サロン」はシリーズ化される予定だそうですので、みなさんもどうぞお楽しみに。
【シベリウスカフェ】
そして、日本シベリウス協会による「第10回 シベリウスカフェ」。
カレワラシリーズ第3弾となる今回も橋本ライヤさんがカレワラを朗読してくれました。カレワラには独特のリズムと節があるので聞いているうちに眠くなってきました。みほこさんもそうなんですよねと賛同してくれました。
朗読のあとは、カレワラ第1章「天地創造」をもとにシベリウスが作曲した『Luonnotar|自然の女神』の楽曲解説(新田ユリさん)などを聞くことができました。ちなみに今回は初めてのYouTubeによる配信でした。
来月4/3(日)に杉並公会堂で行われるアイノラ交響楽団の第19回定期演奏会「大地の誕生とフィンランドの旅立ち」でも、今回のイベントで紹介された『Luonnotar op.70』の実演があるそうです。気になる方はぜひ。
── 毎回、自分の司会について反省するのですが、その反省もどこへやらいつもリセットされてしまうようです。とりあえず次回は「ゆっくり話す」を目標にがんばります。いつも聞いてくれて、読んでくれてありがとうございます。
それでは今回はこの辺で、次回もお楽しみに。
配信:2022年3月6日
text:harada