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#4|幸運の女神が

Moi!フィンランド好きが日曜朝8時から今週のフィン活について報告しあう30分

早起きは30ユーロの徳? 毎週日曜の clubhouse 配信も、4回目(2021年4月25日)となりました。今回のテーマは「SIMA」です。

と、その前に、金曜日に行ってきた渋谷公園通りギャラリーで開催されている『インナー・ランドスケープス、トーキョー』展の話をしました。いつものように説明下手が炸裂していたので、あらためてこちらに書きます、笑。

『インナー・ランドスケープス』はフィンランド写真家のマルヤ・ピリラとサトコサイ+トモコクラハラの陶芸ユニットらによるプロジェクトで、フィンランドのトゥルクで2009年に始まりました。

作家が様々な地域に入り込み、ある特定の地域に暮らす高齢者たちをインタビューし、個人的な歴史の断片を集める。そして、写真および陶芸という二つの分野の美術作品を通して、その人の内面および地域に流れる時間を表現する。

https://ils.saikurahara.com

2011年にトゥルク城で『インナー・ランドスケープス、トゥルク』が開催され、2016年、谷中のHAGISOで巡回展示されました。そして、その東京版として2017年からインタビューやアルバム写真の収集などの準備をされてきたそうです。

マルヤさんの作品は、カメラ・オブスキュラの手法を用いて、家の外の景色を部屋の中に投影します。まるで部屋の中いっぱいにプロジェクターで映像をうつしているような幻想的な写真です。

崔さん+蔵原さんによる陶芸作品は、インタビューした高齢者の方のアルバム写真をシルクスクリーンで陶器の中に転写したものです。陶器の外側はその人の現在を表しているそうです。

また写真と陶芸作品は、それぞれ同一人物をモデルに制作されています。

人の内と外(インタビューやアルバム=過去と現在)、カメラの内と外(カメラ・オブスキュラ)、部屋の内と外(写真作品)、陶器の内と外(陶芸作品)、それぞれ内と外が入り混じったような、確かに「内面の風景=インナー・ランドスケープス」だと思いました。

Iさんから「トゥルクの作品はありましたか?」という質問を受けましたが、もしトゥルクの作品も展示されていたら、国の内と外(フィンランドと日本)という構図も描けていたのではないでしょうか。

▶︎ インナー・ランドスケープス、トーキョー | 東京都渋谷公園通りギャラリー

※ 4/25〜5/11まで臨時休館されるそうなのでご注意を。


次に、Yさんが「北欧ブッククラブ」のお話をしてくださいました。このクラブの主催は「北欧語書籍翻訳者の会」で、FacebookとTwitterで活動されているそうです。どなたでも入会できるそうなのでご興味のある方はぜひ。

▶︎ 北欧ブッククラブ始動のお知らせ

今回Yさんが読まれたのは、ペトリ・レッパネン+ラリ・サロマー著『世界からコーヒーがなくなるまえに』(青土社)。コーヒー生産とその消費に関するノンフィクションで、フェアトレードなどに関心のある方におすすめとのことです。

Mさんもこの本をnoteでご紹介されていて、どうしてコーヒー豆が採れないのにフィンランドでは消費量が多いのだろう?というひと言に、元々コーヒーは薬用として飲まれていたのが起源で、その後嗜好品になっていったのでは、というIさんの解説もありました。勉強になります。

▶︎ 夏休み読書案内2020 フィンランド発の書籍から


そしてようやく今回のメインテーマ「SIMA」についてです。ちょうど先週IさんとMさんがそれぞれシマを作られたそうです。そこでまずMさんがシマの歴史について教えてくださいました。

シマは、5月1日のメーデーの時に飲むサマードリンクで、700〜1000年代にバイキングが飲んでいたものが原型とされています。アルコール度数が17度もあり、現在のシマとは全く違うものだったそうです。フィンランドに入ってきたのが1500年代。蜂蜜などで甘く味付けされましたが、砂糖などは贅沢品で1700年代にはまだ貴族階級の人々がたのしむものでした。労働者など一般に普及したのはフィンランド独立後の1919〜1932年に禁酒令が敷かれていた頃で、アルコールなしのシマが着目されたそうです。その後、労働者のお祭りであるメーデーで飲まれるようになりました。(※ 年代など若干修正しました。4/25 13:30)

ここで、Mさんのレシピをご紹介します。

水    5リットル
砂糖   500グラム(色をつけたい場合はブラウンシュガーや三温糖)
レモン  2個
イースト 小さじ1杯
レーズン 適量(お好みでミントなども)

① まずレモンの皮をむき輪切りにします。皮の白い部分は取り除いてください。
② 半分くらいの水を沸騰させ、砂糖を溶かし、レモンと皮を入れます。
③ 残りの水を足し、数時間置きます。冷めたところでイーストとレーズンを入れます。
④ レーズンが浮いてきたら、出来上がりです。

冷蔵庫で一週間くらい持つそうです。涼しく乾燥したフィンランドでは、地下室などに備蓄して、夏至の頃まで楽しまれているとのこと。

そしてIさんが作られたのが、LAPUAN KANKURITの記事を参考にしたシマです。

▶︎ Recipe|4月のフィンランドレシピ 〈シマ風ノンアルコールカクテル〉

トニックウォーターが決め手ということで、イッタラ公式ツイッターの方も反応されていました。


今回、フィンランドのシマという飲み物の話をすると聞いて、以前もらった白樺樹液をまだ飲んでいなかったことに気づきました。賞味期限を見てみるとなんと「2022.4.25」。これは幸運の女神のしわざに違いない!!

というわけで、白樺樹液を使ったシマを作ってみることにします。みなさんもぜひオリジナルのシマを作ってみてくださいね。感想など聞かせていただけるとうれしいです。それでは次回もお楽しみに。

text : harada

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